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ハイブリッドのウイルス?

2021-06-01 | 日記

ウイルスの変異株が増えて来て、少し気になる説明も耳にするようになった。A株とB株が交わって「AB株」が生まれるのではないかという危惧。今イギリス型が広がる地域にインド型が入るとイギリス型/インド型のハイブリッドが出来るのじゃないか?と。ウイルスは動植物と異なり交配や接合による遺伝子交換を行うことが無く、変異型の「ハイブリッド」が作られることは無い。

 もちろんA型変異ウイルスが持つ遺伝子にB型と同じ遺伝子変異が加われば、2か所に変異を持つAB型が生まれる。だがそれはあくまでもA型変異ウイルスがB型と同じ個所にも遺伝子変異を起こした結果であり、そこにB型変異ウイルスの関与は無い。つまり、B型変異ウイルスが同所的に存在する必要は無い。感染が広がり莫大な回数のウイルス増殖(遺伝子の複製)が続けられる限り、遺伝子変異はほぼ一定の確立で起こり続け、もし変異の起きやすい場所というのがあればいろんな地域で独立して同じ変異が出現する可能性だって考え得る。

 遺伝子変異が起きれば必ずウイルスに有利に働くわけではなく、コロナウイルスのスパイク蛋白質のような機能分子の遺伝子に起きる変異はむしろマイナスの影響を与えることが多いだろう。遺伝子変異が分子の形が変化すれば、細胞に結合するという機能が失われる可能性もあるから。しかし確率が低くても、細胞への結合能力を増すような変異が1つ起きれば、その変異を持つ株が他の株より優位に拡がるので、やがては置き換わってしまう。

 起き得る変異の中でもそれが感染力・増殖力の増加につながるという変異は限られるはずで、確率的に変異が続けば、いずれその変異を得た変異株が現れて拡大することになるだろう。イギリス型・インド型というのは、おそらくそんな(ウイルスにとって)都合の良い場所に偶々変異を起こしたわけだが、1箇所に変異を持つ変異株が、さらに別の「有利な変異箇所」にも変異を獲得する可能性も十分にあるに違いない。

 人から人への感染は即ち、ウイルスを次々に植え次いで増やし続けるということ。そのように複製回数を増大させる間は「いずれ?」有利な変異が蓄積していくので、まるで有利な変異を複数備えた「重複変異株」を求めて「品種改良」を続けるようなもの(もちろん人間にとっては改悪なのだが)。AとBの遺伝子混合をイメージさせる「ハイブリッド株」は間違いだが、今の世界は間違いなく「確率的に起き得る重複変異株の選別」を行っているという危険を丁寧な解説と警鐘を語って欲しい。

 その「変異の重複」は感染拡大地域のどこでも起き得るし、その危険を理解するのは難しくない。新型コロナの感染力・感染様式を考慮すれば、たとえそれが世界の片隅に現れたとしても、再びパンデミックに拡大し得るのは明らか。人間に出来るのは「重複変異株」の出現を止めるか、それともウイルス自身にとって最も有利な「最大の感染力を持ち、しかも宿主(人間)に感染を気付かせない変異株」に進化?するまで待つことしかないとも思えるが、(歴史が示すように)後者は多くの犠牲を伴うことになるだろう。