goo blog サービス終了のお知らせ 

角岸's blog (Kadogishi s' blog)

酒、酒&映画・・時事問題?

お正月は「ミステリー三昧」と決めていたんだけど・・・

2013-01-04 17:51:47 | ミステリー
さて、いよいよ仕事はじめですね。
それにしても、寒い!! まさに暴風雪です。



さて、お正月は大量に買った「ヒッチコック」DVDを観て、横山秀夫先生のミステリー三昧と決めていたのに、ほとんどが親戚との飲酒とその後のボケーっと時間をつぶしてしまうはめになりました。

 で、遊びに来ていたうちの読書好きの高校生の姪っ子が、なんでも東野圭吾ファンということで、「赤い指」を読んで以来、今「加賀恭一郎」シリーズに興味があるとのこと。


 小生の本棚に結構そのシリーズ並んでるの見て「貸して、貸して」というものだから、「あげるから持ってけ」といったら、お年玉値切られると推理したのか(さすがミステリーファン)、「いいよ借りるだけで」と何冊かチョイス。

 まぁ妥当に順番に読んでいくことにしたみたい。

「卒業」はそれこそ加賀恭一郎のデビュー作ですよね。まだ学生。
これ確か前に紹介しました。
http://pub.ne.jp/gwnhy613/?daily_id=20120619


それから教師を辞めた若き加賀がバレー(踊る方)の世界での殺人事件を追う悲しきミステリー「眠りの森」へと続きます。
ネタバレになっっちゃうとまずいんですが、加賀の淡い恋も描かれ、後のひとり身を通す彼の人生観がここで確立したかに思われます。


 事実、ずーっと後の「新参者」において、この「眠りの森」の後日談が語られるんですからファンにはたまりません。
 ぶっちゃけ小生この「新参者」がシリーズの中で一番好きですし、個人的には直木賞とった「容疑者Xの献身」よりも良く書けてると思います。普通の独立した短編集かと読み進んでいくうちに、一つの大きな流れとなり、見事にパズルがパチパチとはまっていく感じがたまりません。



そう言えば、お亡くなりになられた大読書家の児玉 清さんも、このようにこの作品を評していました。

「とにかく面白い。ただただ圧倒的に面白い」

小生も同感です。その代わり自作の「麒麟の翼」にはガクッときたんですがね。

凄すぎる!! ただただ面白い横山秀夫先生の「64(ロクヨン)」

2012-12-17 22:15:41 | ミステリー
本当にすごいミステリーでした。近年読んだ中でもダントツに面白い小説、「半落ち」「クライマーズハイ」などで知られる横山秀夫先生の「64(ロクヨン)」

↓↓↓公式ホームページ
http://bunshun.jp/pick-up/64/



自分の場合、電子書籍ストアで買ってSonyタブレットで読んだんですが、まぁ本を持ってなくてもどこでも読書できるのは便利でした。
なんか、んでもねぇ慣れないせいか、あの本のページをめくっていく爽快感といいましょうか、読書独自の感覚が薄れているようで、実物の本の方がいいかもと思いました。



というわけで、肝心の小説なんですが、あちこちで絶賛されている(このミス1位とか)ので、小生ごときが批評するのもアレなんですが、とりあえず紹介します。

 舞台はD県(多分群馬県?)の県警。で、小説の題名の「64」なんですが、たった7日間しかなかった昭和64年に起きた未解決の少女誘拐事件の呼称なんですね。もう、時効寸前です。主人公は筋金入りの刑事出身の広報官・三上警視。
 警察の広報部は警務部に属し、三上がかつて所属していた刑事部とは犬猿の仲。なので、三上は古巣の刑事達からも裏切り者扱いされ、しかもキャリアの上司、赤間警務部長からも信用されていないんですね。
 しかも、三上は実の娘が家出していて家庭上の悩みも抱え、職場に来れば、記者クラブのブンヤたちからの突き上げをくらい、もう気の毒なくらい辛い状況に陥っているんですね。
 そんな中、時効目前の「64事件」の視察に、東京から警察庁長官がやってくることに。警務部と刑事部との対立はピークに達するんですが、板挟みになった三上は、この長官視察に裏があるとみて調査を開始。「64事件」の秘密にされてきた真相を知るに至るんですが、後半に入るともうホントに凄いっす!!
 驚くべきスピード間で物語が急展開するんですが、夜中にこれを読んだら最悪です。朝まで寝ないで読むこと必定な位面白い!!。もうね、前半アチコチに張り巡らせていた、伏線が見事に一本の線となり、だまされる快感を存分に味わうことができます。
 しかも、泣かせる場面も何箇所かあり、不覚ながら小生も目頭を押さえること二回。

