無題・休題-ハバネロ風味-

私の視線で捉えた世の中の出来事を、無駄口、辛口、様々な切り口から書いてみました。

PS ピーエス

2012-08-12 21:50:48 | 建築・都市・港


東北自動車道の松尾八幡ICを降りて右に曲がると、すぐの林道の入り口に、小さなPSのゲートが立っていた。普通なら見逃してしまうほどの大きさである。



林道に入ると林の切れ間からPSの工場が見えた。青いスチールサッシがヤマガラシの並木と相まって美しい。そのデザインから「ヨーロッパだ!」と口を突いて出たが、そう感じたのは私だけではなかった。設計者がドイツの女性建築家アンドレア女史の作品で、単純明快の建物はバウハウスの香りがした。



PSとは、水を利用したパネルで冷暖房を行う設備の会社である。特にここはHR-Cと呼ぶ放射冷暖房システムで、地下水を用いてヒートポンプと連動させ、自然換気を取り入れながらも結露による自然除湿効果で快適な室内気候を作り出している。



正直言うと、イニシャルコストは高い。だが、ランニングコストは思ったりよりも低いし、エアコンのような風を出さずに、建物の輻射熱を利用した、実に快適な空間が作れる。現在工事中の現場で採用したついでに岩手の工場へ行くことにしたのだ。



パネルの形と大きさは、室内のボリュームに併せて設計される。2階の手摺り代わりにも、厨房のスクリーンでも化ける。色も焼き付け塗装でどのような色彩も可能だ。



地下水はトコトン利用し、最後にはビオトープから地中へ戻されるが、発生した熱の移動も使い方が面白かった。つまり冷蔵庫の中を冷やすと冷蔵庫の外側のパネルでは熱い放熱板があるのと同じように、冷房で交換された熱はこの食器を温めるパイプへと繋がっている。乾燥するタオル掛けもあったが、ぬるい温度で暖められていた。



建物の外には日光を遮断する樹木(ヤマガラシ:ポプラに似ていた)から木漏れ日が落ちて、室内には植物が植えられている。植物の育たない環境は人間にも良くないと言うのがコンセプトらしい。植えられた針葉樹は20年も育っており、天井に着くので再三切られているそうだ。



片やモンキーバナナも育っており、きちんと実を付けるそうだが、一日の温度差が少ないので甘みはいまいちだそうだ。室内に強風が吹くこともなく、サボテンもスクスクと伸びるだけ伸びていた。



室内に飾られている家具もヨーロッパの製品だった。社長が社用で行く度に家具取り分け椅子が送られて来るのだそうだ。この自転車も、その一部らしい。ハンドルは何処だと一瞬迷った。



機械室の中も見せて頂いた。



冷暖房で使った水は、工場でも使用され、最終的にビオトープに戻され、沢を伝って別のビオトープへと注がれる。なんたって敷地面積が25万㎡と言うのだから、広すぎるほどだ。


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2 コメント

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Unknown (yukacan)
2012-08-13 05:31:02
ここで働いている人たちはどんないでたちなのかしら。会社へ行くのが楽しみになりそうです。こういうパネルで冷房もできると言うのが驚き。
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yukacanさん (cake)
2012-08-14 14:54:57
写真で見ても、説明を受けても、実際にこの冷暖房を使った部屋で体験しないと、うまく伝わりません。非常に快適なんですね。窓を開けて換気しながらも冷房が出来るので、驚いています。
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