恥ずかしい歴史教科書を作らせない会

改憲で「戦争する国」、教基法改定で「戦争する人」づくりが進められる今の政治が
将来「恥ずかしい歴史」にならぬように…

イラクへ「行きたくない」という思い

2006年02月22日 | 叫び
■ 理由

今月初め、千葉県内で陸上自衛隊の自衛官が万引きをし、昨日21日付けで40日間の停職処分を受けたと報じられていました。
彼は、現在派遣されているイラク派遣部隊に欠員が生じたときのための予備隊員であり、万引きの理由についても「イラクに行きたくなかったから」と答えたそうです。
万引きは犯罪であり許されない行為ですが、犯行に及ぶまでの彼の気持ちを思うと、私は彼を責める気になれないのです。

■ 願い

この自衛官は38歳とのことですから、彼にも奥様・お子様がおられることでしょう。
1日3万円の手当、死んだら1億円の弔慰金と言われても、やはり「行かないでほしい」と願うでしょう。家族は金には換えられないものです。

自衛官の家族でつくる「全国自衛隊父兄会」という社団法人があります。
会の目的に「防衛意識の普及高揚」「防衛基盤の確立」などを掲げるような団体ですが、テロ特措法・イラク特措法の成立以来、この会の人々に変化が見られるようになったといいます。
例えば選挙の際、演説をしていた野党の議員のそばに、その地域の会の幹部だという自衛官のお父さんが歩み寄り、次のように言ったそうです。
「ぜひ頑張って下さい。私は、自衛隊は海外に出さないと言っていたからこそ息子が自衛隊に行くことを認めたのです。それを今、“インド洋に行け”“イラクに行け”というのは政府の約束違反です。何とか止めて下さい。」
自衛官であろうが、普通の市民であろうが、我が子を危険なところへ行かせたくないという親の願いは同じだと思いました。

■ 選択肢

それでも今回の自衛官は、自衛隊内で行なわれた、イラク派遣に関するアンケートで「行きたくない」と書くことはできませんでした。
このアンケートには「熱望する」「希望する」「命令であれば行く」という選択肢だけで、「行きたくない」が無かったのです。

■ 派遣反対の理由

私は、多くの理由から自衛隊のイラク派遣に反対してきましたが、最も緊急性の高い理由の一つに「派遣される(かもしれない)自衛官を守りたい」という思いがありました。
彼らも私たちと同じ国民です。日本国憲法が、主権者として定め、「平和のうちに生存する権利」を認めた人々です。
そうした彼らが、絶対に、殺し、殺されるようなことがあってはならない、と思うのです。
憲法違反のイラク特措法が無ければ、彼らは危険な地に派遣されることはありません。政府が撤退を決めれば、彼らは帰って来ることができるのです。
小泉首相は「自衛隊のいるところが非戦闘地域」などと無責任な言葉遊びに興じていましたが、実際につらく危険な目にあうのは自衛官の方々です。
小泉首相をはじめ、政府・与党の人々は一度でも、そうした自衛官の身になって考えたことがあるでしょうか。絶対に無い、と私は思います。もしあれば、あのようなアンケートで、全員に派遣を強要することなどできないはずです。

■ 守る

私は、よく自衛隊の違憲性を指摘し、批判しますが、個々の自衛官を、自衛官だからといって非難することは絶対にありません。
近年、自衛官の精神疾患、自殺、退職などが急増しています。
政府・与党と野党第一党が一体となって、日本を「戦争する国」にしようとしている今、最も悩んでおられるのは、自衛官の皆さんとそのご家族かもしれないと思います。
逆に、憲法9条を守り、自衛隊のありようを憲法に近づけることは、自衛官の生命と安全の確保につながると思います。

私たちの運動は、私たち自身を守るためだけに行なっているものではありません。
現役の自衛官の方々は難しいでしょうが、もしそのご家族や元自衛官の方々がいらっしゃいましたら、お分かり頂けるはずです。
ご自分のご家族や、かつての同僚、後輩の皆さんを守るためにも、私たちとともに声を上げて下さるようお願いしたいと思います。