「まるちゃん正麺」じゃないけど、だまされたと思って読んでみてください。

真の最高傑作ミステリーとはこの小説のことです。

さて、書店では1900円なのですが、電子書籍だと、確か1600円くらいで買えます。
600ページを超える大長編なんですが絶対損はしませんよ。

 実際、ハードカバーの本って最初は左手の方が厚く、めくっていくうちに半々となり、クライマックスに入ると右側の方が厚くなるでしょう。
 だけど、電子書籍だと、常に同じ厚さなんですよね。まぁ小説には関係ないんですけど。


 



英国人作家デイヴィッド・ピースが描く、終戦直後の東京の猟奇殺人を描く「TOKYO YEAR ZERO」

2012-11-28 16:07:53 | ミステリー
先週のチラッとした東京出張の際、下り新幹線まで小1時間あり、「丸善」の丸の内本店へ。

復活した「丸ノ内駅舎」の北口に位置するこの本屋の聖地は本好きにはたまらない空間です。
ただ本を探すのならAmazonで充分なんですが、目にも楽しい無数のブックカバーの大群の中から自分のお気に入りを探す作業がいいんですよねぇ。

というわけで、何気にチョイスしたのが、この文庫本の新刊。

英国人作家、デイヴィッド・ピース「TOKYO YEAR ZERO」

物語は終戦直後の実在の猟奇殺人を追う刑事たちの話。登場人物はすべて日本人なんだけど、英語で書かれ日本語に翻訳されたものです。



 さて、物語はあの終戦の日、昭和20年8月15日から始まります。品川の海軍衣糧廠から若い女性の腐乱死体が発見されるんですね。で、現場へ向かう警視庁の三波警部補と刑事たち。
 そして、その一年後、今度は第二、第三の女性の遺体が出てきます。いずれも検視の結果強姦され絞殺されており、同一人物による猟奇殺人の線が濃くなってくるんですねぇ。そして、捜査線上に「小平義雄」が浮かんできます。

 そうこれは、終戦直後に実際に起きた、連続強姦殺人事件「小平事件」をほぼそのまま、題材とした警察小説なんですね。

 ただね、この事件の真相はすでに知れ渡っているので、「小平事件」がミステリーというよりは、終戦直後の臭気漂うがれきの東京の中で起こる警察内の暗部や、戦後の闇社会と三国人たちとの葛藤などが緻密に描かれた一大叙事詩と言えるでしょう。

でね、ドラマ終盤驚くべき真相が明らかにされ、何だったんだーっこの話はー!!ってなるんですね。

びっくりというよりはモヤモヤ感が残るのではないかと・・・。

それとね、この小説を特徴づけている、この独自の文体なんですが、小生は非常に読みづらかったです。

おんなじ、言葉やフレーズを何十回、何百回繰り返したりして。まぁ、好きな人は好きなんだろうけど。

ちなみに、小生の好きな寅さんは第8作目の「寅次郎恋歌」(昭和46年)において売り口上で以下のように言ってます。

「国の始まりが大和の国、島の始まりが淡路島、泥棒の始まりが石川の五右衛門なら、助平の始まりが小平の義雄」

戦後25年、四半世紀経っても、この「小平事件」がいかに当時の日本人に強烈な印象を与えていたかがわかります。

----------------------------------------------------------------------------------------


さて、次は横山秀夫先生の「64(ロクヨン)」を読みます。

SonyReader Storeで買ったのですが、本屋さんで買うよりちょっと割安です。


ソニータブレットPを使って読むんですが、大丈夫でしょうか。
電子文庫って、実物の本と違って、ページ枚数がどれくらい動いたか全くわからないんですよね。半分すぎたとか。


シリーズ最高傑作!! 香納諒一「女警察署長K・S・P」

2012-10-30 21:13:28 | ミステリー
いやー、凄かったです。K・S・Pシリーズ第4作目「女警察署長K・S・P」
作者はもちろん香納諒一先生。


第1作目「孤独なき地K・S・P」と2作目「毒のある街」の紹介はこちら
↓↓↓
http://pub.ne.jp/gwnhy613/?daily_id=20120303

んで、3作目の「噛む犬K・S・P」はこっち。
↓↓↓
http://pub.ne.jp/gwnhy613/?daily_id=20120417

んで、本作は香納先生の新宿歌舞伎町特別分署(K・S・P)の刑事(デカ)たちの活躍を描いたハードな警察小説。
十部作構成の壮大な大河ドラマの第4弾なんですねぇ。

これは、あくまで小生の主観なんですがこの「女警察署長K・S・P」はシリーズ最高傑作と言いきって間違いありません。
もうすばらしい出来栄えで、読書する人の快感の全てがここにあります。

