愚ダメ記、真誤付き、思い津記

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ホトトギス

2021-06-03 | 日記

いつも夏が近づくと朝夕に林の方から聞こえて来るホトトギスの声が、今年は聞こえない。いつも聞く声が無くなると何となく寂しいもので、ホトトギスが鳴いているという近くの公園まで出かけてみた。1度はかなり近くで、2度目は離れた池の方向からホトトギスの声が聞こえたが、探し始めると鳴き声も止まり、結局その姿は見ることが出来なかった。

 いつもの年も、夏の前と夏の終わりころに、朝、目が覚めて起きるかどうか迷ってウトウトしている時やトイレに入っている時などに、よくホトトギスの声が聞こえて来る。しばらくその声に耳を澄まし、どの方向で鳴いているかを考える。時折りは、鳴き声の方向は一声毎に移動していき明らかに飛びながら鳴いていると思える時もある。窓を開けてその方向の木の枝を探しても、やはり姿が見えたことはない。

 子供の頃に遊んだ百人一首や覚えた歌にホトトギスという言葉が出て来る。「ホトトギス鳴きつる方を眺むれば、・・・」、「卯の花の匂う垣根にホトトギスはやも来鳴きて・・・」。「目には青葉 山ホトトギス初鰹」というのもある。子供心にそれがどんな鳥なのか一度姿を見てみたいと思っていた。もちろん、図鑑や画像では見ることができるが、自分の目でちゃんとその姿を確認したことはまだ無い。

 昔は「テッペンカケタカ」という鳴き声と教えられたが、実際に聞くと「特許許可局」の方が近いし、現代では言葉としても印象に残る。一度だけ我が家のベランダで、夕方に「トッキョキョカキョク」と繰り返しながら飛んでいく鳥影を見てそのシルエットが印象に残っている。だが、何しろ薄暗い中であっという間に飛び去ったので、その飛び方がシルエットで残っているだけ。この分では今年もまた姿は見られず、ただ「鳴きつる方を眺め」てそこに残った有明の月や朝陽・夕陽と共に、飛び去った鳥の残像を思い浮かべるだけになりそうだ。

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