山田洋次監督の「小さいおうち」
第143回 直木賞を受賞した 同名小説の
原作を読んだ監督が惚れ込んで
是非映画化したいと自ら望んだもの。。。。
ベルリン国際映画祭にも出品され
公開前から 話題になっています。
原作は読んでいたのですが、
正直 映画はあまり期待していませんでした。
しかし これが、見事に裏切られました。。。
原作とはまた違った味わいがあるのです
昭和の中流家庭に起きた 小さな出来事を当時の戦争を背景
にノスタルジックに描いているのですが---
昭和という時代の日本人のこころの『奥ゆかしさ』のようなもの
が見え隠れしています
思っていても口に出さない事であったり
ずっと変わらない気持ちで思い続ける事であったり、
他人のために尽くす事が喜びであったり・・・・
言ってしまえば 小さなおうちの奥様、時子と
板倉の関係は不倫なのですが、
現代のそれとは、何かが違うのです。
それは、時子を見守りこころを痛める
使用人のタキの純粋さや
戦地への召集によって引き裂かれる
大切な関係によるものなのかもしれません。
「長く生き過ぎてしまったの。。。。」
若かりし頃を振り返り、
泣きながら語る 老婆タキのその言葉に
悔恨の念に捉えられた心情が分かります。。。
人と人の関係が濃密であった時代
ゆえに、少しのこころの揺れや迷いすらも
許されなかった、厳しい時代でもあったのです
自分の思う通りに生きられない人生のなかに
見つける僅かの幸福感はそれはそれは
清らかなものです
だからこそ、「心の美しさ」も際だってくるのかもしれません
この映画を見て、奥ゆかしい
日本人の『心の機微』を感じてみてはいかがでしょうか?
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