恥ずかしい歴史教科書を作らせない会

改憲で「戦争する国」、教基法改定で「戦争する人」づくりが進められる今の政治が
将来「恥ずかしい歴史」にならぬように…

なぜ教育基本法「改悪」を急ぐのか

2006年05月12日 | 教育基本法・教科書
■ 特別委員会設置

 11日、衆議院では、教育基本法を改定するため特別委員会が設けられました。
 昨年の郵政民営化特別委員会のように、強行的な審議日程を組み、教育基本法を早く変えてしまいたいという考えによるものです。
 各国会議員の事務所をまわり、この法案への反対を求める要請を行なった、ある団体から話を聞いたところ、自民党議員の事務所の反応は「今が変えどきだ」の一点張りだったそうです。
 この教育基本法という子どもたちにとって重要な法律を、なぜ「変えどき」という「時機」を持ち出して急ぐのでしょうか。
 私は、その理由は二つあると思います。

■ 大型選挙が近づかないうちに

 一つは「選挙日程」です。
 昨年は各地の合併選挙が行われ、また総選挙がありました。その影響で今年は、ごくわずかしか選挙がありません。今後は、来年の春に統一自治体選挙、夏に参議院議員選挙が行われますが、そこまで大きな選挙は行われません。
 与党側の思いは、早めに教育基本法を片付け、できるだけ国民の記憶から消し去っておかないと、次の大型選挙への影響が心配だということです。それほど、この内容が、「国民の反発を買う」ことを彼ら自身がよく分かっているということではないでしょうか。

■ スポーツでナショナリズムを高揚

 もう一つは、政治以外の「外的要因」にあります。
 与党側は、明らかにこの作業を急いでいました。国会は1月に召集されましたが、それ以前から与党側が、この国会会期中に成立を目指す、と息巻いていたのが、この改定案でした。
 この国会は、国会とは無関係な別の要因である、スポーツを利用することができる会期だったのです。
 冬にはトリノ五輪があり、春にはWBC(ワールドベースボールクラシック)が行なわれました。この後、ドイツでサッカーのワールドカップが行なわれます。ナショナリズムを煽り立てるには絶好のチャンスだというわけです。
 ナチスが1936年のベルリン五輪をプロパガンダに利用したのと同じやり方です。
 近年では中国の重慶で行なわれたサッカーの試合で、中国人サポーターが暴れた際、「政治とスポーツは別だ」と言っていた政府が、今度は敢えて、スポーツ大会でナショナリズムが盛り上がっている内に、ナショナリズムを強制する法案を通してしまおうというのですから、あまりに姑息、かつ卑劣です。
 逆に、そうした雰囲気の中ではないと、国民にとって到底受け入れられないものだということを証明しているようなものではないでしょうか。。

■ 政府の「変えどき」は国民にとっての「正念場」

 選挙から遠ざけたい、スポーツの国際大会でナショナリズムを喚起したい、その「時機」として最適なのが、今国会だということです。
 政府・与党が「変えどき」だと言うのであれば、私たち国民にとっては「踏ん張りどころ」「正念場」です。
 彼らが目論む「国家のための教育」ではなく「子どもたちのための教育」を守り抜きたい、そのためにも教育基本法改悪を許してはならないと強く思います。