恥ずかしい歴史教科書を作らせない会

改憲で「戦争する国」、教基法改定で「戦争する人」づくりが進められる今の政治が
将来「恥ずかしい歴史」にならぬように…

自公民3党による教育基本法「改悪」

2006年05月16日 | 教育基本法・教科書
 「愛国心」教育導入などを盛り込んだ教育基本法改定案は16日、趣旨説明と質疑が行なわれ、審議に入りました。

■ 政府案よりひどい民主党の「対案」

 この法案の焦点であり、最大の問題点は、「法律によって、政府が子どもたちの心に踏み込もうとしていること」にあります。
 民主党は与党案への「対案」を、昨15日に正式決定し、近く国会に提出するとしていますが、焦点の「愛国心」の表現では、「国や郷土を愛する…態度」とする与党案よりも、さらに踏み込んだ「日本を愛する心」とするなど、どちらも「改悪」案であると言わざるを得ません。
 15日の民主党の会議(教育基本法問題調査会総会)でも、「愛国心」教育について、「強制ではないことを明記すべきだ。」「政府の解釈や運用によって将来的に押し付けとなる懸念が残る。」という意見が出されましたが、取りまとめ役の西岡武夫参議院議員は、「理念として前文に書いたので強制される恐れはない。」とし、原案のまま決めてしまいました。
 私は、これを聞いて驚きました。「前文に書けば強制されない」というのは一体、何の根拠があって言っているのでしょうか。

■ 根拠を与えればエスカレートは避けられない

 現実問題として、いま既に「小学校学習指導要領」には、「我が国の文化と伝統に親しみ,国を愛する心をもつ」、「中学校学習指導要領」には、「日本人としての自覚をもって国を愛し、国家の発展に努める」という文言が、法的根拠がないにもかかわらず、盛り込まれているのです。
 政府がこのような教育の強化を「ごり押し」しようとしているこの状況下で、前文であろうと、条文であろうと、根拠を与えてしまえば、子どもたちの心に政府が踏み込んでいくことを助長するだけですし、ますますエスカレートしていくことは避けられません。
 さらに、学校で「愛国心」が評価や競争の対象にされ、成績や内申書、進路に影響するとなれば、それはもはや「強制」です。

 このようなことを、西岡氏のような大ベテランが気付かないとは到底思えませんし、いくら民主党といえども、そこまで「素人」ではありません。まず間違いなく、全てを分かった上での「確信犯」と考えて良いでしょう。

■ 民主党の「対案」の狙い

 ではなぜ、このようなことを民主党はするのでしょうか。
 「民主党は、もともと自民党と同じ」と言ってしまえばそれまでですが、他にも、教育基本法改定を望む経済界や米国、そして保守系メディア・論者の機嫌を取って目立ちたいという、ポピュリズム的発想もあるでしょうし、「武力行使」を容認する上で、結局はそれを実際に行なう国民を作る、すなわち「子どもたちに銃を取らせる教育」を必要とした、という実態もあるでしょう。どれとは特定できませんが、こうした様々な思惑が入り混じったものが、民主党の「対案」の実態だと思います。

 しかしそこに、本当に考えるべきはずの「子どもたちの将来」はあるのでしょうか。
 私は、ないと思います。もしあれば、「対案」と称して政府案に迎合するようなものを作るような、愚かな行為はしないと思います。

 このような政党や議員に振り回されようとしている、現在・将来の子どもたちが哀れに思えてなりません。

■子どもたちの心は、子どもたちのもの

 冒頭、私は「法律によって、政府が子どもたちの心に踏み込もうとしていること」が問題だと書きましたが、自民・公明・民主3党、これだけの巨大勢力が、「対立」を演じながら、実は同じ方向へ教育を捻じ曲げようとしているという、現代版「大政翼賛会」の姿に、怒りを禁じ得ません。

 こうした3党の動きに対し、他の国会内勢力では、共産党は「教育基本法改悪に反対するアピール」を発表し、闘争本部を立ち上げています。また、社民党も「広範な諸勢力と連携し、廃案に向け全力を挙げる。」としています。

 子どもたちの心が、子どもたちのものであり続けられるよう、私も広範な連携を強めながら、教育基本法の改悪に反対していきたいと思います。