法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

アルコール濃度測定の記録紙を食べた男について

2006-11-25 20:27:20 | Weblog
asahi.com 飲酒測定記録紙を食べた男逮捕 公文書毀棄容疑

 測定器から打ち出されたばかりの記録紙も刑法第258条の「公務所の用に供する文書」に該当するということなのだろう。

 いや,大したことではないが,刑法第258条の「公務所の用に供する文書」が,通常,「公務所において現に使用し又は使用に供する目的で保管している文書」をいうとされていることとの関係で少しひっかかりを感じたのだ(最判S38.12.24同S52.7.14)。
公用文書等毀棄罪の意義は,文書に表現されている意味・内容の保護を通じて公務を保護することにある。この意義から考えれば,「公務所において」を,文書等の使用・保管主体ではなく,言葉どおり,場所的概念とするのは硬すぎるかもしれない。

 いずれにしても,規定にあるのは,「公務所の用に供する文書」。規定の文言を素直に読めば,冒頭の該当性の判断,無理があるわけではない。


刑法の関連条文

(公用文書等毀棄)
第二百五十八条  公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した者は,三月以上七年以下の懲役に処する。

(私用文書等毀棄)
第二百五十九条  権利又は義務に関する他人の文書又は電磁的記録を毀棄した者は,五年以下の懲役に処する。

(建造物等損壊及び同致死傷)
第二百六十条  他人の建造物又は艦船を損壊した者は,五年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は,傷害の罪と比較して,重い刑により処断する。

(器物損壊等)
第二百六十一条  前三条に規定するもののほか,他人の物を損壊し,又は傷害した者は,三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

(親告罪)
第二百六十四条  第二百五十九条,第二百六十一条及び前条の罪は,告訴がなければ公訴を提起することができない。

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