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源氏の物語 19 世になくきよらなる

2015-12-17 | 源氏のものがたり
きよらかな となる語である。きよら をみると、前の世にも、御契りや深かりけむ、世になくきよらなる玉の男御子さへ生まれ給ひぬ 源氏物語 桐壺 とみえる。対照すると、つらつきいとらうたげにて、眉のわたりうちけぶり 源氏物語 若紫 とみえる。らうたし は、かわいらしい、かれんだ、となろうか。らうたげなり とある、いかにもかわいいのである。労いたし、いたしに、甚だしいをあてる。ともに源氏物語での美を表す語である。理想の御子と理想の女性の造形に作者が用意した最高の表現であると規定されるが、その語にまして加えられるのは、ひかる そして かおる である。


http://www2s.biglobe.ne.jp/~ant/genji/gnjsrch.cgi
源氏物語の語彙検索(KWIC)
[ 源氏物語の世界 ] 渋谷栄一さんのテキストを使用しています。
「源氏物語の語彙検索」(佐藤和雄氏作成)

清ら

『桐壺(明融臨模本)』

先の世にも御契りや深かりけむ、世になく清らなる玉の男御子さへ生まれたまひぬ。いつ :10/133
若宮参りたまひぬ。いとどこの世のものならず清らにおよすけたまへれば、いとゆゆしう思し :81/133
そかなることもぞと、とりわき仰せ言ありて、清らを尽くして仕うまつれり。        :107/133
と惜しげなり。大蔵卿、蔵人仕うまつる。いと清らなる御髪を削ぐほど、心苦しげなるを、主 :108/133

『若紫(大島本)』

御容貌は、さし離れて見しよりも、清らにて、なつかしううち語らひつつ、をかし :401/421

5 件確認

きよら

『若紫(大島本)』

描いたまふにも、「源氏の君」と作り出でて、きよらなる衣着せ、かしづきたまふ。     :173/421


『末摘花(大島本)』

えたまふ。まだほの暗けれど、雪の光にいとどきよらに若う見えたまふを、老い人ども笑みさ :164/263
なう黒き袿重ねて、表着には黒貂の皮衣、いときよらに香ばしきを着たまへり。古代のゆゑづ :170/263
れば、眉のけざやかになりたるも、うつくしうきよらなり。「心から、などか、かう憂き世を :249/263
ましたり。わが御影の鏡台にうつれるが、いときよらなるを見たまひて、手づからこの赤鼻を :250/263


『葵(大島本)』

なる袖口、裳の裾、汗衫など、ものの色、いときよらにて、ことさらにやつれたるけはひしる :27/392
とて、御髪の常よりもきよらに見ゆるを、かきなでたまひて、    :57/392
たまふ夢には、かの姫君とおぼしき人の、いときよらにてある所に行きて、とかく引きまさぐ :126/392
どもなど、いつのまにかし出でけむ。花足いときよらにして、餅のさまも、ことさらび、いと :357/392
のしきけさへ添ひたまひて、ありしよりけに、きよらに見えたまふ。立ち出でて、御方に入り :377/392


『賢木(大島本)』

、返す返す聞こえさせたまふ。御容貌も、いときよらにねびまさらせたまへるを、うれしく頼 :86/377
の御衣にやつれたまへるにつけても、限りなくきよらに心苦しげなり。去年、今年とうち続き :94/377
て、さすがに背きたまへる、御髪はゆらゆらときよらにて、まみのなつかしげに匂ひたまへる :178/377
りうつくしきは、女にて見たてまつらまほしうきよらなり。「いと、かうしもおぼえたまへる :178/377
きさまにととのへさせたまへり。さらぬことのきよらだに、世の常ならずおはしませば、まし :278/377


『須磨(大島本)』

 入り方の月いと明きに、いとどなまめかしうきよらにて、ものを思いたるさま、虎、狼だに :42/399
に、面痩せたまへる影の、我ながらいとあてにきよらなれば、               :61/399
ものの色、したまへるさまなど、いときよらなり。何ごともらうらうじうものしたま :201/399
御さま容貌もいとなまめかしうきよらなれど、思ひ出づることのみ多かる心の :228/399
でたまひて、たたずみたまふさまの、ゆゆしうきよらなること、所からは、ましてこの世のも :248/399
の花の宴に、院の御けしき、内裏の主上のいときよらになまめいて、わが作れる句を誦じたま :341/399
なしたまへるしも、いみじう、見るに笑まれてきよらなり。                :347/399


