北の旅人

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相撲協会よ、世間の心を読んで!

2007-10-06 19:01:32 | Weblog

読売新聞106日付朝刊「編集手帳」は、相撲協会の不祥事に関して書いている。その冒頭に興味深い文章がある。かつての名横綱・栃錦は「耳で相撲を取る」と言われ、相手の吸う息、吐く息を聴き分け、吐いた瞬間をとらえて技を仕掛けたという。


また、最後の方には、あの栃若時代を築いた一方の雄・初代若乃花について、土俵際の粘りで「かかとに目がある」と言われたと書いている。いずれも、相撲協会の厳しい現状を語り、現在の対応、これからのあり方を鋭く指摘したものだ。


相撲の世界において、よく耳にする言葉に「心・技・体の充実」というのがある。今の相撲協会の在りようをテレビなどで観ていると(全体を観ていないので正確に伝わってこないのかもしれないが)、遺族への謝罪、国民への説明などにおいて、最も肝心な「心」が、完全に欠落しているように感じる。


北の湖理事長をはじめ、横綱・大関などを張った人たちは、「心・技・体」ともに優れているからこそ、その地位にあったはずだ。責任を、一部屋や親方にのみ転嫁しているとしか思えない対応は、全く理解に苦しむ。改めて、徹底的な改革を断行してもらいたい。


この新聞記事を読んで思い出したことがある。
確か、昭和46年の秋頃だったと記憶するが、北海道のS町で商工会主催の講演会を開くことになり、講師に将棋の木村義雄14世永世名人を呼んだ。その際、空港への送迎などをはじめ2日間カバン持ちをしたことがある。北海道のカニ料理を食べていただきながら、色々な話を伺った。


私が、「先生は、何手ぐらい先を読まれるものなんですか?」と聞いたところ、「80手から100手ぐらいですかね」と答えられた。さらに私が、対局相手の心をどういうところで読むのですか?」と聞くと、「手の動きです。手が物を言うのです」と教えてくれた。続けて言われた言葉が、「それを、私は手談(てだん)と言っているのです」ということだった。何といい言葉なんだろうと思い、強く印象に残っている。


「心・技・体」は相撲の世界の専売特許ではなく、将棋でも、他のスポーツでも勝負の世界には等しく求められるもののはずだ。そのどれが欠けても、良い結果は出せないし、多くの人たちを感動させることはできない。

今風に言えば、これも「KY」という二文字で表現できる。相撲協会よ、ぜひ世間の心を読んでほしい。



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