ある旅人の〇〇な日々

折々関心のあることや読書備忘を記録する

災害報道

2005年03月23日 | Weblog
22日のNHKスペシャルは「大災害・情報をどう伝えるか」というテーマであった。主に、インド洋大津波の事例が放映されていた。
まず、インドネシアでは、気象庁がM6.76の地震として測定し、津波は発生しないとみなした。タイでは、南部で強い揺れがあり、気象局はM8.0の地震と測定し、津波がタイへ来ると予測しなかった。観測を始めて以来100年を経過したが、津波被害を経験していなかったのだ。プーケットでの津波被害が生じても、津波知識がないので原因が分からず、20分後のカオラックでの被害を防げなかった。

インド洋大津波は常識を超えていたという。日本の学者は、津波の高さよりも津波の陸上での流れの怖さを知ったという。
津波警報が発令されれば、人が助かるかというと、そうでもないようだ。昨年の和歌山県沖の地震で津波警報が発令されたが、対象地域の人の85%は避難しなかった統計がでているのだ。なかには、海岸に見に行って自己判断していた人も多いという。今回のインド洋大津波の教訓で避難率は少しは高まるであろうか。

チャンパ王国

2005年03月18日 | Weblog
先週、池澤夏樹の「パレオマニア」(集英社、2004年発行)を読んでいた。ある男が大英博物館を訪れ、惚れこんだ展示品がつくられた土地へ行ってしまうという贅沢な話。それらは、ギリシャ、エジプト、インド、イラク、カンボジア、ベトナム、アメリカ、オーストラリアなど広範な世界に及ぶ。

ベトナムの展示物は砂岩の猥雑な獅子像であった。それは、ベトナム中部にあったチャンパ王国のものだった。2世紀から17世紀に渡って栄えたチャム人の海洋王国である。中国とは朝貢関係にあったが、インドに憧れた国家で、レンガづくりのヒンズー教寺院の遺跡が多く残されている。12世紀にはカンボジアのアンコール・ワットを占領したこともある。
山地では山の民がおり、沈香、象牙、犀角など高い価値のものがとれていた。加えて陶器も生産され、エジプトや日本へも運ばれたという。
男はベトナムを訪れ、チャンパ王国の遺跡をまわる。

ちょうどタイムリーに土曜日のテレビ番組「ふしぎ大発見」の特集がチャンパ王国だった。そのなかで、正倉院の御物である「らんじゃたい(きゃら)」がチャンパ王国からもたらされたものだといっていた。足利義満と織田信長にだけ切り取ることを許された香木である。今も、チャンパには香木があるのだが、場所は秘密になっている。番組では陶器をつくるシーンも放映していた。ろくろを使わず、台の上に粘土を置いて人がその周りを回っていた。今も、ろくろを使わないのは不思議だ。
あと、太陽、舟、鳥をモチーフにしたレリーフを取り上げ、北九州の古墳の壁画や古代エジプトのレリーフと共通することから何らかの関係を提示していた。本とテレビで知識が深まった。

愛国心とは

2005年03月17日 | Weblog
イメージ的なものとしてしか、捉えていなかった。最近、藤原正彦氏の「祖国とは国語」を読んだが、その中で愛国心が定義されていた。

大きくふたつの意味があるようだ。
ひとつは自国が経済、軍事、スポーツなどの分野で他国に勝って欲しいというもの。国益第一主義である。これがエスカレートすると醜いナショナリズムや国家エゴになる。例えば、正当な日本の領有地である竹島に対しての韓国人の抗議にそれを見る。個人的には、日の丸を焼いたり、指を切ったりしているが、国を挙げて反日ムードになりつつある。これでヨン様や韓流ブームに水を差した。もちろん、小生もこの愛国心をある程度持ち合わせている。
もうひとつは、自国の歴史や文化に愛着を持ち、誇るような意味。郷土愛にも通じるものであるが祖国愛である。これこそ、国のアイデンティティといえるものである。美しくもあり情緒的である。
愛国心は、このふたつのものが、ないまぜになっていて大きな力となって現れてくる。

