法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

期日前投票の組織的な利用について

2006-11-21 20:38:33 | Weblog
有権者の1割が期日前投票,大半が仲井真票との見方も YOMIURI ONLINE

 記事には,「仲井真陣営は「堅い支持者にあらかじめ投票を済ませてもらい,その後は支持拡大に余力を振り向ける」とし,期日前投票の少ない市町村のテコ入れなどを進めたという。」とある。
これを読むと,誰でも,しようと思えば期日前投票ができそうだが,そうではない。これは法文を読めば明らかである(公職選挙法第48条の2第1項)。沖縄県のHPにも,期日前投票を行うことができる者は,「選挙期日に仕事や用務があるなど,一定の事由(現行の不在者投票事由)に該当すると見込まれる者です。」とある。

 もちろん,期日前投票が,必ずしも,法律どおりに行われていないことは知っている。投票の際,いかなる理由で当日投票できないか,その事由を書くが,立会人からあれこれ詮索されることはない。この辺りは,選挙人の自己規律に委ねられている。選挙戦の行方を見ずとも,投票する政党や候補者は既に決まっているというのであれば,口うるさくいうようなことではないのかもしれない。
しかし,これが,選挙戦術のひとつとして組織的に利用されているとなれば,やはり,問題があろう。投票率が上がればそれでよいというものでもない。法の制定・改正に関与しながら,その要件を無視するようなやり方を組織的に煽っているとすれば,政党として,見識が問われる。

 なお,公職選挙法は,先に通常国会で,議員立法により改正されている。主な改正点は,「国外における不在者投票制度の創設」と「南極地域観測隊の隊員等のファクシミリ装置による投票制度の創設」である。

沖縄県 企画部市町村課 期日前投票制度について


公職選挙法の関連条文

(期日前投票)
第四十八条の二  選挙の当日に次の各号に掲げる事由のいずれかに該当すると見込まれる選挙人の投票については,第四十四条第一項の規定にかかわらず,当該選挙の期日の公示又は告示があつた日の翌日から選挙の期日の前日までの間,期日前投票所において,行わせることができる。
一  職務若しくは業務又は総務省令で定める用務に従事すること。
二  用務(前号の総務省令で定めるものを除く。)又は事故のためその属する投票区の区域外に旅行又は滞在をすること。
三  疾病,負傷,妊娠,老衰若しくは身体の障害のため若しくは産褥にあるため歩行が困難であること又は刑事施設,労役場,監置場,少年院若しくは婦人補導院に収容されていること。
四  交通至難の島その他の地で総務省令で定める地域に居住していること又は当該地域に滞在をすること。
五  その属する投票区のある市町村の区域外の住所に居住していること。
2 (省略)
3 (省略)
4  第一項の場合において,投票録の作成の方法その他必要な事項は,政令で定める。

公職選挙法施行令の関連条文

(期日前投票の事由に該当する旨の宣誓書)
第四十九条の八  選挙人は,法第四十八条の二第一項 の規定による投票をしようとする場合においては,同項 各号に掲げる事由のうち選挙の当日自らが該当すると見込まれる事由を申し立て,かつ,当該申立てが真正であることを誓う旨の宣誓書を提出しなければならない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする