![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/20/5bda83420400d3acca9d686dfb1a9a55.png)
酒田市美術館 で開催中の
「山下清 展」
子どもの頃 良くテレビドラマで
見ていた 山下清-----作品もさることながら
彼の放浪の旅やキャラクターもとっても興味深いです。
今回はその山下清のテレビドラマとはちょっと違った
彼の本当の姿に近づける展覧会でした
数多くある作品の中でやはり圧巻は
「長岡の花火」
彼は49歳の若さでこの世を去るのですが
その直前、最後に残した言葉も「今年はどこの花火を見ようか。。。?」
といったようなものでした
それほど 彼の中で花火は特別なものだったに違いありません
長岡の花火には戦争で亡くなった多くの人達の鎮魂の
意味が込められています。
当時 戦争を何より恐れていた清にとって
この貼り絵に 強い思いが込められていても
何ら不思議ではありません
「みんなが 爆弾などつくらずに 花火をつくったら
どれだけいいだろう。。。」と言っているくらいですから
緻密な貼り絵は本当に素晴らしい
まるで、機械のように同じ大きさでそれも物凄く小さくちぎられた
色紙は 清のチカラでこんなにも
美しい花火に変化するのです・・・これは実際に観て頂きたい!!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/45/8b/f1f04ccb4efcda0a4ecd692967af45a2.png)
テレビでは、旅先でスケッチし作品制作するのですが
実際の清は 旅の間 作品を作る事はなく
帰ってきてから、一気に自分のアタマの中の風景を
カタチにしていったのです
それは実際の景色と寸分の狂いもないほど
リアルに再現されていたんだそうです
今は何か素敵な景色を見たらすぐに
携帯やデジカメで写真撮影。。。。
それに夢中になりすぎて
いつの間にか本物をしっかり自分の目で見る事が
おろそかになっているような気もします
ライブなどにいっても 夢中で携帯の動画撮影
せっかく ライブに来ているのに
携帯の画面ばかりをみてしまう 光景もチラホラ。。。
たまには、あえて撮影をストップして
じっくり
自分が美しいと思ったものと対峙し、見つめてみるのも
いいのかもしれません
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/1d/6d53bec856b409b829ed0a1169dcfc5b.png)
ヨーロッパ旅行の時の風景画(観光名所など)
は、彼の画家人生の円熟期でもあって本当にステキです
油絵にもチャレンジしつつ やはり貼り絵や
ペン画に技法をもどしていった彼-----
彼は制作スピードが速く
絵具が乾くのを待てなかったのと、
色を混ぜない貼り絵が好きだったのです
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/ed/fcf1475d9eba90693807107c832fd313.png)
初めて見たものを一度で
正確に脳裏に焼き付けてしまう彼の才能は抜きんでていますし
邪念が無いのところも
余計なデータの入るスキを与えなかったのかな?と
勝手に推察します
雲は白と水色とグレーの色紙で
スイスの山は 濃いグリーンと白と薄いオレンジで・・・・・
何色もの色で構成される景色は何て美しいのでしょう!!
これは点描の表現(ゴッホなど)にも通じています
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/6a/e8d771d5aa0d95c8df3f264d445907cc.png)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/b1/c22b3d4ef4d17fbe5db343228be28f9b.png)
これは何とペン画-----点でグラデーションや
強弱をつけていくのですから もはや呆気にとられてしまいます
仕上りのイメージが明確でなければ
絶対 ペン画はムリな技法だと思います
色に頼らず点だけで出来上がっていく風景
イメージをカタチにするまでの距離は
どんな画家より短かったのかもしれません
それは無駄のないストレートなプロセス
まるで清の 性格と共通しているかのようです
彼に言わせると
欲を出すと 美しいものが そう見えなくなってしまうのだそうです
キレイだと思った富士山も 欲張って何度も何度も
見ると 初めの美しさではなくなっていく、と言います
邪気の無い 素直な心の目が
見る者を惹きつける 山下清の作品につながったのだと思います
もちろん彼の様な作品がつくれる訳はありませんが
せめて 素直に 物事の本質を見つめられるチカラを身に着けたいものです。。。