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極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

エネルギーと環境 77

2024年12月14日 | 光電融合デバイス事業

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-

【季語と短歌:12月14日】

        凍れてはマフラー巻てタイピング   

                 高山 宇 (赤鬼)



✳️ 
生成AIの省エネを実現する光電融合技術開                                              12月11日、米IBMは,生成AIモデルの学習・推論の効率を向上する可能性
がある光電融合技術の一つである光パッケージング技術,Co-Packaged
Optics(CPO)の新しいプロセスを開発し,データセンター内の電気配線
を補完する光技術の導入を可能にした。現在,データセンターのラック間
の通信は依然として電気配線で行なわれている。電気配線はGPUアクセラ
レーターに接続されるが,GPUアクセラレーターは半分以上の時間はアイ
ドル状態であり,大規模な分散学習プロセス時には他のデバイスからの信
号を待つため,膨大な費用とエネルギーを消費する。

今回同社は,新しいCPOプロトタイプ・モジュールを開発した。この技術
は,データセンター内の通信の帯域幅を大幅に拡大し,GPUのアイドリン
グ・タイムを最小化しながら,AIの処理能力を大幅に向上させる可能性が
ある。
これにより,ミッドレンジの電気配線と比較して消費電力は1/5以
下になり,従来の電気配線と比較して最大5倍高速に大規模言語モデル(L
LM)を学習でき,より大規模なモデルとより多くのGPUを使用してパフォ
ーマンスの向上を図れるとする。さらに,1つのAIモデルの学習ごとに,

米国の5,000世帯の年間消費電力に相当する電力を節電できるだけでなく
今後はチップ間でも光通信が可能になる。



🪄
CPO(Co-Packged-Optics)とは:

✳️ JDI,台湾Innoluxとコントラスト690倍のOLEDで提携
ジャパンディスプレイ(JDI)は,ディスプレーメーカー台湾Innolux Corporation
と,同社の子会社で,車載ディスプレーソリューションのTier1 サプライヤーで
あるシンガポールCarUX Technology Pte. Ltd.との間で,eLEAP戦略提携の契
約を2024年12月3日付で締結した。

【関連特許最新技術】
5. 特開2022-158973 表示装置、表示モジュール、電子機器、及び、表示
装置の作製方法 株式会社半導体エネルギー研究所

【詳細説明】
【0164】  本実施の形態の表示装置は、発光デバイス間の距離を狭くす
ることができる。具体的には、発光デバイス間の距離、EL層間の距離、
または画素電極間の距離を、10μm未満、5μm以下、3μm以下、2μm
以下、1μm以下、500nm以下、200nm以下、100nm以下、
90nm以下、70nm以下、50nm以下、30nm以下、20nm以下
、15nm以下、または10nm以下とすることができる。別言すると、
第1の層113aの側面と第2の層113bの側面との間隔、または第2
の層113bの側面と第3の層113cの側面との間隔が1μm以下の領域
を有し、好ましくは0.5μm(500nm)以下の領域を有し、さらに好
ましくは100nm以下の領域を有する。
【0165】基板120の樹脂層122側の面には、遮光層を設けてもよ
い。また、基板120の外側(樹脂層122と反対側の面)には各種光学
部材を配置することができる。光学部材としては、偏光板、位相差板、光
拡散層(拡散フィルムなど)、反射防止層、及び集光フィルム等が挙げら
れる。また、基板120の外側には、ゴミの付着を抑制する帯電防止膜、
汚れを付着しにくくする撥水性の膜、使用に伴う傷の発生を抑制するハー
ドコート膜、衝撃吸収層等を配置してもよい。
【0166】基板120には、ガラス、石英、セラミック、サファイア、
樹脂、金属、合金、半導体などを用いることができる。発光デバイスから
の光を取り出す側の基板には、該光を透過する材料を用いる。基板120
に可撓性を有する材料を用いると、表示装置の可撓性を高めることができ
る。また、基板120として偏光板を用いてもよい。
【0167】基板120としては、それぞれ、ポリエチレンテレフタレー
ト(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹
脂、ポリアクリロニトリル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメ
チルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテル
スルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン、アラミド等)、ポ
リシロキサン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミ
ドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリ
デン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE
)樹脂、ABS樹脂、セルロースナノファイバー等を用いることができる
。基板120に、可撓性を有する程度の厚さのガラスを用いてもよい。
【0168】なお、表示装置に円偏光板を重ねる場合、表示装置が有する
基板には、光学等方性の高い基板を用いることが好ましい。光学等方性が
高い基板は、複屈折が小さい(複屈折量が小さい、ともいえる)。
【0169】光学等方性が高い基板のリタデーション(位相差)値の絶対
値は、30nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、10nm
以下がさらに好ましい。
【0170】光学等方性が高いフィルムとしては、トリアセチルセルロー
ス(TAC、セルローストリアセテートともいう)フィルム、シクロオレ
フィンポリマー(COP)フィルム、シクロオレフィンコポリマー(CO
C)フィルム、及びアクリルフィルム等が挙げられる。
【0171】また、基板としてフィルムを用いる場合、フィルムが吸水す
ることで、表示パネルにしわが発生するなどの形状変化が生じる恐れがあ
る。そのため、基板には、吸水率の低いフィルムを用いることが好ましい。
例えば、吸水率が1%以下のフィルムを用いることが好ましく、0.1%
以下のフィルムを用いることがより好ましく、0.01%以下のフィルム
を用いることがさらに好ましい。
【0172】樹脂層122としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、
反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着
剤を用いることができる。これら接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル
樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、
PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹
脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エ
ポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を
用いてもよい。また、接着シート等を用いてもよい。
【0173】トランジスタのゲート電極、ソース電極及びドレイン電極のほ
か、表示装置を構成する各種配線及び電極などの導電層に用いることので
きる材料としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イッ
トリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、及びタングステン
などの金属、並びに、当該金属を主成分とする合金などが挙げられる。こ
れらの材料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。
【0174】また、透光性を有する導電材料としては、酸化インジウム、
インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを含む
酸化亜鉛などの導電性酸化物またはグラフェンを用いることができる。ま
たは、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、
モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、及びチタンなどの金属材料
または、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。または、該金
属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)などを用いてもよい。なお、金属
材料、または、合金材料(またはそれらの窒化物)を用いる場合には、透
光性を有する程度に薄くすることが好ましい。また、上記材料の積層膜を
導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とイ
ンジウムスズ酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高めることができ
るため好ましい。これらは、表示装置を構成する各種配線及び電極などの
導電層、及び、発光デバイスが有する導電層(画素電極または共通電極と
して機能する導電層)にも用いることができる。
【0175】各絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、例えば、
アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、
窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料
が挙げられる。


図2 図2(A)及び図2(B)は、表示装置の一例を示す断面図

【符号の説明】【0642】
AL    配線 CL    配線 GL    配線 RL    配線 SL    配線 SLB 
   配線 SLG    配線 SLR    配線 10    表示装置 11    表示部
12    駆動回路部 13    駆動回路部 21    画素 21R    副画素
21G    副画素 21B    副画素 30    画素 70    電子機器 72    
支持体 74    机 100    表示装置 100A    表示装置 100B   
表示装置 100C    表示装置 100D    表示装置 100E    表示装
置 100F    表示装置 100G    表示装置 101    層 110    画
素 110a    副画素 110b    副画素 110c    副画素 110d   
 副画素 111a    画素電極 111b    画素電極 111c    画素電極
111d    画素電極 113a    第1の層 113A    第1の層 113b   
 第2の層 113c    第3の層 113d    第4の層 114    第5の層
115    共通電極 117    遮光層 118    第1の犠牲層 118a   
 第1の犠牲層 118A    第1の犠牲層 119    第2の犠牲層 119a 
   第2の犠牲層 119A    第2の犠牲層 120    基板 121    絶縁層
121a    絶縁層 121b    絶縁層 122    樹脂層 123    導電層
124a    画素 124b    画素 125    絶縁層 125A    絶縁膜
126    光学調整層 126a    光学調整層 126b    光学調整層
126c    光学調整層 127    絶縁層 127A    絶縁膜 129    色
変換層 129a    色変換層 129b    色変換層 129c    色変換層
130    発光デバイス 130a    発光デバイス 130b    発光デバイス
130c    発光デバイス 130d    発光デバイス 131    保護層 
132    保護層 133    絶縁層 134    マイクロレンズ 135    第
1の基板 136    第2の基板 139    領域 140    接続部 142   
 接着層 151    基板 152    基板 153    絶縁層 162    表示
部 164    回路 165    配線 166    導電層 172    FPC
173    IC 190a    レジストマスク 190b    レジストマスク
201    トランジスタ 204    接続部 205    トランジスタ 209    
トランジスタ 210    トランジスタ 211    絶縁層 213    絶縁層
214    絶縁層 215    絶縁層 218    絶縁層 221    導電層 
222a    導電層 222b    導電層 223    導電層 225    絶縁層
231    半導体層 231i    チャネル形成領域 231n    低抵抗領域
240    容量 241    導電層 242    接続層 243    絶縁層 245    
導電層 251    導電層 252    導電層 254    絶縁層 255a   
 絶縁層 255b    絶縁層 256    プラグ 261    絶縁層 262   
 絶縁層 263    絶縁層 264    絶縁層 265    絶縁層 271    
プラグ 274    プラグ 274a    導電層 274b    導電層 280    
表示モジュール 281    表示部 282    回路部 283    画素回路部
283a    画素回路 284    画素部 284a    画素 285    端子部
286    配線部 290    FPC 291    基板 292    基板 301    
基板 301A    基板 301B    基板 310    トランジスタ 310A
   トランジスタ 310B    トランジスタ 311    導電層 312    低
抵抗領域 313    絶縁層 314    絶縁層 315    素子分離層 320  
  トランジスタ 321    半導体層 323    絶縁層 324    導電層 
325    導電層 326    絶縁層 327    導電層 328    絶縁層
329    絶縁層 331    基板 332    絶縁層 335    絶縁層 336
    絶縁層 341    導電層 342    導電層 343    プラグ 344   
 絶縁層 345    絶縁層 346    絶縁層 347    バンプ 348    
接着層 401    基板 410    トランジスタ 410a    トランジスタ
411    半導体層 411i    チャネル形成領域 411n    低抵抗領域
412    絶縁層 413    導電層 414a    導電層 414b    導電層
415    導電層 416    絶縁層 421    絶縁層 422    絶縁層
423    絶縁層 426    絶縁層 431    導電層 450    トランジスタ
450a    トランジスタ 451    半導体層 452    絶縁層 453    
導電層 454a    導電層 454b    導電層 455    導電層 500    
表示装置 501    電極 502    電極 512Q_1    発光ユニット
512Q_2    発光ユニット 512Q_3    発光ユニット 512B    
発光ユニット 521    層 522    層 523Q_1    発光層 523
Q_2    発光層 523Q_3    発光層 524    層 525    層 531
 中間層 540    保護層 545G    色変換層 545R    色変換層 
550B    発光デバイス 700A    電子機器 700B    電子機器
721    筐体 723    装着部 727    イヤフォン部 750    イヤ
フォン 751    表示パネル 753    光学部材 756    表示領域 
757    フレーム 758    鼻パッド 800A    電子機器 800B    
電子機器 820    表示部 821    筐体 822    通信部 823   
 装着部 824    制御部 825    撮像部 827    イヤフォン部
832    レンズ 6500    電子機器 6501    筐体 6502    表示
部 6503    電源ボタン 6504    ボタン 6505    スピーカ 
6506    マイク 6507    カメラ 6508    光源 6510    保
護部材 6511    表示パネル 6512    光学部材 6513    タッチ
センサパネル 6515    FPC 6516    IC 6517    プリン
ト基板 6518    バッテリ 7000    表示部 7100    テレビジ
ョン装置 7101    筐体 7103    スタンド 7111    リモコン操
作機 7200    ノート型パーソナルコンピュータ 7211    筐体 
7212    キーボード 7213    ポインティングデバイス 7214   
 外部接続ポート 7300    デジタルサイネージ 7301    筐体 7
303    スピーカ 7311    情報端末機 7400    デジタルサイネージ
7401    柱 7411    情報端末機 9000    筐体 9001    表示
部 9002    カメラ 9003    スピーカ 9005    操作キー 90
06    接続端子 9007    センサ 9008    マイクロフォン 9050 
   アイコン 9051    情報 9052    情報 9053    情報 9054    
情報 9055    ヒンジ 9101    携帯情報端末 9102    携帯情報
端末 9103    タブレット端末 9200    携帯情報端末 9201    
携帯情報端末

図3(A)乃至図3(C)は、表示装置の一例を示す断面図

【0176】次に、図2および図3を用いて、表示装置100の断面形状
の変形例について説明する。
【0177】図2(A)に示すように、発光デバイス130a、130b、
130c上にそれぞれ異なる色の光に変換する機能を有する色変換層129a
、129b、129cを設けて、それぞれ異なる色の光を発する副画素1
10a、110b、110cを形成してもよい。
【0178】例えば、色変換層129aは、発光デバイス130aの呈す
る青色の光を黄色(Y)の光に変換することができ、色変換層129bは、
発光デバイス130bの呈する青色の光をシアン(C)の光に変換すること
ができ、色変換層129cは、発光デバイス130cの呈する青色の光を
マゼンタ(M)の光に変換することができる構成とすることができる。な
お、これに限られず、副画素110a、110b、110cの構成は、そ
れぞれ、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の構成としてもよい。
副画素110cが青色の光を呈する場合、発光デバイス130cからの青色
発光を、色変換層129cを介して外部に取り出すことで、色変換層129c
を有さない場合よりも、発光スペクトルの半値幅の狭い鮮やかな青色を呈す
る副画素とすることが可能となる。
【0179】図2(B)に示すように、表示装置100にマイクロレンズ
134を設ける構成にしてもよい。ここで、図2(B)に示す表示装置
100は、第1の基板135と、第2の基板136と、を有する。第1の
基板135は、層101と、画素電極111a、111b、111cと、
第1の層113aと、第2の層113bと、第3の層113cと、第5の
層114と、共通電極115と、保護層131、132と、絶縁層121
、125、127と、を含む。第2の基板136は、基板120と、色変
換層129a、129b、129cと、絶縁層133と、マイクロレンズ1
34と、を含む。

【0180】第2の基板136は、基板120を基準にすると、基板120
上に色変換層129が設けられ、色変換層129の上に絶縁層133が設け
られ、絶縁層133の上にマイクロレンズ134が設けられる。マイクロ
レンズ134および色変換層129は、対応するいずれかの発光デバイス1
30と重畳するように配置される。
【0181】マイクロレンズ134は、可視光に対して透光性の高い樹脂
またはガラスなどを用いればよい。マイクロレンズ134は、副画素ごと
に別個に形成されていてもよいし、複数の副画素で一体化されていてもよ
い。マイクロレンズ134を設けることで、発光デバイス130が発する
光を集光し、表示装置100からの光取り出し効率の向上を図ることがで
きる。
【0182】絶縁層133は、保護層131、132に用いることができ
る、無機絶縁膜または有機絶縁膜を用いればよい。また、絶縁層133は、
平坦化膜として機能することが好ましく、この場合、絶縁層133として
有機絶縁膜を用いることが好ましい。また、絶縁層133を設けない構成
にしてもよい。
【0183】図2(B)に示すように、表示装置100は、第1の基板135
と、第2の基板136を、樹脂層122によって、貼り合わせることで、
形成することができる。
【0184】また、図1(B)においては、絶縁層125を設ける構成を
示したが、本発明はこれに限られるものではなく、図3(A)に示すように、
絶縁層125を設けない構成にしてもよい。このとき、絶縁層127の下
面は、絶縁層121の上面に接する。また、絶縁層127には、第1の層1
13a、第2の層113b、及び第3の層113cに与えるダメージの少
ない有機材料を用いることが好ましい。例えば、絶縁層127には、ポリ
ビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラル、ポリビニルピロリド
ン、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、プルラン、水溶性のセル
ロース、またはアルコール可溶性のポリアミド樹脂などの有機材料を用い
ることが好ましい。
【0185】また、図1(B)においては、絶縁層125の上面及び絶縁
層127の上面の高さが、それぞれ、第1の層113a、第2の層113
b、及び、第3の層113cの少なくとも一つの上面の高さと一致または
概略一致する構成を示したが、本発明はこれに限られるものではない。例
えば、図3(B)に示すように、絶縁層125の上面及び絶縁層127の
上面が、第1の層113aの上面、第2の層113bの上面、及び、第3
の層113cの上面より高くなる構成にしてもよい。
【0186】図3(B)に示すように、第1の層113a、第2の層113
b、または第3の層113cの上に、第1の犠牲層118、および第2の
犠牲層119の一方または両方が形成される場合がある。例えば、第1の
層113aの上面、第2の層113bの上面、及び、第3の層113cの
上面に、第1の犠牲層118が形成され、第1の犠牲層118の上に第2
の犠牲層119が形成される。第1の犠牲層118の一方の側面、および
第2の犠牲層119の一方の側面は、絶縁層125に接する。また、第1
の犠牲層118の他方の側面、および第2の犠牲層119の他方の側面は、
第5の層114に接する。なお、第1の犠牲層118、および第2の犠
牲層119は、表示装置100の作製工程において用いられる犠牲層であ
り、詳細は後述する。
【0187】ここで、第1の犠牲層118の側面、第2の犠牲層119の
側面、絶縁層125の側面の一部、及び絶縁層127の側面の一部によっ
て、形成される平面(第5の層114と接する側の面)は、断面視におい
て、テーパー形状を有することが好ましい。当該平面が断面視において、
テーパー形状を有することで、第1の犠牲層118、第2の犠牲層119、
絶縁層125、及び絶縁層127を覆って形成される第5の層114及び
共通電極115を被覆性良く形成し、第5の層114及び共通電極115
に段切れなどが発生するのを防ぐことができる。
【0188】また、図2(B)においては、マイクロレンズ134を基板
120側に設ける構成を示したが、本発明はこれに限られるものではない。
例えば、図3(C)に示すように、マイクロレンズ134を、層101側に
設ける構成にしてもよい。この場合、色変換層129の上に絶縁層133を
設け、絶縁層133上にマイクロレンズ134を設ければよい。マイクロレ
ンズ134上に設けられた樹脂層122によって基板120が貼り合わさ
れる。
【0189】なお、本発明の一態様の表示装置は、3色の副画素で1つの
色を表現する構成に限られない。例えば、R(赤)、G(緑)、B(青)、
W(白)の4色の副画素で1つの色を表現する構成を適用してもよい。図4
に4種類の副画素で画素を構成する例を示す。

図4(A)は、表示装置の一例を示す上面図である。図4(B)は、表示
装置
の一例を示す断面図

【0190】図4(A)に示すように、画素は副画素を4種類有する構成
とすることができる。
【0191】図4(A)に表示装置100の上面図を示す。表示装置100
は、複数の画素110がマトリクス状に配置された表示部と、表示部の外
側の接続部140と、を有する。
【0192】図4(A)に示す画素110は、副画素110a、110b、
110c、110dの、4種類の副画素ら構成される。
【0193】例えば、副画素110a、110b、110c、110dは、
それぞれ異なる色の光を発する構成とすることができる。副画素110dも、
副画素110a、110b、110cと同様に、青色光を発する発光デバ
イス130dを有する。例えば、副画素110aは、青色の光を赤色の光
に変換することができる色変換層129aを有し、副画素110bは、青
色の光を緑色の光に変換することができる色変換層129bを有し、副画
素110cは、青色の光を白色の光に変換することができる色変換層12
9cを有し、副画素110dは色変換層を有さない構成とする。このよう
な構成にすることで、例えば、副画素110a、110b、110cは、
それぞれ、赤色、緑色、白色の副画素とすることができ、副画素110d
は、青色の副画素とすることができる。
【0194】図4(A)では、1つの画素110が2行3列で構成されて
いる例を示す。画素110は、上の行(1行目)に、3つの副画素(副画
素110a、110b、110c)を有し、下の行(2行目)に、3つの
副画素110dを有する。言い換えると、画素110は、左の列(1列目
)に、副画素110a及び副画素110dを有し、中央の列(2列目)に
副画素110b及び副画素110dを有し、右の列(3列目)に副画素
110c及び副画素110dを有する。図4(A)に示すように、上の行と
下の行との副画素の配置を揃える構成とすることで、製造プロセスで生じ
うるゴミなどを効率よく除去することが可能となる。したがって、表示品
位の高い表示装置を提供することができる。
【0195】図4(B)に、図4(A)における一点鎖線X3-X4間の
断面図を示す。図4(B)に示す構成は、発光デバイス130dを有する
点以外は、図1(B)と同様の構成である。したがって、図1(B)と同
様の部分については説明を省略する。
【0196】図4(B)に示すように、表示装置100は、層101上に、
発光デバイス130a、130b、130c、130dが設けられ、これ
らの発光デバイスを覆うように保護層131、132が設けられている。
保護層132上には、樹脂層122によって基板120が貼り合わされて
いる。また、隣り合う発光デバイスの間の領域には、絶縁層125及び絶
縁層127が設けられている。絶縁層125及び絶縁層127は絶縁層1
21上に設けられる。
【0197】発光デバイス130a、130b、130c、130dは、
青色の光を発する。発光デバイス130aに重畳して色変換層129aが
設けられ、発光デバイス130bに重畳して色変換層129bが設けられ、
発光デバイス130cに重畳して色変換層129cが設けられる。発光デ
バイス130dの上には色変換層が設けられない。例えば、色変換層129a
が青色の光を赤色(R)の光へ変換し、色変換層129bが青色の光を緑
色(G)の光へ変換し、色変換層129cが青色の光を白色(W)の光へ
変換する構成にすることで、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、白色(
W)の4色の光を発する組み合わせにすることができる。
【0198】発光デバイス130dは、層101上の画素電極111dと、
画素電極111d上の島状の第4の層113dと、島状の第4の層113
d上の第5の層114と、第5の層114上の共通電極115と、を有す
る。発光デバイス130dにおいて、第4の層113d、及び、第5の層
114をまとめてEL層と呼ぶことができる。なお、画素電極111dは、
画素電極111a、111b、111cと同様の材料を用いればよい。ま
た、第4の層113dは、第1の層113a、第2の層113b、及び第
3の層113cと同様の材料を用いればよい。
【0199】画素110が有する3つの副画素110dは、それぞれ独立
に発光デバイス130dを有していてもよく、1つの発光デバイス130d
を共通して有していてもよい。つまり、画素110は、発光デバイス130d
を1つ有していてもよく、3つ有していてもよい。

【0200】【画素のレイアウト]
  次に、図1(A)及び図4(A)とは異なる画素レイアウトについて説明
する。副画素の配列に特に限定はなく、様々な方法を適用することができ
る。副画素の配列としては、例えば、ストライプ配列、Sストライプ配列、
マトリクス配列、デルタ配列、ベイヤー配列、ペンタイル配列などが挙げ
られる。
                           この項つづく

 

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エネルギーと環境 76

2024年12月13日 | タフで綺麗なOLED

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-

【季語と短歌:12月13日】

        凍れる夜台所に立つ貴美可愛いね   

                 高山 宇 (赤鬼)


【関連特許最新技術】
5. 特開2022-158973 表示装置、表示モジュール、電子機器、及び、表示
装置の作製方法 株式会社半導体エネルギー研究所

【0120】
  絶縁層125は、無機材料を有する絶縁層とすることができる。絶縁層1
25には、例えば、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、及び窒化酸
化絶縁膜などの無機絶縁膜を用いることができる。絶縁層125は単層構造
であってもよく積層構造であってもよい。酸化絶縁膜としては、酸化シリコ
ン膜、酸化アルミニウム膜、酸化マグネシウム膜、インジウムガリウム亜鉛
酸化物膜、酸化ガリウム膜、酸化ゲルマニウム膜、酸化イットリウム膜、酸
化ジルコニウム膜、酸化ランタン膜、酸化ネオジム膜、酸化ハフニウム膜、
及び酸化タンタル膜などが挙げられる。窒化絶縁膜としては、窒化シリコン
膜及び窒化アルミニウム膜などが挙げられる。酸化窒化絶縁膜としては、酸
化窒化シリコン膜、酸化窒化アルミニウム膜などが挙げられる。窒化酸化絶
縁膜としては、窒化酸化シリコン膜、窒化酸化アルミニウム膜などが挙げら
れる。特に、酸化アルミニウムは、エッチングにおいて、EL層との選択比
が高く、後述する絶縁層127の形成において、EL層を保護する機能を有
するため、好ましい。特にALD法により形成した酸化アルミニウム膜、酸
化ハフニウム膜、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を絶縁
層125に適用することで、ピンホールが少なく、EL層を保護する機能に
優れた絶縁層125を形成することができる。また、絶縁層125として、
無機材料を用いて積層膜の構成とする場合、酸化アルミニウム膜と、窒化シ
リコン膜との積層構造などを用いると好適である。
【0121】なお、本明細書などにおいて、酸化窒化物とは、その組成とし
て、窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化物とは、その組成
として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を指す。例えば、酸化窒化シリ
コンと記載した場合は、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料
を指し、窒化酸化シリコンと記載した場合は、その組成として、酸素よりも
窒素の含有量が多い材料を示す。
【0122】絶縁層125の形成は、スパッタリング法、CVD法、パルス
レーザー堆積(PLD:Pulsed  Laser  Deposition)
法、ALD法などを用いることができる。絶縁層125は、被覆性が良好な
ALD法を用いて形成することが好ましい。
【0123】絶縁層125上に設けられる絶縁層127は、隣接する発光デ
バイス間に形成された絶縁層125の凹部を平坦化する機能を有する。換言
すると、絶縁層127を有することで共通電極115の形成面の平坦性を向
上させる効果を奏する。絶縁層127としては、有機材料を有する絶縁層を
好適に用いることができる。例えば、絶縁層127として、アクリル樹脂、
ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド
アミド樹脂、シリコーン樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、
フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等を適用することができる。また、
絶縁層127として、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラ
ル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、プ
ルラン、水溶性のセルロース、またはアルコール可溶性のポリアミド樹脂な
どの有機材料を用いてもよい。また、絶縁層127として、感光性の樹脂を
用いることができる。感光性の樹脂としてはフォトレジストを用いてもよい。
感光性の樹脂は、ポジ型の材料、またはネガ型の材料を用いることができる。
【0124】絶縁層127の上面の高さと、第1の層113a、第2の層1
13b、及び、第3の層113cのいずれかの上面の高さとの差が、例えば、
絶縁層127の厚さの0.5倍以下が好ましく、0.3倍以下がより好まし
い。また例えば、第1の層113a、第2の層113b、及び、第3の層1
13cのいずれかの上面が絶縁層127の上面よりも高くなるように、絶縁
層127を設けてもよい。また、例えば、絶縁層127の上面が、第1の層
113a、第2の層113b、または、第3の層113cが有する発光層の
上面よりも高くなるように、絶縁層127を設けてもよい。
【0125】なお、絶縁層127を設けることによって、島状に形成された
EL層の少なくとも一部の層が、キャリア注入層または共通電極と接するこ
とを抑制することができる。したがって、発光デバイスのショートを抑制し、
発光デバイスの信頼性を高めることができる。また、絶縁層127を設ける
ことで、隣り合う島状のEL層の間を埋めることができるため、島状のEL
層上に設ける層(キャリア注入層、共通電極など)の被形成面の凹凸を低減
し、より平坦にすることができる。したがって、キャリア注入層または共通
電極の被形成面に対する被覆性を高めることができる。
【0126】また、絶縁層127は、外部引き出し端子部(例えば、後述す
る表示部の外側の接続部140など)と同時に形成することが可能であるた
め、製造プロセスを増加させることなく形成することが可能である。また、
絶縁層127を設けることによって、膜剥がれを防止する効果を奏する。具
体的には、有機層(例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、
及び電子注入層の中から選ばれるいずれか一または複数)と、絶縁層125
と、を接して設けることができるため、絶縁層127を設けない構成と比較
して、有機層と、絶縁層125と、の密着性を高めることができる。
【0127】なお、絶縁層127として、感光性の有機樹脂膜を用い、絶縁
層125として、ALD法により形成した酸化アルミニウム膜を用いる構成
とすることで、感光性の有機樹脂膜と、EL層の側面とが直接接しない構成
とすることができる。例えば、EL層の側面と、感光性の有機樹脂膜とが、
直接接する構成の場合、感光性の有機樹脂膜に含まれうる有機溶媒などがE
L層の側面にダメージを与える可能性がある。一方で本発明の一態様の構成
においては、EL層の側面は、上記ALD法により形成した酸化アルミニウ
ム膜により覆われた構成となるため、感光性の有機樹脂膜に含まれうる有機
溶媒がEL層の側面に直接接しない構成とすることができる。
【0128】発光デバイス130a、130b、130c上に保護層131、
132を有することが好ましい。保護層131、132を設けることで、発
光デバイスの信頼性を高めることができる。
【0129】保護層131、132の導電性は問わない。保護層131、1
32としては、絶縁膜、半導体膜、及び、導電膜の少なくとも一種を用いる
ことができる。

【0130】保護層131、132が無機膜を有することで、共通電極11
5の酸化を防止する、発光デバイス130a、130b、130cに不純物
(水分、酸素など)が入り込むことを抑制する、など、発光デバイスの劣化
を抑制し、表示装置の信頼性を高めることができる。
【0131】保護層131、132には、例えば、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、
酸化窒化絶縁膜、及び窒化酸化絶縁膜などの無機絶縁膜を用いることができ
る。酸化絶縁膜としては、酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ガリ
ウム膜、酸化ゲルマニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、
酸化ランタン膜、酸化ネオジム膜、酸化ハフニウム膜、及び酸化タンタル膜
などが挙げられる。窒化絶縁膜としては、窒化シリコン膜及び窒化アルミニ
ウム膜などが挙げられる。酸化窒化絶縁膜としては、酸化窒化シリコン膜、
酸化窒化アルミニウム膜などが挙げられる。窒化酸化絶縁膜としては、窒化
酸化シリコン膜、窒化酸化アルミニウム膜などが挙げられる。
【0132】保護層131、132は、それぞれ、窒化絶縁膜または窒化酸
化絶縁膜を有することが好ましく、窒化絶縁膜を有することがより好ましい。
【0133】また、保護層131、132には、In-Sn酸化物(ITO
ともいう)、In-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、Al-Zn酸化物、ま
たはインジウムガリウム亜鉛酸化物(In-Ga-Zn酸化物、IGZOと
もいう)などを含む無機膜を用いることもできる。当該無機膜は、高抵抗で
あることが好ましく、具体的には、共通電極115よりも高抵抗であること
が好ましい。当該無機膜は、さらに窒素を含んでいてもよい。
【0134】発光デバイスの発光を、保護層131、132を介して取り出
す場合、保護層131、132は、可視光に対する透過性が高いことが好ま
しい。例えば、ITO、IGZO、及び、酸化アルミニウムは、それぞれ、
可視光に対する透過性が高い無機材料であるため、好ましい。
【0135】保護層131、132としては、例えば、酸化アルミニウム膜
と、酸化アルミニウム膜上の窒化シリコン膜と、の積層構造、または、酸化
アルミニウム膜と、酸化アルミニウム膜上のIGZO膜と、の積層構造など
を用いることができる。当該積層構造を用いることで、EL層側に入り込む
不純物(水、酸素など)を抑制することができる。
【0136】さらに、保護層131、132は、有機膜を有していてもよい。
例えば、保護層132は、有機膜と無機膜の双方を有していてもよい。
【0137】保護層131と保護層132とで異なる成膜方法を用いてもよ
い。具体的には、ALD法を用いて保護層131を形成し、スパッタリング
法を用いて保護層132を形成してもよい。
【0138】保護層132上には、色変換層129(色変換層129a、及
び色変換層129b)が設けられる。色変換層129aは発光デバイス13
0aと重なる領域を有し、色変換層129bは発光デバイス130bと重な
る領域を有する。色変換層129a、129bは、少なくともそれぞれの発
光デバイス130が有する発光層と重なる領域を有する。
【0139】色変換層129は、発光デバイス130が呈する光を、異なる
波長の光へ変換する機能を有する。また、色変換層129a及び色変換層1
29bは、互いに異なる色の光へ変換する機能を有する。例えば、色変換層
129aは、発光デバイス130aの呈した青色の光を赤色の光へと変換す
る機能を有し、色変換層129bは、発光デバイス130bの呈した青色の
光を緑色の光へと変換する機能を有する。色変換層を有さない副画素110
cでは、発光デバイス130cの呈した青色の光が取り出される。これによ
り、表示装置100は、フルカラー表示を行うことができる。

【0140】色変換層129としては、蛍光体、量子ドットなどを用いるこ
とができる。特に、色変換層129として、量子ドットを用いることが好ま
しい。量子ドットを用いることで、色変換層129は発光スペクトルの半値
幅が狭い、鮮やかな色の光を呈することができる。また、表示装置の色再現
性を高めることができる。
【0141】量子ドットを構成する材料としては、特に限定は無く、例えば、
第14族元素、第15族元素、第16族元素、複数の第14族元素からなる
化合物、第4族から第14族に属する元素と第16族元素との化合物、第2
族元素と第16族元素との化合物、第13族元素と第15族元素との化合物
、第13族元素と第17族元素との化合物、第14族元素と第15族元素と
の化合物、第11族元素と第17族元素との化合物、酸化鉄類、酸化チタン
類、カルコゲナイドスピネル類、各種半導体クラスターなどが挙げられる。
【0142】具体的には、セレン化カドミウム、硫化カドミウム、テルル化
カドミウム、セレン化亜鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛、テルル化亜鉛、硫化水銀、
セレン化水銀、テルル化水銀、砒化インジウム、リン化インジウム、砒化ガ
リウム、リン化ガリウム、窒化インジウム、窒化ガリウム、アンチモン化イ
ンジウム、アンチモン化ガリウム、リン化アルミニウム、砒化アルミニウム、
アンチモン化アルミニウム、セレン化鉛、テルル化鉛、硫化鉛、セレン化イ
ンジウム、テルル化インジウム、硫化インジウム、セレン化ガリウム、硫化
砒素、セレン化砒素、テルル化砒素、硫化アンチモン、セレン化アンチモン、
テルル化アンチモン、硫化ビスマス、セレン化ビスマス、テルル化ビスマス、
ケイ素、炭化ケイ素、ゲルマニウム、錫、セレン、テルル、ホウ素、炭素、
リン、窒化ホウ素、リン化ホウ素、砒化ホウ素、窒化アルミニウム、硫化ア
ルミニウム、硫化バリウム、セレン化バリウム、テルル化バリウム、硫化カ
ルシウム、セレン化カルシウム、テルル化カルシウム、硫化ベリリウム、セ
レン化ベリリウム、テルル化ベリリウム、硫化マグネシウム、セレン化マグ
ネシウム、硫化ゲルマニウム、セレン化ゲルマニウム、テルル化ゲルマニウ
ム、硫化錫、セレン化錫、テルル化錫、酸化鉛、フッ化銅、塩化銅、臭化銅、
ヨウ化銅、酸化銅、セレン化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、硫化コバル
ト、酸化鉄、硫化鉄、酸化マンガン、硫化モリブデン、酸化バナジウム、酸
化タングステン、酸化タンタル、酸化チタン、酸化ジルコニウム、窒化ケイ
素、窒化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、セレンと亜
鉛とカドミウムの化合物、インジウムと砒素とリンの化合物、カドミウムと
セレンと硫黄の化合物、カドミウムとセレンとテルルの化合物、インジウム
とガリウムと砒素の化合物、インジウムとガリウムとセレンの化合物、イン
ジウムとセレンと硫黄の化合物、銅とインジウムと硫黄の化合物、及びこれ
らの組み合わせなどが挙げられる。また、組成が任意の比率で表される、い
わゆる合金型量子ドットを用いてもよい。
【0143】量子ドットの構造としては、コア型、コア-シェル型、コア-
マルチシェル型などが挙げられる。また、量子ドットは、表面原子の割合が
高いことから、反応性が高く、凝集が起こりやすい。そのため、量子ドット
の表面には保護剤が付着している又は保護基が設けられていることが好まし
い。当該保護剤が付着している又は保護基が設けられていることによって、
凝集を防ぎ、溶媒への溶解性を高めることができる。また、反応性を低減さ
せ、電気的安定性を向上させることも可能である。
【0144】量子ドットは、サイズが小さくなるに従いバンドギャップが大
きくなるため、所望の波長の光が得られるように、そのサイズを適宜調整す
る。結晶のサイズが小さくなるにつれて、量子ドットの発光は青色側へ、つ
まり、高エネルギー側へシフトするため、量子ドットのサイズを変更させる
ことにより、紫外領域、可視領域、赤外領域のスペクトルの波長領域にわた
って、その発光波長を調整することができる。量子ドットのサイズ(直径)
は、例えば、0.5nm以上20nm以下、好ましくは1nm以上10nm
以下である。量子ドットはそのサイズ分布が狭いほど、発光スペクトルがよ
り狭線化し、色純度の良好な発光を得ることができる。また、量子ドットの
形状は特に限定されず、球状、棒状、円盤状、その他の形状であってもよい。
棒状の量子ドットである量子ロッドは、指向性を有する光を呈する機能を有
する。
【0145】また、蛍光体を構成する材料としては、特に限定は無く、無機
蛍光体または有機蛍光体を用いることができる。例えば、希土類元素、アル
カリ金属元素、アルカリ土類金属元素、その他の金属元素若しくは半金属元
素などを用いて構成することができる。また、非金属元素として、例えば酸
素、窒素、硫黄、炭素、水素、ハロゲン元素などを含んでいても良い。
【0146】無機蛍光体としては、Eu(ユーロピウム)、Ce(セリウム
)、Y(イットリウム)、Al(アルミニウム)、Ba(バリウム)、Mg
(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)、Tb(テ
ルビウム)、Sr(ストロンチウム)、Lu(ルテチウム)、Pr(プラセ
オジム)、Gd(ガドリニウム)、Si(ケイ素)等を含むものが挙げられる。
【0147】具体的には、青色蛍光体として、例えば、BaMgAl10
:Eu2+、CaMgSi:Eu2+、BaMgSi:Eu2+
Sr10(POCl:Eu2+などを用いることができる。
【0148】また、緑青又は青緑色蛍光体として、例えば、SrSi
Cl:Eu2+、SrAl1424:Eu2+、BaAl13:Eu2+
BaSiO:Eu2+、BaZrSi:Eu2+、CaYZr
AlO:Ce3+、CaYHf(AlO:Ce3+、Ca
Zr(AlO:Ce3+,Tb3+を用いることができる。
【0149】また、緑色蛍光体として、例えば、(Ba,Sr)SiO
:Eu2+、CaMg(SiOCl:Eu2+、CaMg(Si
Cl:Eu2+,Mn2+、BaMgAl1017:Eu2+
Mn2+、CeMgAl1119:Mn2+、YAl(AlO
Ce3+、LuAl(AlO:Ce3+、YGa(AlO
:Ce3+、CaScSi12:Ce3+、CaSc:Ce3+
、β-Si:Eu2+、SrSi:Eu2+、BaSi
12:Eu2+、SrSi13Al21:Eu2+、YTbSi
C:Ce3+、SrGa:Eu2+、CaLaZr(AlO
:Ce3+、CaTbZr(AlO:Ce3+、CaTbZr
(AlO:Ce3+,Pr3+、ZnSiO:Mn2+、MgGa
:Mn2+、LaPO:Ce3+,Tb3+、YSiO:Ce3+
CeMgAl1119:Tb3+、GdMgB10:Ce3+,Tb3+
を用いることができる。
【0150】また、黄又は橙色蛍光体として、例えば、(Sr,Ba)Si
:Eu2+、(Y,Gd)Al12:Ce3+、α-Ca-SiAl
ON:Eu2+、YSiC:Ce3+、LaSi11:Ce3+
MgAl(AlO(SiO):Ce3+を用いることができる。
また、赤色蛍光体としては、例えば、SrSi:Eu2+、CaAl
SiN:Eu2+、SrAlSi:Eu2+、CaS:Eu2+、La
S:Eu3+、YMg(AlO)(SiO:Ce3+、Y
:Eu3+、YS:Eu3+、Y(P,V)O:Eu3+、YVO
、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn4+、KSiF
Mn4+、GdMgB10:Ce3+,Mn2+を用いることができる。
【0148】
  また、緑青又は青緑色蛍光体として、例えば、SrSiCl
Eu2+、SrAl1424:Eu2+、BaAl13:Eu2+
BaSiO:Eu2+、BaZrSi:Eu2+、CaYZr
(AlO:Ce3+、CaYHf(AlO:Ce3+、Ca
YZr(AlO:Ce3+,Tb3+を用いることができる。
【0149】また、緑色蛍光体として、例えば、(Ba,Sr)SiO
:Eu2+、CaMg(SiOCl:Eu2+、CaMg(Si
Cl:Eu2+,Mn2+、BaMgAl1017:Eu2+
Mn2+、CeMgAl1119:Mn2+、YAl(AlO
Ce3+、LuAl(AlO:Ce3+、YGa(AlO
:Ce3+、CaScSi12:Ce3+、CaSc:Ce3+
β-Si:Eu2+、SrSi:Eu2+、BaSi12
:Eu2+、SrSi13Al21:Eu2+、YTbSi
C:Ce3+、SrGa:Eu2+、CaLaZr(AlO
Ce3+、CaTbZr(AlO:Ce3+、CaTbZr(Al
:Ce3+,Pr3+、ZnSiO:Mn2+、MgGa
Mn2+、LaPO:Ce3+,Tb3+、YSiO:Ce3+、CeMg
Al1119:Tb3+、GdMgB10:Ce3+,Tb3+を用いる
ことができる。
【0150】
  また、黄又は橙色蛍光体として、例えば、(Sr,Ba)SiO:Eu2+
(Y,Gd)Al12:Ce3+、α-Ca-SiAlON:Eu2+
SiC:Ce3+、LaSi11:Ce3+、YMgAl
(AlO(SiO):Ce3+を用いることができる。また、赤色蛍
光体としては、例えば、SrSi:Eu2+、CaAlSiN
Eu2+、SrAlSi:Eu2+、CaS:Eu2+、LaS:
Eu3+、YMg(AlO)(SiO:Ce3+、Y:Eu3+
、YS:Eu3+、Y(P,V)O:Eu3+、YVO:Eu3+
3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn4+、KSiF:Mn4+
GdMgB10:Ce3+,Mn2+を用いることができる。
【0151】  また、有機蛍光体としては下記の材料を用いることができる。
【0152】  赤色蛍光体としては、ブレンステッド酸等のアニオン、β-ジ
ケトネート、β-ジケトン、又は、芳香族カルボン酸を配位子とする希土類
元素イオン錯体が挙げられる。その他、ペリレン系顔料(例えば、ジベンゾ
{[f,f’]-4,4’,7,7’-テトラフェニル}ジインデノ[1,2,
3-cd:1’,2’,3’-lm]ペリレン)、アントラキノン系顔料、レー
キ系顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラセン系顔料、イソイ
ンドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、フタロシアニン系顔料、トリフ
ェニルメタン系塩基性染料、インダンスロン系顔料、インドフェノール系顔
料、シアニン系顔料、または、ジオキサジン系顔料が挙げられる。
【0153】緑色蛍光体としては、ピリジン-フタルイミド縮合誘導体、ベ
ンゾオキサジノン系、キナゾリノン系、クマリン系、キノフタロン系、ナフ
タル酸イミド系等の蛍光色素、ヘキシルサリチレートを配位子として有する
テルビウム錯体等が挙げられる。
【0154】青色蛍光体としては、ナフタル酸イミド系、ベンゾオキサゾー
ル系、スチリル系、クマリン系、ピラゾリン系、トリアゾール系化合物の蛍
光色素、ツリウム錯体等が挙げられる。
【0155】なお、上記蛍光体は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上
を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。上記の蛍光体を組み合わせ
ることで、白色、シアン、マゼンタ、イエローなど様々な色を呈することが
できる。
【0156】ここで、隣接する色変換層129は、互いに重なる領域を有す
ることが好ましい。具体的には、色変換層129の発光デバイス130と重
ならない領域において、隣接する色変換層129と重なる領域を有すること
が好ましい。それぞれ異なる色の光を透過する色変換層129が重なること
で、色変換層129が重なる領域において、色変換層129を遮光層として
機能させることができる。よって、発光デバイス130が発する光が隣接す
る副画素に漏れることを抑制できる。例えば、色変換層129aと重なる発
光デバイス130aが発する光が、色変換層129bに入射されることを抑
制できる。よって、表示装置に表示される画像のコントラストを高めること
ができ、表示品位の高い表示装置を実現できる。
【0157】なお、隣接する色変換層129が重なる領域を有さなくてもよ
い。この場合、色変換層129と、発光デバイス130と、が重ならない領
域に、遮光層を設けることが好ましい。遮光層は、例えば基板120の樹脂
層122側の面に設けることができる。また、色変換層129を、基板120
の樹脂層122側の面に設けてもよい。
【0158】また、保護層132上に色変換層129を形成することで、基
板120上に色変換層129を形成する場合に比べて、各発光デバイス130
と各色変換層129との位置合わせが容易であり、極めて高精細な表示装置
を実現できる。
【0159】本明細書等において、。また、本明細書等
メタルマスク、また
はFMM(ファイン
メタルマスク、高精細なメタルマスク)を用いて作製さ
れるデバイスをMM
(メタルマスク)構造のデバイスと呼称する場合がある

