読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

「陸奥のみち・街道をゆく」を読んでいて

2011-07-26 09:08:47 | 読書
「陸奥のみち・街道をゆく」を読んでいて思った。司馬遼太郎なら今度の東日本震災をどのように書くのだろうと。その本にこんな部分が有った。民俗学者・柳田國男は草鞋がけで明治四十年代に八戸あたりを歩いている。小子内浜で柳田は宿をとったと言う。彼の泊まった宿は彼に言わせると「世界一きたないホテル」だったそうだ。その宿は漁師がやっていて、女房が給仕をし、亭主が沖へ出て客のために魚を捕ってくるという宿だったそうだ。柳田がその次に小子内に来たときには、この懐かしいホテルは無かったそうだ。彼が、あの宿はどうしたのだと聞くと「津波で流れてしまった」と土地の人はこともなげに言ったと言う。
この本には津波についてはこれだけしか書いていないが、津波には昔から遭遇している土地柄で、何度、津波などに遭っても自然体でまた立ち直れると言うような雰囲気が伝わって来そうな件だった。