帯より(ストーリー)
盗まれた妻のヴァイオリンを探してほしい―。署長の村井貴里子は都知事の仲立ちで引き合わされたアメリカ人石油王から突飛な依頼を受けた。特捜部チーフ・沖幹次郎と捜索を開始するが、あの男が立ちはだかる。チャイニーズマフィア・五虎界の朱栄志。三年前、壮絶な銃撃戦のすえに取り逃がした怨敵だ。再び死闘がはじまる。なぜ、栄志もヴァイオリンの入手に執念を燃やすのか。貴里子と沖を待っていたのは驚愕の真相だった。




まず、今回の肝は日本に舞い戻ってきたチャイニーズマフィアの朱徐李(チュー・スーチー)の出生の秘密なんですが、ストーリーは女警察署長村井貴里子率いる熱い熱い刑事(デカ)たちのドラマがスゴイスピードで二転三転しながらすすみます。

主人公、特捜部チーフ・沖幹次郎村井貴里子との禁断の恋。そして人質にとられた、父の運命は。(ちょっとネタばれになっちゃいますがココ涙なしには読むことができません。泣きます。マジで)

キャリアである女警察署長村井貴里子と現場に介入する警察上層部キャリア官僚たちとの暗闘。

新宿老舗ヤクザ神竜会、Cマフィア五虎界(ウーフージェ)そして、新宿の名もなき現場の刑事たちとの攻防。

そして、そもそも何故アメリカの大富豪が日本でヴァイオリンの行方を追うのか?

朱徐李(チュー・スーチー)に妻娘を爆殺された一匹狼デカ円谷(マルさん)と沖幹次郎との現場を知り尽くした同士の会話。

ちょっとだけ・・・・

「朱への復讐でデカを続けるなど、間違ってる」
「何も俺は復讐心だけでデカをしているわけじゃない。刑事というのは、俺の天職だ。生き方そのものだ。あんただってそうでしょ。俺は妻と娘を失ってからの三年で、はっきりわかった。俺が生きてこられたのは、デカだったからです。幹さん、俺とあんたは同じだ。デカをただの仕事だとは割り切れない。生き方そのものにしちまってる人間なんだ」
「それならばなぜ道を踏み外した?」
「踏み外してなどいない」


もう一気読み状態になること間違いなし!!です。

5作目が待ち遠しいです。恃みますよ香納センセ!!

たまらない哀愁とカッコ良さ。香納諒一「心に雹の降りしきる」

2012-09-02 16:47:47 | ミステリー
この間、ネットで買った、香納諒一「心に雹の降りしきる」

もう大正解でした。



主人公都筑は、山下県という架空の地方県警捜査一課の刑事なんだけど、これが、まぁいわゆる悪徳警官でしかも一人で捜査するアウトローなわけ。

なにせ、お人よしの経営者から口巧みに金をふんだくったり、聞きこみと称してショッピングセンターの駐車場で昼寝したりと勝手し放題。

で、物語は7年前消息不明となった、チェーンレストラン経営者井狩社長の娘の服が、フリーマーケットから出てくるところから始まります。

しかし、この貴重な手掛かりを発見した興信所の梅崎は遺体で発見。

というわけで、主人公都筑が、この事件を調べて行くんだけど、彼は7年前この少女失踪事件の担当者でもあるんですね。
しかも、少女が生きているとはこれっぽっちも、思っていなくて、生きている信じている父井狩社長をウザったいと思っているわけ。

そして、事件を捜査していくうちに、梅崎の上司である興信所の所長上村も遺体で発見されます。

もうここいらへんから、このグータラ警官が猛烈に捜査して行くんだけど、もうね、ボロボロになりながらも真相解明へと突き進む主人公の心の変化に泣かせられます。

小生は、物語の本筋の巧みさにもうならされましたが、この登場人物の描き方の見事さったらないですよ。

まず、主役都筑の亡き父と母親の描写。物語中盤に描き込まれるんですがうまいですねぇ。

そして、このダメ警官の捜査手腕をかっている、上司の小池係長。都筑との会話描写が絶妙なうえ、この人物がいるおかげでドラマがグッと盛り上がります。

それから、夫からのDVに悩み、隠れ暮らす母子を都筑がかくまうんですが、この母弓子への淡い恋心。この母子の存在は、終盤に登場する別の母子との対比、そして母子家庭で育った都筑の複雑な心境を炙りだすんですが、ええですな~。特にラス・・・いやしゃべられない。

そのほか、ヤクザの津田、不動産屋の勝美など、素晴らしい人物描写です。

哀愁漂う男のハードボイルドを読みたい人へおススメの一冊です。

ちなみにコレは本の帯。