車でラジオを聴いていると、「夜中にトイレに起きる人は、そうでない人よりも死亡率が高い」という話が紹介されていた。その比較は以前にも聞いたことがあって、その2つの関連性はどこにあるのだろうか?と思っている。しかし、ラジオの中では聞き手の方が「そうなんですか、頻尿って思っていたよりも重大な病気なんですね」と返したので、複雑な気持ちになった。もしかしてこの聞き手は「頻尿が原因で死亡に繋がる」と受け取ったのだろうか、と思ったからだ。
例えば「病院に頻繁に通う人の死亡率は、そうでない人よりも高い」と言ったとしても、「頻繁に病院に通うことが死亡に繋がる」とは受け取らないだろう。そうではなく、「死につながるような病を持つ人は病院通いの回数も多くなる」と思うはずだ。同様に、「夜中にトイレに起きる」と「死亡率が高い」との関連性も、原因と結果の関係ではないだろう。「夜中にトイレに起きること」や「頻回に尿意を催すこと」が死亡の原因となるのではなく、頻尿の原因となる要因の中には死亡につながるような疾患が含まれるということだ。
物事を2つ並べて「関連性(相関性)がある」と言われると、ついつい、その2つに直接の因果関係があるように受け取り勝ちだが、気を付けなくてはいけない。その関連性(相関性)は、「どちらも共通の原因によって引き起こされる」という場合が多々あるからだ。言う方は「そんなことは承知の上で聞いているだろう」と思って話しても、聞き手は因果関係を持つ2つの事象として受け取るかも知れない。2つを相関性を示す理由が明らかな時には誰しも誤解しない。だがそうでない時には、2つの事象間の相関性があるというだけで、そこに因果関係があると短絡的に考えてしまいがちになる。自分が時折りそのような誤解をしていないか、もう一度気を付けて自分の頭の中を点検してみなければいけない。