老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

斎藤梅子 句集「青海波」から

2024-06-29 22:12:29 | 老人日記
          

     📑    よしこのや潮入り川は燈をつらね


昨晩は久しぶりに 斎藤梅子氏の句集をひもといた。

徳島生まれの俳人。
昭和61年第10回「現代俳句女流賞」受賞
「徳島県出版文化賞」受賞と昭和61年は華々しい活躍。
この後も他の追従をしり目に活躍を続けた。

        
    
     📑    春愁や木偶人形につちふまず
    
     📑    役者絵のすなはち寄り目いなびかり

取り合わせの妙、

     📑    おもしろの鬼の世にゐて霞かな

     📑    滴りの胸中にして櫂の音

     📑    まなじりを音なく舟や枯世界

     📑    大灘に日矢いくたびも鍬始

この句ら、、
異質の世界を面目躍如、自家薬籠中の句として詠み尽くしている。
おもしろの鬼の世などと、氏の心の内の自在はいかに、、、、

       
   
     📑    射干や草屋といへど武家構へ

     📑    今年竹鱗粉の散る空のあり

めずらしく素直に、あるがままの大きな景を詠みこなして、私のような凡人にも解りやすい。

今年竹が育つ時、竹の周りに白い粉が吹く。
見落としてしまう粉を一句に、、物にするって梅子氏の俳句に対峙する姿勢に頭が下がる。


        

     
     📑    花火船この川を藍運ばれし

     📑    川風の荒び出したる衣紋竹

徳島市を流れる新町川畔に住んでゐる梅子氏。

一物仕立てでありながら深い想像を産む。
川風と衣紋だけの取り合わせが見事と思う句も。


     📑    山腹に家並ありけり桃の花

     📑    渋団扇讃州は山低く展べ

     📑    池多きくにに入りけり枯芙蓉(善通寺)

さてさて、梅子氏の句集を読んで、少しだけ俳句心が沸々と胸の底に甦った、、、とは言いすぎか。
俳句って素晴らしいな。


    🐞    大西日避け窓に吊る観葉樹



    

コメント
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