において、メタルマスク、またはFMMを用いることなく作製されるデバイ
スをMML(メタルマスクレス)構造のデバイスと呼称する場合がある。

【0160】また、本明細書等において、青色光を発することのできる発光
デバイスを青色発光デバイスと呼ぶ場合がある。上記のように、青色発光デ
バイスは、色変換層(たとえば、量子ドット)と組み合わせることで、フル
カラー表示の表示装置を実現することができる
【0161】また、発光デバイスは、シングル構造と、タンデム構造とに大
別すること
ができる。シングル構造のデバイスは、一対の電極間に1つの発
光ユニットを有し、当該発光ユニットは、1以上の発光層を含む構成とする
ことが好ましい。青色発光を得るには1以上の青色を呈する発光層を有する
構成としてもよいし、青色以外の発光を呈する発光層を複数積層させて、発
光デバイス全体として青色発光する構成としてもよい。または、1以上の青
色を呈する発光層と、複数の青色以外を呈する発光層とを積層させて、発光
デバイス全体として青色発光する構成とすることもできる。
【0162】タンデム構造のデバイスは、一対の電極間に複数の発光ユニッ
トを有し、各発光ユニットは、1以上の発光層を含む構成とすることが好ま
しい。青色発光を得るには、複数の発光ユニットの発光層からの光を合わせ
て青色発光が得られる構成とすればよい。なお、青色発光が得られる構成に
ついては、シングル構造の構成と同様である。なお、タンデム構造のデバイ
スにおいて、複数の発光ユニットの間には、電荷発生層などの中間層を設け
ると好適である
【0163】また、上述の青色発光デバイス(シングル構造またはタンデム
構造)は、各色の発光デバイスを作り分ける構造(以下、SBS(Side  
By  Side)構造と呼ぶ場合がある。)と比較して、製造プロセスが簡単
であるため、製造コストを低くすることができる、又は製造歩留まりを高く
することができるため、好適である。
                            この項つづく
------------------------------------------------------------------------------------
🎈『即解:タフで綺麗なOLED』

BenQのモニターが日本で浸透しつつある。イメージ的には、バックライト
によって、「表示映像の白黒映像のようなもの」をリアルタイム生成して、
その光を液晶パネルに照射すれば、映像の黒い箇所は漆黒に近づき、明所は
より明るくなって、映像全体のコントラスト感も増強される……そんな効果
を狙ったのだ。
 ちなみに、この「表示映像の白黒映像のようなもの」を作
り出すLEDバックライト駆動を「エリア駆動」とか「ローカルディミング」
と呼ぶ。


最初期の直下型バックライトシステムでは、液晶パネルの背後に配置した光
源LEDの密度が100個以下と低かったが、今では総LED数が4桁にも昇る「ミ
ニLED世代」に到達。 LEDチップはかなり微細化され、遠目に見れば、ほぼ
「表示映像の白黒映像そのもの」として液晶パネルに照射できるようになっ
たのである。
「量子ドット」(Quantum Dot)とは、入射してきた光を別の波
長(色)の光に変換可能な、ナノメートルサイズの半導体結晶物質のこと。も
ともとは太陽光発電において白色の太陽光に対する光電効果の効率向上のた
めに実用化されたのが始まりで、映像分野での活用が進んだのはここ10年く
らい。
 量子ドット部材としては、インジウム、燐、亜鉛、硫黄、セシウム、
臭素、ヨウ素など、さまざまな元素を組み合わせたレシピが開発されている。
なぜ量子(Quantum)の名が出てくるのかというと、光の波長変換を量子力学
レベルで行なうため……と説明されることが多い。
 液晶モニターでは、バ
ックライトの光源としては青色の単色で発光するミニLEDが用いられ、三原
色の赤緑青のうち、青については、この高純度な青色光をそのまま活用。赤
色と緑色についてはそれぞれ、“赤”量子ドット、“緑”量子ドットにぶつけて
取り出すことになる。

量子ドット技術を採用することのメリットは2つあり、1つは赤緑青の純色表
現が鮮烈となること。
中堅クラスまでの液晶モニターのバックライトには、白色LEDが採用されて
おり、その白色LEDが青色LEDに黄色蛍光体(あるいは赤緑蛍光体)を組み合わ
せて白色光を合成しており、青色は高純度だが、赤色と緑色は雑味の強い色
になってしまっている。つまり、純色の赤色が重要なマグマ、夕焼け、炎や
純色の緑色が重要な草木、草花、昆虫や両生類などの表現はやや不得意なの
だ。

 量子ドット技術の2つ目のメリットは、赤緑青の混色表現においてダイナミ
ックレンジが広くなること(≒色深度が深くなること)。 前出の白色LEDでは、
赤と緑の純色に雑味があることから、赤と緑の混色、すなわち黄色成分の強
い色彩表現が苦手となるのだ。
まとめると、量子ドット技術を活用すると「
三原色すべての色純度が高い」、「理想的な混色が得られて特に肌色の表現
が良好」ということになる。


徹底解説! 新世代テレビの本命「有機EL」パネル方式の種類
(2018年5月3日:https://kakakumag.com/av-kaden/?id=12151)

製造方式=「蒸着方式」または「印刷方式」そして「製造」に関わる方式と
しては、「蒸着方式」と「印刷方式」の2種類がある。
「蒸着方式」は、有
機EL素材を蒸発させ、基板表面に付着させるもの。真空状態を作り出す装置
が必要で、画面サイズが大きくなるほど装置も大型化する必要があるが、ナ
ノレベルの薄膜を比較的高速で作ることができる。
いっぽうの「印刷方式」
は、インクジェットプリンターの要領で、有機EL素材を基板に印刷するもの。
必要な部分に必要な量だけ印刷するので素材のムダが少なく、真空環境が不
要なので、製造装置が比較的シンプルで費用も抑えられるメリットがある。
過去、有機EL
素材をインク化するのが難しく、実用化や製品化に時間を要し
た。「
発光方式」×「製造方式」のかけ合わせが、有機ELテレビ量産化の道
を分けた

技術的には「発光方式」と「製造方式」のかけ合わせは自由。その時点の技
術や製造効率で、もっとも適した組み合わせが選択されることになる。

・「RGB方式」×「蒸着方式」
・「RGB方式」×「印刷方式」
・「カラーフィルター方式」×「蒸着方式」
・「カラーフィルター方式」×「印刷方式」

スマートフォンなどの小画面有機ELパネルは、「RGB方式×蒸着方式」が主
流。「蒸着方式」はスマホで先行して実績があるものの、製造工程が複雑な
ため、テレビのような大型パネルには適用が難しい。
その昔、テレビ用とし
ては、「カラーフィルター方式×蒸着方式」と「RGB方式×印刷方式」が有
力候補と考えられた。そして、開発の前提としてどちらを選択するかが、そ
の後の明暗を分けることになった。
LGは早期の量産化を重視し、製造工程が
シンプルで大画面にも向く「カラーフィルター方式×蒸着方式」を採用し、
現在に至っている。先見の明と着実な技術開発により、成功を収めたと言っ
てよいだろう。
「カラーフィルター×蒸着方式」を採用するLGの有機ELテレビ(2018年モデル)
「カラーフィルター×蒸着方式」を採用するLGの有機ELテレビ(2018年モデル)

パナソニックやソニーは元々、画質とコストの両面で将来性を見込み、
「RGB方式×印刷方式」=「RGB印刷方式」を選択したが、量産化に時間が
かかってしまった。新技術がゆえに難易度が高かったこともあるが、言い換
えれば生産体制をスピーディーに確立する資金が不足していたことも背景に
ある。
そんな経緯を経て、産業革新機構を中核にパナソニックとソニーの有機EL
技術を統合して効率化を図るJOLEDの存在が、出遅れた「RGB印刷方式」の
実用化と普及に寄与するのは間違いないだろう。実際に「RGB印刷方式」に
よる有機ELディスプレイの出荷がスタートしたことで、各方面で期待が高ま
っているのだ。
「RGB印刷方式」が、“第2世代有機EL”の時代を切り拓く?
ようやく量産化のメドが立った「RGB印刷方式」の有機ELパネルがテレビに
採用されたら、ユーザーにどのようなメリットをもたらすのだろうか? 筆者
の期待も含めて今後の展望を考えてみた。

▼10~40型の有機ELテレビの登場!
有機ELテレビといえば、55型以上の大型サイズがメインだ。これは現在の
「蒸着方式」のコストを含む技術的制約によるものと思われる。いっぽうの
「RGB印刷方式」は、原理的に幅広い画面サイズに対応できる。
JOLEDは、
2017年末に21.6型の4Kパネルの出荷を開始したが、これは「蒸着方式」で
製造が難しいサイズに狙いを定め、新しい用途と市場を創造するという戦略
だろう。すでにASUSがPCモニターとして、ソニーが医療用モニターとして
製品化を発表している。家庭用テレビとしても、手頃なサイズの高画質有機
ELが登場すれば、高価格でも注目を集めるに違いない。

JOLEDのRGB印刷方式による有機ELパネルを採用したASUSのプロフェッショナルモニター「ProArt PQ22UC」

JOLEDのRGB印刷方式による有機ELパネルを採用したASUSのプロフェッショナルモニター
「ProArt PQ22UC」

JOLEDでは、製造設備が整ってコスト競争力が付けば40型以上の大画面へ、
高精細印刷技術が確立すれば5~10インチサイズでタブレットやノートPC用
途にも進出する計画があるというから、今後が楽しみだ。

▼超大画面有機ELも実現?
真空設備が不要な印刷方式なら、100インチ超の大型ディスプレイも期待
できる。ロール・ツ-・ロール(Role to Role)と呼ばれる、トイレットペ
ーパーのように巻き取りながら連続で印刷する方式なら、実質、長さの制約
はないので200インチクラスも不可能ではない。「印刷方式」が軌道に乗れ
ば、家庭でも、壁一面を有機EL映像が覆うような大画面を楽しめるようにな
るかもしれない。
▼さらなる高画質化・低消費電力化・低価格化に期待
現在、家庭用のテレビといえば、32~60型が主流。「RGB印刷方式」なら技
術的には対応可能なサイズだ。「カラーフィルター方式×蒸着方式」と比べ
ると、RGB発光により色純度が高く広色域な色再現が得られ、また、フィル
ターを用いないので光の利用効率が高まるため、高輝度化および高コントラ
スト化と低消費電力化の両立が期待できる。

当面、高価で用途が医療用や映像のプロフェッショナル用途に限定されそう
だが、製造設備が整って量産化が進めば、「蒸着方式」に比べて有機EL素材
のロスが少ないことや、製造がシンプルで効率的という長所が生き、低コス
ト化も期待できる。

有機ELのパネル構造は、バックライトや偏光板を必要とする液晶に比べて
も格段にシンプル。言い換えれば、いずれ液晶テレビよりも安価になる可能
性を秘めている。JOLEDの「RGB印刷方式」による有機ELパネル実用化は、
先述の通り、あらゆる面で将来性が期待できるため注目されている。
もちろ
んJOLEDの「RGB印刷方式」が躍進すれば、ほかの有機EL方式や、「マイク
ロLED」
といった他方式の開発と切磋琢磨して、各方面でさらなる発展も期
待できる。2020年のスポーツ観戦は、「RGB印刷方式」の有機ELか、それ
とももっと新しいデバイスか。高画質での観戦に期待が高まる。

今日の言葉:もう早師走😊






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エネルギーと環境75

2024年12月12日 | 光電融合デバイス事業

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-

【季語と短歌:12月12日】

 

         浮寢鳥数だけ別れし雪伊吹   

                 高山 宇 (赤鬼)

 

【関連特許最新技術】
5. 特開2022-158973 表示装置、表示モジュール、電子機器、及び、表
示装置の作製方法 株式会社半導体エネルギー研究所

【発明を実施するための形態】
【0036】(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置とその作製方法について図
1乃至図13を用いて説明する。


図13(A)乃至図13(F)は、表示装置の作製方法の一例を示す断面図

【0040】各画素の発光デバイスを、青色発光の有機ELデバイスで形
成する場合、各画素において、発光層の塗分けを行う必要がない。よって、
発光デバイスに含まれる画素電極以外の層(例えば発光層など)を、各画
素で共通にすることができる。しかしながら、発光デバイスに含まれる層
には、比較的導電性が高い層もあり、導電性が高い層が各画素で共通で設
けられることで、画素間にリーク電流が発生する場合がある。特に、表示
装置が高精細化または高開口率化され、画素間の距離が小さくなると、当
該リーク電流は無視できない大きさになり、表示装置の表示品位の低下な
どを引き起こす恐れがある。そこで、本発明の一態様に係る表示装置では、
各画素において、発光デバイスの少なくとも一部を島状に形成することで、
表示装置の高精細化と高信頼性化を図る。ここで、当該発光デバイスの島
状に形成する部分には、発光層を含むものとする。
【0041】なお、本明細書等において、島状とは、同一工程で形成され
た同一材料を用いた2以上の層が、物理的に分離されている状態であるこ
とを示す。例えば、島状の発光層とは、当該発光層と、隣接する発光層と
が、物理的に分離されている状態であることを示す。
【0042】例えば、メタルマスク(シャドーマスクともいう)を用いた
真空蒸着法により、島状の発光層を成膜することができる。しかし、この
方法では、メタルマスクの寸法精度、メタルマスクと基板との位置ずれ、
メタルマスクのたわみ、及び蒸気の散乱などによる成膜される膜の輪郭の
広がりなど、様々な影響により、島状の発光層の形状及び位置に設計から
のずれが生じるため、表示装置の高精細化、及び高開口率化が困難である。
また、蒸着の際に、層の輪郭がぼやけて、端部の厚さが薄くなることがあ
る。つまり、島状の発光層は場所によって厚さにばらつきが生じることが
ある。また、大型、高解像度、または高精細な表示装置を作製する場合、
メタルマスクの寸法精度の低さ、及び、熱等による変形により、製造歩留
まりが低くなる懸念がある

【0043】本発明の一態様の表示装置の作製方法では、島状の画素電極
(下部電極ともいえる)を形成し、画素電極の端部を覆う絶縁層を形成し
た後、発光層を含む層(EL層、またはEL層の一部、ということができ
る)を一面に形成し、EL層上に犠牲層(マスク層ともいう)を形成する。
そして、犠牲層上にレジストマスクを形成し、レジストマスクを用いて、
EL層と犠牲層を加工することで、島状の画素電極上に島状のEL層を形
成する。ここでEL層とは少なくとも発光層を含み、発光ユニットという
こともできる。
【0044】このように、本発明の一態様の表示装置の作製方法では、島
状のEL層は、メタルマスクのパターンによって形成されるのではなく、
EL層を一面に成膜した後に加工することで形成される。したがって、こ
れまで実現が困難であった高精細な表示装置または高開口率の表示装置を
実現することができる。また、EL層上に犠牲層を設けることで、表示装
置の作製工程中にEL層が受けるダメージを低減し、発光デバイスの信頼
性を高めることができる。

【0045】 隣り合う発光デバイスの間隔について、例えばメタルマスク
を用いた形成方法では10μm未満にすることは困難であるが、上記方法
であれば、8μm以下、6μm以下、4μm以下、3μm以下、2μm以下、
または、1μm以下にまで狭めることができる。さらに、例えばLSI向
けの露光装置を用いることで、500nm以下、200nm以下、100
nm以下、さらには50nm以下にまで間隔を狭めることもできる。これ
により、2つの発光デバイス間に存在しうる非発光領域の面積を大幅に縮
小することができ、開口率を100%に近づけることが可能となる。例え
ば、開口率は、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、さら
には90%以上であって、100%未満を実現することもできる。

【0046】また、EL層自体のパターンについても、メタルマスクを用
いた場合に比べて極めて小さくすることができる。また、例えばEL層の
作り分けにメタルマスクを用いた場合では、パターンの中央と端で厚さの
ばらつきが生じるため、パターン全体の面積に対して、発光領域として使
用できる有効な面積は小さくなる。一方、上記作製方法では、均一な厚さ
に成膜した膜を加工することでパターンを形成するため、パターン内で厚
さを均一にでき、微細なパターンであっても、そのほぼ全域を発光領域と
して用いることができる。そのため、高い精細度と高い開口率を兼ね備え
た表示装置を作製することができる。
【0047】なお、青色光を発する発光デバイスにおいて、EL層を構成
する全ての層を島状に形成する必要はなく、一部の層は同一工程で成膜す
ることができる。本発明の一態様の表示装置の作製方法では、EL層を構
成する一部の層を画素ごとに島状に形成した後、犠牲層を除去し、EL層
を構成する残りの層(例えば、キャリア注入層など)と、共通電極(上部
電極ともいえる)と、を共通して形成することができる。
【0048】一方で、キャリア注入層は、発光デバイスの中では、比較的
導電性が高い層であることが多い。そのため、キャリア注入層が、島状の
EL層の側面に接することで、発光デバイスがショートする恐れがある。
なお、キャリア注入層を島状に設け、共通電極のみを発光デバイス間で共
通して形成する場合についても、共通電極と、島状のEL層の側面、また
は、画素電極の側面とが接することで、発光デバイスがショートする恐れ
がある。
【0049】そこで、本発明の一態様の表示装置は、島状のEL層(例え
ば発光層)の側面を覆う絶縁層と、画素電極の端部を覆う絶縁層と、を有
する。これにより、島状のEL層の少なくとも一部の層、及び画素電極が、
キャリア注入層または共通電極と接することを抑制できる。したがって、
発光デバイスのショートを抑制し、発光デバイスの信頼性を高めることが
できる。
【0050】本発明の一態様の表示装置は、陽極として機能する画素電極
と、画素電極上にこの順で設けられた、それぞれ島状の、正孔注入層、正
孔輸送層、発光層、及び、電子輸送層と、画素電極の端部を覆う絶縁層と、
正孔注入層、正孔輸送層、発光層、及び、電子輸送層のそれぞれの側面を
覆うように設けられた絶縁層と、電子輸送層上に設けられた電子注入層と、
電子注入層上に設けられ、陰極として機能する共通電極と、を有する。
【0051】または、本発明の一態様の表示装置は、陰極として機能する
画素電極と、画素電極上にこの順で設けられた、それぞれ島状の、電子注
入層、電子輸送層、発光層、及び、正孔輸送層と、画素電極の端部を覆う
絶縁層と、電子注入層、電子輸送層、発光層、及び、正孔輸送層のそれぞ
れの側面を覆うように設けられた絶縁層と、正孔輸送層上に設けられた正
孔注入層と、正孔注入層上に設けられ、陽極として機能する共通電極と、
を有する。
【0052】または、本発明の一態様の表示装置は、画素電極と、画素電
極上の第1の発光ユニットと、第1の発光ユニット上の中間層(電荷発生
層ともいう)と、中間層上の第2の発光ユニットと、画素電極の端部を覆
う絶縁層と、第1の発光ユニット、中間層、及び、第2の発光ユニットの
それぞれの側面を覆うように設けられた絶縁層と、第2の発光ユニット上
に設けられた共通電極と、を有する。なお、第2の発光ユニットと共通電
極との間に、各色の発光デバイスに共通の層が設けられていてもよい。
【0053】正孔注入層、電子注入層、または電荷発生層などは、EL層
の中では、比較的導電性が高い層であることが多い。本発明の一態様の表
示装置では、これらの層の側面が絶縁層で覆われるため、共通電極などと
接することを抑制することができる。したがって、発光デバイスのショー
トを抑制し、発光デバイスの信頼性を高めることができる。
【0054】また、本発明の一態様の表示装置は、各画素が有する発光デ
バイスがいずれも青色の光を呈し、色変換層によって異なる波長の光へと
変換することで、フルカラー化を達成している。従って、白色の光を呈す
る発光デバイスを作製する場合と比較して、成膜するEL層の層数や材料
の種類を削減することができるため、製造装置及び工程を簡素化して歩留
まりを向上させることができる。

【0055】このような構成とすることで、精細度または解像度が高く、
信頼性の高い、表示装置を作製することができる。例えばペンタイル方式
などの特殊な画素配列方式を適用し、疑似的に精細度を高める必要が無く、
1つの画素に3つ以上の副画素を用いた配列方法であっても、極めて高精
細な表示装置を実現できる。例えば、R、G、Bをそれぞれ一方向に配列
させた、いわゆるストライプ配置で、且つ、500ppi以上、1000
ppi以上、または2000ppi以上、さらには3000ppi以上、
さらには5000ppi以上の精細度の表示装置を実現することができる。
【0056】色変換層としては、蛍光体、または量子ドット(QD:Quー
antum  Dot)を用いることが好ましい。量子ドットは、発光スペク
トルのピーク幅が狭く、色純度のよい発光を得ることができる。これによ
り、表示装置の表示品位を高めることができる。
【0057】EL層などの側面を覆う絶縁層は、単層構造であってもよく
積層構造であってもよい。特に、2層構造の絶縁層を適用することが好ま
しい。例えば、絶縁層の1層目は、EL層に接して形成されるため、無機
絶縁材料を用いて形成することが好ましい。特に、成膜ダメージが小さい
原子層堆積(ALD:Atomic  Layer  Deposition)
法を用いて形成することが好ましい。そのほか、ALD法よりも成膜速度
が速い、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD:Chemical  
Vapor  Deposition)法、または、プラズマ化学気相堆積
(PECVD:Plasma  Enhanced  CVD)法を用いて無機
絶縁層を形成することが好ましい。これにより、信頼性の高い表示装置を
生産性高く作製することができる。また、絶縁層の2層目は、1層目の絶
縁層に形成された凹部を平坦化するように、有機材料を用いて形成するこ
とが好ましい。
【0058】例えば、絶縁層の1層目に、ALD法により形成した酸化ア
ルミニウム膜を用い、絶縁層の2層目に、感光性の有機樹脂膜を用いるこ
とができる。
【0059】また、単層構造の絶縁層を形成してもよい。例えば、無機材
料を用いた単層構造の絶縁層を形成することで、当該絶縁層をEL層の保
護絶縁層として用いることができる。これにより、表示装置の信頼性を高
めることができる。また、例えば、有機材料を用いた単層構造の絶縁層を
形成することで、隣り合うEL層の間を当該絶縁層で充填し、平坦化する
ことができる。これにより、EL層及び絶縁層上に形成する共通電極(上
部電極
 )の被覆性を高めることができる。
【0060】[表示装置の構成例1] 図1(A)及び図1(B)に、本発
明の一態様の表示装置を示す。
【0061】  図1(A)に表示装置100の上面図を示す。表示装置100
は、複数の画素110がマトリクス状に配置された表示部と、表示部の外
側の接続部140と、を有する。
【0062】図1では、副画素110aと副画素110bは、それぞれ発
光デバイス130a、130bに重畳して色変換層129a、129b(
以下、まとめて色変換層129と呼ぶ場合がある。)が設けられ、副画素
110cは色変換層を有さない構成を有している。例えば、色変換層12
9aは、青色の光を赤色の光に変換することができ、色変換層129bは
青色の光を緑色の光に変換することができる。これによって、副画素110a
では赤色の光が外部に取り出され、副画素110bでは緑色の光が外部に
取り出される。色変換層を有さない副画素110cでは、発光デバイス1
30cが呈した青色の光が取り出される。なお、副画素110a、110b、
110cの構成は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色に限られ
ず、例えば副画素110cに色変換層を設けて、黄色(Y)、シアン(C)、
及びマゼンタ(M)の3色の副画素などとしてもよい。
【0065】図1(B)に、図1(A)における一点鎖線X1-X2間
の断面図を示す。
【0066】図1(B)に示すように、表示装置100は、トランジスタ
(図示しない)を含む層101上に、発光デバイス130a、130b、
130cが設けられ、これらの発光デバイスを覆うように保護層131、
132が設けられている。保護層132上には、色変換層129a、129
bが設けられている。さらにその上に、樹脂層122によって基板120
が貼り合わされている。また、隣り合う発光デバイスの間の領域には、絶
縁層125と、絶縁層125上の絶縁層127と、が設けられている。
【0067】本発明の一態様の表示装置は、発光デバイスが形成されてい
る基板とは反対方向に光を射出する上面射出型(トップエミッション型)、
発光デバイスが形成されている基板側に光を射出する下面射出型(ボトム
エミッション型)、両面に光を射出する両面射出型(デュアルエミッショ
ン型)のいずれであってもよい。
【0068】層101には、例えば、基板に複数のトランジスタ(図示し
ない)が設けられ、これらのトランジスタを覆うように絶縁層が設けられ
た積層構造を適用することができる。層101は、隣り合う発光デバイス
の間に凹部を有していてもよい。例えば、層101の最表面に位置する絶
縁層に凹部が設けられていてもよい。層101の構成例は、実施の形態3、
4で後述する。
【0069】発光デバイス130a、130b、130cは、それぞれ、
(B)の光を発することが好ましい。発光デバイス130a、130b上
にそれぞれ異なる色の光に変換する機能を有する色変換層129a、12
9bを設け、発光デバイス130c上には色変換層を設けない構成とする
ことで、それぞれ異なる色の光を発する副画素110a、110b、11
0cを形成することができる。

【0070】 なお、本発明の一態様の表示装置に用いることが可能な発光
デバイス130a、130b、130cとしては青色の光を発する発光デ
バイスに限られず、例えば紫外光を発する発光デバイスを適用することも
できる。発光デバイス130a、130b、130cとして紫外光を発す
る発光デバイスを適用した場合には、発光デバイス130a、130b、
130cに重畳して、それぞれ異なる色の光に変換する機能を有する色変
換層129を設けるとよい。例えば、色変換層129aとして、紫外光を
赤色の波長の光に変換する色変換層を設け、色変換層129bとして、紫
外光を緑色の波長の光に変換する色変換層を設け、発光デバイス130c
上に、紫外光を青色の波長の光に変換する色変換層を設けることができる。
これによって、副画素110aでは赤色の光が外部に取り出され、副画素
110bでは緑色の光が外部に取り出され、副画素110cでは青色の光
が外部に取り出され、表示装置をフルカラー化することができる。

【0071】発光デバイス130a、130b、130cとしては、OL
ED
、またはQLEDなどのELデバイスを用いることが好ましい。EL
デバイスが有する発光物質としては、蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐
光を発する物質(燐光材料)、無機化合物(量子ドット材料など)、熱活
性化遅延蛍光を示す物質(熱活性化遅延蛍光(TADF)材料)などが挙
げられる。なお、TADF材料としては、一重項励起状態と三重項励起状
態間が熱平衡状態にある材料を用いてもよい。このようなTADF材料
発光寿命(励起寿命)が短くなるため、発光デバイスにおける高輝度領域
での効率低下を抑制することができる。
【0072】発光デバイスは、一対の電極間にEL層を有する。本明細書
等では、一対の電極の一方を画素電極と記し、他方を共通電極と記すこと
がある。
【0073】発光デバイスが有する一対の電極のうち、一方の電極は陽極
として機能し、他方の電極は陰極として機能する。以下では、画素電極が
陽極として機能し、共通電極が陰極として機能する場合を例に挙げて説明
する。
【0074】発光デバイス130aは、層101上の画素電極111aと
画素電極111a上の島状の第1の層113aと、島状の第1の層113a
上の第5の層114と、第5の層114上の共通電極115と、を有する。
発光デバイス130aにおいて、第1の層113a、及び、第5の層114
をまとめてEL層と呼ぶことができる。
【0075】 本実施の形態の発光デバイスの構成に、特に限定はなく、シ
ングル構造であってもタンデム構造であってもよい。なお、発光デバイス
の構成例については、実施の形態2で後述する。
【0076】発光デバイス130bは、層101上の画素電極111bと
画素電極111b上の島状の第2の層113bと、島状の第2の層113
b上の第5の層114と、第5の層114上の共通電極115と、を有す
る。発光デバイス130bにおいて、第2の層113b、及び、第5の層
114をまとめてEL層と呼ぶことができる。
【0077】発光デバイス130cは、層101上の画素電極111cと、
画素電極111c上の島状の第3の層113cと、島状の第3の層113
c上の第5の層114と、第5の層114上の共通電極115と、を有す
る。発光デバイス130cにおいて、第3の層113c、及び、第5の層
114をまとめてEL層と呼ぶことができる。
【0078】各色の発光デバイスにおいて、共通電極として、同一の膜を
共有している。各発光デバイスが共通して有する共通電極は、接続部140
に設けられた導電層と電気的に接続される。これにより、各発光デバイス
が有する共通電極には、同電位が供給される。
【0079】画素電極と共通電極のうち、光を取り出す側の電極には、可
視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、
可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。

【0080】発光デバイスの一対の電極(画素電極と共通電極)を形成す
る材料としては、金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物な
どを適宜用いることができる。具体的には、インジウムスズ酸化物(In
-Sn酸化物、ITOともいう)、In-Si-Sn酸化物(ITSOと
もいう)、インジウム亜鉛酸化物(In-Zn酸化物)、In-W-Zn
酸化物、アルミニウム、ニッケル、及びランタンの合金(Al-Ni-La
)等のアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)、及び、銀とパラジ
ウムと銅の合金(Ag-Pd-Cu、APCとも記す)が挙げられる。そ
の他、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガ
ン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、
ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、
モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、パラジウム
(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、イットリウム(Y)、
ネオジム(Nd)などの金属、及びこれらを適宜組み合わせて含む合金を
用いることもできる。その他、上記例示のない元素周期表の第1族または
第2族に属する元素(例えば、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、カ
ルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr))、ユウロピウム(Eu)、
イッテルビウム(Yb)などの希土類金属及びこれらを適宜組み合わせて
含む合金、グラフェン等を用いることができる。

【0081】発光デバイスには、微小光共振器(マイクロキャビティ)構
造が適用されていることが好ましい。したがって、発光デバイスが有する
一対の電極の一方は、可視光に対する透過性及び反射性を有する電極(半
透過・半反射電極)を有することが好ましく、他方は、可視光に対する反
射性を有する電極(反射電極)を有することが好ましい。発光デバイスが
マイクロキャビティ構造を有することで、発光層から得られる発光を両電
極間で共振させ、発光デバイスから射出される光を強めることができる。
【0082】なお、半透過・半反射電極は、反射電極と可視光に対する透
過性を有する電極(透明電極ともいう)との積層構造とすることができる。
【0083】透明電極の光の透過率は、40%以上とする。例えば、発光
デバイスには、可視光(波長400nm以上750nm未満の光)の透過
率が40%以上である電極を用いることが好ましい。半透過・半反射電極
の可視光の反射率は、10%以上95%以下、好ましくは30%以上80
%以下とする。反射電極の可視光の反射率は、40%以上100%以下
好ましくは70%以上100%以下とする。また、これらの電極の抵抗率
は、1×10-2Ωcm以下が好ましい。
【0084】第1の層113a、第2の層113b、及び、第3の層113c
は、それぞれ、島状に設けられる。第1の層113a、第2の層113b、
及び、第3の層113cは、それぞれ、発光層を有する。第1の層113a、
第2の層113b、及び、第3の層113cは、青色の光を発する発光層を
有することが好ましい。ここで、島状の第1の層113aと、島状の第2の
層113bと、島状の第3の層113cとは、それぞれ同一の材料を有す
ることが好ましい。つまり、島状の第1の層113a、島状の第2の層
113b、及び島状の第3の層113cは、それぞれ同じ工程で成膜され
た膜をパターニングして形成されることが好ましい。

【0085】発光層は、発光物質を含む層である。発光層は、1種または
複数種の発光物質を有することができる。発光物質としては、青色、紫色、
青紫色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、赤色などの発光色を呈する物質を適宜
用いる。また、発光物質として、近赤外光を発する物質を用いることもで
きる。
【0086】発光物質としては、蛍光材料、燐光材料、TADF材料、量
子ドット材料などが挙げられる。
【0087】蛍光材料としては、例えば、ピレン誘導体、アントラセン誘
導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、カルバゾール誘導体、
ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾキノキサリ
ン誘導体、キノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、フ
ェナントレン誘導体、ナフタレン誘導体などが挙げられる。
【0088】燐光材料としては、例えば、4H-トリアゾール骨格、1H
-トリアゾール骨格、イミダゾール骨格、ピリミジン骨格、ピラジン骨格、
またはピリジン骨格を有する有機金属錯体(特にイリジウム錯体)、電子
吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位子とする有機金属錯体(特
にイリジウム錯体)、白金錯体、希土類金属錯体等が挙げられる。
【0089】発光層は、発光物質(ゲスト材料)に加えて、1種または複
数種の有機化合物(ホスト材料、アシスト材料等)を有していてもよい。
1種または複数種の有機化合物としては、正孔輸送性材料及び電子輸送性
材料の一方または双方を用いることができる。また、1種または複数種の
有機化合物として、バイポーラ性材料、またはTADF材料を用いてもよい。
【0090】光層は、例えば、燐光材料と、励起錯体を形成しやすい組み
合わせである正孔輸送性材料及び電子輸送性材料と、を有することが好ま
しい。このような構成とすることにより、励起錯体から発光物質(燐光材
料)へのエネルギー移動であるExTET(Exciplex-Tripー
let  Energy  Transfer)を用いた発光を効率よく得るこ
とができる。発光物質の最も低エネルギー側の吸収帯の波長と重なるよう
な発光を呈する励起錯体を形成するような組み合わせを選択することで、
エネルギー移動がスムーズとなり、効率よく発光を得ることができる。こ
の構成により、発光デバイスの高効率、低電圧駆動、長寿命を同時に実現
できる。

