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森アーツセンターで開催中の「ラファエル前派展」
1848年に英国の若い作家たちで結成された
「ラファエル前派兄弟団」
それは、ラファエロを規範とする保守的な
アカデミズムに反旗を翻したアート集団
ロイヤルアカデミーで学ぶ
学生3人「ミレイ ロセッティ ハント」
が中心となって結成されました
それは当時のアカデミズムに反発し
ラファエロ以前の素直で誠実な表現を目指したものでした。
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しかし何事も、革新には批判が伴うもの
社会からは猛反発を受け
これら3人の若者のアート界での活動はまさにスキャンダル
だったのです。
ミレイ「両親の家のキリスト(大工の仕事場)」
この作品もしかり-----批評家から酷評を受けるのです
当時 キリストに庶民のリアリティを持たせ描く事
は絶対のタヴーだったのかもしれません
しかし、ここにはたくさんの暗示があります
父親は聖ヨセフ---
キリストの手の怪我は--キリストの磔刑をあらわしていますし
水桶を持つ少年は---洗礼者ヨハネ(水はキリストの洗礼)を
跪くマリアはピエタをあらわしているのです
この作品が発表された時の衝撃はいかほどのものだったでしょうか
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/9c/b1df9759a245044e870688c2852617e7.png)
ロセッティ「受胎告知」
ここで興味深いのは、
ラファエル前派は、中世のキリスト教絵画を復活させながらも
その独自の解釈によって 世の中の非難の的となります
考え方としては、
聖書の中には、人間ドラマがあり 文学的かつ詩的にそれを表現
するというもの---人物をより写実的に描く事が
非常に衝撃的だったのです
なので受胎告知でありながら、マリア表情はどこか
憂鬱そうですし、天使ガブリエルには
羽がありません。。。。
人間の迷いのようなものが あらわされているのでしょうか?
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そして、英国美術の最高峰
ミレイ「オフィーリア」
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これを目の前にした衝撃-----これは
あとからも充分に思い出せるほどです
来場者はとりあえずここで
立ち止まり 釘づけになるのです。
本物を是非 見て頂きたい!!
まずは草花のリアリティ-----これはラファエル前派の特徴です
細やかな描写が見るものを捉えてはなしません
そして水に横たわる シェイクスピアのハムレットのヒロイン
オフィーリア-----何と 美しい!!
モデルはロセッティの妻 ジダル
浴槽で長い時間 同じポーズをとらされた
ジダルはその後 風邪を引いたという逸話が-----
鮮やかな色使い リアルすぎるほどの緻密な表現
ここから 徐々に美的可能性を追求し始めるのです
さらに、ラファエル前派を理解するうえで
もう一つ 大事な部分が・・・・・
それは アーティストとその妻たちの複雑な関係です
絵画のモデルには 妻たちの存在が欠かせなかったのですが。。。。。
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これも 誰をも釘づけにする
ロセッティ「プロセルピナ」
モデルはモリスの妻 ジェイン
実はモリスとその妻ジェイン、ロセッティは奇妙な三角関係にあったのです
囚われの女神、ローマ神話のプロセルピナに扮した彼女は
三角関係の複雑さそのものを
あらわしているようです
真っ黒で艶やかなウェーブヘア
深いグリーンのドレスに
真っ赤な口紅とザクロの赤い実
がくっきりと浮かび上がります
女性が見ても うっとりする美しさ!!!
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これからは美しき 女性のオンパレード
ミレイ「マリアナ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/78/7584f0cd348c0a4f98aa30c07dea1e9e.png)
ロセッティ「アウレリア(ファッツィオの恋人)」
モデルはロセッティの愛人です。。。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/16/0d4134efee2722c326a5b5701e540b4d.png)
ロセッティ「最愛の人(花嫁)」
恋愛は創作のエネルギーになるのでしょうか・・・?
ロセッティの描く女性はあまりにも 妖艶すぎて
愛情の大きさが窺いしれます
本当に 女性が好きだったんだろうな~(笑)
ラファエル前派を語るうえで欠かせないのが
彼らの妻であり愛人の存在----それは美女の競演として、
今回の展覧会のポイントとなっています。
保守的なアカデミズムを覆し
聖書を基に 人間の生々しさを表現した彼らの活動は
社会批判を浴びながらも、ムーヴメントを起こし
なんてスキャンダラスなんでしょう!!!
そしてさらにその奥にある
アーティストの恋愛模様も 実にスキャンダル!!
それを目の当たりに出来る
とっても貴重なチャンスです。