読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

「孫子ちゃんの兵法」  福田 晃市、総合科学出版

2011-07-15 08:32:14 | 読書

孫子は中国の思想家。兵法を説いた。戦争に、理論を持ち込んだ
人である。

現実的な考えの持ち主だった。戦争は、経済を疲弊させるものだ
から、短期間で終結させるのがよいと主張した。兵隊を養うこと、
兵站についても意見を述べている。

孫子の言葉の有名どころを一つ、二つ上げてみると。

・百戦百勝は、善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を
屈するは、善の善なる者なり。

戦いは、損害と無縁ではいられない。連戦して連勝する者が偉い
のではない。本当に偉いのは、戦わずして勝つことだ。

しかし戦うなといわけではない。戦わざるを得ない場面が、世の
中にあることも、孫子はよく理解していた。その上で、勝つため
にはこのような手法をとれと提案している。

・彼を知り、己を知れば百戦してあやうからず。彼を知らずして
己を知れば、一勝一負す。彼を知らず、己を知らざれば、戦う毎
に必ず敗る。

的(敵の間違いだろう)の弱み、自分の弱みをよく理解した上で戦えば、
必ず勝つ。自分のことしかわからなければ、勝負は五分五分。何も知らずに戦
に臨めば、それは敗北以外にはならない。

戦闘に持ち込むよりも、謀略で勝てるならそのほうがいい。敵よ
り多い人数で、圧倒的に勝つほうがよい。そうも言っている。

・凡そ地に絶間、天井、天牢、天羅、天陥、天隙あれば、必ずす
みやかにこれを去り、近づくなかれ。

渓谷、くぼ地、出られない場所、草深い場所、ぬかるみ、狭くて
通行に難がある場所。あぶないところからはさっさと退こう。

・軍に輜重(しちょう)なければすなわち亡び、糧食なければす
なわち亡び、委積(いし)なければすなわち亡ぶ。

軍隊に補給がないとき、食料がないとき、物資がないときは全滅
する。バックアップは常に大切にしておきたいもの。


ついでながら、風林火山の語も、孫子が考えた。