【0090】発光層は、例えば、燐光材料と、励起錯体を形成しやすい組
み合わせである正孔輸送性材料及び電子輸送性材料と、を有することが好
ましい。このような構成とすることにより、励起錯体から発光物質(燐光
材料)へのエネルギー移動であるExTET(Exciplex-Triー
plet  Energy  Transfer)を用いた発光を効率よく得る
ことができる。発光物質の最も低エネルギー側の吸収帯の波長と重なるよ
うな発光を呈する励起錯体を形成するような組み合わせを選択することで、
エネルギー移動がスムーズとなり、効率よく発光を得ることができる。
この構成により、発光デバイスの高効率、低電圧駆動、長寿命を同時に実
現できる。
【0091】第1の層113a、第2の層113b、及び、第3の層113c
は、発光層以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、
正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、電子
ブロック材料、またはバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が
高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。
【0092】発光デバイスには低分子系化合物及び高分子系化合物のいず
れを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。発光デバイスを
構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、
インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0093】例えば、第1の層113a、第2の層113b、及び、第3
の層113cは、それぞれ、正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、
電子ブロック層、電子輸送層、及び電子注入層のうち一つ以上を有してい
てもよい。
【0094】EL層のうち、各発光デバイスに共通して形成される層として
は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層(正孔抑止層と呼ぶ場合が
ある。)、電子ブロック層(電子抑止層と呼ぶ場合がある。)、電子輸送
層、及び電子注入層のうち一つ以上を適用することができる。例えば、第
5の層114として、キャリア注入層(正孔注入層または電子注入層)を
形成してもよい。なお、EL層の全ての層を色ごとに作り分けてもよい。
つまり、EL層は、各色に共通して形成される層を有していなくてもよい。
【0095】第1の層113a、第2の層113b、及び、第3の層11
3cは、それぞれ、発光層と、発光層上のキャリア輸送層を有することが
好ましい。これにより、表示装置100の作製工程中に、発光層が最表面
に露出することを抑制し、発光層が受けるダメージを低減することができ
る。これにより、発光デバイスの信頼性を高めることができる。
【0096】正孔注入層は、陽極から正孔輸送層に正孔を注入する層であ
り、正孔注入性の高い材料を含む層である。正孔注入性の高い材料として
は、芳香族アミン化合物、及び、正孔輸送性材料とアクセプター性材料(
電子受容性材料)とを含む複合材料などが挙げられる。
【0097】正孔輸送層は、正孔注入層によって、陽極から注入された正
孔を発光層に輸送する層である。正孔輸送層は、正孔輸送性材料を含む層
である。正孔輸送性材料としては、1×10-6cm/Vs以上の正孔移
動度を有する物質が好ましい。なお、電子よりも正孔の輸送性の高い物質
であれば、これら以外のものも用いることができる。正孔輸送性材料とし
ては、π電子過剰型複素芳香族化合物(例えばカルバゾール誘導体、チオ
フェン誘導体、フラン誘導体など)、芳香族アミン(芳香族アミン骨格を
有する化合物)等の正孔輸送性の高い材料が好ましい。
【0098】 電子輸送層は、電子注入層によって、陰極から注入された電
子を発光層に輸送する層である。電子輸送層は、電子輸送性材料を含む層
である。電子輸送性材料としては、1×10-6cm/Vs以上の電子移
動度を有する物質が好ましい。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質
であれば、これら以外のものも用いることができる。電子輸送性材料として
は、キノリン骨格を有する金属錯体、ベンゾキノリン骨格を有する金属錯
体、オキサゾール骨格を有する金属錯体、チアゾール骨格を有する金属錯
体等の他、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール
誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、フェナントロリン誘導
体、キノリン配位子を有するキノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、キ
ノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピ
リジン誘導体、ピリミジン誘導体、その他含窒素複素芳香族化合物を含むπ
電子不足型複素芳香族化合物等の電子輸送性の高い材料を用いることがで
きる。
【0099】また、電子輸送層は、積層構造を有していても良く、また、
陽極側から発光層を通過して陰極側に移動するホールをブロックするため
の正孔ブロック層を発光層に接して有していても良い。

【0100】電子注入層は、陰極から電子輸送層に電子を注入する層であ
り、電子注入性の高い材料を含む層である。電子注入性の高い材料として
は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を用いるこ
とができる。電子注入性の高い材料としては、電子輸送性材料とドナー性
材料(電子供与性材料)とを含む複合材料を用いることもできる。
【0101】電子注入層としては、例えば、リチウム、セシウム、イッテル
ビウム、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化
カルシウム(CaF、xは任意数)、8-(キノリノラト)リチウム(略
称:Liq)、2-(2-ピリジル)フェノラトリチウム(略称:LiPP)
2-(2-ピリジル)-3-ピリジノラトリチウム(略称:LiPPy)、
4-フェニル-2-(2-ピリジル)フェノラトリチウム(略称:LiP
PP)、リチウム酸化物(LiO)、炭酸セシウム等のようなアルカリ金
属、アルカリ土類金属、またはこれらの化合物を用いることができる。また、
電子注入層としては、2以上の積層構造としてもよい。当該積層構造として
は、例えば、1層目にフッ化リチウムを用い、2層目にイッテルビウムを設
ける構成とすることができる。
【0102】
  または、電子注入層としては、電子輸送性材料を用いてもよい。例えば、
非共有電子対を備え、電子不足型複素芳香環を有する化合物を、電子輸送性
材料に用いることができる。具体的には、ピリジン環、ジアジン環(ピリ
ミジン環、ピラジン環、ピリダジン環)、トリアジン環の少なくとも一つ
を有する化合物を用いることができる。
【0103】
  なお、非共有電子対を備える有機化合物の最低空軌道(LUMO:
Lowest  Unoccupied  Molecular  Orbital
)が、-3.6eV以上-2.3eV以下であると好ましい。また、一般
にCV(サイクリックボルタンメトリ)、光電子分光法、光吸収分光法、
逆光電子分光法等により、有機化合物の最高被占有軌道(HOMO:
Highest  Occupied  Molecular  Orbital)
準位及びLUMO準位を見積もることができる。
【0104】
  例えば、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(略称:BP
hen)、2,9-ビス(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-
1,10-フェナントロリン(略称:NBPhen)、ジキノキサリノ
[2,3-a:2’,3’-c]フェナジン(略称:HATNA)、2,4
,6-トリス[3’-(ピリジン-3-イル)ビフェニル-3-イル]-
1,3,5-トリアジン(略称:TmPPPyTz)等を、非共有電子対
を備える有機化合物に用いることができる。なお、NBPhenはBPh
enと比較して、高いガラス転移温度(Tg)を備え、耐熱性に優れる。
【0105】また、タンデム構造の発光デバイスを作製する場合、2つの
発光ユニットの間に、中間層を設ける。中間層は、一対の電極間に電圧を
印加したときに、2つの発光ユニットの一方に電子を注入し、他方に正孔
を注入する機能を有する。
【0106】中間層としては、例えば、リチウムなどの電子注入層に適用
可能な材料を好適に用いることができる。また、中間層としては、例えば、
正孔注入層に適用可能な材料を好適に用いることができる。また、中間層
には、正孔輸送性材料とアクセプター性材料(電子受容性材料)とを含む
層を用いることができる。また、中間層には、電子輸送性材料とドナー性
材料とを含む層を用いることができる。このような層を有する中間層を形
成することにより、発光ユニットが積層された場合における駆動電圧の上
昇を抑制することができる。
【0107】画素電極111a、111b、111cのそれぞれの端部は、
絶縁層121によって覆われている。
【0108】絶縁層121は、無機絶縁膜及び有機絶縁膜の一方または双
方を用いた、単層構造または積層構造とすることができる。
【0109】画素電極の端部を覆う絶縁層121として、無機絶縁膜を用
いると、有機絶縁膜を用いる場合よりも、発光デバイスに外部から不純物
が混入するのを防ぐ効果を高めることができる。そのため、発光デバイス
の信頼性を高めることができる。一方、画素電極の端部を覆う絶縁層121
として、有機絶縁膜を用いると、無機絶縁膜を用いる場合よりも、画素電
極の端部に対して被覆性良く形成することができる。そのため、発光デバ
イスのショートを防止できる。具体的には、絶縁層121として、有機絶
縁膜を用いると、絶縁層121の形状をテーパー形状などに加工すること
ができる。なお、本明細書等において、テーパー形状とは、構造の側面の
少なくとも一部が、基板面または被形成面に対して傾斜して設けられてい
る形状のことを指す。例えば、傾斜した側面と基板面または被形成面とが
なす角(テーパー角ともいう)が90度未満である領域を有すると好ましい。

【0110】  第1の層113a、第2の層113b、及び、第3の層113
cのそれぞれの側面は、絶縁層121上に設けられた絶縁層125及び絶縁
層127によって覆われている。これにより、第5の層114(または共通
電極115)が、第1の層113a、第2の層113b、及び、第3の層
113cのいずれかの側面と接することを抑制し、発光デバイスのショー
トを抑制することができる。
【0111】  また、第1の層113a、第2の層113b、及び、第3の
層113cがタンデム構造を有する場合、これらの層に含まれる、複数の発
光ユニット、および中間層のそれぞれの側面も、絶縁層125及び絶縁層
127によって覆われる。これにより、第5の層114(または共通電極
115)が、複数の発光ユニット、および中間層のいずれかの側面と接す
ることを抑制し、発光デバイスのショートを抑制することができる。
【0112】絶縁層125は、第1の層113a、第2の層113b、及
び、第3の層113cのそれぞれの側面を覆うことが好ましい。絶縁層125
は、第1の層113a、第2の層113b、及び、第3の層113cのそ
れぞれの側面と接する構成とすることができる。また、絶縁層125の下
面が、絶縁層121の上面と接する構成とすることができる。絶縁層125
は、無機材料を有する絶縁層とすることが好ましい。
【0113】絶縁層127は、絶縁層125に形成された凹部を充填するよ
うに、絶縁層125上に設けられる。絶縁層127は、絶縁層125を介し
て、第1の層113a、第2の層113b、及び、第3の層113cのそれ
ぞれの側面と、絶縁層121の上面と、重なる構成とすることができる。
絶縁層127は、有機材料を有する絶縁層とすることが好ましい。
【0114】なお、絶縁層125及び絶縁層127のいずれか一方を設けな
くてもよい。例えば、絶縁層125を設けない場合、絶縁層127は、第1
の層113a、第2の層113b、及び、第3の層113cのそれぞれの側
面と接する構成とすることができる。絶縁層125又は絶縁層127を設け
ない構成とすることで、表示装置の作製工程数を削減することが可能となる。
一方、無機材料を有する絶縁層125を第1の層113a、第2の層113b
、第3の層113cのそれぞれの側面に接して設けることで、これらの層
への不純物混入の抑制効果を高めることができる。また、絶縁層127を設
けることで、第5の層114及び共通電極115の形成面の平坦性を向上さ
せることができる。なお、絶縁層125及び絶縁層127を両方とも設けな
い構成とすることもできる。
【0115】第5の層114及び共通電極115は、第1の層113a、
第2の層113b、第3の層113c、絶縁層125、及び絶縁層127上
に設けられる。絶縁層125及び絶縁層127を設ける前の段階では、EL
層が設けられる領域と、EL層が設けられない領域(発光デバイス間の領
域)と、に起因する段差が生じている。本発明の一態様の表示装置は、絶
縁層125及び絶縁層127を有することで当該段差を平坦化させること
ができ、第5の層114及び共通電極115の被形成面に対する被覆性を
向上させることができる。したがって、第5の層114及び共通電極115
の段切れによる接続不良を抑制することができる。または、当該段差によ
って共通電極115が局所的に薄膜化して電気抵抗が上昇することを抑制
することができる。
【0116】なお、本明細書等において、段切れとは、層、膜、又は電極
が、被形成面の形状(例えば段差など)に起因して分断されてしまう現象を
示す。
【0117】第5の層114及び共通電極115の形成面の平坦性を向上
させるために、絶縁層125の上面及び絶縁層127の上面の高さは、それ
ぞれ、第1の層113a、第2の層113b、及び、第3の層113cの
少なくとも一つの上面の高さと一致または概略一致することが好ましい。
また、絶縁層127の上面は平坦な形状を有することが好ましく、凸部、
凸曲面、凹曲面、または凹部を有していてもよい。
【0118】絶縁層125は、第1の層113a、第2の層113b、及
び、第3の層113cのそれぞれの側面と接する領域を有し、第1の層113a
、第2の層113b、及び、第3の層113cの保護絶縁層として機能する。
絶縁層125を設けることで、第1の層113a、第2の層113b、及
び、第3の層113cのそれぞれの側面から内部へ不純物(酸素、水分等)
が侵入することを抑制でき、信頼性の高い表示装置とすることができる。
【0119】断面視において第1の層113a、第2の層113b、及び、
第3の層113cのそれぞれの側面と接する領域における絶縁層125の
幅(厚さ)が大きいと、第1の層113a、第2の層113b、及び、第
3の層113cのそれぞれの隣り合う間隔が大きくなり、開口率が低くな
ってしまう場合がある。また、絶縁層125の幅(厚さ)が小さいと、第1
の層113a、第2の層113b、及び、第3の層113cのそれぞれの側
面から内部へ不純物が侵入することを抑制する効果が小さくなってしまう
場合がある。第1の層113a、第2の層113b、及び、第3の層113c
のそれぞれの側面と接する領域における絶縁層125の幅(厚さ)は、3nm
以上200nm以下が好ましく、さらには3nm以上150nm以下が好ま
しく、さらには5nm以上150nm以下が好ましく、さらには5nm以上
100nm以下が好ましく、さらには10nm以上100nm以下が好まし
く、さらには10nm以上50nm以下が好ましい。絶縁層125の幅(厚
さ)を前述の範囲とすることで、高い開口率を有し、かつ信頼性の高い表
示装置とすることができる。
                          この項つづく

    桑田佳祐 :白い恋人達』2022年11月23日

❄️自身出演のコカ・コーラ CMソングとして起用された楽曲。歌詞に "クリ
スマス" というワードは登場しないにもかかわらず、クリスマスを感じさせ
る楽曲となっており、この時期の定番曲として親しまれている。

今日の言葉:

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エネルギーと環境 74

2024年12月11日 | タフで綺麗なOLED

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

【関連特許最新技術】
5. 特開2022-158973 表示装置、表示モジュール、電子機器、及び、表
示装置の作製方法 株式会社半導体エネルギー研究所
【要約】
下図1のごとく、第1の発光デバイスが第1の画素電極、第1の画素電極
上の第1の発光層及び第1の発光層上の共通電極を有し、第2の発光デバ
イスが第2の画素電極、第2の画素電極上の第2の発光層及び第2の発光
層上の共通電極を有し、第1の画素電極の端部及び第2の画素電極の端部
はそれぞれ、第1の絶縁層に覆われ、第2の絶縁層は第1の絶縁層上に位
置し、第2の絶縁層は第1の発光層及び第2の発光層のそれぞれの側面を
覆い、第1の色変換層は第1の発光デバイスに重畳して配置され、第2の
色変換層は第2の発光デバイスに重畳して配置され、第1の発光デバイス
及び第2の発光デバイスは青色光を発する機能を有し、第1の色変換層は
第1の発光デバイスの呈する光を異なる波長の光へ変換する機能を有し、
第2の色変換層は第2の発光デバイスの呈する光を異なる波長の光へ変換
する機能を有する高精細または高解像度の表示装置を提供する。


図1 図1(A)は、表示装置の一例を示す上面図である。図1(B)は、
表示装置の一例を示す断面図

【符号の説明】【0642】
AL    配線 CL    配線 GL    配線 RL    配線 SL    配線 SLB 
   配線 
SLG    配線 SLR    配線 10    表示装置 11    表示部
12    駆動回路部 13    駆動回路部 21    画素 21R    副画素
21G    副画素 21B    副画素 30    画素 70    電子機器 72    
支持体 
74    机 100    表示装置 100A    表示装置 100B   
表示装置 
100C    表示装置 100D    表示装置 100E    表示装
置 
100F    表示装置 100G    表示装置 101    層 110    画
素 
110a    副画素 110b    副画素 110c    副画素 110d   
 副画素 
111a    画素電極 111b    画素電極 111c    画素電極
111d    画素電極 113a    第1の層 113A    第1の層 113b   
 第2の層 
113c    第3の層 113d    第4の層 114    第5の層
115    共通電極 117    遮光層 118    第1の犠牲層 118a   
 第1の犠牲層 
118A    第1の犠牲層 119    第2の犠牲層 119a 
   第2の犠牲層 
119A    第2の犠牲層 120    基板 121    絶縁層
121a    絶縁層 121b    絶縁層 122    樹脂層 123    導電層
124a    画素 124b    画素 125    絶縁層 125A    絶縁膜
126    光学調整層 126a    光学調整層 126b    光学調整層
126c    光学調整層 127    絶縁層 127A    絶縁膜 129    色
変換層 
129a    色変換層 129b    色変換層 129c    色変換層
130    発光デバイス 130a    発光デバイス 130b    発光デバイス
130c    発光デバイス 130d    発光デバイス 131    保護層 
132    保護層 133    絶縁層 134    マイクロレンズ 135    第
1の基板 
136    第2の基板 139    領域 140    接続部 142   
 接着層 
151    基板 152    基板 153    絶縁層 162    表示
部 
164    回路 165    配線 166    導電層 172    FPC
173    IC 190a    レジストマスク 190b    レジストマスク
201    トランジスタ 204    接続部 205    トランジスタ 209    
トランジスタ 
210    トランジスタ 211    絶縁層 213    絶縁層
214    絶縁層 215    絶縁層 218    絶縁層 221    導電層 
222a    導電層 222b    導電層 223    導電層 225    絶縁層
231    半導体層 231i    チャネル形成領域 231n    低抵抗領域
240    容量 241    導電層 242    接続層 243    絶縁層 245    
導電層 
251    導電層 252    導電層 254    絶縁層 255a   
 絶縁層 
255b    絶縁層 256    プラグ 261    絶縁層 262   
 絶縁層 
263    絶縁層 264    絶縁層 265    絶縁層 271    
プラグ 
274    プラグ 274a    導電層 274b    導電層 280    
表示モジュール 
281    表示部 282    回路部 283    画素回路部
283a    画素回路 284    画素部 284a    画素 285    端子部
286    配線部 290    FPC 291    基板 292    基板 301    
基板 
301A    基板 301B    基板 310    トランジスタ 310A
   トランジスタ 
310B    トランジスタ 311    導電層 312    低
抵抗領域 
313    絶縁層 314    絶縁層 315    素子分離層 320  
  トランジスタ 
321    半導体層 323    絶縁層 324    導電層 
325    導電層 326    絶縁層 327    導電層 328    絶縁層
329    絶縁層 331    基板 332    絶縁層 335    絶縁層 336
    絶縁層 
341    導電層 342    導電層 343    プラグ 344   
 絶縁層 
345    絶縁層 346    絶縁層 347    バンプ 348    
接着層 
401    基板 410    トランジスタ 410a    トランジスタ
411    半導体層 411i    チャネル形成領域 411n    低抵抗領域
412    絶縁層 413    導電層 414a    導電層 414b    導電層
415    導電層 416    絶縁層 421    絶縁層 422    絶縁層
423    絶縁層 426    絶縁層 431    導電層 450    トランジスタ
450a    トランジスタ 451    半導体層 452    絶縁層 453    
導電層 
454a    導電層 454b    導電層 455    導電層 500    
表示装置 
501    電極 502    電極 512Q_1    発光ユニット
512Q_2    発光ユニット 512Q_3    発光ユニット 512B    
発光ユニット 
521    層 522    層 523Q_1    発光層 523
Q_2    発光層 
523Q_3    発光層 524    層 525    層 531
 中間層 
540    保護層 545G    色変換層 545R    色変換層 
550B    発光デバイス 700A    電子機器 700B    電子機器
721    筐体 723    装着部 727    イヤフォン部 750    イヤ
フォン 
751    表示パネル 753    光学部材 756    表示領域 
757    フレーム 758    鼻パッド 800A    電子機器 800B    
電子機器 
820    表示部 821    筐体 822    通信部 823   
 装着部 
824    制御部 825    撮像部 827    イヤフォン部
832    レンズ 6500    電子機器 6501    筐体 6502    表示
部 
6503    電源ボタン 6504    ボタン 6505    スピーカ 
6506    マイク 6507    カメラ 6508    光源 6510    保
護部材 
6511    表示パネル 6512    光学部材 6513    タッチ
センサパネル 
6515    FPC 6516    IC 6517    プリン
ト基板 
6518    バッテリ 7000    表示部 7100    テレビジ
ョン装置 
7101    筐体 7103    スタンド 7111    リモコン操
作機 
7200    ノート型パーソナルコンピュータ 7211    筐体 
7212    キーボード 7213    ポインティングデバイス 7214   
 外部接続ポート 
7300    デジタルサイネージ 7301    筐体 
303    スピーカ 
7311    情報端末機 7400    デジタルサイネージ
7401    柱 7411    情報端末機 9000    筐体 9001    表示
部 
9002    カメラ 9003    スピーカ 9005    操作キー 90
06    接続端子 
9007    センサ 9008    マイクロフォン 9050 
   アイコン 
9051    情報 9052    情報 9053    情報 9054    
情報 
9055    ヒンジ 9101    携帯情報端末 9102    携帯情報
端末 
9103    タブレット端末 9200    携帯情報端末 9201    
携帯情報端末

【発明を実施するための形態】
【背景技術】【0003】
  近年、スマートフォンなどの携帯電話、タブレット型情報端末、ノート型
PC(パーソナルコンピュータ)などの情報端末機器が広く普及している。
これらに設けられたディスプレイパネルにおいて、高精細なディスプレイ
パネルが要求されている。
【0004】また、ディスプレイパネルに適用可能な表示装置としては、
代表的には液晶表示装置、有機EL素子、発光ダイオードの発光素子(発
光デバイスともいう)を備える発光装置、電気泳動方式などにより表示を
行う電子ペーパなどが挙げられる。
【0005】  例えば、有機EL素子(有機ELデバイスともいう)の基
本的な構成は、一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層を挟持したも
のである。この素子に電圧を印加することにより、発光性の有機化合物か
ら発光を得ることができる。このような有機EL素子が適用された表示装
置は、液晶表示装置等で必要であったバックライトが不要なため、薄型、
軽量、高コントラストで且つ低消費電力な表示装置を実現できる。例えば、
有機EL素子を用いた表示装置の一例が、特許文献1に記載されている。 
また、有機EL素子の色変換(波長変換)材料として量子ドットを用いる
ことが、検討されている。量子ドットは、直径数nmの半導体ナノ結晶で
あり、1×10個から1×10個程度の原子から構成されている。量子
ドットは、電子や正孔、励起子がその内部に閉じ込められた結果、それら
のエネルギー状態が離散的となり、また、サイズに依存してエネルギーシ
フトする。すなわち、同じ物質から構成される量子ドットであっても、サ
イズによって発光波長が異なるため、用いる量子ドットのサイズを変更す
ることによって容易に発光波長を調整することができる。
【発明の効果】
【0028】本発明の一態様により、高精細な表示装置を提供できる。本
発明の一態様により、高解像度の表示装置を提供できる。本発明の一態様
により、高開口率の表示装置を提供できる。本発明の一態様により、大型
の表示装置を提供できる。本発明の一態様により、小型の表示装置を提供
できる。本発明の一態様により、信頼性の高い表示装置を提供できる。
【0029】本発明の一態様により、高精細な表示装置の作製方法を提供
できる。本発明の一態様により、高解像度の表示装置の作製方法を提供で
きる。本発明の一態様により、高開口率の表示装置の作製方法を提供でき
る。本発明の一態様により、大型の表示装置の作製方法を提供できる。
本発明の一態様により、小型の表示装置の作製方法を提供できる。本発明
の一態様により、信頼性の高い表示装置の作製方法を提供できる。本発明
の一態様により、歩留まりの高い表示装置の作製方法を提供できる。

【0036】(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置とその作製方法について図
1乃至図13を用いて説明する。


図13(A)乃至図13(F)は、表示装置の作製方法の一例を示す断面図

                           この項つづく


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エネルギーと環境 73

2024年12月10日 | タフで綺麗なOLED

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-

 


4. 特開2023-116036 パターン転写用積層体及び転写方法 学校法人ト
ヨタ学園他
【要約】下図2のごとく、フォトマスク、水溶性樹脂塗布層及び感光性レジ
スト層をこの順で積層させてなり、フォトマスクと水溶性樹脂塗布層は、
その界面で剥離可能であるパターン転写用積層体で、パターニング基材に
感光性レジスト層等を介してフォトマスクを密着させて感光をさせるも
のではなく、水溶性樹脂塗布層と感光済みの感光性レジスト層を基本とす
る層を、表面が平面、又は平面ではないパターニング基材に積層させて、
その後の処理を行なうことができる。

図2.パターン転写用積層体のフォトマスク面側から紫外線を照射し露光す
ることで、感光性レジスト層に潜像を形成する図
【符号の説明】【0056】
1:パターン転写用積層体 1A:潜像パターンを有するパターン転写用
積層体 1B:フレームを有するパターン転写用積層体 2:感光性レジ
スト層 2A:紫外光が照射された感光性レジスト 2B:紫外光が遮光
され元の状態の感光性レジスト 3:水溶性樹脂塗布層 4:フォトマス
ク5:スピン成膜用ヘッド 6:紫外線 7:フレーム 8:パターニン
グ用平面基材 9:パターニング用立体基材(湾曲面)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】本発明はパターニング基材に感光性レジスト層等を介してフ
ォトマスクを密着させて感光をさせるものではなく、水溶性樹脂塗布層と
感光済みの感光性レジスト層を基本とする層を、表面が平面、又は平面で
はないパターニング基材に積層させて、その後の処理を行なうことができ
ることを課題とする。更に、本発明は、転写可能なパターンが微細であっ
ても、条件により高い自由度と共に実現できる方法を達成することを課題
とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】本発明者は、前記課題を解決するために鋭意した結果、以下
の手段で解決できることを見出し、本発明に至った。

1.フォトマスク、水溶性樹脂塗布層及び感光性レジスト層をこの順で積
層させてなり、フォトマスクと水溶性樹脂塗布層はその界面で剥離可能で
ある、パターニング基材にパターンを転写するためのパターン転写用積層
体。
2.水溶性樹脂塗布層はフォトマスク上に水溶性樹脂溶液を塗布して形成
された層である1に記載のパターン転写用積層体。
3.感光性レジスト層は、フォトマスクの微細パターンを反映して露光さ
れた潜像パターンを有する1又は2に記載のパターン転写用積層体。
4.潜像パターンの幅が2μm以下である3に記載のパターン転写用積層体。
5.水溶性樹脂塗布層の厚みが、以下の式1で求められる厚み以下である
1~4のいずれかに記載のパターン転写用積層体。
式1:厚み=[0.50×(パターン幅)×(水溶性樹脂塗布層の屈折率
)/(露光波長)]
6.水溶性樹脂塗布層がポリビニルアルコールである1~5のいずれかに
記載のパターン転写用積層体。
7.パターン転写用積層体の感光性レジスト層面にフレームを固定し、フ
ォトマスクと水溶性樹脂塗布層はその界面で剥離可能である、1~6のい
ずれかに記載のパターン転写用積層体。
8.フォトマスクの水溶性樹脂塗布層側の面に、該フォトマスクと水溶性
樹脂塗布層の界面の剥離を促進する層を有する1~7のいずれかに記載の
パターン転写用積層体。
9.加工対象であるパターニング基材に密着させる前に、感光性レジスト
層を露光するための1~8のいずれかに記載のパターン転写用積層体。
10.水溶性樹脂塗布層と感光済み感光性レジスト層のみからなるパター
ン転写用積層体。
11.下記(a)~(g)工程を有する、感光性レジスト層を基材上に転
写する方法。
(a)フォトマスクの一方の面に水溶性樹脂溶液を塗布する工程、
(b)得られた水溶性樹脂溶液層を乾燥して水溶性樹脂塗布層を得る工程、
(c)水溶性樹脂塗布層上に感光性レジスト層を形成する工程、
(d)フォトマスク側から光を照射して感光性レジスト層を露光する工程、
(e)フォトマスクから水溶性樹脂塗布層と感光性レジスト層からなる積
層体を剥離する工程、
(f)剥離された水溶性樹脂塗布層と感光性レジスト層からなる積層体を
、感光性レジスト層がパターニング基材表面に接するように密着する工程、
(g)表面に位置する水溶性樹脂塗布層を水洗して除去し、必要によりパ
ターニング基材表面を現像及び/又は乾燥する工程

【発明の効果】
【0009】  本発明によれば、フォトマスク、水溶性樹脂塗布層及び感光
性レジスト層をこの順で積層させてなり、フォトマスクと水溶性樹脂塗布
層は、その界面で剥離可能であるパターン転写用積層体にすることができ
る。このため、パターニング基材表面が平面であっても、平面でなくても、
その表面に感光性レジスト層を積層させることができ、ひいては各種の表
面に対して感光性レジスト層を介して処理や加工を行なうことができる。
また、感光時において、感光性レジスト膜とフォトマスク間の距離を、十
分に近接できる程度の水溶性樹脂塗布層とすることができる。この効果に
加えて、水溶性樹脂塗布層の厚みが下記式1で求められるパラメータ値以
下であれば、露光時の回折広がりによるパターンのぼけを最小限に留める
ことができる。更に、感光性レジストに幅2μm以下の微細パターンを転
写する理想的な条件が得られ、平面又は立体基材上に貼り付け後に現像処
理を行うことでパターン転写が可能となる。
  式1:厚み=[0.50×(パターン幅)×(水溶性樹脂塗布層の屈折
率)]/(露光波長)

【図面の簡単な説明】
【0010】【図1】本発明のパターン転写用積層体。フォトマスク上に、
水溶性樹脂溶液及び感光性レジストを順にスピン成膜して形成する状態を
示す図
【図2】パターン転写用積層体のフォトマスク面側から紫外線を照射し露
光することで、感光性レジスト層に潜像を形成する図
【図3】フォトマスクから水溶性樹脂塗布層及び感光性レジスト層を剥離
する状態を示す図
【図4】フォトマスク周辺部の感光性レジスト層面にフレームを固定した
パターン転写用積層体のフォトマスク面側から紫外線を照射し露光するこ
とで、感光性レジスト層に潜像を形成する図
【図5】フォトマスク周辺部に感光性レジスト層面にフレームを固定した
パターン転写用積層体を、フレーム側から見た図
【図6】フォトマスクから、フォトマスク周辺部に感光性レジスト層面上
にフレームを固定した水溶性樹脂塗布層及び感光性レジスト層を剥離する

【図7】平面及び立体基材に感光性レジスト層を転写する工程を示す図
【図8】ダイス鋼SKD11に5種の幅の感光性レジストパターンを転写
した走査型電子顕微鏡写真
【図9】図8の最外周の幅1.1μmパターンの拡大図

【発明を実施するための形態】
【0011】本発明のパターン転写用積層体は、上記のようにフォトマス
ク、水溶性樹脂塗布層及び感光性レジスト層をこの順で積層させてなるこ
とを基本とする。そして、フォトマスクと水溶性樹脂塗布層は、その界面
で剥離可能であるパターン転写用積層体であり、特に微細なパターンを転
写するために有用である。
  以下に本発明のパターン転写用積層体の構造を順に説明する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【0012】(フォトマスク
  本発明におけるフォトマスクとしては特に限定されるものではなく、公知
のバイナリーマスクや位相シフトマスク等を使用することができる。フォ
トマスクの片面には、水溶性樹脂塗布層を形成できることが必要である。
  フォトマスクは明暗のみを変化させる白黒マスク(バイナリーマスク)で
も良く、ガラスに凹凸がある位相シフトマスク等でも良い。また大きさ、
形状等は任意に調整できる。
  また、フォトマスク、水溶性樹脂塗布層及び感光性レジスト層を一体と
して取り扱うことができる程度に、フォトマスクと水溶性樹脂塗布層との
間は適切な接着力を有することが必要である。同時に、使用時において、
水溶性樹脂塗布層をフォトマスクから剥離できる程度の剥離性を有するこ
とも必要である。
  そのため、必要に応じてフォトマスクの水溶性樹脂塗布層側の表面を処
理して、水溶性樹脂塗布層との間の接着力と剥離性を調整しても良い。そ
のために、フォトマスクの水溶性樹脂塗布層形成側の面に対して、該フォ
トマスクと水溶性樹脂塗布層の界面の剥離を促進する層として、公知のフ
ッ素化合物(C等)によるCFx膜等の離型材層を予め成膜するこ
とが可能である。
  フォトマスクから下記の水溶性樹脂塗布層を剥離する手段としては、フィ
ルム状の積層体を剥離する公知の手段を採用できる。この手段としては、
フォトマスクの端部を指や器具等でつまんで、剥離方向に力を加える等の
手段を採用できる。
【0013】(水溶性樹脂塗布層
  本発明における水溶性樹脂塗布層は、フォトマスクの片面の全面又は十分
な部分に形成される層であり、公知の水溶性樹脂からなる層で良いが、中
でも、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、
ポリエステル及びポリスチレンスルホン酸から選ばれた1種以上からなる
層が挙げられ、中でもポリビニルアルコールからなる層が好ましい。
  本発明における水溶性樹脂塗布層は、フォトマスクに対して水溶性樹脂溶
液を塗布乾燥してなる層である。そのため、樹脂フィルム等の基材表面に
水溶性樹脂溶液を塗布・乾燥し、これをフォトマスクに転写等して積層さ
せてなる層は、本発明における水溶性樹脂塗布層ではない。
  水溶性樹脂溶液の25℃での粘度は1000mPa・s以下であることが、
均一な水溶性樹脂塗布層を形成させる上で好ましい。その他、水溶性樹脂
溶液中の水溶性樹脂の濃度等は、必要な水溶性樹脂塗布層の厚みを達成す
るために任意に調整し得る。
  水溶性樹脂塗布層を構成する水溶性樹脂としては、適切な水溶性を供える
ことに加えて、水溶性樹脂塗布層をフォトマスクから確実に剥離し、剥離
後の水溶性樹脂塗布層と感光性レジスト層の変形等を発生させないことが
必要である。そのためには、水溶性樹脂塗布層が高い引張弾性率を有する
ことが好ましい。このような水溶性樹脂塗布層の引張弾性率としては、
23℃-50%RH環境下で調湿した後において、500N/mm以上
が好ましく、800N/mm以上がより好ましく、1100N/mm
以上が更に好ましく、1300N/mm以上が最も好ましい。500N
/mm未満の場合、フォトマスクから剥離する際に水溶性樹脂塗布層が
伸びてしまうため、感光性レジスト層が伸びてレジストパターンのひび割
れ等を発生させないように、注意しなくてはならない

  このポリビニルアルコールは変性及び/又は未変性のいずれでもよいが未
変性のものが好ましい。変性ポリビニルアルコールの場合には、主鎖中に
発明の効果を阻害しない範囲で、例えば10モル%以下、好ましくは7
モル%以下の範囲において、他の単量体を共重合させることができる。但
し、アニオン性及びカチオン性の官能基を有する単量体を共重合した場合
には、フォトマスクからの剥離が困難になる可能性があり、またレジスト
材料との反応により本発明の効果を阻害する可能性があるため、単量体と
しては、ノニオン性の性質を有するものが好ましい。
  ノニオン性の性質を有する単量体としては、例えば、エチレン、プロピレ
ン、イソブチレン、α-オクテン、α-ドデセン、α-オクタデセン等のオ
レフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水
マレイン酸、イタコン酸等のジアルキルエステル類、ポリオキシエチレン
ビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル等のポリオキシア
ルキレンビニルエーテル類、N-ビニルピロリドン等が挙げられる。これ
らの他の単量体は、単独でもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
  ポリビニルアルコールを採用する際には、ポリビニルアルコールのケン
化度は60mol%以上が好ましく、70~95mol%が更に好まし
い。ケン化度が60mol%未満の場合には、十分な水溶性を有さず、転
写工程時に十分に水による溶解除去ができない可能性があり、その場合に
は、以後の工程に支障をきたす可能性がある。また、ポリビニルアルコー
ルの重合度は500以上が好ましく、600~2000がより好ましく、
1000~1500が更に好ましい。ポリビニルアルコールの重合度が
500未満の場合には、形成したポリビニルアルコール層の機械的強度が
弱く、フォトマスクからの剥離の際にフィルムが破損等する可能性がある。
ポリビニルアルコールの重合度が2000を超える場合には、水溶液にし
た際の粘度が高くなり、フォトマスク上に水溶性樹脂塗布層としてポリビ
ニルアルコール層を形成する際に支障をきたす可能性がある。


【0015】ポリビニルアルコールには、感光性レジスト層に悪影響を及
ぼさない限りにおいて公知の可塑剤を添加することができる。好ましくは、
ジオール化合物及び/又はもしくは隣接する水酸基がδ位以降に位置する
トリオール化合物を少なくとも1種以上含む。そして、好ましいジオール
化合物は数平均分子量が600以上であり、より好ましくは800以上で
あり、更に好ましくは1000以上である。可塑剤を無添加、もしくはジ
オール化合物又は隣接する水酸基がδ位以降に位置するトリオール化合物
以外の化合物を可塑剤として添加した場合、フォトマスクから剥離する際
に確実に剥離できない等の支障をきたし、剥離時のノッキング等でレジス
トパターンに影響が出る可能性がある
  ここで、隣接する水酸基がδ位以降に位置するトリオール化合物とは、水
酸基を3つ有し、そのうちのいずれの水酸基を基準にして、これに結合す
る炭素元素をα位としたとき、その基準の水酸基と残りの2つの水酸基の間
には、最短でそれぞれ炭素や酸素等の原子価2以上の原子が4つ以上結合
した化合物である。そして、3つの水酸基のうちの任意の2つの水酸基の
組み合わせの全てにおいて、原子価2以上の原子が4つ以上結合すること
が必要である。
【0016】例えば、下記化1に示す1,4,8-オクタントリオールは、
4位の炭素原子に結合した水酸基を基準にすると、これに隣接する1位及
び8位の水酸基の位置はそれぞれδ位及びε位となる。同様にして下記化
2に示すオキシエチレングリセリルエーテルでは、分子中の中間に位置す
る水酸基を基準とすると、隣接の水酸基はそれぞれθ位に位置する。
  本発明中の隣接する水酸基がδ位以降に位置するトリオール化合物は、ト
リオール化合物中の全ての水酸基が互いにδ位以降に位置しあう化合物で
ある。
  下記化3に示す1,2,8-オクタントリオールのように、隣接する2つ
の水酸基の間がδ位以降に位置するが、隣接する別の2つの水酸基の組合
せが、γ位までの間に位置する化合物は、本発明における隣接する水酸基
がδ位以降に位置するトリオール化合物ではない。
  (化1)
000003

  (化2)
000004

  (化3)
000005
【0017】また、水溶性樹脂溶液には、本発明の効果を阻害しない範囲
において、フォトマスクに形成する際のはじき防止のためのレベリング剤
や、水で溶解する際の泡立ちを防ぐ目的で消泡剤を添加することができる
。いずれも公知のものを使用でき、中でも非シリコーン系の材料が好ましい。
  更に、水溶性樹脂塗布層はその上に感光性レジスト層が形成されることか
ら、感光性レジストの溶液に含まれる溶媒、例えばアセトン、シクロヘキ
サノン、メチルエチルケトン、酢酸2-メトキシ-1-メチルエチル等に
侵されないことが必要である。侵された際には水溶性樹脂塗布層が溶解して
穴開き等が発生し、本発明の効果を損なう可能性がある。

