ちんじ、椿事だぞ、と。珍であるけれど、なぜ椿なのか。ニュースキャスターの出会いが9年前、政治家が結婚報告をしたと、メディアを駆け巡った。椿事の例文、一生独身を貫くと思っていたキミがまさか結婚するとは、近年稀に見る椿事だね。https://ko-to-ba.com/chinji/ その発表にもすでに、おもてなしには、懐妊安定期だそうだから、隠密行動にはしてやられたり、おめでとう、年明けには、おめでただそうだ、ファーストレディ候補になって、さらには子育て制作、少子化に対策を叫ぶ部会長に、椿事がいや増す。ともに人気者だけに、ボケ日記にやっかみと思われる、椿事の礼賛である。ニュースゼロの報道が、独身貴族のニュースキャスターのインタビュー取材を紹介して、えんえんと、よくわかりましたよ。美男美女の似合いカップルに、おめでとう!
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新明解言葉辞典・第3版
珍事0─珍事と椿事の違い
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おそらく日本人が中国文献の樁事を椿事と見間違えたということなのだろうが、樁事がなぜ、「不意の出来事」という意味を持つことになったのか、いつ頃の話なのかという説明は、残念ながら見当たらなかった。
また、荘子の「逍遥遊」に出てくる、伝説の大木、大椿(ダイチン)が由来だという説も載っている。
この木は、八千年を春とし、八千年を秋とし、三万二千年が人間の一年に当たるという、非常に長寿なめでたい木で、滅多に花を咲かすことがないことから「非常に珍しいこと」を椿事というようになったという。
なかなかもっともらしい説だが、できすぎていて、どうも後世に作られた話という感が否めない。
中国に椿事という言葉が見つからないこと、「不意の出来事」という意味の説明には不十分であること、さらに「逍遥遊」は紀元前のものなのに近代の日本にしか用例がないというのは不自然ではないか・・・
もう少し調べれば、椿事がいつごろから、どういうきっかけで使われるようになったかが判るかもしれないが、とりあえずは最初に挙げた説が正しいとして、椿事は珍事の誤用ということにしておこう。
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5万字という日本で最大の漢字数を収録する大修館書店の諸橋轍次、大漢和辞典には、荘子の大椿説が採用されていた。椿事について、次のように書かれている。
──珍事の誤用。椿は莊子に於て靈木(れいぼく)で珍しい木とされることから、恐らく珍に通じて用ひられたものであろう。
また日本の国語辞典では最大規模の小学館の日本国語大辞典は、「珍しいこと」の意味の珍事の使用例として、平安時代に書かれた藤原宗忠の日記・中右記(ちゅうゆうき)の寛治8年(1094)を最初に挙げている。
「思いがけない重大事」の意味の珍事の使用例は、鎌倉時代1220年頃の軍記・保元物語(ほうげんものがたり)が最初。
椿事については、江戸時代後期の1807~11年に刊行された読本・椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)の使用例が挙げられている。
さらに、補注として、次のように書かれている。
──椿事は日本における近世以降の用字で、主として(2)の意に用いられる。
(2)の意とは、「思いがけない重大事」の意味のことだ。
前回も書いたが、椿事は日本にしか用例がないそうだ。しかも、珍事という言葉が同じ意味で中世から使われているのに対し、近世にならないと椿事の用例が出てこない。
紀元前の荘子に由来を遡るのは無理があるのではないか? 大椿説は、近世以降に椿事が使われるようになってから、誰かが後付けで考え出した説ではないのか?