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おぢのニセコ山暮らし

山暮らしと世間のあれこれを書き綴ります

「もう取り戻せない」福島農家の現実

2016年02月26日 | Weblog

 

午前6時の気温はマイナス10度。

今朝も厳しい冷え込みですが、この寒さも今週いっぱいだそうな。

間もなく3月ってことで、なんとも春が待ち遠しい今日このごろなのでござる。

さて、

「首つったおやじ、無駄死にさせたくねぇ 福島の農家」という記事が、おぢの胸を打ちましたです。

福島県に、安全でおいしいキャベツをつくる農家のとうさんがいた。

学校に呼ばれて、食の教育でしゃべったことが誇りだったという。

原発事故のあと、そんなとうさんは国から野菜の出荷停止の連絡が届いた翌朝、首をつったという。

酷い話です。

東京で今月20日に公開されたドキュメンタリー映画「大地を受け継ぐ」に、このとうさんの遺志を継いで農家を続ける樽川和也さんという方が出演しておる。

記事には、この樽川さんの重い言葉が綴られておる。

「放射能は、こっちの中通りにも降りました。田んぼも畑もビニールハウスも、みんなやられて、うぢらは職場を汚染されたんです。だけど、東電は資産への賠償をしたわけでもねえ、放射能を取り除いたわけでもねえ。ただ、5年の月日が流れただけ。たーだ被害かぶって苦しんで、うぢらはいったい、なあんなのって」

「うぢらは職場を汚染されたんです」って言葉、ずしりと重いです。

おぢは事故後に、お隣ニセコ町で行われた脱原発のパレードのことを思い出しましたです。

町内の農家の方が持っておったプラカードにはこう書かれておった。

「農家は畑を持って逃げれません」

樽川さんのとうさんの自殺は、原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)の仲介で和解し、東電も事故との因果関係を認めたという。

これについて樽川さんはこう申しておる。

「ようやく和解して、賠償も出た。やっと東電も線香上げに来てくれる、謝罪してくれると思ってたんだ。だけど違った。届いたのはファクスでした」

畑にゼオライトを混ぜ込むのが除染だというので40センチほど耕して、また耕したという。

これについても樽川さんはこう言っておる。

「だけど、おがしいっしょ。稲は放射能、吸わねくなるかもしんねえよ。でも土にある絶対量は変わってねえんだから」

汚染された表土ははぎとれないものなのか?

「機械で、はぎとんのは簡単です。だけど40センチも土とっちゃったら、今度はろくな作物できねえから。ふかふかのいい土、1センチつくんのに何十年もかかんだよ」

ため息が出ます。

またいわゆる「風評被害」について、樽川さんは以下のように話しておる。

「十分に大丈夫な数値なんだけど、やっぱ口に入れるもんでしょう。俺も本当は食いだくねかった。まあ、よそで買うわけにもいがねから食いましたけど」として、さらにこう続けておる。

「これは風評被害じゃねえよ。根も葉もない噂(うわさ)が広まって売れねえのが風評被害だけど、じぇねえっしょ。根も葉もあんだから。現実に降ったんだよ、放射能が」

まさにその通り、だから、これはおぢたち消費者も辛いです。

ホント申し訳ないけど、我が家は福島県の近隣県の食材も避けてます。

じーさんが何食べようが、「いまさら関係ない」と思ってはいるのですが…

実際には「コメは去年もおととしも、放射能は未検出だったの。やれることはやったから。放射能の吸収を抑える塩化カリウムも毎年まいてるし。全袋を検査して、もしも数値が出たら出荷できないんだもの、いま福島のコメは、他県よりずっと安全だと思ってる」

それでも買いたたかれていいるのが、福島のコメや野菜なのだという。

そしてこうも言う。

「ただ、出荷すんのは、なんか悪いことしてる気がして。だから東京の人が、福島のは食いたくねえという気持ちは、よくわかる。こんなボロ原発あっとこの、わざわざ買って食いてえかえ」

切ないです。

原発事故は、一度起きると、もう取り返しがつかないのだということ。

そして人間は必ずミスを犯すということ。

だから、再び原発事故が起きる可能性は、否定なんぞ誰もできません。

ドキュメンタリー映画「大地を受け継ぐ」を観たいけど、北海道での上映予定は、まだないようだ。

福島の事故を教訓に、重厚長大にして、高コスト、加えて取り返し出来ない大事故を起こす危険な原発を、狭いニッポン国で続ける意味なぞない!!

…と何遍でも申しておきまする。