【0018】水溶性樹脂塗布層の厚みのうち、好ましい厚みは以下の式1
で求められた厚み以下である。
  式1:厚み=[0.50×(パターン幅)2×(水溶性樹脂塗布層の屈折
率)/(露光波長)]
  屈折率が1.50の水溶性樹脂を使用し、求めるパターン幅1μm、使用
する露光波長400nmの場合には、式1は、厚み=[0.50×(1μm)
2×(1.5)/(0.4μm)]=1.9より、厚みは約1.9μm以下
であることが好ましく、同様にパターン幅2μm、露光波長400nmの
場合には、厚みは7.5μm以下であることが好ましい。同様に、パター
ン幅1μm、露光波長250nmの場合には厚み3.0μm以下であること
が好ましく、露光波長365nmの場合には厚み2.0μm以下であるこ
とが好ましい。水溶性樹脂塗布層の厚みが式1により求めた厚みを超える
場合には、フォトマスクと感光性レジスト層の間での光回折によりパター
ンぼけが発生し、結果としてパターン形状を損なう可能性がある。なお、
求めるパターン幅によって、厚み等を広く調整できるが、より微細なパタ
ーンでの露光を前提にした通常の使用での厚みは、3.0μm以下が好ま
しく、2.6μm以下がより好ましく、2.3μm以下が更に好ましく、
1.9μm以下が最も好ましい。
  また、波長248nm以上での光線透過率が80%以上であることが好ま
しい。80%未満の場合には、水溶性樹脂塗布層で照射光が吸収され、感
光性レジスト膜に照射される光の強度が弱くなり、パターン形状を損なう
可能性がある。
【0019】このような水溶性樹脂塗布層をフォトマスクの一方の面に設
けるため、水溶性樹脂を溶媒に溶解してなる水溶性樹脂溶液を用いて、回
転装置上に載置したフォトマスクを回転させながら、フォトマスク上に水
溶性樹脂溶液を供給するスピンコート、フォトマスク上に水溶性樹脂溶液
をスプレーするスプレーコートやスリットダイによるスリットコート等の
公知の手段によりフォトマスクの全面に塗布・乾燥して設ける手段を採用
しても良い。また、予め離型フィルム上に水溶性樹脂溶液層を形成してお
き、この水溶性樹脂溶液層が乾燥する前に、フォトマスク上に公知の手段
により転写しても良い。スピンコートにより塗布する場合には、B型粘度
計を用いてずり速度1.7s-1で測定した25℃における粘度が350
mPa・s以下であることが好ましい。350mPa・sを超える場合に
は、水溶性樹脂塗布層を形成する際に支障をきたす可能性がある。
  このようにフォトマスクの水溶性樹脂塗布層を形成する側の面に、水溶性
樹脂の溶液を塗布する等の手段により水溶性樹脂溶液層を形成させ、この
水溶性樹脂溶液層を乾燥させることにより、フォトマスクの所望する領域
全体に対して均一な水溶性樹脂塗布層を、その領域全面に対して確実に密
着させて形成できる。仮に、別フィルムに形成した水溶性樹脂層や感光性
レジスト層を、フォトマスクの表面に重ねる場合には、フォトマスク表面
との間に密着できない隙間が形成される可能性がある。そして、この結果
としてパターンが光回折で広がったり、光干渉縞が重畳してパターンが劣
化したりする。
【0020】(感光性レジスト層)
  本発明の実施の形態による感光性レジスト層には、水溶性樹脂塗布層の
上に形成できる、公知のポジ型レジスト及びネガ型レジストの両者を使
用することができる。その中でも露光波長248nm~436nm(24
8nm:KrFエキシマレーザー、365nm:i線、436nm:g線
)に適したレジストが好ましい。現像の結果、ポジ型レジストを使用し
た場合には、露光された領域が除去され、露光されなかった領域が基材に
残る。ネガ型レジストを使用した場合には、露光されなかった領域が除去
され、露光された領域が基材に残る。いずれにしても、感光性レジスト層
は、フォトマスクの微細パターンを反映して露光された潜像パターンに基
づくパターンが形成される。
  感光性レジスト層の厚みは、基材にパターニング後に続くエッチング加工
や堆積加工に耐える膜厚が好ましい。例えば、幅1μm、高さ2μmの堆積
加工を行う際には、感光性レジスト膜の厚みは2μm以上が好ましい。
【0021】(フレーム)
  本発明においては、フォトマスクと水溶性樹脂塗布層の界面から水溶性
樹脂塗布層以降の層の剥離を容易にするために、パターニングされる基材
のパターン形成領域の外縁よりも外側の領域に対応するフォトマスク周
辺部の感光性レジスト層面にフレームを補強枠として設けることができる。
これにより、感光性レジスト層の剛性を向上させて、フォトマスクを水溶
性樹脂塗布層の界面から無溶剤で剥離しやすくすることができる。また剥
離後の水溶性樹脂塗布層と感光後の感光性レジスト層からなる積層体に対
して、ある程度の剛性等を与えることができる。
  フレームは感光性レジスト層表面の周縁部に設けることができ、周縁全
てにわたって設けても良く、周縁部の複数箇所に分散して互いに独立して
設けてもよい。フォトマスク表面をパターニング基材(パターン転写対象
の物品)の表面に押し付けるため、フレームは周縁に設けられるのであり、
中央部に設けられるのではない。
  また、パターニング基材の表面が凸状曲面等である場合、パターン転写
用積層体の感光性レジスト面に押圧がかかる場合があり、その際であって
も、フレームによりパターン転写用積層体の形状を保ちながら、パターン
転写を行うことができる。
  フレームの厚さは0.050mm以上が好ましく、0.080mm以上が
より好ましく、0.100mm以上が更に好ましく、0.140mm以上
が最も好ましい。また1.000mm以下が好ましく、0.500mm以
下がより好ましく、0.300mm以下が更に好ましい。例えば、日東電
工株式会社製のリバアルファ等が挙げられる。
  フレームは、片面が粘着層である厚膜シート状物でよく、感光性レジス
ト層に対して剥離可能であっても、剥離不可であっても良い。ウェハの加
工時に使用する粘着シートが好ましい。
【0022】(パターニング基材)
  パターニング基材は本発明のパターン転写用積層体を使用する加工対象で
ある、パターニング基材としては、表面が平滑又は立体のパターニング基
材である。この立体のパターニング基材とは、半導体ウェハやディスプレ
イ用平面ガラス板のような表面が平滑で丈夫なものではなく、パターンを
形成する領域に凹部、凸部、又は凹凸が形成された基材、表面粗さを持
つ基材、柔らかいシート等の基材がある。またそのような表面の領域を有
する、プリント基板、樹脂及び金属基板等、様々な用途の基材を対象にで
き、それらの材料に関しても金属、非金属及び樹脂等の様々なものを対象
にできる。そして、本発明のパターン転写用積層体を使用したパターニン
グ基材への加工は、模様や回路の形成、エッチング等、公知の目的の加工
とすることができる。特に微細なテキスチャ付き曲面金型(赤外線用レン
ズの反射防止構造等)や微細パターンを有する圧延ロール、曲面や壁面に
設ける立体配線、マイクロコイル電気回路部品や磁気センサを設けたもの、
電池内部構造のセパレータ等の幅が2.0μm以下のパターン等を得ること
を目的としたパターニング基材を加工対象にすることができる。また、平
面であっても幅が2.0μm以下のパターン等を設けるパターニング基材も
加工対象にすることができる。
  また、パターニング基材の用途、材料、形状、相対的な大きさ、配置、成
膜方法、微細パターン転写方法におけるプロセス条件や追加の前処理や後
処理等は限定されるものではない。そのため本発明のパターン転写用積層体
は、上記の表面が平滑で丈夫なパターニング基材のみならず、表面形状が
立体であったり、柔らかいパターニング基材に対してパターンを転写する
ためのものも包含する。
  そして、加工対象であるパターニング基材にパターン転写用積層体を密着
させる前に、本発明のパターン転写用積層体の感光性レジスト層を露光す
ることが好ましい。
  ただし、水溶性樹脂塗布層を水により除去する工程を必要とするので、パ
ターニング基材は水に対して不溶性であることが必要である。

【0023】(パターン転写用積層体の構造及びその製造方法)
  図1に示すように、本発明のパターン転写用積層体1は、フォトマスク
4、水溶性樹脂塗布層3、感光性レジスト層2を順に積層してなる積層
体を基本とする。その具体的な構造、製造方法、及び使用方法の例を以下
に示す。また、図示はしないが、感光性レジスト層2の表面に、剥離可能
な保護層を設けて、パターン転写用積層体の保管時や、露光後のパターニ
ング基材への密着直前までの間、感光性レジスト層2表面の汚染等を防止
するようにしても良い。
【0024】図1に示すように、本発明のパターン転写用積層体1は、フ
ォトマスク4をスピン成膜用ヘッド5の上面に固定して回転させながら、
フォトマスク4上のマスクパターン4Aがある面に、まず水溶性樹脂溶液
を供給してスピンコートし、この層を乾燥させることにより水溶性樹脂塗
布層3を形成し、更にその上に、同じく感光性レジスト層2をスピンコー
トして順に成膜して得たものである。
【0025】
  (a)フォトマスクの一方の面に水溶性樹脂塗布層3を塗布する工程
  フォトマスクの一方の面に水溶性樹脂塗布層3を得るための水溶性樹脂溶
液の塗布工程としては、確実に均一な水溶性樹脂塗布層3を形成できる手
段であれば良い。そして、上記のスピンコート以外にもスプレーコートや
スリットコート等の任意の手段を採用可能である。
【0026】
  (b)得られた水溶性樹脂溶液層を乾燥して水溶性樹脂塗布層3を得る工程
  得られた水溶性樹脂溶液層の乾燥手段としては特に限定されない。任意の
加熱手段による加熱を行って乾燥させてもよく、水溶性樹脂溶液層が十分に
薄いときには、自然乾燥による乾燥でも良い。得られた水溶性樹脂塗布層
3は、全ての箇所において、フォトマスク4に完全に密着している。仮に、
水溶性樹脂からなる層を予め得たフィルムをフォトマスクに被覆する手段
を採用すると、両者を確実に完全に密着させるには相当の技量を有し、技
量があったとしても相当に困難である。
【0027】
  (c)水溶性樹脂塗布層3上に感光性レジスト層2を形成する工程
  水溶性樹脂塗布層上に液状の感光性レジスト液を、水溶性樹脂塗布層3
を形成するために採用できる塗布の手段と同様の手段を独立して採用でき
る。いずれにしても、確実に均一な感光性レジスト層2を形成できる手段
であれば良い。
  また、形成直後の感光性レジスト層2に対して、必要に応じて任意の加
熱手段による加熱を行って乾燥させてもよく、感光性レジスト層2の厚み
を考慮して、自然乾燥による乾燥でも良い。
【0028】図2はパターン転写用積層体の断面図であり、フォトマス
ク4上に形成した水溶性樹脂塗布層3上に、感光性レジスト層2を成膜し
てなる。
  (d)フォトマスク側から光を照射して感光性レジスト層を露光する工程
  予めフォトマスク4のマスクパターン4Aの無い面側(図2中の上方)
から紫外線6等を照射して、感光性レジスト層2をマスクパターン状に露
光することにより、潜像パターンである紫外光が照射されて感光済みの感
光性レジスト2Aを有するパターン転写用積層体1Aを得る。この紫外光
が照射された感光性レジスト2Aは紫外線が照射されて変化した感光性レ
ジストであり、2Bは紫外線がフォトマスクにより遮光された結果、照射
されずに、元の状態のままの感光性レジストである。

【0029】 (e)フォトマスクから水溶性樹脂塗布層3と感光性レジス
ト層2からなる積層体を剥離する工程
  図3はパターン転写用積層体1Aを、フォトマスク4と水溶性樹脂塗布層
3の界面において、フォトマスク4と、水溶性樹脂塗布層3及び感光性レ
ジスト層2を剥離する図である。なお、フォトマスクから水溶性樹脂塗布
層3と感光性レジスト層2からなる積層体を剥離する工程は、フォトマス
クを水溶性樹脂塗布層3と感光性レジスト層2からなる積層体から剥離す
る工程も包含する。
  フォトマスクから、水溶性樹脂塗布層3と感光性レジスト層2からなる
積層体を剥離する工程において、フォトマスクに密着する水溶性樹脂塗布
層3の端部から、剥離のきっかけとして小さい剥離域を形成させ、これを
つまむことができる治具等でつまみ、徐々に剥離域を広げながら水溶性樹
脂塗布層3全体に剥離域を拡大して、フォトマスク4と水溶性樹脂塗布層
3全体を剥離する。この結果としてフォトマスクから水溶性樹脂塗布層3
と感光性レジスト層2からなる積層体を得る。また、フォトマスク4の上
に水溶性樹脂塗布層3を形成させる際に、フォトマスク4又は水溶性樹脂
塗布層3のいずれかに対して、より密着性が強い小片(紙片、樹脂フィル
ム片、繊維片等)を、フォトマスク4と水溶性樹脂塗布層3の間であって、
その小片の端部が水溶性樹脂塗布層3の端部から外部にはみ出すように設
けてもよい。フォトマスクから、水溶性樹脂塗布層3と感光性レジスト層
2からなる積層体を剥離する際には、治具や指先で小片の端部をつまんで、
フォトマスク4と水溶性樹脂塗布層3を分離させることができる。
  また、フォトマスク4の端部表面(水溶性樹脂塗布層3が形成されてい
ない側の面)にポリイミド等を基材とする任意の粘着テープを貼付し、こ
のテープの端部を指先で摘んでフォトマスクを剥がす方向に引っ張ること
で、フォトマスク4と水溶性樹脂塗布層3の界面の端部等をわずかに剥が
すことで、続く剥離のきっかけを作る。次いで、その端部のきっかけをピ
ンセットで摘んでフォトマスク4を水溶性樹脂塗布層3以降の層から剥離
させても良い。
  なお、水溶性樹脂塗布層3及び感光性レジスト層2に影響を及ぼさない限
りにおいて、有機溶剤等の公知の剥離剤を使用することができる。
【0030】図4はフォトマスク4と、水溶性樹脂塗布層3以降の層の剥
離を円滑に進める等のために、予め補強枠としてフレーム7を貼り付けた
パターン転写用積層体1Bである。図5はフォトマスク4を設けた状態を
フレーム7側から見た図である。フォトマスク4の周辺部は、パターニン
グされる基材よりも外に設計できるため、この周辺部に補強枠としてフレ
ーム7を設けることができる。この結果、例えば使用時において、フレー
ム7を把持しつつ、フォトマスク4と水溶性樹脂塗布層3との間を離すよ
うに力を与えることにより、フレーム7を有しない場合よりも円滑に水溶
性樹脂塗布層3と感光性レジスト層2からなる積層体を剥離できる。

【0031】図6は、補強枠としてフレーム7を貼り付けたパターン転写
用積層体1Bのフォトマスク4と水溶性樹脂塗布層3の界面より水溶性樹
脂塗布層3以降の層を剥離する図である。フレーム7を設けることで水溶
性樹脂塗布層3及び感光性レジスト層2が補強され、剥離時のきっかけと
なるため、剥離剤等を使用せず無溶剤な工程が可能となる。このようなフ
レーム7を設けることにより、水溶性樹脂塗布層3及び感光性レジスト層
2からなる積層体全体の剛性を高めることができる。この結果として、こ
の剥離工程を円滑に進めることができ、かつその後の水溶性樹脂塗布層3
と感光性レジスト層2からなる積層体の取り扱い性を容易にさせることが
できる。フレームの形状は図5に示すものに限定されず、図5において内
周が円形でなくても良く、外形も正方形でなくても良い。更に図6におい
てフレームの厚さは任意であり、水溶性樹脂塗布層3及び感光性レジスト
層2が補強され、剥離時のきっかけになる程度に厚ければ良い。

【0032】
  (f)剥離された水溶性樹脂塗布層3と感光性レジスト層2からなる積層
体を、感光性レジスト層2がパターニング基材表面に接するように密着す
る工程図7は、パターン転写用積層体1A及び1Bのフォトマスク4から
剥離させた水溶性樹脂塗布層3及び感光性レジスト層2を、感光性レジス
ト層2側よりパターニング用平面基材8及びパターニング用立体基材9に
密着させ、必要に応じて加熱により貼り付ける図である。その後、水溶性
樹脂塗布層3は、水に溶解するために水洗除去されるため、感光性レジス
ト層2に影響を与えることなく水洗により除去することができる。更に、
現像することによりパターニング用平面基材8上及びパターニング用立体
基材9上に感光性レジスト層2の微細パターンを転写できる。
【0033】
  (g)表面に位置する水溶性樹脂塗布層3を水洗して除去し、必要により
パターニング基材表面を現像する工程上記(f)工程によりパターニング
基材表面に、感光性レジスト層2を介して設けた水溶性樹脂塗布層3を水
洗により除去する。水洗の手段としては、水溶性樹脂塗布層3に対して水
性液体を噴霧して、水溶性樹脂を溶解させて除去する手段や、パターニン
グ基材ごと水性液体に浸漬して、水溶性樹脂を溶解させる手段等の任意の
手段を採用できる。このようにして基材上に感光性レジスト層を転写でき
る。
【0034】上記(g)工程の後、感光性レジスト層2に適合した任意の
条件により現像をする。その後、目的とするパターンを得るように、蒸着
めっき堆積、イオン注入、エッチング等の公知の処理を行なうことができ
る。
【実施例】【0035】
  以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例
は本発明の1形態を示すものであり、本発明はこれに限定されるものでは
ない。
(フォトマスク)
  フォトマスクは円周上に5種のライン—アンド—スペースのパターンが
並んだ形状をデザインしたバイナリーマスクを使用した。中心から外周に
向かって徐々に微細になっており、パターン幅は11.5μm、6.6μ
m、3.7μm、2.1μm及び1.1μmである。
【0036】(水溶性樹脂水溶液)
  日本酢ビ・ポバール社製のJポバール(JP-15:ケン化度90mol
%、重合度1500(PVA1用)、JP-10:ケン化度90mol%、
重合度1000(PVA2用)、JP-05:ケン化度89mol%、重
合度600(PVA3、7及び8用)、JR-05:ケン化度70mol
%、重合度600(PVA4及び9用)、JP-03:ケン化度90mol
%、重合度300(PVA5用)、JP-24:ケン化度90mol%、
重合度2400(PVA6用)、を用いて、表1に示される組成のPVA
1~PVA9の水溶性樹脂水溶液を調製した。可塑剤添加量はPVA1~
8は水溶性樹脂100重量部に対しそれぞれ5重量部添加した。表1の粘
度はB型粘度計(東機産業社製TVB-10)を用いて25℃、ずり速度
1.7s-1で測定した。
【0037】【表1】
000006
【0038】(感光性レジスト)
  感光性レジストはノボラック樹脂系のポジ型レジスト(AZ1500、
Clariant社)を使用した。
【0039】(パターニング基材)
  パターニング基材1は、外径21.4mmのダイス鋼SKD11を使用
した。この表面を#10000にて研磨した。
  パターニング基材2は、立体形状基材として、外径25mm、曲率半径
130mmの湾曲面の高低差が0.6mmである平凸レンズを使用した。

【0040】(パターン転写用積層体の作製)
  スピンコーターの成膜用ヘッドにフォトマスクを固定し、フォトマスク上
に表1に記載の水溶性樹脂水溶液を滴下、スピンヘッドを回転、乾燥させ
ることで水溶性樹脂塗布層を得た。水溶性樹脂塗布層の厚みは水溶性樹脂
水溶液塗布時のスピンヘッドの回転数で調整した。乾燥は80℃で実施し
た。その後、水溶性樹脂塗布層上に感光性レジストとしてポジ型レジスト
を滴下、スピンヘッドを回転、ベークすることで表2に記載の実施例1~
4、及び6のパターン転写用積層体を得た。感光性レジスト層の厚みはス
ピンヘッドの回転数で調整した。
  また、表2の実施例5及び7はパターニング基材の外径よりも外側に補
強枠として厚さ175μmのフレーム(厚膜フレーム(リバアルファ、日東
電工社))を固定した。水溶性樹脂塗布層及び感光性レジスト層の厚みは
段差計及びエリプソメーター(波長632.8nm)により測定した。

(露光)
  マスクアライナを用いて実施例1~7のパターン転写用積層体のフォト
マスク側から露光(水銀ランプ、波長365nm)を行い、感光性レジス
ト層に潜像パターンを得た。
【0041】【表2】
000007
【0042】(実施例及び比較例)
パターン転写用積層体の作製
  実施例及び比較例として表3のパターン転写用積層体を得た。実施例8
及び9は実施例1の水溶性樹脂塗布層の厚みを変えたものである。実施例1
0は実施例8と同じパターン転写用積層体を使用したが、下記表5に示す
ように、特に微細なパターン形成のみの場合の例であり、水溶性樹脂塗布
層の厚みによっては、対応できないパターン幅があることを示す。比較例
1では水溶性樹脂塗布層を設けず、比較例2及び3は実施例3の水溶性樹
脂塗布層の重合度を変えたものである。比較例4及び5は実施例3の水溶
性樹脂塗布層の可塑剤種を変えたもの、比較例6は水溶性樹脂塗布層に可
塑剤が含まれていないものである。水溶性樹脂塗布層の厚みは水溶性樹脂
水溶液塗布時のスピンヘッドの回転数で調整し、乾燥は80℃で実施した。
その後、水溶性樹脂塗布層上に感光性レジストとしてポジ型レジストを滴
下、スピンヘッドを回転、ベークし、比較例1~6のパターン転写用積層
体を得た。
(露光)
  マスクアライナを用いて比較例1~6のパターン転写用積層体のフォトマ
スク側から露光(水銀ランプ、波長365nm)を行い、感光性レジスト
層に潜像パターンを得た。
【0043】【表3】
000008
【0044】比較例7では、ポリエステルフィルム上に表1のPVA1を
バーコーターで塗布、80℃で乾燥することで厚み2.0μmの水溶性樹
脂層を形成し、この水溶性樹脂層上にポジ型の感光性レジストをスピンコ
ーターにより塗布、乾燥し、厚み1.5μmの感光性レジスト層を得た。
その後、ポリエステルフィルムを剥離し、フォトマスクと水溶性樹脂層表
面を合わせて、感光性レジスト側より熱と圧力を掛けて密着させた。この
場合の水溶性樹脂層は本発明でいう水溶性樹脂塗布層ではない。
  次いで実施例1と同様に露光(水銀ランプ、波長365nm)を行い、感
光性レジスト層に潜像パターンを得た。
【0045】  比較例8では水溶性樹脂塗布層及び感光性レジスト層を設け
ずに、ポジ型の感光性レジストをパターニング基材2に直接スピン成膜し
た。その後、レジスト側にフォトマスクを近接させて、マスクアライナを
用いて露光(水銀ランプ、波長365nm)を行い、感光性レジスト層に
潜像パターンを得た。
【0046】(水溶性樹脂塗布層の引張弾性率)
  表1の水溶性樹脂水溶液を離型処理ポリエステルフィルム上にバーコート
により塗工・乾燥させ、23℃-50%RH環境下で調湿した後に、水溶
性樹脂塗布層を剥離し、JIS  K  7161-1:2014に従い、引張
試験機を用いて引張弾性率を測定した。
【0047】
(パターン転写)
<フォトマスクからの剥離>
  露光後潜像パターンを得た実施例1~4、6、8及び比較例1~6につ
いて、フォトマスクの端部表面にポリイミド粘着テープを貼付し、このテ
ープを指先で摘んでフォトマスクを剥がす方向に引っ張ることで、フォト
マスクと水溶性樹脂塗布層の界面の端部に剥離のきっかけを作る。次いで、
その端部のきっかけをピンセットで摘んでフォトマスクを水溶性樹脂塗布
層以降の層から剥離させ、感光性レジスト層等に影響を与えるかどうかを
確認した。実施例5、7、9及び10については、厚膜フレームをピンセ
ットでつまんでフォトマスクと水溶性樹脂塗布層の界面より剥離させた。
  〇:フォトマスクからレジスト層等に悪影響を与えることなく剥離可能
  ×:フォトマスクからレジスト層等に悪影響を与えることなく剥離できな

【0048】<パターニング基材1への転写>
  実施例1~5、8及び9、比較例1~6について、フォトマスクから剥
離した水溶性樹脂塗布層以降の層を感光性レジスト層側から基材であるパ
ターニング基材1に真空密着させた。その後、水溶液樹脂塗布層を水洗に
より除去後、現像液に浸漬し、潜像パターンを現像した。実施例5及び
例9のフレームは、水溶性樹脂塗布層の水洗工程で同時に除去した。比
較例7は露光後、水溶性樹脂層を水洗により除去後、現像液に浸漬し、潜
像パターンを現像した。
  〇:パターン不良なし  
  ×:ぼけ等のパターン不良あり
【0049】<パターニング基材2への転写>
  実施例6、7及び10について、フォトマスクから剥離させた水溶性樹
脂塗布層以降の層を感光性レジスト層側からパターニングの基材2に真空
密着させた。その後、水溶液ポリマー層を水洗により除去後、現像液に浸
漬し、潜像パターンを現像した。実施例7及び10のフレームは、水溶性
樹脂塗布層の水洗工程で同時に除去した。比較例8は露光後、現像液に浸
漬し、潜像パターンを現像した。
  〇:パターン不良なし  
  ×:ぼけ等のパターン不良あり
【0050】【表4】

【0051】【表5】

【0052】表4によると実施例1~5はいずれのパターン幅においても
良好な転写結果が得られた。図8はパターニング基材に転写したレジスト
パターンの走査型電子顕微鏡写真の一例である。中心から外周に向かって
段階的に微細になっている5種のパターンである。図9は図8の最外周の
幅1.1μmのパターンの拡大図である。
  本実施例の水溶性樹脂塗布層の屈折率1.50、i線の露光波長365nm
においてパターン幅1.1μm、2.1μm、3.7μm、6.6μm、11.
5μmにおける、式1による厚みはそれぞれ、2.5μm、9.1μm、28.
1μm、89.5μm及び271.7μmとなり、表2の実施例1~5の水溶
性樹脂塗布層の厚みはパターン幅1.1μmにおける該厚み以下であったこ
とから、パターン幅1.1μmの転写がパターンぼけ等なく可能であった。

【0053】下記の各比較例は、水溶性樹脂塗布層を均一に塗布できなか
ったり、フォトマスクと水溶性樹脂塗布層をその界面で剥離することが困
難な例である。均一な塗布は水溶性樹脂水溶液の濃度調整等により、剥離
性の向上は水溶性樹脂水溶液中の添加剤の調整等により改善できるもので
ある。これらの比較例は、本発明において、フォトマスクと水溶性樹脂塗
布層はその界面で剥離可能である、という条件を満たさない例として示した。
  比較例1では、水溶性樹脂塗布層を設けていないため、感光性レジスト層
が剥離できず転写が不可能であった。実施例8では、パターン幅2.1μm
以上のときには良好にパターン転写できたが、水溶性樹脂塗布層の厚みが
式1を満たさなかったパターン幅1.1μmでは、良好なパターン転写が
得られなかった。同様に実施例9ではパターン幅3.7μm以上のときに
は良好にパターン転写できたが、水溶性樹脂塗布層の厚みが式1を満たさ
なかったパターン幅2.1μm以下では、良好なパターン転写が得られな
かった。
  以上の結果より、更に微細で良好なパターン転写を得るには水溶性樹脂
塗布層の厚みが式1から得られる厚み以下が好ましい。
  比較例2では、水溶性樹脂塗布層として採用したポリビニルアルコール
の重合度が低いため、水溶性樹脂塗布層の強度が弱く、フォトマスク端部
の剥離のためのきっかけから剥離する際に水溶性樹脂塗布層が破れ、それ
に伴い感光性レジスト層が破損した。つまり、剥離可能に形成することが
できなかった。
  比較例3では、水溶性樹脂水溶液の粘度が高く、スピンコートによりフ
ォトマスク上に均一な水溶性樹脂塗布層を設けることができず、続く感光
性レジスト層の厚みも不均一となりパターン形状に支障をきたした。
  比較例4及び5では、水溶性樹脂塗布層の弾性率が低く、フォトマスク端
部のきっかけから剥離する際にフィルムが伸び、それに伴い感光性レジス
ト層が破損した。つまり、剥離可能に形成することができなかった。
  比較例6では、フォトマスク端部のきっかけからの剥離が困難であり、感
光性レジスト層が破損した。つまり、剥離可能に形成することができなか
った。
  比較例7では、水溶性樹脂塗布層をフォトマスク上に設けていないため、
露光時にフォトマスクを水溶性樹脂層に密着させた際に、フォトマスクと
水溶性樹脂層の間で光回折等が起こり、パターン幅6.6μm、3.7μm、
2.1μm及び1.1μmにおいて水溶性樹脂層の厚みが式1を満たしてい
るが、良好なパターンを得ることができなかった。
【0054】表5によると、実施例6及び7はいずれも表2の水溶性樹脂
塗布層の厚みがパターン幅2.1μm及び1.1μmの式1の厚み以下の値
であり、立体形状のパターニング基材に対して良好なパターン転写を得た。
実施例10は、水溶性樹脂塗布層の厚みが式1を満たしたパターン幅2.
1μmでは良好なパターン転写が得られたが、式1を満たさなかったパター
ン幅1.1μmでは、良好なパターン転写が得られなかった。以上の結果
より、立体形状のパターニング基材に対しても、更に微細で良好なパター
ン転写を得るには水溶性樹脂塗布層の厚みが式1から得られる厚み以下が
好ましい。
  比較例8は、パターニング基材に感光性レジストを直接塗布しフォトマス
ク4越しに露光したものである。パターニング基材は湾曲面のために0.6
mmの高低差があり、このギャップ中で生じる光回折により均一な露光が達
成できず、良好なパターンを得ることができなかった。
  全実施例について、感光性レジスト層上にフレームを設けた場合には、フ
ォトマスクの剥離時、及びパターニング基材へのレジスト層の密着時にお
ける取り扱い性が、設けない場合よりも向上した。

【産業上の利用可能性】
【0055】  本発明のパターン転写用積層体は、シリコンウェハ等の高
度に平滑な基材だけでなく、鋼材のような表面が比較的荒れた形状の基材
への微細パターンの転写が可能であり、また、立体形状の基材への微細パ
ターンの転写が可能である。微細パターンとして生物模倣パターンを設計
した際には、生物の持つ機能を表面に与えることが可能である。
  立体形状を持つ基材へのフォトリソグラフィ技術による微細加工は、機
能として立体形状を必要とするセンサ・アクチュエータ・マイクロ流路等
のMEMSデバイス、光導波路とも整合する形で素子を配置する必要があ
る光デバイスシステム、LSIやイメージセンサ等の既存の平面デバイス
を複数積み上げる等によって実現する3次元LSI等の小型集積システム、
ウェハとは同様に扱えない精密機械部品中の局所的な平坦部・湾曲面をも
つ部材やその製造に利用する金型、等に求められている。これらに応える
加工技術が、フォトリソグラフィ技術が持つ一括で多点同時処理の特徴を
維持しながら実現できるほど、生産性が高い技術となり産業に利用される
可能性が高い。                        了
🪄マスクレスOLED製造の競争は当面競争が続き、初のマスクレスOLEDデ
ィスプレイは2025年初頭に市場に投入される見込み  
               




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エネルギーと環境 72

2024年12月09日 | タフで綺麗なOLED

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-

【季語と短歌:12月10日】

         高気圧 電気毛布と湯婆や   

                  高山 宇 (赤鬼)

✳️ 新規スピントルクダイオード効果の発見

 


強磁性体は,マイクロ波帯域で固有の共鳴周波数を持ち,マイクロ波と効
率的に相互作用できる。たとえば,二つの強磁性体で絶縁体を挟んだ磁気
トンネル接合素子において,マイクロ波電流を印加すると直流電圧が発生
するスピントルクダイオード効果が広く知られる。
しかしながら,強磁性体を用いた場合には,そのダイオード信号の強さは
周波数が高くなるとそれに反比例して大幅に減少するという問題があった。
東京大学,産業技術総合研究所らの研究グループは、反強磁性体に着目し,
その特殊な構造から反強磁性体にもかかわらず,強磁性のような応答を示
すカイラル反強磁性体であるマンガン(Mn)・スズ(Sn)合金Mn3Sn
用いた。まずMn3Sn合金薄膜をタングステン(W)薄膜の上に作製し,そ
厚みを7nmという極限まで薄くした。🎈
この二層膜に電流を流すと,W
層において電流がスピンの流れであるスピン流に変換され🏹Mn3Sn中に注
入され🏹Mn3Snのスピンの運動が誘起される。この作製した薄膜をデバ
イスに加工し,磁場をかけながら,5GHzのマイクロ波電流と直流電流を
同時に印加する実験を行なった。🎈マイクロ波電流の印加に応じて,その
パワーに比例する特徴的なピーク構造を持つ直流電圧が現れ、この結果は
反強磁性体を用いたデバイスでもスピントルクダイオード効果が発現。

また,印加するマイクロ波の周波数を30GHzまで変えながら実験を行ない,
このピークの大きさが30GHzまでの範囲でほとんど変化しないことを見出
した。この振る舞いは,一般に強磁性体におけるダイオード信号が周波数
に反比例し減少してしまうことと本質的に異なる。
この振る舞を理解すべく,反強磁性体に特有の交換相互作用を考慮した詳
細な数値シミュレーションも行なった。シミュレーションは実験結果をよ
く再現し,直流電流が駆動するスピンの運動が磁場によって抑制される際
に,効率的にマイクロ波と相互作用し整流作用を生み出すことを確認する

【展望】
この新しいスピントルクダイオードがテラヘルツ波に至る高周波数領域で
の応用が見込まれ,次世代のスピントロニクスおよび高速通信の発展につ
ながると期待する。
掲載論文
雑誌名:Nature Nanotechnology
題名:Antiferromagnetic spin-torque diode effect in a Kagome Weyl semimetal


図1. [Pb(tadt)]nの合成方法
✳️ 固体光触媒によるCO2還元の効率10倍

   再生可能エネルギーを活用してCO2を有用物質に高速変換
12月5日、光エネルギーを用いてCO2を再資源化する光触媒は,地球温暖化
や炭素エネルギー資源の枯渇といった難題に対する有望な解決策として,
40年以上も前から広く研究され,資源制約の小さい普遍元素を活用して高
効率に働く固体光触媒の開発は重要な課題となっている。

図2.[Pb(tadt)]nのCO2還元光触媒活性

東京科学大学の研究グループはマイクロ波を援用した溶液合成法により,
繊維状の[Pb(tadt)]nが得られることを見出した。合成温度や時間を最適
化した結果,この繊維状[Pb(tadt)]nは従来法で合成した柱状の[Pb(tadt
)]nと比べて高い比表面積を持ち,電子と正孔の再結合中心となる表面欠
陥も少ないことがわかった。
そのため,繊維状[Pb(tadt)]nは99%以上の
高いギ酸生成選択率を維持したまま,25%という高いみかけの量子収率で
CO2をギ酸へ変換できることがわかった。この値は,可視光でCO2をギ酸
へ変換する光触媒の中では世界最高値となっている。


.図3. [Pb(tadt)]nを電極触媒としたCO2還元

さらには,同じ[Pb(tadt)]nを導電性基板上に固定してCO2電解に用いた
ところ,300mAcm–2の高い電流密度でCO2をギ酸へと変換できることもわ
かった。この時のギ酸生成のファラデー効率は90%以上に達し,こうした
高速電解条件でも[Pb(tadt)]nは高いギ酸生成選択率を維持できることが
示された。
また,従来の鉛系の電極触媒では,高電流を流す条件では水の
還元による水素生成が併発し,CO2還元の選択率を低下させることが問題
になっていたが,[Pb(tadt)]nを用いた場合には水素生成はほとんど起き
ず,CO2還元の電極触媒として有用であることがわかった。
【展望】今後のさらなる材料探索と合成法の最適化によって,より小さな
エネルギーの印加で駆動する新たな触媒系の構築が期待できるとしている。
【掲載誌】
掲載誌:Advanced Functional Materials
論文タイトル:Fibrous Pb(II)-Based Coordination Polymer Operable as a
Photocatalyst and Electrocatalyst for High-Rate, Selective CO2-to-Formate
Conversion
DOI:10.1002/adfm.202417223


図1. (左)はMoS₂の原子構造と添加元素の安定位置。(右)の色を付けた
内か
らMoとSを除く27種の元素を、MoS₂にドーピングした場合の安定位
置を理
論計算で求めた。

✳️ 
2次元半導体中での添加元素の影響を予測
12月4日、東北大学の研究グループは,二硫化モリブデンに27種の元素を
導入した際の安定な原子構造や電気特性を,密度汎関数理論に基づく精緻
な計算機シミュレーションで明らかにした
単層が原子3個分の厚さから成る遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDC)
優れた電気特性や光学特性を持つことから,次世代の電子デバイスへの応
用が期待されている。特にMoS2は最も精力的に研究がなされているTMDC
であり,ウエハースケールでの大面積化を実現していることから,従来の
シリコン半導体の限界を超えた,次世代デバイス材料として期待される。
一方,電界効果トランジスタなどのデバイス製造において,元素を添加す
るドーピングによって伝導キャリアを導入し,電気特性を制御する必要が
あることから,MoS2への元素ドーピングに関する研究が盛んに行なわれて
いる。しかし,実験で用いられる元素は,既にドーピング手法が確立され
ているReやニオブ(Nb)など数種類に限られている。添加する元素の影響
を系統的に調べることができれば,より電気特性の制御に適した元素の発
見や,ドーピングによるキャリア導入のメカニズムの正しい理解につなが
り結果としてデバイス応用におけるさらなる性能最適化が期待されていた

同グループは,MoS2に導入した27種の元素ドーピングを対象に,密度汎
関数理論に基づいた理論計算を行なった。まず,各元素に対し,元素置換,
表面吸着,格子間配置など様々な配置を網羅的に計算することで添加元素
の安定位置を示し,添加元素ごとの安定な原子構造を明らかにした。

また,シリコンなどの3次元半導体では,伝導キャリアは,空間的に広がっ
た状態で安定となり,室温で容易に励起され伝導に寄与する。しかしMoS
2中では,添加元素の種類によらず,空間的に局在するポーラロン状態が安
定となり,深い準位を形成することが予測された。

この結果,室温では励起されないことから,実験で観測されている電気伝
導は,キャリアが伝導体を移動する通常のバンド伝導とは異なり,添加元
素間を飛躍しながら移動する不純物伝導であることが示唆され、これらの
理論予測は,最近実験で観測されているReを添加した際の原子及び電子構
造とも良い一致を示しており,予測の確からしさが実験からもサポートさ
れている。
論文情報】 
タイトル:Universal Polaronic Behavior in Elemental Doping of MoS2
from First-Principles 
掲載誌:ACS Nano 
DOI:10.1021/acsnano.4c08366