『澪標(大島本)』

うもおぼえたまふ。御容貌など、なまめかしうきよらにて、限りなき御心ざしの年月に添ふや :13/281
なりたまへど、ほどよりおほきに、おとなしうきよらにて、ただ源氏の大納言の御顔を二つに :15/281


『蓬生(大島本)』

、鬘にしたまへるが、九尺余ばかりにて、いときよらなるを、をかしげなる箱に入れて、昔の :82/173


『絵合(大島本)』

れど、いにしへ思し出づるに、いとなまめき、きよらにて、いみじう泣きたまひし御さまを、 :17/138


『薄雲(大島本)』

り申したまふさま、隈なき夕日に、いとどしくきよらに見えたまふを、女君、ただならず見た :79/256


『朝顔(大島本)』

                  「いときよらにねびまさりたまひにけるかな。童にも :15/214


『少女(大島本)』

おとなびて、訪らひたまふこと。容貌のいともきよらなるに添へて、心さへこそ人にはことに :21/474
さま変はれる色聴されて参りたまふ。きびはにきよらなるものから、まだきにおよすけて、さ :329/474
  大宮の容貌ことにおはしませど、まだいときよらにおはし、ここにもかしこにも、人は容 :382/474
まじることなういそぎたまふ。あまた領、いときよらに仕立てたまへるを見るも、もの憂くの :384/474
びとの装束、用意、常にことなり。院も、いときよらにねびまさらせたまひて、御さまの用意 :402/474


『玉鬘(大島本)』

あはせて、いとうつくしう、ただ今から気高くきよらなる御さまを、ことなるしつらひなき舟 :17/430
びととのひたまふままに、母君よりもまさりてきよらに、父大臣の筋さへ加はればにや、品高 :42/430
ぶるに、かの后の宮をば知りきこえず、姫君はきよらにおはしませど、まだ、片なりにて、生 :213/430
、二十七八にはなりたまひぬらむかし、盛りにきよらにねびまさりたまへり。すこしほど経て :255/430


『蛍(大島本)』

はかなく重なれるあはひも、いづこに加はれるきよらにかあらむ、この世の人の染め出だした :55/170


『野分(大島本)』

たまへる人、ものに紛るべくもあらず、気高くきよらに、さとにほふ心地して、春の曙の霞の :12/171
に、綿引きかけてまさぐる若人どもあり。いときよらなる朽葉の羅、今様色の二なく擣ちたる :129/171
かあらむ、さまざまなるものの色どもの、いときよらなれば、「かやうなる方は、南の上にも :131/171


『行幸(大島本)』

思して、その御まうけの御調度の、こまかなるきよらども加へさせたまひ、何くれの儀式を、 :47/248
。御櫛の筥など、にはかなれど、ことどもいときよらにしたまうて、御文には、       :136/248


『藤袴(大島本)』

纓巻きたまへる姿しも、またいとなまめかしくきよらにておはしたり。           :13/141


『真木柱(大島本)』

 住まひなどの、あやしうしどけなく、もののきよらもなくやつして、いと埋れいたくもてな :53/369
ちのぼり、よろづの所に満ちたる心地すれば、きよらを尽くしたまふわたりに、さながら参う :98/369
とに、けににぎははしき見物なれば、誰も誰もきよらを尽くし、袖口の重なり、こちたくめで :217/369
    月の明かきに、御容貌はいふよしなくきよらにて、ただ、かの大臣の御けはひに違ふ :237/369
        と仰せらるるさま、いと若くきよらに恥づかしきを、「違ひたまへるところ :243/369


『梅枝(大島本)』

らふ人あまたならず。御調度どもも、そこらのきよらを尽くしたまへるなかにも、香壺の御筥 :16/188
りて、かたみにうるはしだちたまへるも、いときよらなり。                :133/188


『藤裏葉(大島本)』

どもなれど、なほ、人にすぐれて、あざやかにきよらなるもなから、なつかしう、よしづき、 :44/227
どかなからむと見えたまへり。男は、際もなくきよらにおはす。古人ども御前に所得て、神さ :192/227


