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テレビジョンのなかの戦争

2013-02-15 | 本を買いました
戦争と文学 全20巻 集英社 創業85周年記念企画 別巻1 全巻を買った。  第4巻は、9・11変容する戦争。第2回配本で、2011年8月発行。崩の字をつけている。現代篇、5冊のうちの4冊目。朝鮮戦争、ベトナム戦争、冷戦時代に、9・11は、なに戦争と呼べばよいのか、イランイラク戦争、湾岸戦争、アフガン戦争など、並べ立てると現代には多くの戦争があることを、あらためて、2001年9月11日の事件に、同時多発テロと呼んでいたことが思い合わされる。戦争と文学はそれを9・11と呼ぶことで、戦争としての意味合いを印象付ける。ふつうには、9・11テロ戦争に始まる対テロ戦争が、この巻きのテーマである。巻頭作品は、千々にくだけて、リービ英雄の日本語だが、そこにはリモコンをつけるとテレビに戦争が映る、写る時代を描く。

9・11にはテレビニュースの時間に起こったCNN映像のあの瞬間が目に焼き付いている。それはタワーに激突する、というよりは、吸い込まれるように画面の向こうに消えた衝突であった。それから白煙を吹きだしたビルは、徐々にその勢いを増してビルを崩壊へと向かわせる。その一部始終をテレビカメラがとらえて映し出していた。あの瞬間はそれだけにとどまらない。テレビジョンが遠くを望むものならば、見てはならないものも映し出す、現実の戦争であろうか。

瞬間はさらにまた一機、ビルに、それは真っ直ぐに飛び込んだのである。画面には前のと違って、吸い込まれたのではなくて、まさに前面にかすめる機影を残しながら、ビルにぶつかっていったのであった。ニューススタジオのアンカーたちはしゃべるべき原稿がないので、当然のごとく実況になるのだが、それが何なのかわからない、何が起こっているかを解説する言葉がないといった状況で、一様に言葉を呑んでいた。声にならない声を発して、ただざわめいていた。その瞬間の後に、映像は白煙吹き続けるビルを遠くに近くに写して、テレビの向こうで起こっている現実にさらに次の瞬間を見せた。

ツインタワーが崩れたのである。それを見たのが9・11の衝撃であった。一つ、一つ、それはまさに煙をふきながら、崩れて消えたのである、二つのそのビルの様子はそれなりの時間差があったには違いないが、信じられない光景というようなものではなくて、見えるものを見てしまった、という崩れ方だった。その時にビルとその周辺でなにがあったのかを、テレビジョンの枠にはとらえきれていない。

戦争は文学作品になるのか。
千々にくだけて、は、作家のイメージにある波間の島に見える波の姿であったが、その思いは心象風景としての木端微塵であったのだろうと、その日本語の表現と英語の訳を行き来することになる。家族との出会いを断たれた事件の中の自分である。
9・11戦争と、いま仮に、そういってみて、人々は戦わずして、武器をとることなく、ちりじりにくだけた、のであって、それは母親が語る紙の舞であったのである。


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