開発した高生産性微細加工実証装置と実証結果の図
図1. 開発した高生産性微細加工実証装置と実証結果
✳️ ガラスへの高生産微細穴加工に成功
12月4日、ギガフォトンと早稲田大学はKrFエキシマレーザと深紫外域回
折光学素子(DOE)によるマスクレス同時多点加工技術を開発。
シリコンやガラスを材料としたインターポーザにより半導体チップと基板
を高密度に接続する技術(2.5次元化,3次元化)が求められている。しか
し,シリコンを用いたインターポーザは高コストかつ誘電率が大きいため
配線による電力ロスが大きく,代替として期待されるガラスも微細穴あけ
加工が難しいという問題があったが、ギガフォトンはガラスの難加工性の
問題を解決するためKrFエキシマレーザーと深紫外域回折光学素子(DOE)
を組み合わせた高生産性微細穴あけ加工方法を考案した。しかし,その実
現には,回折後の光を微細かつ均一に照射する必要があるため,DOEの高
性能化およびDOEを用いるための技術開発が課題となっていた。

今回,KrFエキシマレーザーと深紫外域DOEを組み合わせることにより,高
効率マスクレス同時多点加工方式を実現し,難加工材における高生産性微
細加工技術を開発した。具体的には,①DOEを用いた深紫外域同時多点加
工光学系の開発,②高ビーム品位KrFエキシマレーザ光源の開発,③アブレ
ーション学理研究による難加工材微細穴の高生産性照射プロセス開発を実
施した。
これにより,ガラス材料への微細穴加工かつ高生産性を得るため
のレーザ照射要素技術が得られたとする。

同時多点加工方式概要の図
図2. 同時多点加工方式概要
高生産性微細加工技術の開発で実現した技術をもとに,加工実証装置を製
作した。この実証装置にて,板厚100μmのガラス材料に対してマイクロビ
アを加工径20μm以下,アスペクト比5以上,かつ毎秒1000穴以上の直接加
工生産性を達成したという。
これにより,高生産性微細加工技術の開発で
の成果を装置レベルで実証することができ,同時にこれまで問題であった
ガラス材料への微細穴加工,加工生産性を解決できることを実証できた。
【展望】
ガラス板厚200μmにおいても加工径20μm以下,アスペクト比10以上,か
つ毎秒1000穴以上の加工生産性が得られる見込みだとし,ギガフォトンで
はさらにガラス板厚1000μm以上の材料に対する加工径20μm以下,アスペ
クト比50以上の実証試験を進め
ていく。
事業・プロジェクト概要

ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業の研究開発内容と社会実装イメージの画像


2. 特開特開2024-32822  表示装置及び表示装置の製造方法 デクセリアル
ズ株式会社
【要約】下図1のごとく、赤外センサと、表示部と、赤外センサ及び表示部
の前面に設けられた反射防止層とを備え、反射防止層が、赤外センサ及び
表示部側から光学厚みが41nm~52nmである第1の高屈折率層411
と、光学厚みが41nm~53nmである第1の低屈折率層412と、光
学厚みが302nm~313nmである第2の高屈折率層413と、光学
厚みが135nm~196nmである第2の低屈折率層414とからなる。
高い赤外線透過率を有する反射防止層を備える表示装置及び表示装置の製
造方法
を提供する。

000002
図1は、本技術を適用させた反射防止フィルムを模式的に示す断面図

【符号の説明】
10  基材、20  ハードコート層、30  密着層、40  反射防止層、
50  防汚層、60  ベースフィルム、61  巻出ロール、62  巻取ロール、
71  第1のキャンロール、72  第2のキャンロール、81  第1の光学
モニター、82  第2の光学モニター
【発明の効果】 表示装置の前面には、赤外線に応答する赤外センサ(IR)
センサが設置されることがある。このため、表示装置の前面に設けられる
反射防止フィルムは、赤外線の透過率が高いものが望まれている(例えば、
特許文献1参照。)。また、近年、折りたためる有機ELディスプレイ、
いわゆるフォルダブルディスプレイに対応する優れた屈曲性を有する反射
防止フィルムが望まれている。
しかしながら、反射防止フィルムの赤外線の透過率を高くすることと、反
射防止フィルムの厚みを極力薄く抑えることを両立することは困難であっ
た。本技術によれば、高い赤外線透過率を有する反射防止層を備える表示
装置及び表示装置の製造方法
を得ることができる。


図4. 薄膜形成装置の概略を示す斜視図

3
. 特開2024-029570 感光性表面処理剤、パターン形成用基板、積層体、ト
ランジスタ、パターン形成方法及びトランジ
スタの製造方法 株式会社ニコ
ン・学校法人神奈川大学
【要約】記式(M1)で表される化合物を含む、感光性表面処理剤。(式
(M1)中、Rは水素原子又はtert-ブトキシカルボニル基又はエ
ステル系保護基であり、Rは水素原子又は炭素数1~6のアルキル基で
あり、mは1以上の整数であり、Xはハロゲン原子又はアルコキシ基であ
る感光性表面処理剤の提供である。

000002


図1. 本実施形態のパターン形成方法を説明するための模式図
【0054】
  次に、図1(c)に示すように、所定のパターンの露光領域を有するフォ
トマスク13を用意する。露光方法としては、フォトマスクを用いる手段
に限られず、レンズやミラーなどの光学系を用いたプロジェクション露光
空間光変調素子、レーザービームなどを用いたマスクレス露光等の手段を
用いることができる。なお、フォトマスク13は、感光性表面処理剤層10
と接触するよう設けてもよいし、非接触となるよう設けてもよい。


図2. 本実施形態のトランジスタの製造方法を説明するための模式図

【符号の説明】【0117】
11:基板、10a:感光性表面処理剤、10:感光性表面処理剤層、
13:フォトマスク、14:アミノ基発生部、12:アミノ基未発生部、
15:触媒層、16:めっき層、17:絶縁体層、18:めっき層(ソー
ス電極)、19:めっき層(ドレイン電極)、21:半導体層

[めっき配線の製造5]
  樹脂膜を脱保護処理行わず、乾燥基板のまま波長365nm光を2000
mJ/cm露光に変更した以外は、上記[めっき配線の製造1]に記載
の方法と同様にめっき配線を作製した。
【0114】[めっき配線の評価]
  図3A、図3Bに実施例でめっき配線処理を行った、PET基板の光学顕
微鏡(株式会社キーエンス製、VHX-7000)像をそれぞれ示す。
  図3Aは、PET基板に上記めっき配線の製造1~4で加工したL/S=
100/100、5/5の光学顕微鏡像である。加工したL/S=1/1~
9/9umの光学顕微鏡像である。
【0115】下図3A及び図3Bから、高精細の良好なめっき配線が形成さ
れていることが、目視及び顕微鏡によって確認できた。


【0116】  下図4A及び図4Bに実施例で樹脂膜に対し露光、めっき配
線処理を行った結果を示す。(図4B不記載)

  図4Aは、PET基板上の樹脂膜の分子構造である。
  図4Bは、上記めっき配線の製造5で加工したPET基板の全体像である。
  図4A及び図4Bから、波長365nm光を2000mJ/cm照射し
てもなお、脱保護されることなく意図しないアミンの発生を抑制できてお
り、樹脂膜の状態であれば意図せずアミンが生成されることがない。すな
わち光安定性に優れ遮光保管する必要がないことが確認できた。

3. 特開2013-010342積層体とその製造方法及びそれを用いたデバイス構
造体の製造方法 東洋紡株式会社
【要約】下図1のごとく、ポリイミドフィルム6として、少なくとも支持体
1に対向させる面にプラズマ処理が施されたフィルムを用い、支持体1と
ポリイミドフィルム6とが対向する面の少なくとも一方にカップリング剤
を用いて、接着剥離強度は異なり表面粗さは略同一である良好接着部分と
易剥離部分とを形成するパターン化処理を施した後、重ね合わせて加圧加
熱処理することとし、ポリイミドフィルム6は、70モル%以上がベンゾ
オキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類を主成分とするジアミン類と
テトラカルボン酸類との反応によって得られる各種デバイスを積層するた
めの基材とするためのポリイミドフィルムと支持体との積層体であって、
デバイス作製時の高温プロセスにおいても剥がれることなく、しかもポリ
イミドフィルム上にデバイスを作製した後には容易に支持体からポリイミ
ドフィルムを剥離することができる積層体を提供する。


図1 本発明の積層体の製造方法の一実施態様を示す模式図

【符号の説明】【0201】
1:ガラス基板 2:カップリング処理層 3:UV光遮断マスク
4:カップリング処理層UV未照射部 5:カップリング処理層UV照射
部 6:ポリイミドフィルム 7:カップリング処理層UV照射部上のポ
リイミドフィルム 8:デバイス 10:良好接着部分 20:易剥離部分
101:積層体(基板)102:Al 103:陽極化成膜(Al23
104:第一窒化シリコン 105:水素化非晶質シリコン 106:第
二窒化シリコン 107:非晶質シリコンn層 108:Cr・Al層
109:ゲート配線 110:信号線 111:ゲート配線バスライン
112:透明電極 201:積層体(基板) 202:第一電極 203:
発光層 204:第二電極 205:隔壁 206:保護膜 
【発明の4効果】 本発明の製造方法で得られる積層体は、デバイスを積層
した際に易剥離部分のポリイミドフィルムを切り抜くことにより、容易に
支持体から剥離することができる。しかも、これら積層体は、金属化など
の工程にも耐え得るものであり、その後のパターン作製においても良好な
パターンを得ることができる。したがって、本発明の積層体は、極小薄の
ポリイミドフィルム上のデバイス構造体などの製造過程に有効に使用でき、
極薄の絶縁性、耐熱性、寸法安定性に優れた高分子フィルム上に、精度よ
く回路やデバイス形成ができる。それ故に、センサー、表示デバイス、プ
ローブ、集積回路、およびこれらの複合デバイス、アモルファスSi薄膜
太陽電池、SeやCIGS系化合物半導体薄膜太陽電池基板およびこれら
を使った太陽電池などのデバイス構造体の製造に有用であり、産業界への
寄与は大きい。

4. 特開2023-116036 パターン転写用積層体及び転写方法 学校法人ト
ヨタ学園他
【要約】下図2のごとく、フォトマスク、水溶性樹脂塗布層及び感光性レジ
スト層をこの順で積層させてなり、フォトマスクと水溶性樹脂塗布層は、
その界面で剥離可能であるパターン転写用積層体で、パターニング基材に
感光性レジスト層等を介してフォトマスクを密着させて感光をさせるも
のではなく、水溶性樹脂塗布層と感光済みの感光性レジスト層を基本とす
る層を、表面が平面、又は平面ではないパターニング基材に積層させて、そ
の後の処理を行なうことができる。

図2.パターン転写用積層体のフォトマスク面側から紫外線を照射し露光す
ることで、感光性レジスト層に潜像を形成する図
【符号の説明】【0056】
1:パターン転写用積層体 1A:潜像パターンを有するパターン転写用
積層体 1B:フレームを有するパターン転写用積層体 2:感光性レジ
スト層 2A:紫外光が照射された感光性レジスト 2B:紫外光が遮光
され元の状態の感光性レジスト 3:水溶性樹脂塗布層 4:フォトマスク
5:スピン成膜用ヘッド 6:紫外線 7:フレーム 8:パターニング
用平面基材 9:パターニング用立体基材(湾曲面)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】【0001】
  本発明は、フォトマスクに用意された微細パターンを忠実にフォトレジス
ト膜に転写することが求められる、フォトリソグラフィ微細加工技術に関
する。
【背景技術】【0002】
  ICやMEMSに代表されるデバイスは、高精度で複雑な構造が高度に組
み合わされており、微細形状を一括で高い生産性と共に製作できるフォト
リソグラフィ技術によって量産されている。生産性を高めるには、より微
細なパターンを感光性レジスト膜に形成することがポイントとなる。通常
は、レジスト膜を基材に成膜し、パターン状に紫外光照射することでパタ
ーンを転写する。

  半導体産業は歴史的にみて、2μmより細かな解像力が求められるように
なった1980年頃に、ガラスマスクを基板に近接させる方法から、マス
クパターンを光学的に縮小した像を露光するステッパを利用する方法に移
った。微細パターンを安定に形成することが求められるようになり、ガラ
スマスクを物理的に近接させる方法では、精度が安定して得られなくなっ
たことを意味する。ステッパを利用する場合であっても、基板面は高度に
平坦であることが求められる。これはフォトマスクの平面と基板の平面が、
ステッパ装置のレンズを介して平面同士を光学的に一致する関係にするた
めである。平面度の確保には、大きな努力が払われている。基材が立体に
なると、上記技術では対応できなくなる。

【0003】  フォトマスク上に用意された微細パターンを、忠実に感光性
レジストに転写する技術については、例えば特許文献1~4、非特許文献
1~3に開示されている。
  特許文献1では、立体構造を有するプラスチック成形品の形状に合わせ
て作られた、立体フォトマスクを密着させて露光する方法が開示されてい
る。フォトマスクの材料としては、合成樹脂あるいは金属等を用いる。し
かしながら、立体形状の上に微細パターン状のフォトマスクを作る方法が
別途必要となる。また、フォトレジストを露光する際に、複数の方向から
フォトレジストを露光させると共に、露光すべきレジスト面以外の面を遮
光マスクで遮光しないと、フォトレジストは均等に露光されない。立体
形状ごとに調整が必要な特殊なフォトマスク、及び露光装置が必要になる。

 特許文献2には、電子部品の外部接続部がどのような形状であっても、接
触子に確実に接触できる接触子製作方法が開示されている。波長の短いX
線を利用することで、回折を少なくし、マスクと露光部分に隙間があって
も露光パターンが劣化することを避けている。X線用の露光装置は特殊で
高価である。更にマスクについても、X線を遮るために厚い金属膜が必要
となり、特殊で高価になる。

  特許文献3には、立体成形品に電気回路パターンを形成する立体マスクが
開示されている。この立体マスクは、光造形法により作製した造形物の表
面に不透明性塗膜を施すことにより得たものである。この立体マスクを平
面フィルムマスクと接合することによって所望のパターンの開口部を有し、
密着されるべき面の立体形状に加工されたフォトマスクを得る。このフォ
トマスクを、予め感光性レジストを成膜した立体成形品に密着配置し、露
光・現像することにより立体的で微細な電気回路パターンが形成された立
体回路成形体を得る。パターンをより微細化するには、立体マスク側、立
体成形品の両方で精度良く製作することに加え、立体表面の全ての面で密
着が必要となるため、これを実現することは難しい。

  特許文献4には、水溶性樹脂を持つシート上に感光性レジスト膜を用意し、
感光性レジスト膜を基材に貼り付ける前に、フォトマスクと感光性レジス
ト膜を密着させて露光することで微細パターンを潜像として用意しておく
方法が開示されている。立体基材に貼り付けてから現像することで、パタ
ーンを立体上に転写する方法である。シートはほぼ平面であるため、フォ
トマスクに密着することが容易である。例示されたパターン幅は2μmで
あるが、広域で安定にパターンを得るに至っていない。フォトマスクとレ
ジスト膜を別々の部品として用意し、光の波長を400nm程度の紫外光
とする限り、パターン幅2μmが現実的な限界となる。

【0004】  非特許文献1には露光装置技術について網羅的に説明され
ている。ステッパはレンズを介して、マスク平面とウェハ平面を光学的に
一致させる原理を有するが、ウェハの平面度を出すために、ウェハの平面
矯正技術が紹介されている。そこでは、真空チャックの真空引き用の溝が
ウェハを変形させることは勿論、ウェハ裏面とチャック表面の間に挟まっ
た微小な塵もデフォーカスの原因となることが示されている。附表4には
ニコン社とキヤノン社の露光装置開発年表があり、ニコン社とキヤノン社
の開発機種とその解像力が示されている。初期のステッパは、1970年代
後半から導入されており、解像力が2から1μmであったことが分かる。

  非特許文献2には、射出成形品の表面に電気回路を形成する立体回路基
板(Molded  Interconnect  Device)が記載され
ている。機械的機能と電気的機能とを持ったプラスチック射出成形品で
ある。その製作は、a.基板が複数アレイ状に並んだシートをまず用意し、
b.金属薄膜を全面にスパッタリング蒸着し、c.レーザ描画により回路
パターン形状の輪郭部の金属薄膜を除去し、d.めっきし、e.シートか
ら個別に切断する、ものである。上記c.のレーザ描画は一点加工を繰り
返すものである。高密度回路を形成するためには一点加工サイズを微細化
することは必須となる。しかし、レーザスポットを小さくすると、一点で
の加工量が減り、同じ面積であっても時間をかけて処理する(面積は長さ
の2乗で増加する)ことになるため、生産性は低下する。また、微細化の
ためにはレーザを大きなNA値を持つレンズで集光することになるが、そ
の焦点深度はNAの2乗で狭くなるため、オートフォーカスの制限が厳し
くなる。立体形状に合わせて行うことは技術的に難しくなる。2014年
5月時点のパンフレットに、最小線幅50μm、パターン間距離50μmの
記述がある。

 
非特許文献3には、微細パターンを掘り込んだ型を、ポリマー材を成膜
した基板に押し付けることで、そのパターンを大量に転写するナノインプリ
ント技術に関する解説である。大面積の型の開発が進んだことで、用途が
拡大し、量産が広がりつつあることが開示されている。以前の任意のナノ
パターンは、電子ビームリソグラフィで製造するマスターモールドの製造
コストが高く(10~20nm幅パターンでは2~3cmマスター型で
1000万円/枚)、インプリント特有に生じる欠陥発生の技術課題も多
かった。このため、光リソグラフィの既存半導体製造技術に対して大きな
優位性を示せなかった。100nm程度のパターンで良い新用途は、例え
ば、液晶パネルの反射防止層形成、偏光フィルム、有機ELパネルの光取
り出し効率向上、自動車の窓ガラス等の撥水加工、微細なマイクロレンズ
アレーから大型レンズまでの光学部品、立体的な細胞の培養等がある。こ
れには、アルミの陽極酸化で作る構造等、自然に構造を発生させる技術が
利用された。

 また、フォトリソグラフィは、微細形状を一括で高い生産性と共に製作で
きる長所を持つ。設備コストを抑えることができ、転写可能なパターンが
微細になるほど、基材への付加価値を高くできる優れた方法と言える。し
かし、これを高い自由度と共に実現できる方法は見い出されていない。感
光性レジスト膜を基材面に用意し、フォトマスクを近接させて露光する微
細パターン転写方法は、アライナ装置が確立されていると共に、その維持
費が比較的安価であるため現在でも広く利用されている。但し、実際に転
写可能なパターンサイズは2μm程度に留まる。これよりも微細なパターン
を転写しようとしても、フォトマスクのガラス透明部を通り抜けた紫外線
が、フォトマスクとレジスト膜間の隙間で不可避的に光回折し、パターン
が崩れるためである。2μmよりも微細なパターンを得るには、ステッパが
利用される。ステッパは装置とその維持費が高額になる。この維持費を節
約できるマスクレス露光装置が市場に出ているが、装置購入に数千万円は
下らず高価である。幅1μm程度のフォトマスクは1枚10万円程度であ
、これを用いてパターン転写が忠実にできるならば理想的である。なお、
高精度な平面でない基材(例えば、曲面や溝付き基材)に、2μm以下の
ターンを転写することはステッパやマスクレス露光装置を用いても難し
い。
【先行技術文献】
【特許文献】【0005】
【特許文献1】特開平7—286280公報
【特許文献2】特開2005—79055公報
【特許文献3】特開平9—319068公報
【特許文献4】特開2017—071202公報
【非特許文献】【0006】
【非特許文献1】「露光装置技術発展の系統化調査」高橋一雄、国立科学
博物館  技術の系統化調査報告  第6集(平成18(2006)年3月31
日)http://sts.kahaku.go.jp/diversity/
document/system/pdf/022.pdf

【非特許文献2】パナソニック株式会社、3D実装デバイスMIPTEC
(パンフレットその他、「MID用高速レーザ加工システム」進藤崇、高
橋博、パナソニック電工技法(vol.57、No.3)、pp.10—15)

【非特許文献3】「ナノインプリントに新風  大面積化で用途も拡大」日
経エレクトロニクス(2014.3.14)pp.49—58


                           この項つづく

『back number :クリスマスソング』2015年11月

今日の言葉:「賢明」と「寛容」の時代




 

 

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エネルギーと環境 71

2024年12月08日 | 医療健康術

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-

【季語と短歌:12月8日】

         虎落笛騒がしきことあちこちで   

                  高山 宇 (赤鬼)
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                           



陸域貯水池(TWS)は、すべての大陸の貯蔵区画(氷冠、氷河、積雪、土壌
水分、地下水、地表水域、バイオマス中の水)に貯蔵されている水の総量。
TWSの経時的な変化は、降水量、蒸発散量、流出量の水フラックスの収支
を釣り合わせ、つまり大陸の水収支を閉じる。したがって、TWSの変化は、
気候変動と気候変動の正味の影響、および水循環に対する人為的影響を表
している。

Image: NASA / JPL-Caltech


✳️ 衛星データが示す淡水激減
米航空宇宙局(NASA)ゴッダード宇宙研究所の科学者をはじめとする国際

研究チームがSurveys in Geophysicsに発表した研究結果によると2014年
5月から16年3月にかけて急激に減少した地球の淡水レベルが
2023年にな
っても低いままになっているという
この急激な変化について、地球の陸
地が長期的な干ばつに入ったことが寄与している可能性を示唆するとのこ
と。研究チームによると、2015年から2023年にかけて、陸地に貯留されて
いる淡水(湖や川のような地表水+地下にある帯水層の水)の平均量が、
2002年から2014年の平均量と比較して1,200立方キロメートル減少してい
ることを、GRACE衛星のデータが示している。これは、
琵琶湖の水量が27.5
立方キロメートル
なので、琵琶湖約44個分の淡水が失われたことになる。
SAが共同で運営するGRACE(Gravity Recovery and Climate Experiment)
衛星の観測データから、地球規模で淡水が激減していることを突き止めた
といと言いう。

GRACE衛星は水の量を直接計測するのではなく、地球の重力の変動を月単
位で測定することで、地表や帯水層にある水の質量の変化を求める。現在
運営されているGRACE衛星は、2018年に打ち上げられた2代目で、初代G
RACE衛星は、2002年3月から2017年10月まで観測を行なった。
Image: NASA Earth Observatory / Wanmei Liang
Image: NASA Earth Observatory / Wanmei Liang
上の地図は、GRACE衛星の観測データをもとに、2002年から2023年まで
に陸地の水量が最小値を記録した年を示す。地図上では、2015年以降に最
小値を記録した年が色分けされている。
赤道から中緯度地域の多くが2015
年以降、特にここ数年で最小値を記録しています。拡大すると、日本でも
中国・四国、近畿南部あたりは2023年頃に水量が最低値を記録。

◾きっかけは最強エルニーニョ現象
2014年から2016年と聞くとピンとくるかもしれないが、2014年の後半か
ら赤道太平洋の海水温が上昇し、世界平均気温が14年から16年まで3年連
続で当時の過去最
高を更新、世界中の天候パターンを狂わせて気象災害を
引き起こした史上最強レベルのエルニーニョ現象が発生している期間に、
地球の淡水は急減した。
ところが、エルニーニョが終息したあとも、淡水
レベルは回復していない。
気温が上昇すると、大気はより多くの水蒸気を
保持できるようになる(気温1度上昇で水蒸気の量は7%増加)。干ばつが
続いたあとに、その増えた水蒸気が豪雨になって地表に降ると、乾ききっ
て硬くなった土壌は水分を吸収しにくくなるため、流れ去ってしまう。

都市部や農業地域では、人間の生活に必要な量を満たすため地下水をく
み上げる
長期的な干ばつに見舞われ、降ったと思ったら大雨で土壌に吸
収されずに流れ去り、帯水層に水が補充されず、また地下水をくみ上げる
という悪循環に陥る可能性がある。

科学者たちは、淡水量が2015年以前のレベルまで回復するのか、このまま
低いレベルをキープするのか、それともどこかの時点からまた減り始める
のか、今のところわからないという。
研究チームによると、GRACE衛星が
観測した最も極端な干ばつ30件のうち、13件が2015年以降に集中している。
温暖化の影響で淡水が減っているのではないかと推測していますが、まだ
不確実性が残る。
そして、今回の研究で対象期間になった2015年から23年
は、地球が観測史上最も暑かった9年間と重なる。
研究の主執筆者でNASA
ゴッダード宇宙研究所のMatthew Rodell氏は、このことについて次のよう
にコメントしています。
これは偶然の一致ではないと言う。
🎈Source: Rodell et al. 2024 / Surveys in GeophysicsNASA

🎈Reference: 滋賀県TIME


🗾 雪下ろしシグナル
異常気象で今後、降雪量が増えていくことは避けられない。これを経時的
に多変量解析し、『リスク・インパクト・マネイジメント』として体系化
し対応政策課題の基礎データとなる。(❄️GCP(事業継続計画))



Vitality Kidney Care
❤️幸福な生活スタイル⓵:腎臓活力維持法

✳️ 株式会社ダステック:
「腎臓病治療のゴールは腎機能を正常に戻すことではなく、透析に入らず
に天寿を全うすること」そのためには「腎臓に負担をかける物質を減らし、
腎機能の低下速度を遅くすれば良いのでは?」と考える。
そこで着目したのが吸着炭。すでに「クレメジン」という球形吸着炭が医
薬品として普及していたが、服用量が多く便秘の副作用があり、飲みやす
い薬でなかった。「クレメジンよりも飲みやすく、リン・カリウム・ナト
ウムなども吸着できる炭がないか?」と考え研究開発をスタート。

高純度結晶セルロース
同じ原料であっても炭化条件により、全く違う物質ができる。焼成温度や
時間により、ベンゾピレンなどの有害物質が生成され、吸着できる物質も
違ってくる。通常よく耳にする活性炭は、吸着力を高めるために薬品やガ
スを使った賦活化処理を施して製造するが、薬品などの不純物混入を避け
るため賦活化処理が求められる。次いで、炭素特有の発がん性物質である
ベンゾピレンや、物を燃やす過程で発生するダイオキシンが生じない安全
な炭化条件を見つける。また、
服用した際に消化酵素や栄養素であるたん
ぱく質を吸着することなく、腎臓に負担をかけるインドール化合物やAGE
(糖化物質)・食品添加物を吸着する炭化条件を見つけ、その上、リンや
カリウムなど腎臓病では摂取が制限される元素を測定する「元素分析」
ヒ素や鉛などの有害物質の有無を調べる「重金属検査」、発がん性物質を
調べる「ベンゾピレン検査」、有害な細菌の混入を調べる「一般生菌・大
腸菌検査」、遺伝子を傷つける可能性を調べる「変異原性試験」、ラット
を用いた「急性毒性試験」・「亜急性毒性試験」といった数々の試験で安
全性と品質を確認し商品化する。


【関連特許情報】
1.特開2011-184403 吸着炭及び吸着剤 株式会社ダステック
【要約】図2の如く、本発明に係る吸着炭は、全細孔容積が0.10~1.
0mL/g、平均細孔直径が1.0~2.0nmであり、1650-18
00cm-1における赤外吸収バンドの吸光度が0.005以上であり、
終末糖化産物(AGEs)等の生体内毒素を効果的に吸着可能な吸着炭、
及びそのような吸着炭を有効成分として含有する吸着剤を提供する。
🪄WO2011111577A1
🪄
TakeuchiM.etal.,Mol.Med5:393-440
5(1999)
図4.実施例2の吸着炭の赤外吸収スペクトルを示す図


表1.
The Ambulatory Kidney to Improve Vitality (AKTIV) - KidneyX
🪄本当に効果があるのかテストは来年となる。(健康増進シリーズとして
  掲載)


【海水有価物回収水素製造並びに炭素化合物製造事業論 ⓻】
1. 特開2023-51721 回転体装置及び発電装置 有限会社  大治 
上記特許事例は、潮流発電からの電力で電気分解し水素製造する装置の事
例であり、風力・潮力・太陽光などの再生可能エネルギーからの水素製造
方式が色々考案されて来ている。

また12月6日、茨城県つくば市の産業技術総合研究所は、二酸化炭素(C
O2)と水から液体の合成燃料を一貫製造する新しい設備を開発している
ことを公表。これは、
水とCO2から水素と一酸化炭素(CO)の合成ガ
スを作る装置と、その合成ガスから液体燃料を製造する設備を組み合わせ
た。分解から合成まで一貫して製造するため、従来より高効率だといい、
最大で毎時200ミリリットルの液体合成燃料を生産できるという。
水素
を活用した合成燃料は化石燃料に代わる次世代エネルギーとして注目が集
まる。新設備は、課題とされる製造コストの軽減にも貢献できるという。

概要図
液体合成燃料を一貫製造するベンチプラントの概要図

🎈グリーン水素の生産コストは2030年までに2.5米ドル/kg

   2040年までに1.80米ドルに低下
2月04日、グリーン水素は、削減が困難な
産業の脱炭素化に不可欠な商品
として浮上しているが、その明らかな持続
可能性の利点にもかかわらず、
水素の均等化コスト (LCOH) として知られ
る高い製造コストは、これまで
グリーン水素への投資と需要の両方を制限
してきた。
世界的なテクノロジーインテリジェンス企業であるABI Researchは、世界
のLCOHが2030年までにコスト競争力のあるレベルに達し、2040年までに
汚染された代替品を削減し、産業採用への道を開くと予測している。2027
年までに予想される電解槽の効率の向上とコスト削減などにより、生産設
備投資が急速に減少し、2030年までに施設全体で大幅な規模の経済が達成
されると予測されており、世界のグリーン水素製造コストは平均6〜7米ド
ル/kgから約2.5米ドル/kgに低下すると予測。さらに2040年までに、LCOH
は主に再生可能エネルギーの価格下落により、1.80米ドル/kgに達すると予
想。2050年までに、市場が成熟するにつれて、グリーンLCOHは約1米ドル
/kgに達するでしょう」とABIリサーチのリサーチアナリストであるダニ
エル・バージがコメントした
🪄The Hydrogen Stream: US government, ABI Research predict lower H2 costs



  世界中の誰よりきっと 中山美穂1992年

プロデューサーの長戸大幸織田哲郎の作曲のストックから探し出して制
作が行われた。企画時に提出されたデモの段階ではバラード調であったが、
中山のプロデューサーが「クリスマス向けのパーティー感が欲しい」と依
頼。葉山たけしによる派手な8ビートアレンジがなされ、現在の形となった

発売20日間で100万枚を突破し、累計売上は200万枚を超える。
🪄死去(享年五十四) 2024年12月6日、この日大阪市のビルボードライ
ブ大阪で行われる「Miho Nakayama Christmas Concert 2024 in Billboard
Live」を控え午前9時に品川駅で関係者と移動の待ち合わせをする予定とな
っていた。                          合掌                      


   今日の言葉:ヒートショックに要注意⓶
     5日には、彦根でOB会が開催されたが、胃の全摘出をした同僚も
      歓談時には無茶苦茶元気な先輩もいたりして時の移ろいを感慨。
    数年前に後輩に一兆円超の規模になれと発破をかけたことを思い
    出す。涙あり、笑いありのひと時を過ごさせていただいた。
                          関係者に感謝
    

   





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エネルギーと環境 70

2024年12月07日 | タフで綺麗なOLED

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-


21世紀は光・量子の時代と言われ.自動運転・ロボットの自動走行,スマ
ートフォンの高度顔認証等を可能とする光センシング(LiDAR)技術,スマー
ト製造を可能とするレーザ技術,太陽光(熱)エネルギーの高度利用,さ
らには量子情報処理にいたるまで,光・量子が担う役割はますます重要と
なっている.
21世紀を支える“光・量子”を自由自在に操ることを目的として,
「フォトニック結晶」「フォトニックナノ構造」をキーワードに,自在な
光・量子制御技術の開発を行う.物理的基礎から応用まで研究を行い,様
々な革新的な光・量子技術を実現し,エネルギー,環境,光製造(ものづ
くり),高度情報・通信技術に寄与し,Society 5.0(超スマート社会)の
実現に貢献することを目指す。

目指すビジョンの図

京都大学と三菱電機は,フォトニック結晶レーザー(PCSEL)において,こ
れまでの半導体レーザー素子単体では実現が困難であった高い出力と狭い
固有スペクトル線幅の両立を実現した(ニュースリリース)。

研究グループはこれまで,直径250μmのPCSELにおいて,70kHzという狭
い固有スペクトル線幅と,宇宙空間における自由空間通信方式への適用可
能性を実証している。今回,PCSELの高出力・高ビーム品質をそのままに
,より狭い固有スペクトル線幅を実現するため,面積を250μmから1mmに
拡大したPCSELを設計,開発した。

Demonstration of high-power photonic-crystal surface-emitting
lasers with 1-kHz-class intrinsic linewidths (1kHz級固有線幅高出力フォ
トニック結晶レーザーの実現)  
DOI 10.1364/OPTICA.505406

【関連特許最新技術】
1.特開2024-165246 表示装置及び表示装置の製造方法 株式会社ジャパ
ンディスプレイ⓷
【要約】
下図9のごとく、一実施形態によれば、表示装置は、基板と、前記基板の上
方において、画像を表示する表示領域及び前記表示領域よりも外側の周辺
領域に亘って配置された有機絶縁層と、前記表示領域において、前記有機
絶縁層の上に配置された下電極と、前記下電極の上に配置され、発光層を
含む有機層と、前記有機層の上に配置された上電極と、前記周辺領域に配
置され、第1下部と、前記第1下部の上に配置され前記第1下部の側面か
ら突出した第1上部と、を有する第1隔壁と、前記周辺領域に配置され、
前記有機絶縁層の開口に重なる金属層と、を備え、前記第1隔壁は、前記
開口に配置されてことで、信頼性の低下を抑制する。

図9. 周辺領域SAまたは余白部MPにおけるパッド領域の他の構成例を
示す平面図
【符号の説明】
  DSP…表示装置  10…基板   5…無機絶縁層  AP1、AP2、AP3…
開口   6…隔壁  61…下部  62…上部   7…隔壁  71…下部  72…
上部SP1、SP2、SP3…副画素  201、202、203…表示素子
有機EL素子)  LE1、LE2、LE3…下電極  UE1、UE2、U
E3…上電極  OR1、OR2、OR3…有機層  DA…表示領域  SA…周
辺領域  100…表示装置用マザー基板  PP…パネル部  MP…余白部  PD
…パッド  MT…金属層  IL…有機絶縁層  12…絶縁層  114…絶縁層
【詳細説明】
【0094】図17Aは、他の構成例を示す断面図である。  図17Aに示
す構成例は、図16Aに示した構成例と比較して、無機絶縁層5に開口が
存在しない点で相違している。隔壁7は、有機絶縁層ILの上方及び開口
OP1において、無機絶縁層5の上に配置されている。

【0095】  図17Bは、他の構成例を示す断面図である。  図17Bに
示す構成例は、図17Aに示した構成例と比較して、有機絶縁層ILの上
方の隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、開口OP1において
無機絶縁層5の上に配置されている。

【0096】  図17Cは、他の構成例を示す断面図である。  
  図17Cに示す構成例は、図17Aに示した構成例と比較して、開口OP1
における隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、有機絶縁層IL
の上方において無機絶縁層5の上に配置されている。

【0097】 《第3グループ》
【0098】図18Aは、第3グループの一構成例を示す断面図である。
  図18Aに示す構成例は、図14Aに示した構成例と比較して、階段状
の断面を有する有機絶縁層ILが絶縁層12の単層体である点で相違して
いる。絶縁層114は、存在しない。絶縁層12は、開口OP1を有して
いる。
【0099】図18Aに示す構成例は、図14Aに示した構成例と比較し
て、階段状の断面を有する有機絶縁層ILが絶縁層12の単層体である点
で相違している。絶縁層114は、存在しない。絶縁層12は、開口OP
1を有している。
【0100】有機絶縁層ILの厚さT1は、絶縁層113の上面から絶縁
層12のほぼ平坦な上面121Aまでの第3方向Zに沿った長さに相当す
る。有機絶縁層ILの厚さT2は、金属層MTの上面から絶縁層12のほ
ぼ平坦な上面122Aまでの第3方向Zに沿った長さに相当する。厚さT2
は、厚さT1より小さい。上面122Aは、上面121Aと開口OP1と
の間に位置し、また、上面121Aよりも下方に位置している。

【0100】有機絶縁層ILの厚さT1は、絶縁層113の上面から絶縁
層12のほぼ平坦な上面121Aまでの第3方向Zに沿った長さに相当す
る。有機絶縁層ILの厚さT2は、金属層MTの上面から絶縁層12のほ
ぼ平坦な上面122Aまでの第3方向Zに沿った長さに相当する。厚さT
2は、厚さT1より小さい。上面122Aは、上面121Aと開口OP1
との間に位置し、また、上面121Aよりも下方に位置している。
【0101】無機絶縁層5は、絶縁層12を覆い、金属層MTを露出する
開口OP2を有している。
【0102】隔壁7は、有機絶縁層ILの上方及び開口OP1において、
無機絶縁層5の上に配置されている。図示した例では、隔壁7は、上面1
21Aの上方に配置される一方で、上面122Aの上方には配置されてい
ない。但し、隔壁7が上面122Aの上方に配置されてもよい。
【0103】このような絶縁層12は、例えば、以下のような手法で形成
可能である。すなわち、金属層MTが形成された表示装置用マザー基板1
00の全面に、例えばポジ型の有機材料により絶縁層を形成する。
その後、絶縁層を露光する。この露光工程では、開口OP1の露光量は最
大に設定され、開口OP1から外側に向かうにしたがって露光量は段階的
に減少するように設定されている。その後、露光された絶縁層を現像する。
その後、絶縁層を焼成する。    これにより、上記の断面形状を有する絶縁
層12が形成される。


【0104】  図18Bは、他の構成例を示す断面図である。図18Bに
示す構成例は、図18Aに示した構成例と比較して、有機絶縁層ILの上
方の隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、開口OP1において
無機絶縁層5の上に配置されている。

【0105】図18Cは、他の構成例を示す断面図である。図18Cに示
す構成例は、図18Aに示した構成例と比較して、開口OP1における隔
壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、有機絶縁層ILの上方にお
いて無機絶縁層5の上に配置されている。

【0106】図19Aは、他の構成例を示す断面図である。図19Aに示
す構成例は、図18Aに示した構成例と比較して、無機絶縁層5に開口が
存在しない点で相違している。隔壁7は、有機絶縁層ILの上方及び開口
OP1において、無機絶縁層5の上に配置されている。
【0107】図19Bは、他の構成例を示す断面図である。図19Bに示
す構成例は、図19Aに示した構成例と比較して、有機絶縁層ILの上方
の隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、開口OP1において無
機絶縁層5の上に配置されている。

【0108】図19Cは、他の構成例を示す断面図である。図19Cに示
す構成例は、図19Aに示した構成例と比較して、開口OP1における隔
壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、有機絶縁層ILの上におい
て無機絶縁層5の上に配置されている。


【0109】次に、図20乃至図25を参照して、表示装置DSPの製造
方法について説明する。なお、図20乃至図25においては、絶縁層12
よりも下方の図示を省略している。


