愚ダメ記、真誤付き、思い津記

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今や昔、白砂清松は夢の中へ

2023-08-17 | 日記
夏の明るい陽射しの中、瀬戸内海を渡る。
 「白砂清松の瀬戸の海」と習ったのはいつの頃か?。白い砂浜に青々と松が繁る中・四国の海岸線、その間に点在する島々にも、やはり、白い砂浜や海岸の松林が見えていた。それを眺めながら、穏やかな波紋が続く青い海を渡る風を顔に受け、遠くに四国山地の高い山並みが見え始めるのを待ち遠しく待っていたものだ。
 しかし、今や、海岸線は島々の海岸も含めて灰色のコンクリートに塗り替えられ、青い松林も心なしか弱弱しく、海岸のコンクリートの建物の間に見え隠れするだけになってしまった。そして、あちこちに、大きく削り取られて真砂土色の崖を晒している島々が無残である。
 「時代は移り行くのに、何を言っている」と、私の理性が何とかその風景を自分に解き明かそうとするが、「いや、この寂しさや虚しさはそのまま目に留め、憂いを味わいたい」と心は言い張る。あの子供の頃の海水浴で見た風景、肌に感じた海の冷たさや潮の香り、砂浜に埋もれる足で感じた砂の肌触り、覚えているだけの思い出を携えて、「あの時の、あの海岸はどの辺りだったのだろうか?」と遠い記憶の中の瀬戸の風景を探し回る。

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