【特集】LCCピーチの強気戦略がスゴイ!アフターコロナを見据えた攻める経営実態と真の狙いとは?
新型コロナウイルスの影響で、かつてない乱気流の中にある航空業界で“攻めの経営”を続けるLCC格安航空会社ピーチ。激減した売り上げを取り戻すため、新規事業を次々と打ち出し、ここ1年半で新たに11の国内路線を就航しました。そこには、地方とLCCの切っても切れない関係が。一方で、創立10年を迎えた今、競合他社が増え、当初メインターゲットとしていた客層にも変化が生まれています。生き残りをかけて挑む新たなプロジェクトとは?アフターコロナを見据えた“強気の戦略”を取材しました。 【動画】LCC・ピーチの強気戦略がスゴイ!アフターコロナを見据えた“攻める経営”の実態と真の狙い
新路線続々!「関西空港-女満別」就航 直行便で移動時間は半分以下に
7月下旬。関西空港では夏休みに入ったことに加え、ワクチン接種が進み始めたこともあり、多くの人の姿がみられました。人気を集めているのは7月1日にピーチが関空発の定期便として新たに就航した北海道東部「女満別」への直行便です。世界遺産で有名な知床など、オホーツク地方の空の玄関口である女満別空港へは、これまで関西からの定期便がありませんでしたが、道東での周遊旅行など関西の利用客に観光の需要があると判断しました。女満別空港へは、関西空港から、これまで4時間以上かけて乗り継いでいくしかありませんでしたが、直行便で移動時間はおよそ2時間に短縮。取材班が搭乗したこの日は、シニア層を中心に座席が埋まっていました。夏の観光シーズンに入ったこの時期は、四季折々の豊かな自然や観光名所が人気を集めますが、その1つ、囚人の生活を再現した博物館「網走監獄」では、コロナ禍で入場者数は7割減となり、厳しい状況が続いていました。博物館「網走監獄」業務課の菊池拓朗さんは、今回の直行便就航に、新たな集客への期待を寄せています。 「当館は、ご来館いただいた際の入館料収入で賄っているのが現状です。ピーチが就航したことで、これまで以上に、道外のお客様が訪れる目的地としての選択肢が広がるのではないかと思います。」(菊池拓朗さん)
コロナ苦境の中、新たに11の国内線を開設
観光地の期待を背負う航空便。ピーチは去年4月以降、女満別路線を含めて11路線を新たに開設しました。これは、国内線33路線のうちの3分の1にのぼり、さらに今後、石垣島への直行便も追加する予定です。コロナ禍で他社が路線数を減らす中、対照的に、国内線を次々と増やすのはなぜか。「攻め以外にない」と言い切るその強気な経営判断について森健明CEOに話を聞きました。 「国際線については、日本だけの問題だけではなく、相手国の問題があるので、見通しがつかない事業領域に飛行機や乗員をあてていく意味は全くありません。国際線に使う予定だった機材、乗員、CAを国内線にシフトして国内線をしっかり飛ばしていこうと判断しました。」(ピーチ・アビエーション 森健明代表取締役CEO) 国内線を増やすことでスタッフの雇用も守る。そしてこだわるのは「地方」に飛ぶこと。 これは、アフターコロナを見据えた「種まき」だと強調します。