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264 ためにする

2013-11-19 | 日本語新百科
日本語「誤」百科 895 たくさんの言葉を覚えるがために を例題にしている。
コラムの言う、~がために の用法について、文法上、~んがため として慣用句として成立してきた。
動作動詞に意志の働きがあって、言葉を覚えんがために、となる。
口語表現では、言葉を覚えようがために、とでもいうべきところである。

この語法が理由を表すか、目的を表すかは、その表現内容と聞き手の解釈による。

ため 為 についての基本義にその用法が分かれる。

デジタル大辞泉
ため 【▽為】
1 利益があること。役立つこと。「―にならない本」「子供の―を思う」
2 原因・理由。わけ。「雨の―に延期する」
3 目的や期待の向かうところ。「健康の―に運動をする」
4 一定の関係のあること。…にとっては。「私の―には叔父にあたる」

言葉を覚えんがために、と言って、勉強した、または、留学をした、というふうに使ったときに、理由か、目的かは、その表現内容によって解釈される。
したがって、たくさんの言葉を覚えるがために、どうしたのか、その文脈が示されていないので、何を言おうとしているかわからない。

例題の表現は、現代語で、言葉を覚えんがために、というべきところを、覚えん の語形変化が意識されすぎて、覚える という語形に戻そうとしたものであろう。 
例文においても、始発に間に合わんがために というのがふつうである。

なお、するがために、について、この用法の、することがあって、そのために、という表現を見るべきである。つまり、言葉を覚えることが、そのためにすることがあって、となるだろう。

親項目ため【為】  為(ため)にする
ある目的に役立てようとする下心をもって事を行う。
「我輩固(もと)よりためにする所ありて私立を主張するに非ず」〈福沢・学問のすゝめ〉


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