愚ダメ記、真誤付き、思い津記

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トゲクリガニ

2021-06-19 | 日記

知人がトゲクリガニを持ってきた。青森に居た頃、陸奥湾の生物を展示する小さな水族館でいつも見ていた黄色味を帯びたカニである。持ってきたのは既に茹でてあって、全体に赤茶色に色が変わって一見毛ガニに似ている。大きさや形も毛ガニと似ていて、良く知らない人なら毛ガニと間違えるかも知れない。味はやはり毛ガニにはかなわないが、毛ガニの取れない青森や三陸では人々によく食べられている。

 自分も青森時代に海沿いにある土産物屋の店先で、このトゲクリガニを食べたことがある。小さな水族館の水槽で見た時にはそれほど美味そうだとは想像しなかったが、意外に美味しく、特にその「カニみそ」の味が忘れられない。随分と昔の事だが、甲羅を外して「ここ食べてみへぇ」と差し出してくれた叔母さんの日に焼けた笑顔とその人懐っこい声は今でもはっきり思い出せる。久しぶりのトゲクリガニを肴に、これも別な知人に贈られた山形の生酒を楽しみ、海風に吹かれながら口にした懐かしい味を堪能した。

 意外にも瀬戸内海のある場所にはトゲクリガニがいるらしい、と昔教えてくれたのは瀬戸内海の島の小さな水族館の館長さん。この辺りには深海から冷たい海水が上がって来て瀬戸内の此処だけに冷たい海の生き物がいるということなんだろう、と彼は言っていた。いるとは言っても、数は少なく滅多に採れるわけじゃない。海水温が上がる浅い所では生きていけないだろうから、瀬戸内海産のトゲクリガニを食べる機会はまず無いし、養殖するのも無理に違いない。やはりトゲクリガニは東北・北海道のカニとしておこう。

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