『若菜上(明融臨模本)』

のひ過ぐして、容貌も盛りに匂ひて、いみじくきよらなるを、御目にとどめてうちまもらせた :41/887
、御茵、脇息など、すべてその御具ども、いときよらにせさせたまへり。          :229/887
ゆする坏、掻上の筥などやうのもの、うちうちきよらを尽くしたまへり。御插頭の台には、沈 :230/887
                 いと若くきよらにて、かく御賀などいふことは、ひが数 :234/887
  「世の中に、この御賀よりまためづらしくきよら尽くすべきことあらじ」        :251/887
ふことにて、賜はりたまへりけるを、この折のきよらを尽くしたまはむとするため、大臣の申 :256/887
               装束限りなくきよらを尽くして、名高き帯、御佩刀など、故 :535/887
 母屋の御座に向へて、大臣の御座あり。いときよらにものものしく太りて、この大臣ぞ、今 :544/887
折節につけたる御いとなみ、うちうちのもののきよらをも、こなたにはただよそのことにのみ :555/887
みて見たてまつりたまへば、いとなまめかしくきよらにて、例よりもいたくしづまり、もの思 :580/887
、そのころのいとなみにて、われもわれもと、きよらを尽くして仕うまつりたまふ。     :607/887
   など、戯れたまふ御さまの、匂ひやかにきよらなるを見たてまつるにも、       :834/887


『若菜下(明融臨模本)』

   紅梅の御衣に、御髪のかかりはらはらときよらにて、火影の御姿、世になくうつくしげ :232/762
つりて、まだ宮幼くおはしましし時より、いときよらになむおはします、帝のかしづきたてま :373/762
ゆばかりうちふくみ、まよふ筋もなくて、いときよらにゆらゆらとして、青み衰へたまへるし :530/762
政大臣居立ちて、いかめしくこまかに、もののきよら、儀式を尽くしたまへりけり。督の君も :684/762


『柏木(尊経閣文庫本)』

しき御法服ならず、墨染の御姿、あらまほしうきよらなるも、うらやましく見たてまつりたま :109/355
召し入れて、御髪下ろさせたまふ。いと盛りにきよらなる御髪を削ぎ捨てて、忌むこと受けた :138/355
のおはしたると思しつるを、いと恥づかしげにきよらなるもてなしにて入りたまへり。    :270/355
しく、男々しきけはひして、顔のみぞいと若うきよらなること、人にすぐれたまへる。若き人 :286/355
    「これは、男々しうはなやかに、あなきよらと、ふと見えたまふにほひぞ、人に似ぬ :347/355


『横笛(大島本)』

     「かれは、いとかやうに際離れたるきよらはなかりしものを、いかでかからむ。宮 :28/181
たちよりもこまかにをかしげにて、つぶつぶときよらなり。なま目とまる心も添ひて見ればに :155/181


『鈴虫(大島本)』

花机の覆ひなどのをかしき目染もなつかしう、きよらなる匂ひ、染めつけられたる心ばへ、目 :7/116
の人を召して、ことに仰せ言賜ひて、心ことにきよらに漉かせたまへるに、この春のころほひ :10/116
と聞こえたまひつつ、この宮をもいとこまかにきよらに造らせたまひ、御封の物ども、国々の :38/116


『夕霧(大島本)』

まひて、御衣脱ぎ替へたまふ。常に夏冬といときよらにしおきたまへれば、香の御唐櫃より取 :123/626
              「いとめでたくきよらに、このころこそねびまさりたまへる御 :500/626


『御法(大島本)』

、品々賜はす。物の色、縫ひ目よりはじめて、きよらなること、限りなし。おほかた何ごとも :10/137
つりたまふに、飽かずうつくしげに、めでたうきよらに見ゆる御顔のあたらしさに、この君の :86/137


『匂兵部卿(大島本)』

まひし宮の若君と、この二所なむ、とりどりにきよらなる御名取りたまひて、げに、いとなべ :5/64
も、そこはかと、いづこなむすぐれたる、あなきよら、と見ゆるところもなきが、ただいとな :36/64


『総角(大島本)』

には入れ隠しつつ、御料とおぼしき二領。いときよらにしたるを、単衣の御衣の袖に、古代の :281/678
、荒ましき風のきほひに、いともなまめかしくきよらにて匂ひおはしたるも、いかがおろかに :315/678
    男の御さまの、限りなくなまめかしくきよらにて、この世のみならず契り頼めきこえ :330/678


『早蕨(大島本)』

              げに、色々いときよらにてたてまつれたまへり。御渡りのほど :48/159
はむとて、御まかり申しに渡りたまへり。いときよらにひきつくろひ化粧じたまひて、見るか :154/159


『宿木(大島本)』

        「今宵の儀式、いかならむ。きよらを尽くさむ」と思すべかめれど、限りあ :239/710
れり。御台八つ、例の御皿など、うるはしげにきよらにて、また、小さき台二つに、花足の皿 :240/710
かず思しければ、ものの色、しざまなどをぞ、きよらを尽くしたまへりける。        :246/710
                 「さも、きよらにおはしける大臣かな。さばかり、いづ :554/710
音なり」と賞でさせたまひければ、「この折のきよらより、またはいつかは映え映えしきつい :615/710
りの上達部、殿上人、六位など、言ふ限りなききよらを尽くさせたまへり。         :637/710
装束のあらまほしく、鈍色青色といへど、いときよらにぞあるや」             :674/710


