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ゲノム編集

2021-06-06 | 日記

「遺伝子組み換え技術」は既に数十年の歴史を持つが、この十年くらいの間に進歩した「ゲノム編集」という技術は、狙った遺伝子を言わば「自在に変えられる」ということで一段レベルの異なる技術とされているようだ。以前に米国の状況についての番組があった時には「ゲノム・カフェ」とかいうレンタルラボ(ミニ実験室)があって日本の中学生くらいの少年がゲノム編集技術をで植物の遺伝子改変実験をやっていた。今回は、一般人の範疇に入るある人物が「ゲノム編集キットなるもの」を使って、自宅で自分の皮膚の細部を培養しゲノム編集で光らせる実験をしているという内容。

 事の良し悪しは人によってそれぞれの感想・意見があるのだろうが、ここまで来て、中には「ゲノム編集キット」の通販事業まで誕生しているという国がある現状が、一般の話題にはほとんど載らないことが少々気になる。人々が意識せずとも気に掛かるような状況になってくれば、その時には既に「研究という限局された使用」ではなく、其処此処で「一般的なレベル?」に使われ始めていることを示しすことになるのだろう。遺伝子改変が全て危険と言うつもりは無いし、遺伝子改変・即「神の領域を冒す」などと言うつもりもない。人が人工的に生き物の有り様を操作する試みは、内容が変化しつつも有史以来ずっと続いているのだから。

 ただし、新しい技術はそれなりに「かつては無かった危険」を生み出す可能性がある。炭酸ガス排出による地球の気候変動も、マイクロプラスチックによる生命の危険もそれに含まれるだろう。「遺伝子の人工的な改変」は、様々な予期せぬ生物が生まれる直接的な手段としての危険性を持つと感じる。また、(番組内で扱われたように「人間の思いのままに」はならないと思うが)少なくとも生物の形質が人間の意図に従って変更できるという考え方は、生物や命に関する捉え方・哲学・生命観に影響を与えるだろうと思う。それが知らぬ間に、そして過去の先端科学技術の例では想像できないような速さで一般社会に普及しようとしていることは、より多くの人々が身の回りに起きつつあることとして気付き・意識し始めるべきだと感じた。

 臆病者の自分としては、基礎的な議論が成熟しないままに、数年後、その際立つ成功例だけが大々的・刺激的に報じられて、ブームを呼ぶことだってあり得ないわけでは無いと危惧してしまう。