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受け身表現

2019-12-15 | 日本語意味

受け身、あるいは受身について、書こうと思う。受身は言語学用語として用いるらしいが、国語では受け身となるが表記上の送り仮名のつけ方で区別をするわけではない。しかし、受け身というのは、受身にしても、本来に、受身をとる、受身の形、さらには、受身術なる語句でもって、転倒する姿勢を咄嗟に身体を振動して、受けどころを作って、身に打撃の少ないように身の構えを作ることか、受け太刀という用法もあって、防御姿勢をすることにある。どうしてこの語の本来の用法をとらえるかと言うと、受け身の語が文法用語として使われると、辞書にある説明のように、わけが分からなくなる。サイトの辞書によっては例文を載せる。それを見ても、使い方に表現としての意味があって、文法の受け身表現とはまた違いを見せる例に、気づくことがある。女性作家の作品に集中しているのは、青空文庫での偶然である。面白いので、例文を上げて、読んでみる。さて、受け身を分からなくしてしまった、文法解説でのことがらにふれると、受け身文ということになる。

他者からの動作・作用を受けるものを主語として述べるもの
主語が他からの動作・作用を受ける意を表す言い方

上記、ふたつは、いずれも、辞書解説である。

https://prowriters.jp/grammar/pasive_voice

受け身は、他から動作を受けることを意味します。「信頼される」「育てられる」「踏まれる」などが受け身の一例です。
人に信頼される。(信頼する+れる)
母に育てられる。(育てる+られる)
彼に憎まれる。(憎む+れる)
先生に褒められた。(褒め+られる)



受け身・受身(読み)うけみ
大辞林 第三版の解説
うけみ【受け身・受身】
①ほかから攻撃されて守勢になること。また、その状態。受け太刀。 「鋭い質問に-になる」
②消極的な態度。ほかからの働きかけを待つ態度。 「あの人は何をするにも-だ」
③文法で、他者からの動作・作用を受けるものを主語として述べるもの。口語では助動詞「れる」「られる」、文語では「る」「らる」(古くは「ゆ」「らゆ」)を付けて言い表す。「殺される」「ほめられる」の類。なお、「雨に降られる」のように、自動詞に受け身の助動詞を付けた言い方(迷惑の受け身といわれる)もある。受動態。
④柔道や相撲で、相手に投げられたとき、けがをしないように倒れる方法。


受身(うけみ) の意味
出典:デジタル大辞泉(小学館)
うけ‐み【受(け)身】 の解説
1 攻撃されて、もっぱら防ぐ立場にあること。「鋭い追及にあって受け身に回る」
2 他から働きかけられるだけで、こちらからは積極的に出ない、消極的な態度・ようす。「受け身の学習は自分のためにならない」
3 柔道で、投げられたり倒されたりした際、けがをしないように腕で床を打ったりして衝撃をやわらげて倒れる方法。「受け身をとる」
4 文法で、主語が他からの動作・作用を受ける意を表す言い方。文語では、動詞の未然形に助動詞「る」「らる」(古くは「ゆ」「らゆ」)、口語では助動詞「れる」「られる」を付けて言い表す。受動態。

https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E5%8F%97%E8%BA%AB/example/
受身(うけみ) の例文
・・・僕は受け身になりきったまま、爪先ばかり見るように風立った路を歩いて行った。 すると墓地裏の八幡坂の下に箱車を引いた男が一人、楫棒に手をかけて休んでいた。箱車はちょっと眺めた所、肉屋の車に近いものだった。が、側へ寄って見ると、横に広いあと・・・ 芥川竜之介 「年末の一日」

・・・「勝つも負けるも、女は受身だ。隠すにも隠されましねえ。」 どかりと尻をつくと、鼻をすすって、しくしくと泣出した。 青い煙の細くなびく、蝋燭の香の沁む裡に、さっきから打ちかさねて、ものの様子が、思わぬかくし事に懐姙したか、また産後・・・ 泉鏡花 「燈明之巻」

・・・彼は受身になった。魔誤ついた。自分の治めてゆこうとする家が、大槻の夢に出て来た切符売場のように思えた。社会の下積みという言葉を聞くと、赤土のなかから生えていた女の腿を思い出した。放胆な大槻は、妻を持ち子を持とうとしている、行一の気持に察しが・・・ 梶井基次郎 「雪後」

・・・と思ってはその期待に裏切られたり、今日こそは医者を頼もうかと思ってはむだに辛抱をしたり、いつまでもひどい息切れを冒しては便所へ通ったり、そんな本能的な受身なことばかりやっていた。そしてやっと医者を迎えた頃には、もうげっそり頬もこけてしまって・・・ 梶井基次郎 「のんきな患者」