【0110】まず、図20に示すように、表示領域DAにおいて、絶縁層
12を形成した後に、絶縁層12の上に、副画素SP1の下電極LE1、
副画素SP2の下電極LE2、副画素SP3の下電極LE3を形成する。
その後、無機絶縁層5を形成する。絶縁層12及び無機絶縁層5は、表示
領域DAのみならず、周辺領域SA及び余白部MPにも形成される。
周辺領域SA及び余白部MPにおける絶縁層12を含む有機絶縁層ILの
形成手法は、例えば、図14Aなどを参照して説明した通りであり、有機
絶縁層ILを形成する工程は、金属層MTに重なる開口OP1を形成する
工程を含んでいる。  
その後、表示領域DAにおいて、無機絶縁層5の上に位置する下部61と、
下部61の上に位置する上部62と、を有する隔壁6を形成する。このと
き、周辺領域SA及び余白部MPにおいては、下部71及び上部72を有
する隔壁7も、隔壁6と同時に形成する。隔壁7は、図7などに示したよ
うに、有機絶縁層ILの上に形成し、また、図10などに示したように、
開口OP1に形成する。
 その後、無機絶縁層5に開口AP1、AP2、AP3を形成する。開口A
P1は副画素SP1の下電極LE1に重なり、開口AP2は副画素SP2
の下電極LE2に重なり、開口AP3は副画素SP3の下電極LE3に重
なる。なお、開口AP1、AP2、AP3の形成工程は、隔壁6の形成工
程より前に行ってもよい。無機絶縁層5に開口AP1等を形成するのと同
時に、パッドPDの開口OP2も形成する。
【0111】続いて、表示素子201を形成する。
【0112】まず、図21に示すように、隔壁6をマスクとして、下電極
LE1の上に、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層EM1、
正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層などの各層を形成するための材
料を順次蒸着して、有機層OR1を形成する。  その後、隔壁6をマスク
として、有機層OR1の上に、マグネシウム及び銀の混合物を蒸着して、
上電極UE1を形成する。上電極UE1は、有機層OR1を覆い、下部6
1に接触している。  
その後、隔壁6をマスクとして、上電極UE1の上に、高屈折率材料及び
低屈折率材料を順次蒸着して、キャップ層CP1を形成する。  
これらの有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1は、真空
環境を維持した状態で連続して形成される。その後、キャップ層CP1
【0113】有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1は、
オーバーハング状の隔壁6によって分断される。有機層OR1、上電極上
E1、及び、キャップ層CP1がそれぞれ蒸着によって形成される際に蒸
着源から放たれた材料は、上部62によって遮られる。このため、上部6
2の上には、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1のそ
れぞれの一部が積層される。上部62の上に位置する有機層OR1、上電
極UE1、及び、キャップ層CP1の各々は、下電極LE1の直上に位置
する有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1から離間して
いる。
【0114】これらの有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、
及び、封止層SE1は、表示領域DAのみならず、周辺領域SA及び余白
部MPにも形成される。
【0115】続いて、図22に示すように、封止層SE1の上に、所定の
形状にパターニングされたレジストR1を形成する。レジストR1は、副
画素SP1とその周囲の隔壁6の一部に重なっている。
【0116】続いて、図23に示すように、レジストR1をマスクとしたエ
ッチングを行うことにより、レジストR1から露出した封止層SE1、キ
ャップ層CP1、上電極UE1、及び、有機層OR1を順次除去する。こ
れにより、副画素SP2の下電極LE2及び副画素SP3の下電極LE3
が露出する。その後、レジストR1を除去する。これにより、副画素SP
1に表示素子201が形成される。
【0117】続いて、図24に示すように、表示素子202を形成する。
表示素子202を形成する手順は、表示素子201を形成する手順と同様
である。すなわち、下電極LE2の上に、発光層EM2を含む有機層OR
2、上電極UE2、キャップ層CP2、及び、封止層SE2を順に形成す
る。その後、封止層SE2の上にレジストを形成し、このレジストをマスク
としたエッチングにより、封止層SE2、キャップ層CP2上電極UE2、
及び、有機層OR2が順次パターニングされる。このパターニングの後、
レジストを除去する。これにより、副画素SP2に表示素子202が形成
され、副画素SP3の下電極LE3が露出する。
【0118】続いて、図25に示すように、表示素子203を形成する。
表示素子203を形成する手順は、表示素子201を形成する手順と同様
である。すなわち、下電極LE3の上に、発光層EM3を含む有機層OR
3、上電極UE3、キャップ層CP3、及び、封止層SE3を順に形成す
る。その後、封止層SE3の上にレジストを形成し、このレジストをマス
クとしたエッチングにより、封止層SE3、キャップ層CP3、上電極U
E3、及び、有機層OR3が順次パターニングされる。このパターニング
の後、レジストを除去する。これにより、副画素SP3に表示素子203
が形成される。
【0119】その後、図3に示した樹脂層13、封止層14、及び、樹脂
層15を順に形成する。これにより、表示装置DSPが完成する。
【0120】なお、以上の製造工程においては、最初に表示素子201が
形成され、次に表示素子202が形成され、最後に表示素子203が形成
される場合を想定したが、表示素子201、202、203の形成順はこ
の例に限られない。
【0121】図26は、図7に示したパッドPDに多層膜115が形成さ
れた様子を説明するための断面図である。
【0122】上記の表示素子201、202、203をそれぞれ形成する
工程において、多層膜115は、余白部MP及び周辺領域SAにも形成さ
れる。ここでの多層膜115とは、例えば、図21を参照して説明した表
示素子201を形成するための有機層OR1、上電極UE1、及び、キャ
ップ層CP1を含んでいる。多層膜115は、無機絶縁層5、隔壁7,及
び、金属層MTの上に形成される。
【0123】図21を参照して説明したように、多層膜115は、オーバ
ーハング状の隔壁7によって分断される。すなわち、有機層OR1、上電
極UE1、及び、キャップ層CP1がそれぞれ蒸着によって形成される際
に、蒸着源から放たれた材料は、隔壁7の上部72によって遮られる。こ
のため、上部72の上には、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャッ
プ層CP1のそれぞれの一部が積層される。上部72の上に位置する有機
層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1の各々は、無機絶縁層
5の上に位置する有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1
から離間している。これにより、多層膜115は、部分的に分断される。
【0124】 特に、図6などに示したように、隔壁7が格子状に形成され
ている場合、隔壁7で囲まれた複数の閉領域が形成される。この場合、閉
領域に位置する多層膜115が隔壁7の上に位置する多層膜115と分断
され、結果として、多層膜115が細分化される。
【0125】多層膜115が隔壁7によって分断されていない場合と比較
して、連続した多層膜115の面積が低減され、多層膜115に生じうる
応力が分散される。また、無機絶縁層5及び無機絶縁層5の上の多層膜
115は、隔壁7で抑え込まれているため、無機絶縁層5の浮き上がり、
及び、多層膜115の無機絶縁層5からの浮き上りが抑制される。さらに、
多層膜115が形成された後に形成される封止層SE1は、隔壁7ととも
に多層膜115を抑え込んでいる。このため、多層膜115及び封止層S
E1の無機絶縁層5からの離脱を抑制することができる。
【0126】ここで、多層膜115が無機絶縁層5から浮き上がり、破
断した場合に生じうる不具合について説明する。無機絶縁層5から離脱し
た多層膜115は、異物となって製造装置内を浮遊し、汚染源となり得る。
また、浮遊した異物が処理基板に付着すると、種々の欠陥を引き起こす原
因となり得る。
【0127】これに対して、本実施形態によれば、パッドPDを含むパッ
ド領域において、多層膜115の離脱を抑制することができる。これによ
り、製造装置の汚染や、不所望な異物の生成が抑制される。したがって、
信頼性の低下が抑制される。
【0128】なお、多層膜115が表示素子202を形成するための有機
層OR2、上電極UE2、及び、キャップ層CP2を含む場合であっても、
同様の効果が得られる。  また、多層膜115が表示素子203を形成する
ための有機層OR3、上電極UE3、及び、キャップ層CP3を含む場合
であっても、同様の効果が得られる。
【0129】ここでは、図6及び図7に示した構成例について、多層膜1
15の離脱が抑制される効果について説明したが、その他の各構成例につ
いても同様の効果が得られる。
【0130】また、図8などに示した構成例では、隣接するパッドPDの
間の小さいスペースにおいて、直線状の隔壁7が千鳥配置されている。こ
のように、格子状の隔壁7が配置できないスペースにおいて、直線状の隔
壁7が配置されることで、多層膜115が部分的に分断され、上記のよう
に多層膜115の離脱を抑制することができる。  
 また、図22に示したレジストR1を形成する過程において、液状のレジ
ストR1を塗布する工程がある。直線状の隔壁7が千鳥配置されている場
合には、隔壁7が連続した長い直線状に形成された場合と比較して、塗布
したレジストR1の広がりが阻害されにくく、また、レジストR1は隔壁
7に接しながら広がる。これにより、レジストR1に不所望な空隙が形成
されるような不具合を抑制することができる。
【0131】また、図9及び図10に示した構成例では、有機絶縁層IL
の開口OP1(あるいはパッドPD)に重なる隔壁7が配置されている。
このため、開口OP1においても、多層膜115が分断され、上記のよう
に多層膜115の離脱を抑制することができる。
【0132】また、図11に示した構成例では、有機絶縁層ILの開口O
P1(あるいはパッドPD)に重なる隔壁7が複数のセグメントに分割さ
れている。このため、開口OP1において、塗布したレジストR1の広が
りが阻害されにくくなる。
【0133】また、図12及び図13に示した構成例では、有機絶縁層I
Lの開口OP1(あるいはパッドPD)に重なる隔壁7が格子状に形成さ
れている。このため、開口OP1において、多層膜115を細分化するこ
とができる。但し、図12に示す構成例では、パッドPDにおける金属層
MTが無機絶縁層5で覆われているため、パッドPDを利用した検査等
の処理は、無機絶縁層5が形成される前に実行される。
【0134】さらに、第1グループ、第2グループ、及び、第3グループ
で説明した各構成例においては、有機絶縁層ILは、開口OP1に向かう
にしたがって厚さが低減する階段状の断面を有している。したがって、急
峻な段差の形成が抑制される。有機絶縁層ILは、厚さが薄いほど伸びが
小さい。このため、有機絶縁層ILの上に多層膜115が形成された際、
多層膜115の歪みが小さく、多層膜115において、局所的な応力の集
中を抑制することができる。これにより、無機絶縁層5からの多層膜11
5の離脱を抑制することができる。
【0135】上記の実施形態において、例えば、絶縁層114は有機絶縁
層の第1層に相当し、絶縁層12は有機絶縁層の第2層に相当する。また、
隔壁7は第1隔壁に相当し、下部71は第1下部に相当し、上部72は第
1上部に相当し、隔壁6は第2隔壁に相当し、下部61は第2下部に相当
し、上部62は第2上部に相当する。
【0136】以上説明したように、本実施形態によれば、信頼性の低下を
抑制することが可能な表示装置及び表示装置の製造方法を提供することが
できる。
【0137】以上、本発明の実施形態として説明した表示装置及び表示装
置の製造方法
を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての
示装置及び表示装置の製造方法
も、本発明の要旨を包含する限り本発明の
範囲に属する。
【0138】本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形
例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属す
るものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構
成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追
加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限
り、本発明の範囲に含まれる。
【0139】また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされ
る他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業
者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらさ
れるものと解される。
【0140】本明細書にて開示した構成から得られる表示装置用マザー基
板の一例を以下に付記する。  
(A)
  画像を表示する表示領域と、前記表示領域よりも外側の周辺領域と、を
有するパネル部と、前記パネル部よりも外側の余白部と、
  前記パネル部及び前記余白部に亘って配置された有機絶縁層と、
  前記表示領域において、前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、
  前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、
  前記有機層の上に配置された上電極と、
  第1下部と、前記第1下部の上に配置され前記第1下部の側面から突出
した第1上部と、を有する第1隔壁と、
  前記余白部に配置され、前記有機絶縁層の開口に重なる金属層と、を備
え、前記第1隔壁は、前記開口に配置されている、表示装置用マザー基板。  
(B)
  画像を表示する表示領域と、前記表示領域よりも外側の周辺領域と、を
有するパネル部と、前記パネル部よりも外側の余白部と、
  前記パネル部及び前記余白部に亘って配置された有機絶縁層と、
  前記表示領域において、前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、
  前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、
  前記有機層の上に配置された上電極と、
  第1下部と、前記第1下部の上に配置され前記第1下部の側面から突出
した第1上部と、を有する第1隔壁と、前記余白部に配置され、前記有
機絶縁層の開口に重なる金属層と、を備え、前記第1隔壁は、前記余白部
及び前記周辺領域の少なくとも一方において、前記有機絶縁層の上方に配
置されている、表示装置用マザー基板。


【0097】    《第3グループ》
【0098】 図18Aは、第3グループの一構成例を示す断面図である。
【0099】図18Aに示す構成例は、図14Aに示した構成例と比較し
て、階段状の断面を有する有機絶縁層ILが絶縁層12の単層体である点
で相違している。絶縁層114は、存在しない。絶縁層12は、開口OP
1を有している。
【0100】有機絶縁層ILの厚さT1は、絶縁層113の上面から絶縁
層12のほぼ平坦な上面121Aまでの第3方向Zに沿った長さに相当す
る。  有機絶縁層ILの厚さT2は、金属層MTの上面から絶縁層12の
ほぼ平坦な上面122Aまでの第3方向Zに沿った長さに相当する。厚さ
T2は、厚さT1より小さい。上面122Aは、上面121Aと開口OP
1との間に位置し、また、上面121Aよりも下方に位置している。
【0101】無機絶縁層5は、絶縁層12を覆い、金属層MTを露出する
開口OP2を有している。
【0102】隔壁7は、有機絶縁層ILの上方及び開口OP1において、
無機絶縁層5の上に配置されている。図示した例では、隔壁7は、上面
121Aの上方に配置される一方で、上面122Aの上方には配置されて
いない。但し、隔壁7が上面122Aの上方に配置されてもよい。
【0103】このような絶縁層12は、例えば、以下のような手法で形成
可能である。  
 すなわち、金属層MTが形成された表示装置用マザー基板100の全面に、
例えばポジ型の有機材料により絶縁層を形成する。その後、絶縁層を露光
する。この露光工程では、開口OP1の露光量は最大に設定され、開口O
P1から外側に向かうにしたがって露光量は段階的に減少するように設定
されている。その後、露光された絶縁層を現像する。その後、絶縁層を焼
成する。これにより、上記の断面形状を有する絶縁層12が形成される。
【0104】図18Bは、他の構成例を示す断面図である。  
  図18Bに示す構成例は、図18Aに示した構成例と比較して、有機絶縁
層ILの上方の隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、開口OP
1において無機絶縁層5の上に配置されている。
【0105】図18Cは、他の構成例を示す断面図である。 図18Cに
示す構成例は、図18Aに示した構成例と比較して、開口OP1における
隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、有機絶縁層ILの上方に
おいて無機絶縁層5の上に配置されている。
【0106】図19Aは、他の構成例を示す断面図である。  
  図19Aに示す構成例は、図18Aに示した構成例と比較して、無機絶縁
層5に開口が存在しない点で相違している。隔壁7は、有機絶縁層ILの
上方及び開口OP1において、無機絶縁層5の上に配置されている。
【0107】図19Bは、他の構成例を示す断面図である。  
  図19Bに示す構成例は、図19Aに示した構成例と比較して、有機絶縁
層ILの上方の隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、開口OP
1において無機絶縁層5の上に配置されている。
【0108】図19Cは、他の構成例を示す断面図である。  
  図19Cに示す構成例は、図19Aに示した構成例と比較して、開口O
P1における隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、有機絶縁層
ILの上方において無機絶縁層5の上に配置されている。
【0109】
  次に、図20乃至図25を参照して、表示装置DSPの製造方法について
説明する。なお、図20乃至図25においては、絶縁層12よりも下方の
図示を省略している。
【0110】まず、図20に示すように、表示領域DAにおいて、絶縁層
12を形成した後に、絶縁層12の上に、副画素SP1の下電極LE1、
副画素SP2の下電極LE2、副画素SP3の下電極LE3を形成する。
その後、無機絶縁層5を形成する。  
 絶縁層12及び無機絶縁層5は、表示領域DAのみならず、周辺領域SA
及び余白部MPにも形成される。周辺領域SA及び余白部MPにおける絶
縁層12を含む有機絶縁層ILの形成手法は、例えば、図14Aなどを参
照して説明した通りであり、有機絶縁層ILを形成する工程は、金属層M
Tに重なる開口OP1を形成する工程を含んでいる。
  
 その後、表示領域DAにおいて、無機絶縁層5の上に位置する下部61と、
下部61の上に位置する上部62と、を有する隔壁6を形成する。このと
き、周辺領域SA及び余白部MPにおいては、下部71及び上部72を有
する隔壁7も、隔壁6と同時に形成する。隔壁7は、図7などに示したよ
うに、有機絶縁層ILの上に形成し、また、図10などに示したように、
開口OP1に形成する。その後、無機絶縁層5に開口AP1、AP2、A
P3を形成する。開口AP1は副画素SP1の下電極LE1に重なり、開
口AP2は副画素SP2の下電極LE2に重なり、開口AP3は副画素S
P3の下電極LE3に重なる。なお、開口AP1、AP2、AP3の形成
工程は、隔壁6の形成工程より前に行ってもよい。無機絶縁層5に開口A
P1等を形成するのと同時に、パッドPDの開口OP2も形成する。
【0111】続いて、表示素子201を形成する。
【0112】まず、図21に示すように、隔壁6をマスクとして、下電極
LE1の上に、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層EM1、
正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層などの各層を形成するための材
料を順次蒸着して、有機層OR1を形成する。その後、隔壁6をマスク
として、有機層OR1の上に、マグネシウム及び銀の混合物を蒸着して、
上電極UE1を形成する。上電極UE1は、有機層OR1を覆い、下部6
1に接触している。その後、隔壁6をマスクとして、上電極UE1の上に、
高屈折率材料及び低屈折率材料を順次蒸着して、キャップ層CP1を形成
する。  
 これらの有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1は、真空
環境を維持した状態で連続して形成される。  その後、キャップ層CP1
及び隔壁6を連続的に覆うように、封止層SE1を形成する。
【0113】 有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1は、
オーバーハング状の隔壁6によって分断される。  

 有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1がそれぞれ蒸着
によって形成される際に、蒸着源から放たれた材料は、上部62によって
遮られる。このため、上部62の上には、有機層OR1、上電極UE1、
及び、キャップ層CP1のそれぞれの一部が積層される。上部62の上に
位置する有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1の各々は、
下電極LE1の直上に位置する有機層OR1、上電極UE1、及び、キャ
ップ層CP1から離間している。
【0114】これらの有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、
及び、封止層SE1は、表示領域DAのみならず、周辺領域SA及び余白
部MPにも形成される。
【0115】続いて、図22に示すよに、封止層SE1の上に、所定の
形状にパターニングされたレジストR1を形成する。レジストR1は、
副画素SP1とその周囲の隔壁6の一部に重なっている。
【0116】続いて、図23に示すように、レジストR1をマスクとした
エッチングを行うことにより、レジストR1から露出した封止層SE1、
キャップ層CP1、上電極UE1、及び、有機層OR1を順次除去する。
これにより、副画素SP2の下電極LE2及び副画素SP3の下電極LE
3が露出する。その後、レジストR1を除去する。これにより、副画素S
P1に表示素子201が形成される。
【0117】続いて、図24に示すように、表示素子202を形成する。
表示素子202を形成する手順は、表示素子201を形成する手順と同様
である。すなわち、下電極LE2の上に、発光層EM2を含む有機層OR
2、上電極UE2、キャップ層CP2、及び、封止層SE2を順に形成す
る。その後、封止層SE2の上にレジストを形成し、このレジストをマス
クとしたエッチングにより、封止層SE2、キャップ層CP2、上電極U
E2、及び、有機層OR2が順次パターニングされる。このパターニング
の後、レジストを除去する。これにより、副画素SP2に表示素子202
が形成され、副画素SP3の下電極LE3が露出する。
【0118】続いて、図25に示すように、表示素子203を形成する。
表示素子203を形成する手順は、表示素子201を形成する手順と同様
である。すなわち、下電極LE3の上に、発光層EM3を含む有機層OR
3、上電極UE3、キャップ層CP3、及び、封止層SE3を順に形成す
る。その後、封止層SE3の上にレジストを形成し、このレジストをマス
クとしたエッチングにより、封止層SE3、キャップ層CP3、上電極U
E3、及び、有機層OR3が順次パターニングされる。このパターニング
の後、レジストを除去する。これにより、副画素SP3に表示素子203
が形成される。
【0119】その後、図3に示した樹脂層13、封止層14、及び、樹脂
層15を順に形成する。これにより、表示装置DSPが完成する。
【0120】なお、以上の製造工程においては、最初に表示素子201が
形成され、次に表示素子202が形成され、最後に表示素子203が形成
される場合を想定したが、表示素子201、202、203の形成順はこ
の例に限られない。
【0121】図26は、図7に示したパッドPDに多層膜115が形成さ
れた様子を説明するための断面図である。
【0122】上記の表示素子201、202、203をそれぞれ形成する
工程において、多層膜115は、余白部MP及び周辺領域SAにも形成さ
れる。ここでの多層膜115とは、例えば、図21を参照して説明した表
示素子201を形成するための有機層OR1、上電極UE1、及び、キャ
ップ層CP1を含んでいる。多層膜115は、無機絶縁層5、隔壁7,及
び、金属層MTの上に形成される。
【0123】図21を参照して説明したように、多層膜115は、オーバ
ーハング状の隔壁7によって分断される。すなわち、有機層OR1、上電
極UE1、及び、キャップ層CP1がそれぞれ蒸着によって形成される際
に、蒸着源から放たれた材料は、隔壁7の上部72によって遮られる。こ
のため、上部72の上には、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャッ
プ層CP1のそれぞれの一部が積層される。上部72の上に位置する有機
層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1の各々は、無機絶縁層
5の上に位置する有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1
から離間している。これにより、多層膜115は、部分的に分断される。
【0124】特に、図6などに示したように、隔壁7が格子状に形成され
ている場合、隔壁7で囲まれた複数の閉領域が形成される。この場合、各
閉領域に位置する多層膜115が隔壁7の上に位置する多層膜115と分
断され、結果として、多層膜115が細分化される。
【0125】多層膜115が隔壁7によって分断されていない場合と比較
して、連続した多層膜115の面積が低減され、多層膜115に生じうる
応力が分散される。また、無機絶縁層5及び無機絶縁層5の上の多層膜1
15は、隔壁7で抑え込まれているため、無機絶縁層5の浮き上がり、及
び、多層膜115の無機絶縁層5からの浮き上りが抑制される。さらに、
多層膜115が形成された後に形成される封止層SE1は、隔壁7ととも
に多層膜115を抑え込んでいる。このため、多層膜115及び封止層S
E1の無機絶縁層5からの離脱を抑制することができる。
【0126】ここで、多層膜115が無機絶縁層5から浮き上がり、破断
した場合に生じうる不具合について説明する。無機絶縁層5から離脱した
多層膜115は、異物となって製造装置内を浮遊し、汚染源となり得る。
また、浮遊した異物が処理基板に付着すると、種々の欠陥を引き起こす原
因となり得る。
【0127】これに対して、本実施形態によれば、パッドPDを含むパッ
ド領域において、多層膜115の離脱を抑制することができる。これによ
り、製造装置の汚染や、不所望な異物の生成が抑制される。したがって、
信頼性の低下が抑制される。
【0128】なお、多層膜115が表示素子202を形成するための有機
層OR2、上電極UE2、及び、キャップ層CP2を含む場合であっても、
同様の効果が得られる。  
  また、多層膜115が表示素子203を形成するための有機層OR3、
上電極UE3、及び、キャップ層CP3を含む場合であっても、同様の効
果が得られる。
【0129】ここでは、図6及び図7に示した構成例について、多層膜1
15の離脱が抑制される効果について説明したが、その他の各構成例につ
いても同様の効果が得られる。
【0130】また、図8などに示した構成例では、隣接するパッドPDの
間の小さいスペースにおいて、直線状の隔壁7が千鳥配置されている。こ
のように、格子状の隔壁7が配置できないスペースにおいて、直線状の隔
壁7が配置されることで、多層膜115が部分的に分断され、上記のよう
に多層膜115の離脱を抑制することができる。  
 また、図22に示したレジストR1を形成する過程において、液状のレジ
ストR1を塗布する工程がある。直線状の隔壁7が千鳥配置されている場
合には、隔壁7が連続した長い直線状に形成された場合と比較して、塗布
したレジストR1の広がりが阻害されにくく、また、レジストR1は隔壁
7に接しながら広がる。これにより、レジストR1に不所望な空隙が形成
されるような不具合を抑制することができる。
【0131】また、図9及び図10に示した構成例では、有機絶縁層I
Lの開口OP1(あるいはパッドPD)に重なる隔壁7が配置されている
。このため、開口OP1においても、多層膜115が分断され、上記のよ
うに多層膜115の離脱を抑制することができる。
【0132】また、図11に示した構成例では、有機絶縁層ILの開口
OP1(あるいはパッドPD)に重なる隔壁7が複数のセグメントに分割
されている。このため、開口OP1において、塗布したレジストR1の広
がりが阻害されにくくなる。
【0133】また、図12及び図13に示した構成例では、有機絶縁層IL
の開口OP1(あるいはパッドPD)に重なる隔壁7が格子状に形成され
ている。このため、開口OP1において、多層膜115を細分化すること
ができる。但し、図12に示す構成例では、パッドPDにおける金属層M
Tが無機絶縁層5で覆われているため、パッドPDを利用した検査等の処
理は、無機絶縁層5が形成される前に実行される。
【0134】さらに、第1グループ、第2グループ、及び、第3グループ
で説明した各構成例においては、有機絶縁層ILは、開口OP1に向かう
にしたがって厚さが低減する階段状の断面を有している。したがって、急
峻な段差の形成が抑制される。有機絶縁層ILは、厚さが薄いほど伸びが
小さい。このため、有機絶縁層ILの上に多層膜115が形成された際、
多層膜115の歪みが小さく、多層膜115において、局所的な応力の集
中を抑制することができる。これにより、無機絶縁層5からの多層膜11
5の離脱を抑制することができる。
【0135】上記の実施形態において、例えば、絶縁層114は有機絶縁
層の第1層に相当し、絶縁層12は有機絶縁層の第2層に相当する。また、
隔壁7は第1隔壁に相当し、下部71は第1下部に相当し、上部72は第
1上部に相当し、隔壁6は第2隔壁に相当し、下部61は第2下部に相当
し、上部62は第2上部に相当する。
【0136】以上説明したように、本実施形態によれば、信頼性の低下
を抑制することが可能な表示装置及び表示装置の製造方法を提供すること
ができる。
【0137】以上、本発明の実施形態として説明した表示装置及び表示装
置の製造方法
を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての
示装置及び表示装置の製造方法
も、本発明の要旨を包含する限り本発明の
範囲に属する。
【0138】本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形
例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属す
るものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構
成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追
加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限
り、本発明の範囲に含まれる。
【0139】また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされ
る他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業
者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらさ
れるものと解される。
【0140】本明細書にて開示した構成から得られる表示装置用マザー基
板の一例を以下に付記する。  
(A)
  画像を表示する表示領域と、前記表示領域よりも外側の周辺領域と、を
有するパネル部と、
  前記パネル部よりも外側の余白部と、
  前記パネル部及び前記余白部に亘って配置された有機絶縁層と、
  前記表示領域において、前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、
  前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、
  前記有機層の上に配置された上電極と、
  第1下部と、前記第1下部の上に配置され前記第1下部の側面から突出
した第1上部と、を有する第1隔壁と、
  前記余白部に配置され、前記有機絶縁層の開口に重なる金属層と、を備
え、前記第1隔壁は、前記開口に配置されている、表示装置用マザー基板。  

(B)
  画像を表示する表示領域と、前記表示領域よりも外側の周辺領域と、を
有するパネル部と、
  前記パネル部よりも外側の余白部と、
  前記パネル部及び前記余白部に亘って配置された有機絶縁層と、
  前記表示領域において、前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、
  前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、
  前記有機層の上に配置された上電極と、
  第1下部と、前記第1下部の上に配置され前記第1下部の側面から突出
した第1上部と、を有する第1隔壁と、前記余白部に配置され、前記有機
絶縁層の開口に重なる金属層と、を備え、前記第1隔壁は、前記余白部及
び前記周辺領域の少なくとも一方において、前記有機絶縁層の上方に配置
されている、表示装置用マザー基板。

【図21】図21は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図

【図22】図22は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図

【図23】図23は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図

【図24】図24は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図

【図25】図25は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図

図26は、図7に示したパッドPDに多層膜115が形成様子を説明する
ための断面図


🪄今回で了。ジャパン・ディスプレイは赤字が続いていたが、マスクレス
 +フォトリソグラフィで起死回生を図るという。当面目が離せない。継続
 的に考察をし後押ししたい。             

 

   Stevie Wonder 「迷信」 (Superstition)  1972年
   Superstition-Stevie Wonder Stave Preview

  今日の言葉:ヒートショックに要注意

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エネルギーと環境 69

2024年12月06日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-


【季語と短歌:12月6日】

         北風や西日籠れるタイプ音   

                 高山 宇 (赤鬼)

【今日の短歌研究:異常気象】

四年経て奥入瀬川戻りくる九万匹が鮭一匹の日





✳️ ペロブスカイトPV庭園灯が東京都事業に採択
12月4日株式会社リコーは、ペロブスカイト太陽電池を搭載した庭園灯の
実証事業が、このたび東京都の「令和6年度 次世代型ソーラーセル社会実
装推進事業」に採択。
都の事業は「薄く、軽く、曲がる」という特徴を持
った日本生まれの太陽電池である「次世代型ソーラーセル(ペロブスカイ
トと呼ばれる結晶構造を用いた太陽電池)」の実用化に向け、開発事業者
に対し実証費用の一部が補助されるもの。
リコーは、複合機の開発で培っ
た有機感光体の技術を応用し、低照度の室内光でも発電する固体型色素増
感太陽電池「RICOH EH DSSCシリーズ」を2020年に世界で初めて販売し
た。また、この研究開発で培った技術を用いて、ペロブスカイト太陽電池
の開発を進めている。


今回採択された事業では、照度の低いエリアや垂直設置でも発電効率が高
いという特徴を持つペロブスカイト太陽電池を搭載した庭園灯を、都内に
30本程度設置する予定
屋外設置の庭園灯の電源としてペロブスカイト
陽電池の発電量や耐久性を検証します。さらに、インクジェット技術で
作製したペロブスカイト太陽電池も本実証事業内で検証を予定。この技術
により高生産性・低コストの実現が可能になると考えている。今回の
実証
事業を通じて、ペロブスイト太陽電池の早期事業化を目指す



図2 光操作によって脳内のcGMPを増加させることに成功
✳️ 光で脳内cGMPシグナルを操作する新技術の開発
局所的なcGMP量操作で記憶力の増強を実現 
12月4日 、富山大学学術研究部医学系の高雄啓三教授は、カナダ・トロ
ント大学医学部、マウントサ
イナイ病院(トロント)ルネンフェルド・タ
ネンバウム生物医学研究所、TANZ神経変性疾
患研究センターとの共同研
究により、青色光を照射するとcGMPを生成する光感受性cGMP
産生酵素
BlgC (Blue Light activation of BLUF(*5) coupled to Granule Cyclase) を
脳内でよ
り効率的に働くようにした(図1)。この酵素の遺伝子配列をア
デノ随伴ウイルスベク
ターに組み込み、マウスの海馬歯状回という脳の領
域に感染させることで、その部位の
神経細胞だけに BlgC を発現させ、さ
らにその部位に光ファイバーを通じて青色光を照射
することで局所的に、
時間と空間を限定して cGMP を増やすことに成功した(図2)。


青色光を照射するとcGMP を産生するBlgC。微生物の光センサータンパク
質部位である
BLUF が酵素活性部位GCに結合することで、通常時は活性を
持たない構造となっていま
すが(図1左側)、青色光が照射されると構造
が変化して酵素活性が回復し、GTP から
cGMPを生成することが可能とな
る(図1右側)。光照射をやめると活性が無くなり、
光によって可逆的に
活性を調整することができる。この手法により、マウスの海馬歯状回で
cGMP を増やしたマウスの脳を解析したところ、神経伝達が促進され、ま
た長期増強 (LTP: Long-termpotentiation)という現象がより強く起こるよ
うになっており、記憶や学習の基盤となると考えられる神経可塑性も促進
されていることが分かった。(図3)。さらに個体レベルで行動を解析した
ところ、cGMP 増やしたマウスではコントロール群に比べて社会性行動が
増加しており、空間記憶学習の課題では成績が向上した(図4)。


図3 光操作による長期増強の促進 
光操作により、海馬歯状回にcGMPを増加させると、長期増強とよばれる
現象がより強く起こるようになり、神経可塑性が促進された。
【展望】
統合失調症やアルツハイマー病のように認知機能障害を伴う病気、加齢に
よって cGMPが減少していることが知られており、様々な方法でcGMPを
増やす試みがなされている。
【論文詳細】 
論文名: Optogenetic elevation of postsynaptic cGMP in the hippocampal
dentate gyrus enhances LTP and modifies mouse behaviors 
掲載誌: Frontiers in Molecular Neuroscience 
DOI:10.3389/fnmol.2024.1479360


TSV/RDLの受託開発、製造、実装サービスの概要。TSV/RDLを開発、
造し、チップレットを実装するところまで一気通貫で提供

✳️TSV/RDL受託開発で「次のNVIDIA」登場を加速 コネクテックジ
ャパン
      量産なしでも受託可能

12月05日 、半導体やセンサー、MEMSなどの実装受託開発サービスを手掛
けるコネクテックジャパンは、TSV(貫通ビア)/RDL(再配線層)の受
託開発と製造、実装を一気通貫で行うサービスを2025年4月に開始する。
チップレット集積に欠かせないTSVとRDLの開発/製造サービスを提供す
ることで、AI(人工知能)用をはじめとする高性能半導体デバイスの開発
を加速することが狙い。


2.5D(次元)/3Dチップレットモジュールの受託開発例

⬛ チップレット集積の2つの課題
半導体の高性能化、高機能化の手段として注目されるチップレット集積だ
が、課題もある。一つは熱や応力に対する脆弱性だ。化合物半導体のチッ
プレットをシリコンインターポーザーに実装する際などに、硬度や熱膨張
係数のミスマッチを解消する必要がある。コネクテックジャパンは、半導
体を80℃の低温で実装する独自技術「MONSTER PAC」を用いて、この課
題を解決できる。
もう一つの課題がTSV/RDLの微細化だ。チップレットの実装には、チップ
レット間を接続するTSVとRDLが欠かせない。だが、「この分野では、ここ
十数年ほど技術進化がやや止まっている。微細化、薄膜化、多層化などに
おいて足踏み状態が続いている」と指摘する。
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【関連特許最新技術】
1.特開2024-165246 表示装置及び表示装置の製造方法 株式会社ジャパン
ディスプレイ⓶

【要約】
下図9のごとく、一実施形態によれば、表示装置は、基板と、前記基板の上
方において、画像を表示する表示領域及び前記表示領域よりも外側の周辺
領域に亘って配置された有機絶縁層と、前記表示領域において、前記有機
絶縁層の上に配置された下電極と、前記下電極の上に配置され、発光層を
含む有機層と、前記有機層の上に配置された上電極と、前記周辺領域に配
置され、第1下部と、前記第1下部の上に配置され前記第1下部の側面か
ら突出した第1上部と、を有する第1隔壁と、前記周辺領域に配置され、
前記有機絶縁層の開口に重なる金属層と、を備え、前記第1隔壁は、前記
開口に配置されてことで、信頼性の低下を抑制する。


図9. 周辺領域SAまたは余白部MPにおけるパッド領域の他の構成例を
示す平面図
【符号の説明】
  DSP…表示装置  10…基板   5…無機絶縁層  AP1、AP2、AP3…
開口   6…隔壁  61…下部  62…上部   7…隔壁  71…下部  72…上部
  SP1、SP2、SP3…副画素  201、202、203…表示素子(
機EL
素子)  LE1、LE2、LE3…下電極  UE1、UE2、UE3…
上電極  OR1、OR2、OR3…有機層  DA…表示領域  SA…周辺領域
  100…表示装置用マザー基板  PP…パネル部  MP…余白部  PD…パッ
ド  MT…金属層  IL…有機絶縁層  12…絶縁層  114…絶縁層