戦中の特攻隊を愛国心と関係づけられるが、この自己犠牲は上から強いられたことでもあり、ノーマルな愛国心といっていいか疑問に思っている。

イルカの人工尾ビレ

2005年03月12日 | Weblog
先月、NHKテレビ番組で、沖縄県の本部にある水族館で飼育されているフジというイルカの特集をしていた。2年前に奇病にかかり尾ビレが腐り、手術で一部を残して切断した。フジは尾ビレを失うことで泳ぐことも不自由になった。イルカにとって尾ビレは重要である。200㎏の体重をジャンプさせるのも尾ビレで行うのである。
それを見かねた職員である獣医師が中心になって人工尾ビレの装着を考えた。そこで尾ビレの触感がゴムに似ていることから、タイヤメーカーに作製を打診して、開発されることになった。試行錯誤で2年の歳月を経て完成した。残ったヒレの根本に人工尾ビレを被せて帯で固定するものである。フジは元通りに泳げるようになった。

いい話であるが、たかが1頭のイルカのために、ここまでするのは、やり過ぎではないかとも思った。野生のイルカに対しては捕獲猟までされてきているのである。
でも飼育している人たちにとっては、おそらくフジに対する愛情があったのであろう。世界で初の人工尾ビレとなった。フジは今も元気で泳いで人気モノになっていることだろう。
本来なら、広々とした海で泳ぐのがフジにとっては幸せだろうけど。

戦略なき日本

2005年03月10日 | Weblog
日露戦争の翌年、アメリカは日本に対して戦略構想を立てたという。三度の軍縮条約で日本の海軍力抑制、日英同盟廃止への誘導を粛々と実行した。日本との戦争を予想していたのだ。日本はアメリカの戦略に気付かず、目はロシアに向いていた。35年後、圧倒的戦力不利な状況で開戦した。

冷戦終了後の1990年、アメリカのベーカー国務長官は、冷戦中に経済一人勝ちした日本を引きずりおろすために、「ジャパン2000」というプロジェクトをつくった。10年計画である。それによってビッグバーン、市場原理、グローバリズム、小さな政府、規制緩和、構造改革、リストラ、ペイオフなどが日本にもたらされた。
これらは、(「祖国とは国語」:藤原正彦、講談社、2003年発行)に書かれている。

日本には長期戦略構想はない。北朝鮮や中国に対してもありそうにない。場当たり的に対処しているだけでますます悪化しているように思う。戦略的外交は重要に思う。
中国に対しては領土領海問題解決、北朝鮮に対してはキムジョンイル体制崩壊に向けての戦略が懸案。
戦略とは日本の進むべき方向を決め、実行されるべきもの。

西武の証券取引法違反

2005年03月04日 | Weblog
株所有により企業支配を続けるための虚偽報告、それに虚偽報告がばれそうになったのでインサイダー取引のふたつの違法行為。
西武の関係者が堤氏が逮捕されても擁護している。その理由は貢献が大きかったからだという。3万人のグループ社員とおこぼれに預かった企業や政治家への貢献かな。
西武鉄道の副社長がお詫びの会見で「堤氏のモラルが今の時代に足らなかった」と言っていたが、副社長にもモラルが欠けていたと意識してもらわないとね。違法行為を見て見ぬふりしたのだから。
独裁者ひとりだけ罪を被ればいいのだろうか。
ライブドアVSフジテレビの話題が盛り上がっているのでマスコミによる批判追求が甘い感じがする。

西武のスキャンダルについては、昨日発売の週刊文春に詳しいようなので読んでみたい。

日本型経営資本主義

2005年03月02日 | Weblog
先程のTBSニュース23に辛口評論家の佐高信が出て筑紫哲也と対談していた。ライブドアを巡る日本の資本主義について述べていた。
佐高信はホリエモンには理念がないと言っていた。それはだれもが思っていたことだろう。ITと結びつけて金になるのなら何でも事業を買収してしまおうというのだから。リクルートの江副に似ているそうだ。
ニッポン放送株の時間外取得を批判することは政財界には多いがルール違反してないので、問題ないと。むしろ、西武グループの違法行為についてきちんと政財界は批判してないのはおかしいと。新参者を嫌い、たたくのは日本の社会の傾向のようだ。西武グループを封建的資本主義とけなしていた。

フジサンケイ・グループは、かつて大きなお家騒動があった。今の日枝会長が中心になって創業者の鹿内一族を追い出したのである。その時も、株を増資して、鹿内一族の影響力をなくしている。今度は、逆にホリエモンに狙われ、新株発行で同じように対抗しようとしている。フジサンケイ・グループのリスク管理ができていなかったのだ。
この騒動の経過は興味津々で当分楽しませてくれる。ホリエモンに頑張って欲しい。

かつての日本型経営は、年功序列と終身雇用が特徴だった。バブル崩壊でアメリカ型経営が取り入れられ、リストラや能力主義で置き換えられた。外部に対しては談合や新参者叩きなどは残っていて機能している。
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