asahi.com 向井さん代理出産,高裁が出生届受理命じる
記事で触れられている別事案は,最決H17.11.24に係るもの。
これは,夫Aの精子と妻B以外の女性Cから提供された卵子を使って体外受精を行い,代理母Dの子宮に移して,子どもが出生したという事案。AB夫婦が自分たちの子どもとして出生届を出したところ,拒否されたというケースであった。
原審(大阪高裁)は,代理出産契約を「人をもっぱら生殖の手段として扱い,第三者に懐胎,分娩による危険を負わせるもので,人道上問題がある。」とし,「公序良俗に反して無効」としたが,上記最決もこれを是認し,特別抗告を棄却した。
東京高裁の決定は代理母契約の是非についても言及しているが,この際,代理母への対価の多寡,自然血縁的親子関係の存在等のほか,向井さんの子宮摘出という事情をもあわせ考慮している。
向井さんご夫婦のケースについても,「人をもっぱら生殖の手段として扱い,第三者に懐胎,分娩による危険を負わせるもの」という評価はできないわけではない。しかし,2つのケースは,自然血縁的親子関係の有無という点で大きく異なる。結論の相違は,この点に拠るところが大きいように思われる。
民法の関連条文
(嫡出の推定)
第七百七十二条 妻が婚姻中に懐胎した子は,夫の子と推定する。
2 婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は,婚姻中に懐胎したものと推定する。
(特別養子縁組の成立)
第八百十七条の二 家庭裁判所は,次条から第八百十七条の七までに定める要件があるときは,養親となる者の請求により,実方の血族との親族関係が終了する縁組(以下この款において「特別養子縁組」という。)を成立させることができる。
2 前項に規定する請求をするには,第七百九十四条又は第七百九十八条の許可を得ることを要しない。
(養子となる者の年齢)
第八百十七条の五 第八百十七条の二に規定する請求の時に六歳に達している者は,養子となることができない。ただし,その者が八歳未満であって六歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されている場合は,この限りでない。
(父母の同意)
第八百十七条の六 特別養子縁組の成立には,養子となる者の父母の同意がなければならない。ただし,父母がその意思を表示することができない場合又は父母による虐待,悪意の遺棄その他養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合は,この限りでない。
(子の利益のための特別の必要性)
第八百十七条の七 特別養子縁組は,父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において,子の利益のため特に必要があると認めるときに,これを成立させるものとする。
(監護の状況)
第八百十七条の八 特別養子縁組を成立させるには,養親となる者が養子となる者を六箇月以上の期間監護した状況を考慮しなければならない。
2 前項の期間は,第八百十七条の二に規定する請求の時から起算する。ただし,その請求前の監護の状況が明らかであるときは,この限りでない。
(実方との親族関係の終了)
第八百十七条の九 養子と実方の父母及びその血族との親族関係は,特別養子縁組によって終了する。ただし,第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方及びその血族との親族関係については,この限りでない。
国籍法の関連条文
(この法律の目的)
第一条 日本国民たる要件は,この法律の定めるところによる。
(出生による国籍の取得)
第二条 子は,次の場合には,日本国民とする。
一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
二 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。
三 日本で生まれた場合において,父母がともに知れないとき,又は国籍を有しないとき。
(帰化)
第四条 日本国民でない者(以下「外国人」という。)は,帰化によつて,日本の国籍を取得することができる。
2 帰化をするには,法務大臣の許可を得なければならない。
記事で触れられている別事案は,最決H17.11.24に係るもの。
これは,夫Aの精子と妻B以外の女性Cから提供された卵子を使って体外受精を行い,代理母Dの子宮に移して,子どもが出生したという事案。AB夫婦が自分たちの子どもとして出生届を出したところ,拒否されたというケースであった。
原審(大阪高裁)は,代理出産契約を「人をもっぱら生殖の手段として扱い,第三者に懐胎,分娩による危険を負わせるもので,人道上問題がある。」とし,「公序良俗に反して無効」としたが,上記最決もこれを是認し,特別抗告を棄却した。
東京高裁の決定は代理母契約の是非についても言及しているが,この際,代理母への対価の多寡,自然血縁的親子関係の存在等のほか,向井さんの子宮摘出という事情をもあわせ考慮している。
向井さんご夫婦のケースについても,「人をもっぱら生殖の手段として扱い,第三者に懐胎,分娩による危険を負わせるもの」という評価はできないわけではない。しかし,2つのケースは,自然血縁的親子関係の有無という点で大きく異なる。結論の相違は,この点に拠るところが大きいように思われる。
民法の関連条文
(嫡出の推定)
第七百七十二条 妻が婚姻中に懐胎した子は,夫の子と推定する。
2 婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は,婚姻中に懐胎したものと推定する。
(特別養子縁組の成立)
第八百十七条の二 家庭裁判所は,次条から第八百十七条の七までに定める要件があるときは,養親となる者の請求により,実方の血族との親族関係が終了する縁組(以下この款において「特別養子縁組」という。)を成立させることができる。
2 前項に規定する請求をするには,第七百九十四条又は第七百九十八条の許可を得ることを要しない。
(養子となる者の年齢)
第八百十七条の五 第八百十七条の二に規定する請求の時に六歳に達している者は,養子となることができない。ただし,その者が八歳未満であって六歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されている場合は,この限りでない。
(父母の同意)
第八百十七条の六 特別養子縁組の成立には,養子となる者の父母の同意がなければならない。ただし,父母がその意思を表示することができない場合又は父母による虐待,悪意の遺棄その他養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合は,この限りでない。
(子の利益のための特別の必要性)
第八百十七条の七 特別養子縁組は,父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において,子の利益のため特に必要があると認めるときに,これを成立させるものとする。
(監護の状況)
第八百十七条の八 特別養子縁組を成立させるには,養親となる者が養子となる者を六箇月以上の期間監護した状況を考慮しなければならない。
2 前項の期間は,第八百十七条の二に規定する請求の時から起算する。ただし,その請求前の監護の状況が明らかであるときは,この限りでない。
(実方との親族関係の終了)
第八百十七条の九 養子と実方の父母及びその血族との親族関係は,特別養子縁組によって終了する。ただし,第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方及びその血族との親族関係については,この限りでない。
国籍法の関連条文
(この法律の目的)
第一条 日本国民たる要件は,この法律の定めるところによる。
(出生による国籍の取得)
第二条 子は,次の場合には,日本国民とする。
一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
二 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。
三 日本で生まれた場合において,父母がともに知れないとき,又は国籍を有しないとき。
(帰化)
第四条 日本国民でない者(以下「外国人」という。)は,帰化によつて,日本の国籍を取得することができる。
2 帰化をするには,法務大臣の許可を得なければならない。