【発明を実施するための形態】
【0009】一実施形態について図面を参照しながら説明する。  
  開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての
適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範
に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実
際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場
合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではな
い。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同
一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重
複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互
いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1
方向Xと称し、Y軸に沿った方向を第2方向Yと称し、Z軸に沿った方向
を第3方向Zと称する。第3方向Zと平行に各種要素を見ることを平面視
という。
【0011】本実施形態に係る表示装置は、表示素子として有機発光ダイ
オード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であ
り、テレビ、パーソナルコンピュータ、車載機器、タブレット端末、スマ
ートフォン、携帯電話端末等に搭載され得る。
【0012】図1は、表示装置DSPの構成例を示す図である。
【0013】表示装置DSPは、絶縁性の基板10の上に、画像を表示す
る表示領域DAと、表示領域DAよりも外側の周辺領域SAと、を有する
表示パネルPNLを備えている。基板10は、ガラスであってもよいし、
可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0014】本実施形態においては、平面視における基板10の形状が長
方形である。ただし、基板10の平面視における形状は長方形に限らず、
正方形、円形あるいは楕円形などの他の形状であってもよい。【0015】
 表示領域DAは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された
複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SPを含む。一
例では、画素PXは、第1色の副画素SP1、第2色の副画素SP2、及
び、第3色の副画素SP3を含む。第1色、第2色、及び、第3色は、互
いに異なる色である。なお、画素PXは、副画素SP1、SP2、SP3
とともに、あるいは副画素SP1、SP2、SP3のいずれかに代えて、
白色などの他の色の副画素SPを含んでもよい。
【0016】副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動され
る表示素子20と、を備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆
動トランジスタ3と、キャパシタ4と、を備えている。画素スイッチ2及
び駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイ
ッチング素子である。
【0017】画素スイッチ2のゲート電極は、走査線GLに接続されてい
る。画素スイッチ2のソース電極及びドレイン電極の一方は信号線SLに
接続され、他方は駆動トランジスタ3のゲート電極及びキャパシタ4に接
続されている。駆動トランジスタ3において、ソース電極及びドレイン電
極の一方は電源線PL及びキャパシタ4に接続され、他方は表示素子20
のアノードに接続されている。
【0018】なお、画素回路1の構成は図示した例に限らない。例えば、
画素回路1は、より多くの薄膜トランジスタ及びキャパシタを備えてもよ
い。
【0019】表示素子20は、発光素子としての有機発光ダイオード(O
LED)であり、有機EL素子と称する場合がある。【0020】
  周辺領域SAは、ICチップやフレキシブルプリント回路基板を接続する
ための複数の端子TEを有している。複数の端子TEは、一方向に並んで
いる。図示した例では、複数の端子TEは、第1方向Xに沿って並んでい
る。また、図示した例では、周辺領域SAは、検査等に用いられるパッド
PDを有している。なお、表示パネルPNLにおいて、パッドPDは、省
略されてもよい。【0021】図2は、副画素SP1、SP2、SP3の
レイアウトの一例を示す図である。
【0022】図2の例においては、副画素SP2及び副画素SP3が第2
方向Yに並んでいる。副画素SP1及び副画素SP2が第1方向Xに並び、
副画素SP1及び副画素SP3が第1方向Xに並んでいる。
【0023】副画素SP1、SP2、SP3がこのようなレイアウトであ
る場合、表示領域DAには、副画素SP2及び副画素SP3が第2方向Yに
交互に配置された列と、複数の副画素SP1が第2方向Yに配置された列
とが形成される。これらの列は、第1方向Xに交互に並ぶ。
【0024】なお、副画素SP1、SP2、SP3のレイアウトは図2の
例に限られない。他の一例として、各画素PXにおける副画素SP1、S
P2、SP3が第1方向Xに順に並んでいてもよい。
【0025】表示領域DAには、無機絶縁層5及び隔壁6が配置されてい
る。無機絶縁層5は、副画素SP1、SP2、SP3においてそれぞれ開
口AP1、AP2、AP3を有している。これらの開口AP1、AP2、
AP3を有する無機絶縁層5は、リブと称する場合がある。  隔壁6は、平
面視において無機絶縁層5と重なっている。隔壁6は、開口AP1、AP
2、AP3を囲む格子状に形成されている。隔壁6は、無機絶縁層5と同
様に副画素SP1、SP2、SP3において開口を有するということもで
きる。
【0026】副画素SP1、SP2、SP3は、表示素子20として、そ
れぞれ表示素子201、202、203を備えている。【0027】
  副画素SP1の表示素子201は、開口AP1とそれぞれ重なる下電極L
E1、上電極UE1、及び、有機層OR1を備えている。下電極LE1
の周縁部は、無機絶縁層5で覆われている。下電極LE1、有機層OR1、
及び、上電極UE1を備える表示素子201は、平面視において隔壁6で
囲まれている。有機層OR1及び上電極UE1のそれぞれの周縁部は、平
面視において無機絶縁層5に重なっている。有機層OR1は、例えば青波
長域の光を放つ発光層を含む。
【0028】副画素SP2の表示素子202は、開口AP2とそれぞれ重
なる下電極LE2、上電極UE2、及び、有機層OR2を備えている。下
電極LE2の周縁部は、無機絶縁層5で覆われている。下電極LE2、有
機層OR2、及び、上電極UE2を備える表示素子202は、平面視にお
いて隔壁6で囲まれている。有機層OR2及び上電極UE2のそれぞれの
周縁部は、平面視において無機絶縁層5に重なっている。有機層OR2は
、例えば緑波長域の光を放つ発光層を含む。
【0029】副画素SP3の表示素子203は、開口AP3とそれぞれ重
なる下電極LE3、上電極UE3、及び、有機層OR3を備えている。下
電極LE3の周縁部は、無機絶縁層5で覆われている。下電極LE3、有
機層OR3、及び、上電極UE3を備える表示素子203は、平面視にお
いて隔壁6で囲まれている。有機層OR3及び上電極UE3のそれぞれの
周縁部は、平面視において無機絶縁層5に重なっている。有機層OR3は、
例えば赤波長域の光を放つ発光層を含む。
【0030】図2の例においては、下電極LE1、LE2、LE3の外形
は点線で示し、有機層OR1、OR2、OR3、及び、上電極UE1、U
E2、UE3の外形は一点鎖線で示している。なお、図示した下電極、有
機層、上電極のそれぞれの外形は、正確な形状を反映したものとは限らない。
【0031】下電極LE1、LE2、LE3は、例えば、表示素子のアノ
ードに相当する。上電極UE1、UE2、UE3は、表示素子のカソード、
あるいは、共通電極に相当する。
【0032】下電極LE1は、コンタクトホールCH1を通じて副画素S
P1の画素回路1(図1参照)に接続されている。下電極LE2は、コン
タクトホールCH2を通じて副画素SP2の画素回路1に接続されている。
下電極LE3は、コンタクトホールCH3を通じて副画素SP3の画素回
路1に接続されている。
【0033】図2の例においては、開口AP1の面積、開口AP2の面積、
及び、開口AP3の面積は、互いに異なる。開口AP1の面積が開口AP
2の面積よりも大きく、開口AP2の面積が開口AP3の面積よりも大き
い。換言すると、開口AP1から露出した下電極LE1の面積は開口AP
2から露出した下電極LE2の面積よりも大きく、開口AP2から露出し
た下電極LE2の面積は開口AP3から露出した下電極LE3の面積より
も大きい。
【0034】図3は、図2中のA-B線に沿う表示装置DSPの概略的な
断面図である。
【0035】回路層11は、基板10の上に配置されている。回路層11
は、図1に示した画素回路1などの各種回路と、走査線GL、信号線SL
、電源線PLなどの各種配線と、を含む。回路層11は、絶縁層12に
より覆われている。絶縁層12は、回路層11により生じる凹凸を平坦化
する有機絶縁層である。
【0036】下電極LE1、LE2、LE3は、絶縁層12の上に配置され、
互いに離間している。無機絶縁層5は、絶縁層12及び下電極LE1、LE2、
LE3の上に配置されている。無機絶縁層5の開口AP1は下電極LE1に
重なり、開口AP2は下電極LE2に重なり、開口AP3は下電極LE3
に重なっている。下電極LE1、LE2、LE3の周縁部は、無機絶縁層
5で覆われている。下電極LE1、LE2、LE3のうち、互いに隣接す
る下電極の間では、絶縁層12が無機絶縁層5により覆われている。下電
極LE1、LE2、LE3は、絶縁層12に設けられたコンタクトホール
を通じて副画素SP1、SP2、SP3のそれぞれの画素回路1に接続さ
れている。なお、絶縁層12のコンタクトホールは、図3では省略するが、
図2のCH1、CH2、CH3に相当する。
【0037】隔壁6は、無機絶縁層5の上に配置された導電性を有する下
部(茎)61と、下部61の上に配置された上部(笠)62と、を含む。
図の右側に示した隔壁6の下部61は、開口AP1と開口AP2との間に
位置している。図の左側に示した隔壁6の下部61は、開口AP2と開口
AP3との間に位置している。上部62は、下部61よりも大きい幅を有
している。上部62の両端部は、下部61の側面よりも突出している。こ
のような隔壁6の形状は、オーバーハング状と呼ばれる。
【0038】有機層OR1は、開口AP1を通じて下電極LE1に接触し、
開口AP1から露出した下電極LE1を覆うとともに、その周縁部が無機
絶縁層5の上に位置している。上電極UE1は、有機層OR1を覆い、下
部61に接触している。
【0039】有機層OR2は、開口AP2を通じて下電極LE2に接触し、
開口AP2から露出した下電極LE2を覆うとともに、その周縁部が無機
絶縁層5の上に位置している。上電極UE2は、有機層OR2を覆い、下
部61に接触している。
【0040】有機層OR3は、開口AP3を通じて下電極LE3に接触し、
開口AP3から露出した下電極LE3を覆うとともに、その周縁部が無機
絶縁層5の上に位置している。上電極UE3は、有機層OR3を覆い、下
部61に接触している。
【0041】図3の例においては、副画素SP1はキャップ層CP1及び
封止層SE1を有し、副画素SP2はキャップ層CP2及び封止層SE2
を有し、副画素SP3はキャップ層CP3及び封止層SE3を有している。
キャップ層CP1、CP2、CP3は、それぞれ有機層OR1、OR2、
OR3から放たれた光の取り出し効率を向上させる光学調整層としての役
割を有している。
【0042】キャップ層CP1は、上電極UE1の上に配置されている。  
  キャップ層CP2は、上電極UE2の上に配置されている。 キャップ層
CP3は、上電極UE3の上に配置されている。
【0043】封止層SE1は、キャップ層CP1の上に配置され、隔壁6
に接触し、副画素SP1の各部材を連続的に覆っている。
封止層SE2は、キャップ層CP2の上に配置され、隔壁6に接触し、副
画素SP2の各部材を連続的に覆っている。  
封止層SE3は、キャップ層CP3の上に配置され、隔壁6に接触し、副
画素SP3の各部材を連続的に覆っている。
【0044】図3の例においては、有機層OR1、上電極UE1、及び、
キャップ層CP1のそれぞれの一部は、副画素SP1の周囲の隔壁6の上
に位置している。これらの部分は、有機層OR1、上電極UE1、及び、
キャップ層CP1のうち開口AP1に位置する部分(表示素子201を構
成する部分)から離間している。  
 同様に、有機層OR2、上電極UE2、及び、キャップ層CP2のそれぞ
れの一部は、副画素SP2の周囲の隔壁6の上に位置し、これらの部分は、
有機層OR2、上電極UE2、及び、キャップ層CP2のうち開口AP2
に位置する部分(表示素子202を構成する部分)から離間している。  
同様に、有機層OR3、上電極UE3、及び、キャップ層CP3のそれぞ
れの一部は、副画素SP3の周囲の隔壁6の上に位置し、これらの部分は、
有機層OR3、上電極UE3、及び、キャップ層CP3のうち開口AP3
に位置する部分(表示素子203を構成する部分)から離間している。
【0045】
  封止層SE1、SE2、SE3の端部は、隔壁6の上に位置している。
図3の例においては、副画素SP1、SP2間の隔壁6の上に位置する封
止層SE1、SE2の端部同士が離間し、副画素SP2、SP3間の隔壁
6の上に位置する封止層SE2、SE3の端部同士が離間している。
【0046】
  封止層SE1、SE2、SE3は、樹脂層13によって覆われている。樹
脂層13は、封止層14によって覆われている。封止層14は、樹脂層15
によって覆われている。
【0047】
  無機絶縁層5、封止層SE1、SE2、SE3、及び、封止層14は、例
えば、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸化物(SiOx)、シリ
コン酸窒化物(SiON)、または、酸化アルミニウム(Al)な
どの無機絶縁材料で形成されている。
【0048】
  隔壁6の下部61は、導電材料で形成され、上電極UE1、UE2、U
E3と電気的に接続されている。隔壁6の上部62は、例えば導電材料に
よって形成されているが、絶縁材料で形成されもよい。下部61は、上部
62とは異なる材料で形成されている。
【0049】
  下電極LE1、LE2、LE3は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)
などの酸化物導電材料で形成された透明電極と、銀などの金属材料で形成さ
れた金属電極とを含む多層体である。
【0050】
  有機層OR1は、発光層EM1を含む。有機層OR2は、発光層EM2
を含む。有機層OR3は、発光層EM3を含む。発光層EM1、発光層E
M2、及び、発光層EM3は、互いに異なる材料で形成されている。一例
では、発光層EM1は、青波長域の光を放つ材料によって形成され、発光
層EM2は、緑波長域の光を放つ材料によって形成され、発光層EM3は、
赤波長域の光を放つ材料によって形成されている。  
 また、有機層OR1、OR2、OR3の各々は、正孔注入層、正孔輸送層
電子ブロック層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層などの複数の
機能層を含む。【0051】
 上電極UE1、UE2、UE3は、例えば、マグネシウム及び銀の合金(
MgAg)などの金属材料で形成されている。
【0052】キャップ層CP1、CP2、CP3は、複数の薄膜の多層体
である。複数の薄膜は、いずれも透明であり、しかも、互いに異なる屈折
率を有している。
【0053】
  図3に示した回路層11、絶縁層12、及び、無機絶縁層5は、表示領域
DA及び周辺領域SAに亘って配置されている。
【0054】
  次に、複数の表示装置DSPを一括して製造するための表示装置用マザー
基板100について説明する。
【0055】
  図4は、表示装置用マザー基板100の一例を示す平面図である。  
  表示装置用マザー基板100は、大型の基板10の上に、複数のパネル
部PPと、これらのパネル部PPよりも外側の余白部MPと、を備えて
いる。大型の基板10は、例えば矩形状に形成されている。複数のパネル
部PPは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列されている。
パネル部PPの各々は、表示装置用マザー基板100をカットラインに沿
って割断することで取り出される。取り出されたパネル部PPの各々は、
図1に示した表示パネルPNLに相当し、表示領域DAと、周辺領域SA
と、を備えている。  
 余白部MPは、例えば、テスト素子群(Test  Element  Gro
up)などと電気的に接続された複数のパッドPDを有している。
【0056】
  図5は、パッドPDの一構成例を示す平面図である。  図示したパッドP
Dは、図1に示した周辺領域SAのパッドPD、あるいは、図4に示した
余白部MPのパッドPDに相当する。  一点鎖線で示す金属層MTは、パ
ッドPDの電極に相当する。金属層MTは、有機絶縁層ILの開口OP
1及び無機絶縁層5の開口OP2に重なっている。開口OP1は点線で示
し、開口OP2は実線で示している。金属層MTのうち、開口OP1及び
開口OP2から露出した部分は、斜線で示している。金属層
MTの周縁部
は、有機絶縁層IL及び無機絶縁層5で覆われている。  
有機絶縁層ILは、少なくとも、図3に示した絶縁層12を含んでいる。
有機絶縁層IL及び無機絶縁層5は、パネル部PPの各々に配置されると
ともに、余白部MPにも配置されている。
【0057】
  図6は、周辺領域SAまたは余白部MPにおけるパッド領域の一構成例
を示す平面図である。図示した例では、パッド領域は、4つのパッドPD
を含む。各パッドP
Dの金属層MTは、開口OP1及び開口OP2から露出している。  隔壁7
は、4つのパッドPDの間の十字状の領域に配置されている。また、隔壁
7は、4つのパッドPDの周辺の領域にも配置されている。これらの隔壁
7は、開口OP1には重ならず、有機絶縁層ILの上方に配置されている。
また、図示した例では、隔壁7は、パッドPDには重なっていない。この
ような隔壁7は、格子状に形成されている。一例では、隔壁7は、図2に
示した格子状の隔壁6と同様のパターンで形成されている。
【0058】
  図7は、図6のC-D線に沿った表示装置用マザー基板100の断面図
である。【0059】
  絶縁層111は、無機絶縁層であり、基板10の上に配置されている。
配線層112は、絶縁層111の上に配置されている。絶縁層113は、
無機絶縁層であり、配線層112の上に配置されている。絶縁層113は、
パッドPDにおいて配線層112を露出している。絶縁層114は、有機
絶縁層であり、絶縁層113の上に配置されている。金属層MTは、絶縁
層113及び絶縁層114の上に配置され、パッドPDにおいて配線層112
に接している。これにより、金属層MTは、配線層112と電気的に接続さ
れている。これらの絶縁層111、配線層112、絶縁層113、絶縁層
114、及び、金属層MTは、図3に示した回路層11に含まれる。なお、
回路層11は、図示した層の他に、絶縁層及び導電層を含んでいてもよい。
【0060】
  絶縁層12は、有機絶縁層であり、絶縁層114及び金属層MTの上に配
置されている。絶縁層12は、金属層MTを露出する開口OP1を有して
いる。上記の有機絶縁層ILは、絶縁層114及び絶縁層12を有してい
る。このような構成例においては、絶縁層114は第1層に相当し、絶縁
層12は第1層の上に位置する第2層に相当する。開口OP1は、有機絶
縁層ILの開口に相当する。【0061】無機絶縁層5は、絶縁層12を
覆い、金属層MTに接している。無機絶
縁層5は、開口OP1に重なる開口OP2を有している。無機絶縁層5は、
開口OP2において、金属層MTを露出している。開口OP2の面積は、
開口OP1の面積よりも小さい。
【0062】  隔壁7は、有機絶縁層ILの上方に配置されている。隔壁7
は、無機絶縁層5の上に配置された下部71と、下部71の上に配置され
た上部72とを有している。上部72は、下部71よりも大きい幅を有し
ている。上部72の両端部は、下部71の側面よりも突出している。この
ように、隔壁7は、図3に示した隔壁6と同様のオーバーハング状である。
隔壁7は、隔壁6と同一工程で形成することができる。この場合、下部71
は下部61と同一材料で形成され、上部72は上部62と同一材料で形成
される。【0063】
 図8は、周辺領域SAまたは余白部MPにおけるパッド領域の他の構成例
を示す平面図である。 図8に示す構成例は、図6に示した構成例と比較し
て、隣接するパッドPDの間の比較的小さいスペースに直線状の隔壁7を
追加した点で相違している。図示した例では、第2方向Yに隣接するパッ
ドPDの間の小さいスペースにおいて、隔壁7は、第1方向Xに延出し
た直線状に形成されている。また、複数の直線状の隔壁7は、千鳥配列さ
れ、有機絶縁層ILの上方に配置されている。
【0064】
  図9は、周辺領域SAまたは余白部MPにおけるパッド領域の他の構成
例を示す平面図である。  図9に示す構成例は、図8に示した構成例と比
較して、有機絶縁層ILの開口OP1に配置された隔壁7を追加した点で
相違している。  開口OP1に配置された隔壁7は、平面視において、パッ
ドPDの金属層MTに重なり、開口OP2よりも外側に位置し、開口OP
1の縁に沿ったループ状に形成されている。有機絶縁層ILの上方に配置
された隔壁7は、開口OP1に配置された隔壁7から離間している。
【0065】
  図10は、図9のC-D線に沿った表示装置用マザー基板100の断
面図である。  有機絶縁層ILの上方及び開口OP1に配置された隔壁7
は、無機絶縁層5の上に配置された下部71と、下部71の上に配置され
下部71の側面から突出した上部72とを有し、オーバーハング状である。  
  隔壁7を形成する際のウエットエッチングにおいて、開口OP1に配置
される隔壁7が過度に除去されることに起因した隔壁7の消失を防止する
観点で、開口OP1に配置される隔壁7の幅W1は、有機絶縁層ILの上
方に配置される隔壁7の幅W2より大きいことが望ましい。
【0066】 図11は、周辺領域SAまたは余白部MPにおけるパッド領
域の他の構成例を示す平面図である。  図11に示す構成例は、図9に示
した構成例と比較して、有機絶縁層ILの開口OP1に配置された隔壁7
が開口OP1の縁に沿って形成された複数のセグメントを有している点で
相違している。  図示した例では、隔壁7は、互いに離間した4つのセグ
メント7A、7B、7C、7Dを有している。4つのセグメント7A、
7B、7C、7Dは、いずれもL字状に形成されているが、この形状に限
定されるものではない。
【0067】図12は、周辺領域SAまたは余白部MPにおけるパッド領
域の他の構成例を示す平面図である。  図12に示す構成例は、図9に示
した構成例と比較して、有機絶縁層ILの開口OP1に配置された隔壁7
が格子状に形成された点で相違している。なお、ここに示す構成例におい
ては、無機絶縁層5の開口OP2は存在しない。一例では、開口OP1に
配置された隔壁7は、有機絶縁層ILの上に配置された隔壁7と同様のパ
ターンで形成されている。
【0068】図13は、図12のC-D線に沿った表示装置用マザー基板
100の断面図である。 無機絶縁層5は、絶縁層12を覆うとともに、開
口OP1から露出した金属層MTを覆っている。つまり、無機絶縁層5は
開口を有していないため、金属層MTが露出することはない。  口OPに
配置された格子状の隔壁7は、無機絶縁層5の上に配置され、金属層MT
に接していない。
【0069】次に、パッドPDを含む表示装置用マザー基板100の断面
構造について、さらなる他の構成例について説明する。
【0070】
    《第1グループ》
【0071】図14Aは、第1グループの一構成例を示す断面図である。
【0072】有機絶縁層ILは、絶縁層114及び絶縁層12を有してい
る。このような構成例においては、絶縁層114は第1層に相当し、絶縁
層12は第1層の上に位置する第2層に相当する。絶縁層12は、開口O
P1を有している。有機絶縁層ILの断面形状に着目すると、有機絶縁層
ILは、開口OP1に向かって厚さが低減する階段状の断面を有している。
【0073】有機絶縁層ILの厚さT1は、絶縁層114の厚さと絶縁層
12の厚さとの総和であり、絶縁層113の上面から絶縁層12のほぼ平
坦な上面121Aまでの第3方向Zに沿った長さに相当する。
【0074】有機絶縁層ILの厚さT2は、絶縁層114と開口OP1と
の間の絶縁層12の厚さであり、金属層MTの上面から絶縁層12のほぼ
平坦な上面122Aまでの第3方向Zに沿った長さに相当する。厚さT2
は、厚さT1より小さい。上面122Aは、上面121Aと開口OP1と
の間に位置し、また、上面121Aよりも下方に位置している。
【0075】無機絶縁層5は、絶縁層12を覆い、金属層MTを露出する
開口OP2を有している。隔壁7は、有機絶縁層ILの上方及び開口OP
1において、無機絶縁層5の上に配置されている。図示した例では、隔壁
7は、上面121Aの上方に配置される一方で、上面122Aの上方には
配置されていない。但し、隔壁7が上面122Aの上方に配置されてもよ
い。
【0076】階段状の断面を有する有機絶縁層ILは、例えば、以下のよ
うな手法で形成可能である。まず、絶縁層113の上に、絶縁層114を
形成する。その後、金属層MTを形成する。その後、開口OP1、上面1
21A及び上面122Aを有する絶縁層12を形成する。このような絶縁
層12は、例えば、以下のような手法で形成可能である。すなわち、金属
層MTが形成された表示装置用マザー基板100の全面に、例えばポジ型
の有機材料により絶縁層を形成する。その後、絶縁層を露光する。この露
光工程では、開口OP1の露光量は最大に設定され、開口OP1から外側
に向かうにしたがって露光量は段階的に減少するように設定されている。
その後、露光された絶縁層を現像する。その後、絶縁層を焼成する。  
  これにより、上記の断面形状を有する有機絶縁層ILが形成される。
【0077】図14Bは、他の構成例を示す断面図である。  図14Bに
示す構成例は、図14Aに示した構成例と比較して、有機絶縁層ILの上
方の隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、開口OP1において
無機絶縁層5の上に配置されている。
【0078】図14A及び図14Bにおいて、開口OP1に配置される隔
壁7の形状は、図9及び図11に示したいずれの形状であってもよい。
【0079】図14Cは、他の構成例を示す断面図である。図14Cに示
す構成例は、図14Aに示した構成例と比較して、開口OP1における隔
壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、有機絶縁層ILの上方にお
いて無機絶縁層5の上に配置されている。
【0080】 図15Aは、他の構成例を示す断面図である。  図15Aに
示す構成例は、図14Aに示した構成例と比較して、無機絶縁層5に開口
が存在しない点で相違している。隔壁7は、有機絶縁層ILの上方及び開
口OP1において、無機絶縁層5の上に配置されている。
【0081】図15Bは、他の構成例を示す断面図である。図15Bに示
す構成例は、図15Aに示した構成例と比較して、有機絶縁層ILの上方
の隔壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、開口OP1において無
機絶縁層5の上に配置されている。
【0082】図15A及び図15Bにおいて、開口OP1に配置される隔
壁7の形状は、図9、図11、図12に示したいずれの形状であってもよ
い。
【0083】図15Cは、他の構成例を示す断面図である。図15Cに示
す構成例は、図15Aに示した構成例と比較して、開口OP1における隔
壁7を省略した点で相違している。隔壁7は、有機絶縁層ILの上方にお
いて無機絶縁層5の上に配置されている。
【0084】    《第2グループ》
【0085】
  図16Aは、第2グループの一構成例を示す断面図である。
【0086】
  図16Aに示す構成例は、図14Aに示した構成例と比較して、絶縁層
114が絶縁層12よりもパッドPDに向かって延出している点で相違し
ている。絶縁層114は、開口OP1を有している。絶縁層12は、絶縁
層114の上に配置されている。絶縁層114及び絶縁層12を有する有
機絶縁層ILの断面形状に着目すると、有機絶縁層ILは、開口OP1に
向かって厚さが低減する階段状の断面を有している。
【0087】 有機絶縁層ILの厚さT1は、絶縁層114の厚さと絶縁層
12の厚さとの総和であり、絶縁層113の上面から絶縁層12のほぼ平
坦な上面12Aまでの第3方向Zに沿った長さに相当する。

----------------------------------------------------------------------------------

【図12】図12は、周辺領域SAまたは余白部MPにおけるパッド領域
の他の構成例を示す平面図である。

【図13】図13は、図12のC-D線に沿った表示装置用マザー基板
100の断面図である。

【図14A】図14Aは、第1グループの一構成例を示す断面図である。

【図14B】図14Bは、他の構成例を示す断面図である。

【図14C】図14Cは、他の構成例を示す断面図である。

【図15A】図15Aは、他の構成例を示す断面図である。

【図15B】図15Bは、他の構成例を示す断面図である。

【図15C】図15Cは、他の構成例を示す断面図である。


【図16A】図16Aは、第2グループの一構成例を示す断面図である。

【図16B】図16Bは、他の構成例を示す断面図である。


【図16C】図16Cは、他の構成例を示す断面図である。

【図17A】図17Aは、他の構成例を示す断面図である。
【図17B】図17Bは、他の構成例を示す断面図である。
【図17C】図17Cは、他の構成例を示す断面図である。
【図18A】図18Aは、第3グループの一構成例を示す断面図である。
【図18B】図18Bは、他の構成例を示す断面図である。
【図18C】図18Cは、他の構成例を示す断面図である。
【図19A】図19Aは、他の構成例を示す断面図である。
【図19B】図19Bは、他の構成例を示す断面図である。
【図19C】図19Cは、他の構成例を示す断面図である。
【図20】図20は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【図21】図21は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【図22】図22は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【図23】図23は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【図24】図24は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【図25】図25は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【図26】図26は、図7に示したパッドPDに多層膜115が形成された
様子を説明するための断面図である。
                           この項つづく
今日の言葉:国会中継も悪くない。
参議院予算会議で令和新鮮組の山本党首に能登半島地震対応の遅れを叱責
に、丁寧に答弁する新石破総理が座りながら両手を小刻みに振りながらま
るで口から泡を吹くかのように反論の動作シーンを見て、討論の勝敗は決
しているが、国会中継を見ることが少ないが私でも愉快で印象的であった。

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エネルギーと環境 69

2024年12月04日 | 新錬金術時代

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-

【季語と短歌:12月5日】

          冬木立大根届けご返礼   

               高山 宇 (赤鬼)

【今日の短歌研究:能登半島地震⓶】

地震にすべて花散らしし山茶花の紅受け傍の大根揺るがず

                    三須恵子 『大根揺るがず』




✳️ カリウムイオンが赤く光る蛍光センサーを開発
11月30日、東京大学の研究グループは,生体内で重要な役割を担うカリウ
ムイオンに対する高性能な蛍光センサーを開発した。
【要点】
・タンパク質と合成蛍光分子を適切に組み合わせることで、カリウムイオ
 ンに対する高性能な蛍光センサーを開発
・有機合成化学とタンパク質工学を融合した設計戦略により、従来よりも
 明るくて使いやすい性質を持つセンサを開発
・細胞内のさまざまな場所で適用可能であり、医薬品候補化合物の評価な
 どに応用が可能に....。


図3:HaloKbpによるHeLa細胞イメージング;上:HaloKbp1bを導入した
HeLa細胞の蛍光画像。K+の有無で大きな蛍光強度変化が確認された。下:
ミトコンドリアに局在するHaloKbp1cと細胞質に局在する既存の緑色セン
サGINKO2の多重イメージング。K+溶液を加えた後(右)では、2色の蛍光が
共に強くなっている。スケールバーは10 μm。
【関連情報】
・プレスリリース 二刀流センサーで細胞を光らせろ!(2022/09/23)
【掲載論文】
・Journal of the American Chemical Society
・High-Performance Chemigenetic Potassium Ion Indicator
10.1021/jacs.4c10917



SP,蛍光フィルターセットを発表
11月22日、米MKS Instrumentsは,蛍光イメージングシステムに使用され
る高精度なシングルバンド光学フィルターセットである「Newport ODiate
蛍光フィルターセット」を発表した(製品ページ)。日本国内ではスペクト
ラ・フィジックスが販売。




 
12月3日、株式会社ジャパンディスプレイ、世界有数のディスプレイメーカ
ーInnolux Corporation(本国:台湾)(以下「Innolux」
)と、同社の子
会社で、世界をリードする車載ディスプレイソリューションの Tier1 サプ
ライ
ヤーであるCarUX Technology Pte. Ltd.(本国:シンガポール)(以下
「CarUX」といいます。)との間
で、eLEAP戦略提携の契約(以下「本契約」
といいます。)を本日付で締結。






同社は,OLED(有機EL)ディスプレーへのユーザーニーズに応えるため,
次世代OLED「eLEAP」を開発した。このOLEDは,世界で初めてHMO(High
Mobility Oxide)を採用した,世界初のマスクレス蒸着とフォトリソを組み
合わせた方式で画素を形成するOLED技術であり,従来のOLEDでは実現でき
ない低コストと高精細画素形成を可能としているという。

バックプレーン技術であるHMOは,高耐圧特性(高電圧/大電流)により特
に車載用途で求められるOLEDの高輝度化を実現。さらに高リフレッシュレー
ト駆動や,低周波駆動による低消費電力化が可能となった。
従来のOLEDと
比較して2倍の輝度,3倍の寿命を実現し,鮮やかさ,高解像度,高速応答
,かつ省電力といった高性能をより低コストで実現する。さらに,このOL
EDはGreenTechでもあり,その効率性の高い製造プロセスにより,従来の
OLEDと比較してCO2排出量を大幅に削減するとしている。
今回,eLEAP戦略提携の一環として,まずはCarUXと同社は32型高性能車載
用eLEAPディスプレーを共同で市場を開拓する予定。この最新鋭eLEAPディ
スプレーは,同社の既存32型車載用ハイエンドLCDディスプレーと比較して,
消費電力を76%も削減しながら,解像度を12%向上,輝度を15%増加,コ
ントラストを690倍に改善するという。

【関連特許最新技術】
1.特開2024-165246 表示装置及び表示装置の製造方法 株式会社ジャパン
ディスプレイ
【要約】
下図9のごとく、一実施形態によれば、表示装置は、基板と、前記基板の上
方において、画像を表示する表示領域及び前記表示領域よりも外側の周辺
領域に亘って配置された有機絶縁層と、前記表示領域において、前記有機
絶縁層の上に配置された下電極と、前記下電極の上に配置され、発光層を
含む有機層と、前記有機層の上に配置された上電極と、前記周辺領域に配
置され、第1下部と、前記第1下部の上に配置され前記第1下部の側面か
ら突出した第1上部と、を有する第1隔壁と、前記周辺領域に配置され、
前記有機絶縁層の開口に重なる金属層と、を備え、前記第1隔壁は、前記
開口に配置されてことで、信頼性の低下を抑制する。


図9. 周辺領域SAまたは余白部MPにおけるパッド領域の他の構成例を
示す平面図
【符号の説明】
  DSP…表示装置  10…基板   5…無機絶縁層  AP1、AP2、AP3…
開口   6…隔壁  61…下部  62…上部   7…隔壁  71…下部  72…上部
  SP1、SP2、SP3…副画素  201、202、203…表示素子(
機EL
素子)  LE1、LE2、LE3…下電極  UE1、UE2、UE3…
上電極  OR1、OR2、OR3…有機層  DA…表示領域  SA…周辺領域
  100…表示装置用マザー基板  PP…パネル部  MP…余白部  PD…パッ
ド  MT…金属層  IL…有機絶縁層  12…絶縁層  114…絶縁層
【発明の効果】
【特許請求の範囲】
【請求項1】  基板と、 前記基板の上方において、画像を表示する表示領域
及び前記表示領域よりも外側の周辺領域に亘って配置された有機絶縁層と、
  前記表示領域において、前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、
  前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、
  前記有機層の上に配置された上電極と、
  前記周辺領域に配置され、第1下部と、前記第1下部の上に配置され前記
第1下部の側面から突出した第1上部と、を有する第1隔壁と、
  前記周辺領域に配置され、前記有機絶縁層の開口に重なる金属層と、を備え、
  前記第1隔壁は、前記開口に配置されている、表示装置。
【請求項2】平面視において、前記第1隔壁は、前記開口の縁に沿ったルー
プ状に形成されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】平面視において、前記第1隔壁は、前記開口の縁に沿って形成
された複数のセグメントを有している、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】平面視において、前記第1隔壁は、格子状に形成されている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】  基板と、前記基板の上方において、画像を表示する表示領域
及び前記表示領域よりも外側の周辺領域に亘って配置された有機絶縁層と、
  前記表示領域において、前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、
  前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、
  前記有機層の上に配置された上電極と、
  前記周辺領域に配置され、第1下部と、前記第1下部の上に配置され前記
第1下部の側面から突出した第1上部と、を有する第1隔壁と、
  前記周辺領域に配置され、前記有機絶縁層の開口に重なる金属層と、を備え、
  前記第1隔壁は、前記有機絶縁層の上方に配置されている、表示装置。
【請求項6】平面視において、前記第1隔壁は、格子状に形成されている、
求項5に記載の表示装置。
【請求項7】 前記第1隔壁は、さらに、前記開口に配置されている、請求項
5に記載の表示装置。
【請求項8】  さらに、前記有機絶縁層を覆う無機絶縁層を備え、
  前記第1隔壁は、前記無機絶縁層の上に配置されている、請求項1または
5に記載の表示装置。
【請求項9】前記無機絶縁層は、前記表示領域に配置され、前記下電極に
重なる開口を有している、請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】さらに、前記無機絶縁層の上に配置され導電材料で形成さ
れた第2下部と、前記第2下部の上に配置され前記第2下部の側面から突
出した第2上部と、を有する第2隔壁を備え、前記下電極、前記有機層、
及び、前記上電極は、前記第2隔壁で囲まれ、前記上電極は、前記第2隔
壁の前記第2下部に接触している、請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】  さらに、前記有機絶縁層を覆うとともに、前記有機絶縁層
の前記開口から露出した前記金属層を覆う無機絶縁層を備え、前記開口に
配置された前記第1隔壁は、格子状に形成され、前記無機絶縁層の上に配置さ
れている、請求項1または7に記載の表示装置。
【請求項12】前記有機絶縁層は、第1層と、前記第1層の上に位置する
第2層と、を有し、しかも、前記開口に向かって厚さが低減する階段状の
断面を有している、請求項1または5に記載の表示装置。
【請求項13】前記有機絶縁層は、単層体であり、前記開口に向かって厚
さが低減する階段状の断面を有している、請求項1または5に記載の表示装置。
【請求項14】  基板の上方に金属層を形成し、
  画像を表示する表示領域及び前記表示領域よりも外側の周辺領域に亘って
有機絶縁層を形成し、前記表示領域において、前記有機絶縁層の上に下電
極を形成し、前記周辺領域に位置する第1下部と、前記第1下部の上に位置
し前記第1下部の側面から突出した第1上部と、を有する第1隔壁を形成し、
  前記下電極の上に、発光層を含む有機層を形成し、
  前記有機層の上に上電極を形成し、前記有機絶縁層を形成する工程は、前
記周辺領域において、前記金属層に重なる開口を形成する工程を含む、表
示装置の製造方法。
【請求項15】前記第1隔壁は、前記開口に形成する、請求項14に記載
の表示装置の製造方法。
【請求項16】前記第1隔壁は、前記有機絶縁層の上方に形成する、請求
項14に記載の表示装置の製造方法。
【請求項17】前記下電極を形成した後であって前記第1隔壁を形成する
前に、前記有機絶縁層を覆うとともに、前記下電極に重なる開口を有する
無機絶縁層を形成する、請求項14に記載の表示装置の製造方法。
【請求項18】前記無機絶縁層を形成した後であって前記有機層を形成す
る前に、前記無機絶縁層の上に前記第1隔壁を形成するとともに、前記無
機絶縁層の上に位置し導電性を有する第2下部と、前記第2下部の上に位
置し前記第2下部の側面から突出した第2上部と、を有する第2隔壁を形
成し、前記有機層及び前記上電極は、前記第2隔壁をマスクとした蒸着に
よって形成する、請求項17に記載の表示装置の製造方法。
【請求項19】  前記上電極を形成した後に、
  前記第2隔壁をマスクとした蒸着を行い、前記上電極の上にキャップ層を
形成し、前記第2隔壁及び前記キャップ層を覆う封止層を形成する、請求項
18に記載の表示装置の製造方法。
【請求項20】さらに、前記封止層の上に、パターニングしたレジストを形
成し、前記レジストをマスクとしたエッチングを行い、前記封止層の一部、
前記キャップ層の一部、前記上電極の一部、及び、前記有機層の一部を順
次除去する、請求項19に記載の表示装置の製造方法。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
🪄紙面の都合上割愛(検索してpdfでコピーして下さい)。
【参考図一覧】
【図1】図1は、表示装置DSPの構成例を示す図である。


【図2】図2は、副画素SP1、SP2、SP3のレイアウトの一例を示
す図である。

【図3】図3は、図2中のA-B線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図
である。


【図4】図4は、表示装置用マザー基板100の一例を示す平面図である。


【図5】図5は、パッドPDの一構成例を示す平面図である。

【図6】図6は、周辺領域SAまたは余白部MPにおけるパッド領域の一構
成例を示す平面図である。


【図7】図7は、図6のC-D線に沿った表示装置用マザー基板100の断
面図である。


【図8】図8は、周辺領域SAまたは余白部MPにおけるパッド領域の他の
構成例を示す平面図である。

【図10】図10は、図9のC-D線に沿った表示装置用マザー基板100
の断面図である。


【図11】図11は、周辺領域SAまたは余白部MPにおけるパッド領域の
他の構成例を示す平面図である。
【図12】図12は、周辺領域SAまたは余白部MPにおけるパッド領域
の他の構成例を示す平面図である。
【図13】図13は、図12のC-D線に沿った表示装置用マザー基板
100の断面図である。
【図14A】図14Aは、第1グループの一構成例を示す断面図である。
【図14B】図14Bは、他の構成例を示す断面図である。
【図14C】図14Cは、他の構成例を示す断面図である。
【図15A】図15Aは、他の構成例を示す断面図である。
【図15B】図15Bは、他の構成例を示す断面図である。
【図15C】図15Cは、他の構成例を示す断面図である。
【図16A】図16Aは、第2グループの一構成例を示す断面図である。
【図16B】図16Bは、他の構成例を示す断面図である。
【図16C】図16Cは、他の構成例を示す断面図である。
【図17A】図17Aは、他の構成例を示す断面図である。
【図17B】図17Bは、他の構成例を示す断面図である。
【図17C】図17Cは、他の構成例を示す断面図である。
【図18A】図18Aは、第3グループの一構成例を示す断面図である。
【図18B】図18Bは、他の構成例を示す断面図である。
【図18C】図18Cは、他の構成例を示す断面図である。
【図19A】図19Aは、他の構成例を示す断面図である。
【図19B】図19Bは、他の構成例を示す断面図である。
【図19C】図19Cは、他の構成例を示す断面図である。
【図20】図20は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【図21】図21は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【図22】図22は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【図23】図23は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【図24】図24は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【図25】図25は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【図26】図26は、図7に示したパッドPDに多層膜115が形成された
様子を説明するための断面図である。
                           この項つづく

図1 軽量な材料に放熱性を付与
高熱伝導CFRP(炭素繊維強化プラスチック)⓶
ハムカツサンド構造のCFRPで軽量構造と冷却性能の両立狙う
11月22日、軽量化が求められる製品では、しばしば部品の小型化や高密度
化などに伴って熱のコントロールも必要になる。例えば、電気自動車(EV)
やドローンは、モーターなどを効率的に冷却できるのが望ましい。ウエア
ラブル機器も軽い一方で、装着者がやけどをしないように動作時の温度を
抑制しなければならない。だから、軽量な構造用材料に高い熱伝導性を持
たせれば一石二鳥を狙える。東レはこの目的で「高熱伝導CFRP(炭素繊維
強化プラスチック)」を開発、2021年5月に発表した。CFRPに、金属以上
の高い熱伝導率を持つ物資を組み合わせた複合材料だ。熱伝導率の高さや
熱を伝える方向を調整できる特徴もあり、生産には既存のCFRPと同様の設
備が使える。

