池上永一作品「テンペスト」。久しぶりに読後に余韻が残る作品である。上下巻で850頁もの長編であった。それは琉球王国衰亡絵巻といっていいかもしれない。
人物相関図

首里城の龍が目覚め、嵐をおこした。それは琉球王国滅亡の序曲だった。その夜、真鶴(まづる)が生まれた。真鶴は第一尚氏王朝の末裔であり、父親はその復活を望んでいた。真鶴は寧温という名に変え、清国からの養子である宦官と偽って難解な科試にパスして王宮に入り、懸案を次々に解決して、上級官僚まで上りつめる。池上流の荒唐無稽さである。
清国から冊封使といっしょに本物の宦官徐丁亥がやってくる。これが淫獣のようなネチっこい人物で寧温を追いつめるが寧温に殺される。その結果、寧温は八重山に遠島されるが、苦難の末、真鶴として首里に帰還。だが王の側室として王宮に入ることになる。黒船のペリーが来琉したことで寧温は恩赦で王宮に復帰する。真鶴と寧温の一人二役を強いられることになる。女性の情、男性の理念をうまく使い分けねばならなかった。真鶴・寧温への嵐、王国への大嵐が寄せる波のようにやってくる。最後の大嵐は琉球処分だった。
琉球王国は薩摩と清国への二国従属で危ういながらバランスが取れていたのだが欧米列強の来航で崩れ、明治政府によって完全に滅亡させられた。琉球王国の美と教養をもってしても武力には適わなかった。いつの世も非武装中立は難しい。
登場人物も個性豊かである。神童で寧温の好敵手である喜舎場朝薫、寧温の兄で花当の嗣勇、薩摩藩士の浅倉雅博、ゾンビのように蘇る聞得大君の真牛など。池上の作品はいつも色彩豊かでビジュアルである。琉球王国は滅び、喜舎場朝薫や嗣勇の裏切りもあったが、真鶴にとってはハッピーエンドになったのが救われる。ゾンビ真牛も聞得大君として往生したのもよかった。著者池上の優しさであろう。これを読んで琉球王国の歴史に興味を持ち、侵略されることの理不尽さも解るのではなかろうか。つい次の作品を期待してしまう。
人物相関図

首里城の龍が目覚め、嵐をおこした。それは琉球王国滅亡の序曲だった。その夜、真鶴(まづる)が生まれた。真鶴は第一尚氏王朝の末裔であり、父親はその復活を望んでいた。真鶴は寧温という名に変え、清国からの養子である宦官と偽って難解な科試にパスして王宮に入り、懸案を次々に解決して、上級官僚まで上りつめる。池上流の荒唐無稽さである。
清国から冊封使といっしょに本物の宦官徐丁亥がやってくる。これが淫獣のようなネチっこい人物で寧温を追いつめるが寧温に殺される。その結果、寧温は八重山に遠島されるが、苦難の末、真鶴として首里に帰還。だが王の側室として王宮に入ることになる。黒船のペリーが来琉したことで寧温は恩赦で王宮に復帰する。真鶴と寧温の一人二役を強いられることになる。女性の情、男性の理念をうまく使い分けねばならなかった。真鶴・寧温への嵐、王国への大嵐が寄せる波のようにやってくる。最後の大嵐は琉球処分だった。
琉球王国は薩摩と清国への二国従属で危ういながらバランスが取れていたのだが欧米列強の来航で崩れ、明治政府によって完全に滅亡させられた。琉球王国の美と教養をもってしても武力には適わなかった。いつの世も非武装中立は難しい。
登場人物も個性豊かである。神童で寧温の好敵手である喜舎場朝薫、寧温の兄で花当の嗣勇、薩摩藩士の浅倉雅博、ゾンビのように蘇る聞得大君の真牛など。池上の作品はいつも色彩豊かでビジュアルである。琉球王国は滅び、喜舎場朝薫や嗣勇の裏切りもあったが、真鶴にとってはハッピーエンドになったのが救われる。ゾンビ真牛も聞得大君として往生したのもよかった。著者池上の優しさであろう。これを読んで琉球王国の歴史に興味を持ち、侵略されることの理不尽さも解るのではなかろうか。つい次の作品を期待してしまう。
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