まなびの途中

色々な仕事をしてまいりました。
色々な出会いがありました。
勘違いもありますが、
学んだことを書いてまいります。

請負と派遣は、全く別物ですから。

2007年12月02日 | 社会的全般
新しくなった車に搭載されている「カロツェリア」君。
カーナビですが、CDをハードディスクに50ギガも溜め込めます。
何年振りでしょうか、レンタルしに行ったのは。
ええ、ピンクフロイドを借りてきました。
ただいま、堪能中です。

派遣料金の公開を要請へ 厚労省、マージン明らかに

  労働者派遣法の見直しを検討している厚生労働省の労働政策審議会(厚労相の
  諮問機関)の部会は29日、労働者を派遣した際に派遣元が派遣先から受け取
  っている派遣料金の情報公開を進めることで一致した。厚労省は今後、派遣法
  に基づく指針を改正し、派遣会社に対して公開を要請する規定を盛り込む方向
  で検討する。

  労働者側にとってマージン(派遣手数料)がわかる意義がある。

ええっと、何か、問題が違っているような気がするんですが。
例の、グッドウイルとかフルキャストで問題になっているのは、
確かに「単語」上では、派遣なんですが、
これ、「請負」です。

請負と派遣、簡単に言うと、請負はその現場「いくら」で売りげを立てます。
派遣は、その人間一人頭、「いくら」で売り上げを立てます。
よって、請負では、多分この作業は1日あたり10人くらい、
そんで「1人あたり」1万円として、10万円かかります。
そういう見積もりを出すわけです。

派遣は、OOさんを派遣します、と。
その方は、1「時間」例えば2000円でお願いします。
そういう見積もりの仕方になります。

もうお分かりの通り、マージンが見えないのは「請負」です。
ええ、10人で作業を見積もっても、
60歳の人間で行う場合と、ちゃきちゃきの20歳で行う場合、
作業効率が異なりますので、
意外や意外、8人でできちゃったりする訳です。

さらに、1人、1万円でなんて見積もりを出しますが、
この場合、大体、20%前後のマージンを考えますので、
日給8000円前後になるわけです。

「依頼主」は、もちろんちゃんとしたところでは、
このラインには、何人の人間が「適正」かを、明確に指示してくる場合が
多いのですが、現場の「指揮・命令」権は、請負会社。
「調整」することは、難しいことではありません。
ですから、「安い」人件費で、少人数の「過酷」な現場が、
生まれたりするわけです。

ところが派遣は、その「人物」がそのまんま料金に跳ね返ってきます。
「指揮・命令」権は、「依頼主」になりますので、
派遣会社は、ただただ、送り込むだけです。
ですから、日常的に、その依頼主とのコミュニケーションが多く、
ほとんど派遣会社の人間と、話をしない場合があります。

その結果、派遣の場合、多くは、自分が「いくら」で派遣されているか、
知っています。
その派遣社員が、評価が高ければ高いほど、依頼主は「引き抜き」を
当然考えますので、普通に、「お前はいくらだ」って言います。
また、その逆で、そいつの評価が低ければ低いほど、依頼主は、
「お前にはいくらかかってんだから、もっとやれ」って言います。

もちろん、IT関係とか、技術系の派遣の場合、
通常3割の「抜き」が理想ですが、もっと「抜ける」場合があります。
そういう例外をおいておくと、
この法案。
企業の要請が高いのは、派遣といいながら、
既得権とでも言いましょうか、まさにピンはねの境地である、
請負の「単純派遣」を残したい、そういうわけなんです。

  違法行為が横行している日雇い派遣については、何らかの規制強化が必要との
  意見でも一致し、

なんて書いてありますが、普通、人材派遣には、こういう「有期」の
期間契約は、多くありません。
偽装派遣と呼ばれ、多くは、つまり「請負」の日雇い作業に従事するわけです。

で、一般の方は、人材派遣でも、3割も抜ければえらい儲かってるジャン、
そう話す方も多いと思います。
だって、人を紹介するだけジャン。たったそれだけでしょ?とか。

それだけだったら、ごめんなさい、私も、すぐに飛びつきます。
すぐに事業化をはかります。
でも、残念ながら、全然甘くありません。
大変です。
やればわかりますし、色々とこの業種に関して相談を受けたりしますが、

人ほど面倒くさくて、クオリティーが変数で、クレームが多い、
こんな仕事、見たことがありません。
さらに、昔で言えば、1人の採用にそれこそ、1万円もかかりませんでした。
が、現在、依頼主が最低限、求める「人材」を揃えるために、
かかるコストは、10倍近く上昇しています。

ええ、人がいないんです。
一番儲かっているのは、人材派遣会社ではなくて、
実は、「求人誌」の会社です。
リクルートとか、インテリジェンスとか。
ビルが建つんじゃないでしょうか?

おまけに、遅刻欠勤は当たり前ですし、理由も無くやめることは、
もう日常茶飯事。
それなりのペナルティーは当然として、派遣会社がかぶります。
それこそ、そういう「勤怠」で解雇しようもんなら、
いきなり「労働基準局」に駆け込みます。

さらに、福利厚生ということで、社会保険やら労災、雇用保険、
さらには、研修費から厚生施設、研修所の確保、管理費用。
とどめは、募集費用。
また、仕入れが人件費ですから、丸々消費税がかかってきます。

どんなに切り詰めても、残った営業粗、5%残ればいい方です。
ここで1社でも倒産とか、売上金の回収ができなければ、
決算上で、赤字という、信じられない事態になることもあります。

だから、人材派遣会社が、派遣法の改正で、どこに流れて行ったか。
はい、ご名答。
請負に流れていったのです。
その総本山が、グッドウイルとフルキャストです。
派遣では、普通求められない、30歳以上、さらには60歳くらいまで、
普通に「採用」することができます。
ええ、募集コストが、ほとんどかからない、この「層」を取り込める。

工場とか車の工場、電機メーカーの組み立て工場とか、配送関係とか、
実は、我々にものすごく直結していて、
それでいて、一番「敬遠」される職種。
この分野に、大量の請負業が成立していることを、
我々はもっと理解して、この問題を語るべきです。
そして、これによって、何が、どこが、一番「恩恵」を被っているのか、
もっと冷静に判断するべきです。


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