「チャン・ユンチア」
伝統的陶器の散蓮華は中国系マレーシア人である作家の
アイデンテイティーを表すオブジェ
そこに紙芝居のように物語を描いて
伝統的な物語絵にしています
これは、アジア人文化によくある伝統的な道徳説話---
息子に置き去りにされ、見捨てられたと思い込み
不安と悔しさにさいなまれる母親のはなし
息子はちゃんと母親の傍らにいるのに
その存在が見えていないのは、母親の方だったというもの
美しく並ぶオブジェの様な蓮華と
そこに描かれる絵の、こころの闇のような世界の対比
がおもしろいです。
疑心暗鬼----疑う心から生まれるのは、怖れや不安
ここから、プラスになるものは何も生まれません。
誰にでも 少なからず、心当たりありますよね・・・
「ロベルト・フェレオ」
200年前スペイン人に支配されていたフィリピン-----
これはフィリピン人の反乱を表しています
キリスト教やフィリピンの神話にもとづく、10個の彫像は
ピラミッドを逆さにした逆三角形に並べられています
作者は、自国の歴史を形にすることによって
遠い過去のそれを風化させないように
しているのでしょうか----
支配からは、何も生まれないのです
「ポクロン・アナディン」
被写体に鏡を持たせて太陽の光を跳ね返しています
風船を売る人、ただ街角に佇むひと・・・
顔を隠す光のせいで神々しくも見えたりします
見えないことで膨らむイマジネーション・・・
同時に光以外の背景にしっかり意識が向いたりもします
勝手な物語が浮かんできそうです
「リー・ウェン」
シンガポール初のビデオ インスタレーション
この作品が発表された時、大きな議論を巻き起こしたそうです
白い布の中を覗くと・・・
銀行員を辞めた作者が 銀行員を揶揄する
ことばをカメラに向って繰り返し発しています
「ワールドクラス。。。世界標準とは何か。。。グローバルスタンダード」
世界基準で守られる、自分たちの生活。。。
小さなコミュニティとワールドクラス
そこに、矛盾や不可避---共通項までも、作者は見つけたのでしょうか?
「フランク・カリャガン」
移り変わる都市と自然の関係
フィリピンの首都マニラは 都市と森が隣り合うまでになっています
貧困・人口過密・劣悪な衛生状態など
フィリピンの都市環境に対する社会問題へ
作者はあえて、直接言及はしていませんが。。。
せわしない雑踏と騒音の街の中で、照明を使わず、加工もせず
むしろ「意図しない美」という偶然の美しさを写真に収めているのです
美に反するものを美しく映す
その方が見る者を惹きつけて
その物を際立たせるのかもしれません
偶然の美しさは、作者の自国への愛、故の結果です
アーティストの、アジアへの愛が伝わってきます
アジアが抱える問題、歴史。。。作品からたくさんのメッセージが
投げかけられています
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