・・・働く腕、金をとる才能のあることがかえって夫婦愛を傷つける場合は少なくないし、またあまりそういう働きのあるような婦人は、愛が濃やかでなく、すべて受身でなく可愛らしげがないという意味あいもあるのだ。 婦人が育児と家庭以外に、金をとる労働をし・・・ 倉田百三 「愛の問題(夫婦愛)」

・・・合せるようにして、傍観者でなく、若い人などの心持にも立入って、その人に適当であり、また自分にももっともだと云うような形式を与えて教育をし、また支配して行かなければならぬ時節ではないかと思われるし、また受身の方から云えばかくのごとき新らしい形・・・ 夏目漱石 「中味と形式」

・・・それに受身になって運命に左右せられていないで、何か閲歴がしてみたいと云う女の気質の反抗が見えている。要するにどの女でも若い盛りが過ぎて一度平静になった後に、もうほどなく老が襲って来そうだと思って、今のうちにもう一度若い感じを味ってみたいと企・・・ 著:プレヴォーマルセル 訳:森鴎外 「田舎」

・・・協力は愛のひとつの作業だから、結局のところ相手が自分に協力してくれるその心にだけ立って自分の協力も発揮させられてゆくという受身な関係では、決して千変万化の人間らしい協力の花を咲かせることはできない。愛されるから愛すのではなくて、愛すから愛す・・・ 宮本百合子 「明日をつくる力」

・・・ 女の子は、愛嬌がないときらわれる、意志がつよいと敬遠される、と、受け身にばかり育てられた日本の若い女性が、今日、どのような姿で、この古い日本の躾の欠陥を社会に示しているでしょうか。 世界の人が、日本の謎の一つとする「日本人の笑・・・ 宮本百合子 「新しい躾」

・・・ 男が主になってあらゆることを処理してゆく社会の中で、女に求められた女らしさ、その受け身な世のすごしかたに美徳を見出した根本態度は、社会の歴史の進む足どりの速さにつれて、今日の現実の中では、男自身、女自身の実感のなかで、きわめてずれた形・・・ 宮本百合子 「新しい船出」

・・・二人の娘たちに対して、受け身に、曖昧に、謂わばイレーネに見つけられたという工合でのモメントにおいて、自分の恋愛や結婚を語らないでも、もっと本当の愛情からの娘たちへわからせてゆく知慧の働きはあったと思う。働いて、たたかって、そして子供らを愛し・・・ 宮本百合子 「雨の昼」

・・・ヨーロッパの風俗で、夜会などで一つ踊るにも女は男の選択に対して受け身の積極性を発揮しなければならないようなところでは、先の警句も、それなり通じた面もあろう。いわば近代的な後宮の女性めいた関係なのであるから。私たちの周囲で、女同士の友情を信じ・・・ 宮本百合子 「異性の間の友情」

・・・ 現在おかれている有様は受け身の警戒の形なのだが、その犬の心としては主張するところをもっていて、犬の身になってみれば何となしそれが尤もでありそうな、そういう表情が、毛のささくれた穢れた体に漲っている。敵意に充ちているけれども卑屈な表情は・・・ 宮本百合子 「犬三態」

・・・どういう男女の間から生れてもそれは人間の一人の子供であって、“生れた”という言葉は絶対にこの世に現われた子供が自分で自分を生んだのではなくて受身にこの世に送り出された関係を語っています。まして私生子というような区別を戸籍の上にさえおかない様・・・ 宮本百合子 「“生れた権利”をうばうな」

・・・などでも、この社会で受身な負担のにない手である女の苦しい感情が母性愛といういろどりで描かれている。こういう映画が外国でも人々の涙を誘うのであって見れば、そこでも女の生活は、恋愛の面においてもいろいろの苦しいものを持っていることが察せられる。・・・ 宮本百合子 「映画の恋愛」

・・・を必死に否定してあらゆる矛盾した外部の状況に受身に、無判断に盲従することを「民心一致」と強調した責任は、どこにあっただろうか。馬一匹よりもやすいものと命ぐるみ片ぱしから引っぱり出されたのは、人民である。やっと生きて帰って来た世間が冷たいのも・・・ 宮本百合子 「女の手帖」

・・・この複雑多岐で社会の事情万端数ヵ月のうちに大きく推移してゆくような時代に生き合わせて、受け身に只管失敗のないよう、間違いないようとねがいつつ女の新しい一歩を歩み出そうとしたって、自身の未熟さを思えばそれは手も足もどこに向って伸してよいか分ら・・・ 宮本百合子 「女の歴史」

