GOODLUCK'S WORLD

<共感>を大切に、一人の男のスタンスをニュース・映画・本・音楽を通して綴っていきたい

『 短 絡 』

2008年08月01日 | Weblog
『離れていくなら 近づかないで』
『成功しないなら、努力したくない』
『願いが叶わなければ賽銭箱でも、自販機のように釣り銭が欲しい』
『夢など見ない方がいい。叶わぬ事ばかりだから』

ウォークマンが大ヒットした頃から、自分勝手の個人主義の時代に突入した現代。
0と1の組み合わせはデジタルへと進化し、鮮明な画像、
クオリティーの高い音質を提供してくれるようになった。
しかし、単純で明瞭なシステムは人の心まで短絡化していったように思えてなりません。

<短絡化>は単純化とは違う。安易で軽薄な感じがしてならないからです。


『短絡』(ショート・カット)
電気用語では、短絡が生じた場合、回路が誤動作したり、回路に設計値を超える大電流が流れたりするため、半導体、抵抗器、コンデンサなどが異常発熱し、焼損することがある。高温による火傷、発煙による有毒ガスの発生、部品の破裂などの危険を伴う。情報機器の場合、誤動作によるデータ消失がありうる。(ウィキペディアより)


あまりにも不平等で格差のある社会、
思いが叶わぬ現実、
政治家を筆頭に、役人達や金持ち達の堕落した姿、
若者達はそんな彼らの後ろ姿を見て、自らの将来を見いだせず、
とうとう夢見ることを諦め、もがくことすらなくなり
まさに頭の中がショート(短絡)して、
機械が壊れるように心が壊れていく。


『短絡』は電気的に様々な原因がある。
・異物の接触
・配線処理の不都合
・ハンダ付けの不良
・誤接続・誤作動
・部品の劣化等

人の場合も様々な原因があるだろう。
・異物の接触 → 悪い友達に感化された?
・配線処理の不都合 → 親の教育問題?
・ハンダ付けの不良 → 過去の失敗や問題点を克服できていない?
・誤接続・誤作動 → 知識の欠乏や経験の少なさが誤った行動に走らせる?
・部品の劣化 → 若者には考えられないが、心は老人化している?


人の心は、もしかしたら
Oと1、ONとOFFのようにマシーン化しようとしているのだろうか?
その方が安易だから?

もしマシーンと違って、色々な回路があったなら、
つまり様々な考え方や選択できる道や物語をたくさん持っていたなら
短絡的で愚か道を選ばないかもしれない。

五木寛之氏は「心に物語が足りない」とエッセイの中で嘆かれていましたが、
私もそう思えてなりません。

楽天の野村監督は「勝った試合に学ぶものなし」と云われていますが、
人生も同じように、想いが届かない、振られた、裏切られた、失敗した、
熟慮が足りなかった、そんな経験が人を育てるようです。
しかし、小さな成功や勝利感が、
幼い子供のやる気や自信をつけ、成長させていくもの事実です。


聞いてきた、見てきた、読んできた物語が、
自分の物語と混ざり合い人それぞれの胸に刻み込まれていく。
これが幼い頃から繰り返され、感受性の豊かな心に育ち、
強い心に成長していくものだと思います。

画面や紙面上の物語が基盤となって、自分の物語が主体となっていく、
この変化・再構築、これが本来の姿だと思います。

しかし、自分に物語がなければ、
自分自身が熱中した具体的な事実がなければ、
結局、世間という物語をテレビや映画のように客観的に見つめ続け、
ただの傍観者でしかない自分に気づくだけなのでしょう。

そして世間という物語のスイッチを切ることが、
自分の人生のスイッチを切ると知ってか知らずか、
ある日突然、周囲を巻き込み、石を投げ、ナイフを突き刺す。


『短絡』は「耽楽」が基にあるような気がしてなりません。
楽を選ぶのは人の常かもしれませんが、
何かを身に付けようとするには時間も辛抱も必要で、
楽して身に付くものなど何もありません。

そういえば、公文式の塾や英会話教室はよく見るのに、
算盤塾や書道教室を近隣では見つけられなくなりました。
茶道教室や剣道や柔道の道場もしかりです。


幼い頃、何を見、どんな体験をして、どう感じたのか。
人生で最も感受性の強い時期(小学校から中学校の時期)をどう過ごしてきたかが、
その後の人生に大きな影響を与えるのは確かなようです。

子供は親のいうことを聞いて育つのではなく、
親の背中を見て育つものです。
だから児童や生徒は、先生のいうことを聞いて学ぶのではなく
先生の言動をしっかりと観察し、学んでいることを
先生や社会はもっと意識しなくてはなりません。

純粋で感受性豊かな心、切れない心、優しい心、共感できる心、
そして、壊れない強い心に育てるために。


私の好きな言葉です。

『嫌いなものが増えるたびに、
 
 受け取れるはずの幸せの量が減るのかも知れない』
(勝目梓「風の装い」より)


『…川の流れは、絶え間ない土や、石の妨害があるからこそ、
 その土や石の間をぬって流れ続けることができる。

 川岸を作っているのは、まさにこの土や石だからだ。

 起こってくることを受け入れ、
 それをよいものにしていく精神こそ、
 人生の達人のものである。』
                          (タゴール)


知識は容易に、しかも短絡的に頭に入るが、
身に付けるものは決して容易ではない。
信頼は一日で失うが、得るためにはその何十倍もの月日がかかる。
信頼は他人からの想いですが、まず自分自身で自分を信頼出来ずして
人からの信頼などあろうはずがない。
その信頼も一日では得られるはずもない。


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