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K字回復

2021-06-02 | 日記

K字回復という言葉を聞いた。よく耳にするV字回復やU字回復、さらにはL字回復などもあるそうだが、いずれも全体として回復に向かう事を指す。しかしK字回復というのは全てが回復するのじゃなく、一部は回復上昇に、また一部はさらに下降していくという状況を示しているそうだ。コロナ禍で全世界あるいは全国的なダメージを受けたが、コロナ後の経済回復は国によって企業・産業によって回復に向かうものと、立ち直れず長期低落に向かうものとが分かれるという考え方があるらしい。

 コロナ禍が無くても、エネルギー転換やデジタル化・IT化、さらにAI導入による産業の再編成が迫られていたのだが、パンデミックへの対応やパンデミック後のダメージ回復の中でそれらが加速・前倒しされ、一気に顕在化することになるだろうことは想像に難くない。2030年に向けて水素生産を一万倍にするとか2040年までに化石燃料使用の自動車を無くすという割には、今のところガソリンスタンドが閉じて行く気配もガソリン価格が変化する気配もないが、目に見えて動き出す状況になれば一気に加速する可能性はある。

 コロナ下でのテレワーク普及や通販・デリバリーの増加で、これまでに開拓されなかったビジネスチャンスが掘り起こされた感がある。その中にはコロナ関連の制限撤廃と伴に消えていくものと撤廃後もさらに発展するものがあるだろう。それもK字回復の一端なのかも知れない。とにかく、このパンデミックが通り過ぎるにつれて、その後の世界では経済的にも政治的にも「元に戻るもの」と「新たな状況に向かうもの」に分かれるのだろう。特に「新展開に向かうもの」については、現在のコロナ下の停滞の中でゆっくり進行しているものがコロナ後には一気に急展開を迎えるのかも知れない。

 気候変動にしてもエネルギー転換にしても、また食糧危機・人口問題・高齢化問題にしても、2020年代に全地球規模で重大局面を迎える問題が一気に重なって来る。経済のK字回復だけでなく、政治にも社会の有り様に関しても選択を迫られる問題であり、コロナの霧が晴れればその分岐点が一気に目の前に迫って来ると覚悟しつつ今を生き抜かなければならないのだろう。我々がトンネルを出る手前には今後の政治方針を左右する選挙もある。明らかにダメになったものを廃し、混乱を伴おうとも前に向かって進む勇気が持てるかもまた、K字、つまり分かれ道なのだろう。