酒田市美術館 で開催中の
「山下清 展」
子どもの頃 良くテレビドラマで
見ていた 山下清-----作品もさることながら
彼の放浪の旅やキャラクターもとっても興味深いです。
今回はその山下清のテレビドラマとはちょっと違った
彼の本当の姿に近づける展覧会でした
数多くある作品の中でやはり圧巻は
「長岡の花火」
彼は49歳の若さでこの世を去るのですが
その直前、最後に残した言葉も「今年はどこの花火を見ようか。。。?」
といったようなものでした
それほど 彼の中で花火は特別なものだったに違いありません
長岡の花火には戦争で亡くなった多くの人達の鎮魂の
意味が込められています。
当時 戦争を何より恐れていた清にとって
この貼り絵に 強い思いが込められていても
何ら不思議ではありません
「みんなが 爆弾などつくらずに 花火をつくったら
どれだけいいだろう。。。」と言っているくらいですから
緻密な貼り絵は本当に素晴らしい
まるで、機械のように同じ大きさでそれも物凄く小さくちぎられた
色紙は 清のチカラでこんなにも
美しい花火に変化するのです・・・これは実際に観て頂きたい!!
テレビでは、旅先でスケッチし作品制作するのですが
実際の清は 旅の間 作品を作る事はなく
帰ってきてから、一気に自分のアタマの中の風景を
カタチにしていったのです
それは実際の景色と寸分の狂いもないほど
リアルに再現されていたんだそうです
今は何か素敵な景色を見たらすぐに
携帯やデジカメで写真撮影。。。。
それに夢中になりすぎて
いつの間にか本物をしっかり自分の目で見る事が
おろそかになっているような気もします
ライブなどにいっても 夢中で携帯の動画撮影
せっかく ライブに来ているのに
携帯の画面ばかりをみてしまう 光景もチラホラ。。。
たまには、あえて撮影をストップして
じっくり
自分が美しいと思ったものと対峙し、見つめてみるのも
いいのかもしれません
ヨーロッパ旅行の時の風景画(観光名所など)
は、彼の画家人生の円熟期でもあって本当にステキです
油絵にもチャレンジしつつ やはり貼り絵や
ペン画に技法をもどしていった彼-----
彼は制作スピードが速く
絵具が乾くのを待てなかったのと、
色を混ぜない貼り絵が好きだったのです
初めて見たものを一度で
正確に脳裏に焼き付けてしまう彼の才能は抜きんでていますし
邪念が無いのところも
余計なデータの入るスキを与えなかったのかな?と
勝手に推察します
雲は白と水色とグレーの色紙で
スイスの山は 濃いグリーンと白と薄いオレンジで・・・・・
何色もの色で構成される景色は何て美しいのでしょう!!
これは点描の表現(ゴッホなど)にも通じています
これは何とペン画-----点でグラデーションや
強弱をつけていくのですから もはや呆気にとられてしまいます
仕上りのイメージが明確でなければ
絶対 ペン画はムリな技法だと思います
色に頼らず点だけで出来上がっていく風景
イメージをカタチにするまでの距離は
どんな画家より短かったのかもしれません
それは無駄のないストレートなプロセス
まるで清の 性格と共通しているかのようです
彼に言わせると
欲を出すと 美しいものが そう見えなくなってしまうのだそうです
キレイだと思った富士山も 欲張って何度も何度も
見ると 初めの美しさではなくなっていく、と言います
邪気の無い 素直な心の目が
見る者を惹きつける 山下清の作品につながったのだと思います
もちろん彼の様な作品がつくれる訳はありませんが
せめて 素直に 物事の本質を見つめられるチカラを身に着けたいものです。。。