『東屋(大島本)』

ふ。ゆかしくてもののはさまより見れば、いときよらに、桜を折りたるさましたまひて、わが :133/539
りて、ものなど聞こえたまふ御容貌ども、いときよらに似合ひたり。故宮の寂しくおはせし御 :136/539
たまへる、はた、似るものなく気高く愛敬づききよらにて、若君をえ見捨てたまはで遊びおは :141/539
き綾のなつかしげなるに、今様色の擣目などもきよらなるを着て、端の方に前栽見るとて居た :378/539


『浮舟(明融臨模本)』

かる人あらむやと見しかど、「こまやかに匂ひきよらなることは、こよなくおはしけり」と見 :203/657
たるさまを、「いと恥づかしく、まばゆきまできよらなる人にさしむかひたるよ」と思へど、 :329/657
。下人の申しはべりつるは、赤き色紙の、いときよらなる、となむ申しはべりつる」     :500/657


『蜻蛉(大島本)』

女の御身なりのめでたかりしにも劣らず、白くきよらにて、なほありしよりは面痩せたまへる :317/462


『夢浮橋(大島本)』

のほどと見ゆる人の、かく容貌いとうるはしくきよらなるを見出でたてまつりて、観音の賜へ :24/153


 106 件確認




大辞林 第三版の解説
けうら【清ら】
( 形動ナリ )
〔「きよら」の転という〕
輝くように美しいさま。 「髪いと-にて長かりけるが/源氏 真木柱」







日本国語大辞典

(「労(ろう)いたし」の変化した語)こちらが何かと世話をしていたわってやりたい気持にかられる。また、そういう気持にさせるようなありさまである。可憐でいとおしい。姿やしぐさやたたずまいなどが、弱々しくいじらしい。

清い 語誌
>(1)「きよし」から派生。上代には見えず、平安時代に頻出。第一級の人物や事物を形容する美的語彙で、「きよげ」よりは上位。「源氏物語」では、光源氏や夕霧、匂宮、紫上などに多用される。「きよし」が山川・月などの対象そのものの澄明さを抽象化・一般化して表わすのに対して、装束・殿舎・儀式などの身近な個別の事物や人物に用いる。
(2)中世では「増鏡」「今鏡」「徒然草」「とりかへばや」などの王朝志向の作品にはみえるが、次第に消滅していく。

清げ 語誌

(1)平安時代に、人物の容貌を中心に、身近な調度や食品などの美を表わす語として頻出する。「源氏」では、光源氏を始めとする第一級の皇族貴族などについては「きよら」が用いられるが、「きよげ」は薫や頭中将、及びそれ以下の者について用いられている。
(2)中世には「歌がらもきよげなれば」〔仁安二年八月太皇太后宮亮平経盛歌合‐紅葉・二・判詞〕、「きよげなる浜つら」〔源家長日記〕のように、「きよら」より使用範囲が広がるが、おおむね「きよし」に押され、消滅の道をたどる。→「きよら(清)」の語誌。






学研全訳古語辞典

きよ-ら・なり 【清らなり】
形容動詞ナリ活用
活用{なら/なり・に/なり/なる/なれ/なれ}
①気品があって美しい。輝くように美しい。
出典源氏物語 桐壺
「世になくきよらなる玉の男御子(をのこみこ)さへ生まれ給(たま)ひぬ」
[訳] 世にまたとなく気品があって美しい玉のような男の御子までもお生まれになった。
②はなやかで美しい。華美だ。
出典竹取物語 かぐや姫の昇天
「立てる人どもは、装束のきよらなること、物にも似ず」
[訳] 立っている(天)人たちは、装束がはなやかで美しいことがたとえようもない。
参考「きよらなり」は「きよげなり」よりも上の、第一級の美しさをいう。⇒きよげなり

清ら  名詞
ぜいたく。最高の美しさ。限りを尽くした美しさ。
出典徒然草 二
「万(よろづ)にきよらを尽くしていみじと思ひ」
[訳] すべてにぜいたくの限りを尽くして立派だと思い。



きよ‐ら【清ら】
[名・形動]清く美しいこと。気品があって美しいこと。また、そのさま。
「青く―にて物問いたげに愁いを含める目の」〈鴎外・舞姫〉
「装束の―なること、物にも似ず」〈竹取〉
[補説]平安時代には「きよげ」よりも上の第一流の美をさして用いた。
出典:デジタル大辞泉


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