・・・ 彼等は、文学をもうただ専門家に書いて貰って読むというだけの、受け身な立場で考えなくなった。世界の資本主義に対して、プロレタリアートの勝利、社会主義ソヴェトの生産は現実に盛りあがって来つつある。この歴史的時期に、プロレタリア文学は、ソヴ・・・ 宮本百合子 「「鎌と鎚」工場の文学研究会」

・・・と、いずれかと云えばありふれすぎる市民の感情で世間とは受け身に対している。 幽鬼の「街と村」とは、後篇の抒情性そのものさえごく観念的にまとめあげられている作品であるから、その作品の世界のなかでいくつかの断崖をなしている観念の矛盾はおのず・・・ 宮本百合子 「観念性と抒情性」

・・・このことから経済も受け身で、働く男のいなくなったときの海辺の女の暮しというものが一層思いやられるところもあるのである。 十一月号の『漁村』には、各県の漁業の合理化の方策がのせられていて、婦人に関する項目として、陸上の仕事はなるたけ婦人に・・・ 宮本百合子 「漁村の婦人の生活」

・・・テエヌはやはり受身の考えかたですものね。バルザックの矛盾を闡明し得ぬ同時代的矛盾を自身のうちにもっている。ブランデスは品がいい天質のひとですね、私はやはり同じ作家の研究について、そういう感じをうけました。そして、ところどころで思わずにやつい・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」

・・・私は太郎の遊んでいる姿を眺め、この可愛い小僧の精神の中に、どれ丈この生温い、受身な、姑息な生活気分を打開する力がこもっているかと思います。そしてどうかこの小僧が成長する時代が活溌であって、おのずからいきいきとした雰囲気に呼吸して育つようであ・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」

・・・歴史の現実にたいしてはっきりと目を開いていないそのような受け身の状態は、それなりまたずるずるとわたしたちの生活を犠牲にしてしまう危険をふくんでいる。すべての社会現象の全体の関係を人民生活の前に開いてみせず、任意な現象だけをきりとって、さまざ・・・ 宮本百合子 「ことの真実」

・・・その場合、女のひとの感情は、何となし型にはまって、昔ながらの受け身な風で、涙を抑えながら出発を見送って旗を振る、というようなおさめかたであったように思う。 男の側から気持をそういう方向にもってゆく場合が目立ってとらえられていたというのも・・・ 宮本百合子 「これから結婚する人の心持」

・・・或は避けたという気もなくておのずから主人公は自身の悲劇に対してより受け身な平助にきめられて行ったとすれば、それとして心理の動機はどういうものなのだろうか。 丹羽氏の場合、私たちの記憶には「或る女の半生」その他のいわゆる系譜的作品の主人公・・・ 宮本百合子 「作品の主人公と心理の翳」

・・・生れるという主格の受動性を示す文法上での表現は、とりも直さず我々人間が歴代、子として親を選択することも出来ず、誕生の環境を予測することも出来ず、実に受け身に生まれたのであるという深刻な現実における関係を語っている。而も、一旦生まれた以上、我・・・ 宮本百合子 「昨今の話題を」

・・・そして、まだしっかりと民主化していない日本の多くの心、受け身に政治への不信を抱いている一般の感情にいつとはなし作用して、反民主的な諸傾向を逆に民主的なものとしてのみ込む習慣をつけようと企てられはじめた。 すべての職場のひとは、組合の民主・・・ 宮本百合子 「三年たった今日」

・・・ それ等の窓々を渡って眺めて行く私共は、東京と云う都市に流れ込み、流れ去る趣味の一番新しい断面をいつも見ているようなものではないだろうか。受身に私共の観賞を支配される形ではあるが、一都市が所有する美の蔵の公平な認識者、批評家として、趣味・・・ 宮本百合子 「小景」

・・・ 女の人がひとりになると自堕落になるとか、いろいろの誘惑が危険であるというのは、外部との結びつき方を、受身に見て云うことで、その人々の心持ちを主にして、その側から見れば、その気持の中に、自堕落にさせたり、ちょっとした好奇心や誘いかけにも・・・ 宮本百合子 「女性の生活態度」

・・・あまりに受身で過ぎた。民主主義文学への翹望は高いのに、何故戦争に対する人民としての批判をもった文学、婦人が母親として、愛人として、また婦人に対して重荷の多い社会の中で経済的に自分が働いて家の柱となって来たその経験について、女の人が文学を書き・・・ 宮本百合子 「女性の歴史」


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