読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

理容師業はなぜ安定しているか リセッション後も需要が高い職種

2012-07-06 10:10:16 | 暮らしの中で
wsj日本版から
リセッション(景気後退)の前も、最中も、後も、ある種の労働者に対する需要は常にほかの労働者より高かった。ファストフード労働者から、在宅医療・介護の手伝いやネイリストまで、人の手伝いや世話をするパーソナルサービス分野の労働者だ。(wsjからこの記事を引用している私も理容師なのだが)

 こうした職業には共通点がある。自動化や海外アウトソーシングは簡単ではないということだ。マンハッタンで20年前から理容師業に携わるイスラエル・カクリエフさん(37)は、客がわざわざ中国やインドに散髪に赴くわけにはいかないと語る。アルツハイマーを患った高齢女性の髪を切れるロボットはない。フライトアテンダントの仕事すべてをこなせるロボットも同じだ。エコノミストらは長期的なトレンドをいくつか把握している。労働者を高、中、低のスキル別に分類すると、エンジニアから専門的な工場労働者まで、最もスキルや教育程度の高い労働者に対する需要は世界中どこでも比較的高い。一方、グローバリゼーションとテクノロジーの進化で、スキルが中級、給与が中程度の仕事の需要は減退している。工場では、組み立ての仕事は機械化で減ったり、海外に移転したりしている。オフィスでは、かつて人間がしていた仕事がコンピューターや音声対応ソフトウエアに取って代わられている。

 マサチューセッツ工科大学(MIT)の経済学者教授デービッド・オーター氏は、海外ではできず機械で行うのも難しい、パーソナルサービス部門が伸びていると指摘する。オーター氏とMITのダロン・アセモグル氏は米労働人口をスキルと教育の程度によって318の職種に分類し測定した。リセッション直前の1989~2007年には、定型的な生産、機械操作、事務の仕事は5%の増加にとどまったが、マネジャー、専門家、パーソナルサービスでは36%増え、マネジャー、専門家、金融上級職など、高スキルの仕事は40%増えた。

 労働市場の二極化は続いている。07~10年、米労働市場の雇用は全体で6%近く減ったが、パターンは変わっていない。自動化や海外アウトソースの影響を最も受けやすい中級のスキルの職業は12%減った。給与が高く高学歴が必要な職業は1%の減少。パーソナルサービスの分野ではリセッション中にもかかわらず2%増えたと言う。