【関連特許最新技術】
1.特開2024-113762 金属含有皮膜を有する炭素繊維強化プラスチック
形体 国立大学法人東北大学・東レ株式会社
【要約】炭素繊維強化プラスチックの表面の少なくとも一部に、ポリアリ
ーレンエーテルケトン(PAEK)樹脂を0重量%を超えて2重量%以下含
む金属粒子が固相状態のまま1MPa以下の圧縮ガスと共に投射されること
により、熱伝導率が20.0W/Km以上の、前記金属粒子の金属および
PAEK樹脂から成る皮膜が形成されている成形体で、最適な混合比率で
金属粒子とPAEK粉末を混合し、炭素繊維強化プラスチック複合材料の
上に混合粉末を特定圧力の圧縮ガスと共に投射し、緻密で強固に密着した
金属含有皮膜が形成された成形体、とくにその金属含有皮膜により高熱伝
性を発現可能な成形体を提供する。


図1.本発明の成形体の熱伝導率を測定する際の成形体の配置方法と測定方
向の例を示す概略図

図2.本発明の実施例1における成形体の断面のデジタルマイクロスコープ
写真

【発明の効果】  本発明によれば、炭素繊維強化プラスチックの表面に、ポ
リアリーレンエーテルケトン(PAEK)樹脂を特定量含む金属粒子が固
相状態のまま特定の圧力以下の圧縮ガスと共に投射されることにより、
熱伝導
率の金属含有皮膜が形成された成形体は、炭素繊維強化プラスチッ
への金属含有皮膜の密着強度が高く、緻密に形成された金属含有皮膜に
より成形体を高熱伝導化できるため、パソコン筐体などの放熱部材として
好適に用いることができる。

表1.表1は実施例および比較例に用いた材料およびコールドスプレー条件と皮膜特性をまとめたもの

【産業上の利用可能性】  本発明に係る炭素繊維強化プラスチックに金属含
有皮膜を形成した成形体は高い熱伝導性を有することから、スマートフォン、
タブレット、携帯型パソコンなどの情報端末機器にてバッテリー、回路基板
等が搭載される筐体、筐体ケース、筐体等に一体的に取付けられる筐体表面
材、天板等の放熱材料として好適である。また、本発明に係る炭素繊維強化
プラスチック
に金属含有皮膜を形成した成形体は炭素繊維強化プラスチック
と金属含有皮膜の密着性が高いことから、自動車の補強用の金属-炭素繊維
強化プラスチック
接合材、炭素繊維強化プラスチックからなるバッテリーケ
ースの放熱材、水素などの気体を封入した金属-炭素繊維強化プラスチック
どの圧力容器等の一般産業用途へ適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】炭素繊維強化プラスチックの表面の少なくとも一部に、ポリア
リーレンエーテルケトン(PAEK)樹脂を0重量%を超えて2重量%以下
含む金属粒子が固相状態のまま1MPa以下の圧縮ガスと共に投射されるこ
とにより、熱伝導率が20.0W/Km以上の、前記金属粒子の金属および
PAEK樹脂から成る皮膜が形成されていることを特徴とする成形体。
【請求項2】前記投射がコールドスプレー法により行われている、請求項1
に記載の成形体。
【請求項3】前記圧縮ガスの温度が300℃以上460℃以下である、請
求項1に記載の成形体。
【請求項4】前記皮膜の電気抵抗率が2.0mΩ・cm以下である、請求項
1に記載の成形体。
【請求項5】前記皮膜の引張強度が10MPa以上である、請求項1に記載
の成形体。
【請求項6】前記金属粒子が球状である、請求項1に記載の成形体。
【請求項7】前記金属粒子の粒径が0.1μm以上、10μm未満である、請
求項6に記載の成形体。
【請求項8】前記金属粒子がCu、Alから選ばれる少なくとも1つから
なる、請求項1に記載の成形体。
【請求項9】前記皮膜と炭素繊維強化プラスチックが酸素原子または炭素
原子を介して結合している、請求項1に記載の成形体。
【請求項10】前記炭素繊維強化プラスチックのマトリックス樹脂が熱
硬化性樹脂を含む、請求項1に記載の成形体。
【請求項11】前記炭素繊維強化プラスチックのマトリックス樹脂が熱可塑
性樹脂を含む、請求項1に記載の成形体。

       「川の流れのように」美空ひばり  
             令和に聴きたい昭和の名曲 
     


Beautiful Relaxing Music - Stop Overthinking, Stress Relief Music, Sleep Music, Calming Musi



  今日の言葉:

 

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エネルギーと環境 68

2024年12月03日 | スピントロニクス

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-

【季語と短歌:12月4日】 

         冬紅葉複雑だな2024     
   
                  高山 宇 (赤鬼)


【今日の短歌研究:能登半島地震⓶】

 

ごめんねと声出すとき風のなか半音ずれて山茶花の中 
                      『ガーネット』大森静佳 

三又もて石棹を吊り上ぐる地震翌朝の声合わせ
           『令和六年一月一日、およびそののち』黒瀬珂瀾

龍が頭を大きく揺らし波立たせ家、道壊し人を殺めぬ
                     『龍が頭を振る』三井 修

一万七千つぎて五千ベクトルが貯蔵のプールの床に飛散る 
                       『一瞬にて』永井正子

能登はやさしや土までもその土の割れて崩れて無窮となりぬ
                           『無窮』 喜多昭夫


 
ローエルの碑





日本では2024年7月に発売された「CR-V e:FCEV」。新開発の燃料電池(FC)を積む
日本では2024年7月に発売された「CR-V e:FCEV」。
新開発の燃料電池(FC)を積む
「開発品」から「量産品」になったホンダの燃料電池



Semiconductor Equipment Billings By Region

✳️半導体製造装置,AI普及で19%増 24年第3四半期
米SEMIは12月2日(米国時間),半導体製造装置(新品)の2024年第3四
半期における世界総販売額が,前年同期比19%増,前期比では13%増の
303.8億ドルであったことを発表。第3四半期における半導体製造装置の世
界販売額は,AIの普及や成熟技術の生産を支えるための投資を背景に,力
強い成長を記録した。装置投資の成長が,チップ製造のエコシステム強化
を目指す複数地域に広がる中,北米が前年比で最大の伸びを記録した一方
で,中国は引き続き最大の購入地域となった。


◾ プラズマでCOから固体炭素材料を大量合成(記載2回目)
11月28日、 東京科学大学は、非平衡プラズマを用いて一酸化炭素(CO)
から固体炭素材料(カーボンブラック)を大量合成することに成功した
(図1)。合成したカーボンブラックは、高分子やタイヤの充填剤のほか、
燃料電池や2次電池の電極材料として利用できる。さらに、この技術を二
酸化炭素(CO2)の電気分解反応などと組み合わせると、CO2を循環利用
するCO2-to-Cプロセスの実現が期待できる。
【要点】
1.プラズマ技術を用いることで約600℃でCOから電気伝導性が高いカーボ
 ンブラックを大量合成することに成功。
2.流動層構造によりカーボンブラックによる反応器の閉塞を避け連続合成
を実現。
3.合成プロセスを電化することでCO2排出量を従来の1/10に低減できると
期待。



図1 一酸化炭素から合成したカーボンブラック
図1 一酸化炭素から合成したカーボンブラック
【掲載論文】
掲載誌:ACS Energy Letters
論文タイトル:Plasma-Catalyzed Sustainable Nanostructured Carbon
 Synthesis: Advancing Chemical-Looping CO2 Fixation
DOI:10.1021/acsenergylett.4c02660

電動化で大きく変わる車載部品の熱環境
新材料で目指すカーボンニュートラル、バイオマスと機能向上が鍵

図1 材料技術による脱炭素への貢献の可能性

ハムカツサンド構造のCFRPで軽量構造と冷却性能の両立狙う
11月22日、軽量化が求められる製品では、しばしば部品の小型化や高密度
化などに伴って熱のコントロールも必要になる。例えば、電気自動車(EV)
やドローンは、モーターなどを効率的に冷却できるのが望ましい。ウエア
ラブル機器も軽い一方で、装着者がやけどをしないように動作時の温度を
抑制しなければならない。だから、軽量な構造用材料に高い熱伝導性を持
たせれば一石二鳥を狙える。
東レはこの目的で「高熱伝導CFRP(炭素繊維
強化プラスチック)」を開発、2021年5月に発表した。CFRPに、金属以上
の高い熱伝導率を持つ物資を組み合わせた複合材料だ。熱伝導率の高さや
熱を伝える方向を調整できる特徴もあり、生産には既存のCFRPと同様の設
備が使える。

図1 軽量な材料に放熱性を付与

図1 軽量な材料に放熱性を付与 電気自動車、ドローン、携帯電子機器な
ど軽量化の必要の高い製品の設計に使うと、限られたスペースでの熱のコ
ントロールに選択肢が広がると期
待できる。(出所:東レ)

金属以上の熱伝導性も狙える
CFRPの強化材料である炭素繊維の熱伝導率は高いが、母材であるプラスチ
ックの熱伝導率が0.1W/m・K強と低い。CFRP全体としての熱伝導率は高
い場合でも100W/m・K、通常は数十W/m・K程度で金属(100~300W/m・
K程度)よりも1桁低く、そのままでは熱を移動させる放熱機能は期待でき
ない(図1)。

開発した高熱伝導CFRPを使うと、発熱源のある製品の温度を抑制しやすい。
高熱伝導の板材にヒーターを付けた実験では、通常のCFRPよりもヒーター
近くの温度が低くなった。熱がヒーター付近にとどまらずに広がっていく
ためだ。金属(アルミニウム合金)に比べても、ヒーター付近の温度をよ
り低くできる(図2)。
図2 高熱伝導CFRPの放熱性
図2 高熱伝導CFRPの放熱性
出力3Wのヒーターを付けて30分加熱した後、ヒーターの反対側からサー
モグラフィーで撮影。破線は250×180mmの試験片外形を示す。内部のグ
ラファイトシートは230×160mm。(出所:東レ)

グラファイトシートをサンドイッチ
高熱伝導CFRPはサンドイッチ構造になっている。“ハムカツサンド”で例え
ると、中心のハムに当たるのが金属以上の熱伝導率を持つグラファイト(
黒鉛)シート、これを覆うハムカツの“ころも”に当たるのが多孔質のフォ
ーム材料(多孔質CFRP支持体)。そしてこれらを上下から挟み込むパン
として、長い炭素繊維が入った通常のCFRP板を使う(図3)。多孔質CFRP
支持体は短い炭素繊維を含んでおり、東レはこれを「CFRF(炭素繊維強化
フォーム)」と呼ぶ。

図3 グラファイトシートをCFRPでサンドイッチした構造
図3 グラファイトシートをCFRPでサンドイッチした構造

CFRFはグラファイトシートとCFRP板を結び付けるだけでなく、グラファ
イトシートを補う役割を担う。グラファイトシートの熱伝導率は1000W/m・
Kを超え、金属より1桁大きいため、現在でも高い放熱性能が必要な製品に
しばしば使われる。しかし、もろくて破れやすく、発熱体の表面などに張
っても剥がれやすいなど、構造を維持しにくいのが弱点。新材料では「CF
RFの剛性が高くて変形せず、グラファイトシートが壊れない」(東レ複合
材料研究所長の吉岡健一氏)という効果を得られた。

CFRFは、東レが16年に発表した時点では「超軽量と高剛性を両立する」
(同社)と位置づけていた。比重は0.2~0.6と低く、剛性はガラス繊維な
どによる繊維強化プラスチックと同等(弾性率は5~12GPa)。短い炭素
繊維が3次元的な構造体を形成しており、内部に細かな空隙をつくる。板
状に限らず、さまざまな形状に成形できる特徴もある。東レは16年当時
から、CFRFを通常の長繊維のCFRPで挟んだサンドイッチ構造の材料を、
軽量性と剛性に加えて引っ張り強さも高められるとして提案していた。

化学処理を行わないダイレクトリサイクル用素材

BMW、化学処理を行わない電池リサイクル工場を建設

12.02ドイツBMWグループは約1000万ユーロを投資し、ドイツバイエルン
州キルヒロートに電池セルをリサイクルする「Cell Recycling Competence
Centre(CRCC)」を建設すると発表した。この施設では、「ダイレクトリ
サイクル」と呼ばれる方法で電池セルを機械的に分解してリサイクルする
。回収したリサイクル材は、同州内にある「Battery Cell Competence Centre
(BCCC)」でセルの試作生産に再利用する。電池セルの原材料には、リチ
ウム、コバルト、グラファイト、マンガン、ニッケル、銅などがある。こ
れらの資源をリサイクルして使用することは、環境保護と経済活動を両立
するうえで重要である。BMWグループが開発したダイレクトリサイクル
では、セルを化学処理や熱処理で元の材料の状態に戻すのではなく、機械
的に分解してセル生産サイクルに戻す。これにより熱処理や化学処理にか
かる大量のエネルギー消費を抑えられる。

3つのリサイクル研究施設が連動
BCCCでは次世代高電圧電池セルを開発しており、試作用の
少量生産設備がある。BCCCで開発して有望とされた電池セ
ルは、パースドルフにある「Cell Manufacturing Competence Centre
(CMCC)」で量産用の技術開発に使われる。CMCCの試作生産で出た余
剰材料は、CRCCでリサイクルする。BCCCとCMCC、CRCCが一体となって
稼働することで、貴重な材料が失われるのを防ぐことができる。

キルヒロートに建設するCRCC

CRCCは、BMWグループとドイツのリサイクル企業であるInterzeroグルー
プとの合弁会社であるEncory(エンコリー)が建設、運営する。リサイク
ル方法などの知的財産権はBMWが所有する。CRCCに持ち込まれた電池セ
ルに残っている電力は、建物内のエネルギー貯蔵システムに移され、リサ
イクルシステムの稼働に使用する。さらに建物の屋上には太陽光発電シス
テムを備え、再生エネルギーの使用率を高める。CRCCはキルヒロート=ノ
ルド工業団地にある既存建物を拡張して設置される。建物内にリサイクル
設備が導入されるのは2025年後半からで、稼働すると量産に近いプロセス
でリサイクル方法の検証を進める。
 

    
クリスマス・イブ 1

      『特集:クリスマスソング2024』


 

  今日の言葉:「これから勝負!」👌主戦場は地球環境

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エネルギーと環境 67

2024年12月03日 | 光電融合デバイス事業

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-

【季語と短歌:12月2日】 

          山茶花や華麗一輪世紀末    
   
                  高山 宇 (赤鬼)

【今日の短歌研究:能登半島地震⓶】

😊 ブロッコリ健康法:解体新書⓵

 

アンチョビ香る! ブロッコリーとたらのアヒージョのレシピ動画・作り方 | DELISH KITCHEN 
ブロッコリーとたらのアンチョビアヒージョ



【特許参考事例】
1. 特開2018-24737 自然免疫活性化作用を有する多糖類及び該多糖類を
含有する自然免疫活性化剤又は飲食品 株式会社ゲノム創薬研究所・イマ
ジン・グローバル・ケア
株式会社
【要約】下図7のごとく、自然免疫活性化作用を有する多糖類であって、構
成糖として、25~50モル部のガラクツロン酸、15~50モル部のガ
ラクトース、0~7モル部のグルコース、0~30モル部のアラビノース、
0~6モル部のキシロース、及び3~15モル部のラムノースを含有し、
主鎖として、α-1,4結合のガラクツロン酸を有するポリガラクツロン酸
鎖を含有することを特徴とする多糖類、該多糖類を有効成分として含有する
自然免疫活性化剤、及び該多糖類を含有する飲食品で、自然免疫活性化作
用を有する新規物質の提供を課題とする。


【図7】本発明の多糖類及び該多糖類処理物の化学構造の一例を示す模式図

【発明の効果】  本発明によれば、新規の化学構造を有する、自然免疫活性
化作用を有する多糖類を提供することができる。また、該多糖類を有効成
分として含有する自然免疫活性化剤や、該多糖類を含有する自然免疫活性
化作用を有する飲食品を提供することができる。

000003
【0059】表1は、17種の野菜の熱水抽出物について、カイコ筋収縮
活性測定法を用いて得られた比活性(C値)の結果である。比活性(C値)
が0.15以上を示した場合に自然免疫活性化能があると判定される。表
1の結果より、ブロッコリーの熱水抽出物に強い自然免疫活性化能が認め
られた。

✳️ NITE、株式会社ゲノム創薬研究所、学校法人帝京大学の三者が有望菌
株の優先使用に関する契約を締結 2023年3月30日

✳️ イマジン・グローバル・ケア株式会社に対する景品表示法に基づく措
置命令について[PDF:383.8 KB] 2019年11月01日


2. 特開2019-182776 自然免疫活性化剤の製造方法 株式会社ゲノム創
薬研究所 フォーデイズ株式会社
【要約】本発明の自然免疫活性化剤は、ブロッコリーに含まれる中性多糖
類を有効成分として含有することを特徴とする。また、本発明の自然免疫
活性化剤の製造方法は、ブロッコリーに含まれる中性多糖類を有効成分と
して含有する自然免疫活性化剤の製造方法であって、ブロッコリーを熱水
抽出する工程、及び、中性多糖類を回収する工程を含むことを特徴とする。
該熱水抽出する前に、該ブロッコリーを粉砕、細断又はすりおろしする工
程を含むことが好ましい、高い自然免疫活性化作用を有する新規物質を提
供すること。
【発明の効果】本発明によれば、これまでに知られなかった高い比活性を
有する、すなわち極めて高い自然免疫活性化作用を有する自然免疫活性化
剤を提供することができる。また、極めて高い自然免疫活性化作用を有す
る飲食品を提供することができる。
【特許請求の範囲】ブロッコリーに含まれる中性多糖類を有効成分として
含有することを特徴とする自然免疫活性化剤。
【請求項1】ブロッコリーに含まれる中性多糖類を有効成分として含有す
ることを特徴とする自然免疫活性化剤。
【請求項2】ブロッコリーに含まれる中性多糖類を有効成分として含有す
る自然免疫活性化剤の製造方法であって、少なくとも、ブロッコリーを熱
水抽出する工程、及び、中性多糖類を回収する工程を含むことを特徴とす
る自然免疫活性化剤の製造方法。
【請求項3】前記熱水抽出した後に、エタノール沈殿をする工程を含む請
求項2に記載の自然免疫活性化剤の製造方法。
【請求項4】前記中性多糖類を回収する工程が、陰イオン交換体への未吸
着画分を回収する工程である請求項2又は請求項3に記載の自然免疫活性
化剤の製造方法。
【請求項5】 前記陰イオン交換体が、DEAEセルロース担体である請求
項4に記載の自然免疫活性化剤の製造方法。
【請求項6】前記熱水抽出する前に、前記ブロッコリーを粉砕、細断又は
すりおろしする工程を含む請求項2ないし請求項5の何れかの請求項に記
載の自然免疫活性化剤の製造方法。
【請求項7】 前記粉砕、細断又はすりおろしする工程を10℃以下で行う
請求項6に記載の自然免疫活性化剤の製造方法。
【請求項8】前記熱水抽出の温度が80℃以上160℃以下であり、該熱
水抽出の時間が1分以上60分以下である請求項2ないし請求項7の何れ
かの請求項に記載の自然免疫活性化剤の製造方法。
【請求項9】ブロッコリーに含まれる中性多糖類を有効成分として含有し、
請求項2ないし請求項8の何れかの請求項に記載の自然免疫活性化剤の製
造方法で得られるようなものであることを特徴とする自然免疫活性化剤。
【請求項10】  請求項2ないし請求項8の何れかの請求項に記載の自然免
疫活性化剤の製造方法を用いることを特徴とする自然免疫活性化飲食品の
製造方法。


3. WO2018/034203 新規乳酸菌、新規乳酸菌を有効成分として含有する
自然免疫活性化剤、及び新規乳酸菌を含有する飲食品 株式会社ゲノム創
薬研究所 国立大学法人  東京大学
【要約】本発明の乳酸菌は、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)
の特許微生物寄託センター(NPMD)における受託番号がNITE  BP-
02307であるロイコノストック(Leuconostoc)属に属する乳酸菌、
受託番号が、NITE  BP-02306であるロイコノストック(Leuco-
nostoc)属に属する乳酸菌、又は、受託番号がNITE  BP-02308
であるローイコノストック(Leuconostoc)属に属する乳酸菌である。本発
明の乳酸菌は高い自然免疫活性化作用を有する。
【発明の効果】
本発明によれば、これまでに知られている乳酸菌よりも高い自然免疫活性
化能を有する新規の乳酸菌を提供することができる。
 更には、該乳酸菌を有効成分とする自然免疫活性化剤、及び、該乳酸菌又
は該自然免疫活性化剤を含有する飲食品、並びに、該乳酸菌を用いて醗酵
する工程を用いて製造された飲食品を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】  独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の特許微生
物寄託センター(NPMD)における受託番号がNITE  BP-0230
7であるロイコノストック(Leuconostoc)属に属する乳酸菌。
【請求項2】独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の特許微生
物寄託センター(NPMD)における受託番号がNITE  BP-0230
6であるロイコノストック(Leuconostoc)属に属する乳酸菌。
【請求項3】独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の特許微生
物寄託センター(NPMD)における受託番号がNITE  BP-0230
8であるロイコノストック(Leuconostoc)属に属する乳酸菌。
【請求項4】請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の乳酸菌、
該乳酸菌の死菌又は該乳酸菌の処理物を有効成分とする自然免疫活性化剤
であって、該乳酸菌の処理物は、乳酸菌の、培養物、濃縮物、ペースト化
物、乾燥物、液状化物、希釈物、破砕物、殺菌加工物、及び、培養物から
の抽出物よりなる群から選ばれる少なくとも1つの処理物であることを特
徴とする自然免疫活性化剤。
【請求項5】請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の乳酸菌を
含有する飲食品。
【請求項6】請求項4に記載の自然免疫活性化剤を含有する飲食品。
【請求項7】請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の乳酸菌を
用いて醗酵する工程を用いて製造された飲食品。

4. 特開2024-14443 熱安定性グルコセレブロシダーゼ 学校法人帝京大学
【要約】下図1のごとく、植物由来であり、グリコシドハイドロラーゼファ
ミリー1(GH1)に属し、且つグルコセレブロシダーゼ活性を有するタ
ンパク質により、前記課題を解決する、グルコセレブロシダーゼ活性を有
し、さらに熱安定性を有するタンパク質を提供する。

図1. イネ由来グルコセレブロシダーゼ(RGC1)、およびヒト由来グ
ルコセレブロシダーゼ(イミグルセラーゼ)の、37℃(pH5)におけ
るインキュベーション時間と相対残存活性との関係を示すグラフ
🪄 配列表情報
</

作家たちは、AIを使って来年8000冊の本を出版するというスタートアップ
の計画を非難。出版社のSpinesは、人工知能の助けを借りて本を校正、デ
ザイン、配布するために、著者に1,200ドルから5,000ドルを請求する。
SpinesはAIを利用して本の校正、翻訳、表紙デザイン、出版、流通を有料
で提供する新興テクノロジー企業。共同創設者兼CEOのYehuda Niv氏いわく
人の手であれば6カ月から18カ月かかる出版作業を2週間から3週間にまで
短縮できると豪語。著者は印税の100%を受け取り、著作権も完全に保持
できるとも。料金は1824ドル(約27万円)から5496ドル(約83万円)で、AI
ではなく人間に校正または表紙デザインを依頼するオプションも存在する。
他社の自費出版サービスには数万ドル(数百万円)がかかるものもあるそう
で、比べるとSpinesの価格は格安、また、テクノロジーを使用して出版プ
ロセスを合理化し、著者が最も得意なこと、つまり素晴らしい物語を書く
ことに集中できるように”リストラ”(体質改善)できると言う。
これに対し、作家、イラストレーター、翻訳者のための労働組合代表のア
ンナ・ガンリー氏は「著者が期待するものを実現できる可能性は非常に低
く、出版への最善の道だという保証もほとんどない。AIに依存するシステ
ムの場合は、サービスの独創性と品質の欠如が懸念される」と指摘し、
契約を締結する前に十分慎重に検討するよう警告している。「進歩か現状
維持か」、言うのは簡単だだが、わたし(たち)が主張する「非主体化」
「リスク・インパクト・
マネージメント」に従って評価されていくことを
望むものである



🪄AI Publishing Startup Plans To Release 8,000 Books Next Year - Slashdot
🪄Writers condemn startup’s plans to publish 8,000 books next year
using AI | Books | The Guardian

 

     スクールガールズエンド『山茶花』official music video

『スクールガールズ』( Las niñas)は、2020年スペインドラマ映画
脚本・監督はピラール・パロメロナタリア・デ・モリーナなどが出演し
ている。修道院学校に通う少女たちの思春期を描いたドラマ作品。それか
ら引用しているのか? 偶然である。キーワードは、本日の俳句、季語で、
「山茶花」と「世紀末」(「この世の終わり」の陰喩)。こんなこともあ
るのかと、のめり込む。





人間の未来 AIの未来 講談社(2018/02発売)

まえがきにかえて 羽生善治から山中伸弥さんへ
第1章 iPS細胞の最前線で何が起こっていますか?
第2章 なぜ棋士は人工知能に負けたのでしょうか?
第3章 人間は将来、AIに支配されるでしょうか?
第4章 先端医療がすべての病気に勝つ日は来ますか?
第5章 人間にできるけどAIにできないことは何ですか?
第6章 新しいアイデアはどこから生まれるのでしょうか?
第7章 どうすれば日本は人材大国になれるでしょうか?
第8章 十年後、百年後、この世界はどうなっていると思いますか?
あとがきにかえて 山中伸弥から羽生善治さんへ
---------------------------------------------------------------------------------
『人間の未来 AIの未来』連載第11回

日本の医学部は「人材の無駄遣い」
毎年、日本の小学生に「将来なりたい職業」を聞いていますけれど、結果
を見ると「学者」「科学者」はけっこう上の方にいて、医師とそんなに変
わりません。ところがフタを開けてみると、より多くの人が医学部に行く。
どうも偏りがあるなと感じます。ただ、数学や物理が得意な子は日本にも
たくさんいて、「数学オリンピック」や「物理オリンピック」といった国
際大会で金メダルを取っているが、数学とか物理にずば抜けた才能があっ
ても、その多くが医学部に行ってしまう。医学部に進むこと自体が悪いわ
けではないけれども、その後、医師という職業に就いても、特殊なケース
を除いて数学も物理もほとんど使わない。だから、ある意味もったいない。
今、こうして研究者という立場になると、もっとみんな研究者になって
ほしいなと山中氏いう。科学の博士課程に在籍する学生の多くは、大学や
大企業で研究を続けることを望みますが、科学の知識を生かしてプロにな
る選択肢は他にもある。生命科学もAIもそうで、科学がすごく高度化して
さまざまな社会問題を惹き起こしている今の社会では、先端科学の知識と
その問題点を分かりやすく人々に伝えて、いわば科学と世の中の対話を促
すような仕事がますます重要になっていると
日本が抱えるヤバすぎる「弱点」
そして、僕たちの大学が研究した技術は、最終的には大手の製薬会社など
が本格的に開発してくれないと社会に還元することはできません。大学か
らいきなり社会に還元するのは難しい。日本では今まで大学発の優れた研
究が多かったのですが、その「死の谷」を乗り越えられず、実用化段階で
アメリカに先を越されてしまったケースが少なくない。ゲノム情報を読み
取るシークエンスの技術も、もともとは日本の会社が先陣を切っていた。
アメリカが急速に伸びたのは、ベンチャー企業のおかげです。アメリカだ
とベンチャーがすぐにできて優秀な人材が集まります。大学発の技術をベ
ンチャーで伸ばし、それを大企業が買収したりしてスムーズに行く。日本
のベンチャー企業も頑張ってはいるが、お金が集まりにくい。人材を集め
るのも苦労しているところが多いという。「寄らば大樹の陰」🏹「囲い込
み」🏹「お金が集まりにくい」(日本のビジネスの負の側面)。日本はベ
ンチャーに行きたがる学生は本当に少ない。多くは大学に残るか、一流企
業に就職しようとする。たとえ本人がベンチャーに興味があっても、親御
筋が反対する。 「せっかく大学を出たのに、なぜわざわざリスクの高いベ
ンチャーに行くんだ」と。将棋でも、経験を積むに従って、若いころだと
無駄だと切り捨ててきたものが、実は重要なんじゃないかと見直すように
なった。意味がなさそうなことに実は意味があるはずだとか、すぐに結果
が出るわけではないけれども、小さな積み重ねを日々行うことで新しいア
イデアやひらめきが生まれてくるのではないかとかと羽生氏は語り、「プ
ロの棋士は何手も先を読んで、計算しながらやっているように見えるかも
しれませんが、実際は全然違うんです」「いい加減なとこはあったほうが
いい」
◾競争が激化するからこそ必要なこと
これまでは「才能はあるけれど、環境が悪くて伸びなかった」ケースはた
くさんあったと思います。でもこれから先は、インターネットの普及を背
景にして「環境が悪かったために才能が伸びなかった」というケースはど
んどん少なくなりますと羽生氏は回想し吐露する。        了
 今日の言葉:「これでおしまい」

1899(明治32)年、1月19日、勝は風呂上がりにブランデーを飲んでいる
時、突然倒れ、21日午後5時ごろに亡くなる。死因は脳溢血で、76歳でし
た。最後の言葉は「これでおしまい」だったといわれている。(堀江宏樹
歴史エッセイスト・作家(2018年10月20日掲載ブログより)


 

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エネルギーと環境 66

2024年12月02日 | スピントロニクス

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-

【季語と短歌:12月1日】 

          十二月二度降雪し除夜の鐘    

                  高山 宇 (赤鬼)

【今日の短歌研究:能登半島地震】



               ふるさとの能登に祈る歌 岡野弘彦  

伊勢・大和・山脈ふかき村に生まれ、海
知らざりし 七歳の我

能登はわが父の故郷。はじめて父にともなはれ 見し海原の色忘れず

あてどなく 海辺の道をさすらひて 成すすべもなく 泣きいたりけり

海原のはてより昇る朝の日に おのずから掌を合わせ、祈りぬ

潮騒のとどろく家に一夜寝て、目覚めし朝の心。清しさ

🧑‍🎨岡野弘彦:(おかの ひろひこ、1924年
7月7日 - )1946年(昭和21年)
学生時代から釈迢空(折口信夫)主宰の短歌結社「鳥船社」に入社、1947
(昭和22年)からは折口家に同居、その死を看取った。折口の最後の弟
子とも評される1973年(昭和48年)「人」創刊。1995年から2008年ま
読売文学賞選考委員。1999年平成11年)「岡野弘彦個人雑誌、うたげ
の座」を編集。近年、折口と同様の句読点空き字等を使用、また長歌
短歌を組み合わせた組歌を発表するなど意欲的な取り組みをしている。伝
統的な詠法に則り、定型を守り、調べが清らかで、確立している。

🪄総合年刊歌集「2024年の1万首」と手にとり驚く。年間を通し情報処理
量の大きさに驚嘆。
また疲弊する昨今。秋の歌会も流し活動方針もいまだ
暗礁に乗り上げまた漂流・忙殺。季語に縋り辛うじて毎日俳句のみ掲載し
てる有様である。
---------------------------------------------------------------------

✳️ 神聖幾何学とは
神聖幾何学という言葉を知っていますか。植物だけでなく、動物の体のデ
ザイン、小さなものでは分子から、人体や川の流れ、大きくは大気の循環
や銀河系の構造など、自然界や宇宙のあらゆるデザインは幾何学に従う。
そして、古代ギリシャの哲学者、ピュタゴラスやユークリッドやタレスの
ような人たちは、古代エジプトの神秘学派から数学を学び、自然界に、数
学にもとづいた規則正しさがどのように表れているかを盛んに研究した。

中世のヨーロッパでは、コンパスと目盛りのない定規だけを使う幾何学が、
数学の中でも特に尊い学問だと考えられ、神聖幾何学と呼ばれていた。
して、それが自然界にどのように表れているかを調べることに加えて、

築や他の芸術に生かす研究が行なわれていました。 神聖幾何学の研究に
は、
専門家でなければとても理解できないような複雑なものもあるが、
誰にも
理解できるものもある。


◾フィボナッチ数列とは

まず準備として、クイズをひとつ解いてみてください。
1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,・・・
この列の55の次にくる数は何でしょうか…
この列では、前の2つの数を加えると次の数にるので、答えは、34+55
=89となる。
この数列は、12世紀のイタリアの数学者フィボナッチが著
書「算盤の書」で紹介したので、フィボナッチ数列と呼ばれ、この数列に
表れる数はフィボナッチ数と呼ばれている。たとえば、34や55、89
はフィボナッチ数。

✳️ フィボナッチ数列と黄金比
フィボナッチ数列の、隣り合う2つの数の比を計算すると次のようになる。

この値は、数列の右に行けば行くほど、黄金比(golden ratio)という値
に限りなく近づいていくことが知られており、黄金比は通常ギリシャ文字
のΦで表すが、次の式で定義される。
Φ = (1+√5)/ 2 = 1.618033988……

◾ 自然界における対数らせん 松かさの鱗片 
下の松かさの写真は。規則正しい美しいデザインです。この写真の中央よ
り、ほんの少し右下のあたりには、柄が付いていた場所があるのが分かる。
そこから、鱗片が放射状に並んでいて、外側に進むにつれて右にカーブす
る「らせん」を描いている。

松かさのらせんの本数を数えてみました

話が飛躍しますが、水の中や私たちの体の中など濡れている環境でも機能
する「接着剤」について。外科手術など医療分野での応用が期待されおり、
ある意外なモノが開発のヒントになった。東北大学青葉山キャンパスの学
際科学フロンティア研究所阿部博弥准教授、阿部博弥 准教授「ムール貝と
いう海の中の生物からヒントを得て。水中でもくっつく接着剤を作りまし
た」



✨ムール貝からヒント?水の中でもくっつく接着剤?                                     
貝が海辺で石などにビッシリとくっついているのはなんとなく想像がつく
だろう。
その中で、ムール貝の場合はこの髭のような部分「足糸」という
のだがこの接着力がポイントで、阿部さんはその化学構造に注目した。

まり聞いたことはないかもしれないが、「カテコール」と呼ばれる構造が
水の中でもくっついていられる秘密だという。
この構造を持つ液体を作っ
た阿部さん。さらにもう1つのアイデアを加えた。
阿部博弥 准教授「普通
の環境に置いておくとトロトロしているんですけど温めると溶液全体が白
く硬くなる特性を持っている特殊な溶液を使う」

液体状の接着剤をドライヤーで温めると白く濁りはじめ、次第に固体に変
わった。
阿部博弥 准教授「35℃より低い体温より低い温度ですと濡れた表
面にやさしくくっつく。体温よりも高い35度以上ですと、強く接着するこ
とができまして、その差も1000倍になる強い接着を示す」
「温度の上げ下
げで接着力が変わる性質」と、「ムール貝の足からヒントを得た構造」。
これを特殊な方法でかけ合わせて完成させたのが『水中接着性ハイドロゲ
ル』。
黒色で、固体と液体の中間ゲル状になっている。40℃の温水の中でも
手首にピタッとついて決して離れない。

😊 阿部准教授が研究者になったきっかけは「数学」
山形県酒田市出身の阿部さん。研究者になるきっかけは数学の授業だった。
阿部博弥 准教授「高校の時山形の高専にいたんですけどその時の数学の先
生がフィボナッチ数列という数列を教えてていた、例えばヒマワリの種の
並び方とか自然の中に科学が潜んでいるんだよっていうのを教えてもらっ
た」「フィボナッチ数列」とは、イタリアの数学者が示したある規則性に
基づく数列のこと。びっしりときれいに埋まっている種の配列にも通じる
ものがある、とされている。このような自然界に潜む科学に阿部さんは興
味を持ち、ムール貝から着想を得て水中接着剤の開発にたどり着いた。
「生物が何千万年何億年と進化をかけてたくさん学んで色んな機能を出し
てきた。そこからヒントを得ることによっていきなり近道ができることに
なる」

✨ 生物のすごい特徴×いまの技術
水の中で使える接着剤はすでにあったが、身体の組織を傷つけずに安全に
はがせるものは少なかった、温度の上げ下げでくっつく力を変えられると
いう今回の研究が進めば、皮膚や組織の傷を元に戻す治療への応用が期待
できるという。
阿部博弥 准教授「すごい特徴を持った生物が世の中にはこ
んなところに潜んでいるのかというのがありますので、その発見と今持っ
ている技術を組み合わせることでさらにすごいものが作れた時に非常に嬉
しいと思います」と話している。



❤️ アストラゼネカのぜんそく薬、発作時にステロイドより有効

ぜんそくないし慢性閉塞性肺疾患(COPD)の発作リスクが高い英国の患者
158人を対象に行った研究では、喘鳴、咳、胸部圧迫感などの症状を伴
う「増悪」と呼ばれる発作時にファンセラを注射すると、副腎皮質ステロ
イド内服薬よりも効果が高いことが示された。ステロイド薬は肺の炎症を
抑えるが、重い副作用を引き起こすことがある。
研究者によると、こうし
た発作に見舞われた多くの患者がステロイドの繰り返し投与や再入院が必
要で、90日以内に死亡することもある。
一方、ベンラリズマブを使用し
た場合は、投与から28日後に呼吸器症状が改善。90日後では、ベンラ
リズマブ投与群ではステロイドによる標準治療群と比較して治療に効果が
なかった患者の数が4分の1にとどまった。

製造特許について
東京大学の研究により、「ブロリコ」は主に細胞壁の内側から抽出される
成分であり、家庭で行われる一般的な調理方法ではほとんど抽出できない
ことが明らかになりました。
そのため、イマジン・グローバル・ケアと東
京大学は共同で「ブロリコ」を抽出する技術を開発し、この独自の抽出プ
ロセスに関する特許を取得しました。従来の方法では得られなかった「
ロリコ
」を安定的かつ高効率で抽出することが可能となりました。 







🧑‍🎨 水道水のPFAS濃度 過去4年間に14か所で目標値超える 国が調査
11月29日、一部の物質が有害とされる有機フッ素化合物のPFASについて、
国が全国の水道水の検出状況を調査した結果が初めて公表され、昨年度ま
での4年間に14か所で国の暫定的な目標値を超える濃度が検出された一方
今年度はすべてで目標値を下回った。


🤔 「PFAS」のうち「PFOS」と「PFOA」は有害性指摘
有機フッ素化合物の「PFAS」のうち「PFOS」と「PFOA」の2つの物質は
有害性が指摘されていて、国は「健康に悪影響が生じないと考えられる水
準」として、2つの物質の合計を水道水1リットルあたり50ナノグラムとす
る暫定目標値を設定している。国は全国の水道水の検出状況を把握するた
め、自治体や水道事業者に対し、今年度までの5年間のPFASの水質検査の
実施の有無や、検出された場合の最大値などについて報告を求め、今回初
めて公表。

🗾自治体や水道事業者 14か所で暫定目標値超の値を検出
上水道と規模の小さな簡易水道などを運営する自治体や水道事業者3755か
所のうち、2022年度には岡山県吉備中央町で暫定目標値の28倍にあたる
1リットルあたり1400ナノグラム、2021年度には岐阜県各務原市で11倍に
あたる550ナノグラムなど、昨年度までの4年間に14か所で目標値を超える
値が検出された。 いずれもその後、水源を切り替えるなどの対応がとられ、
現在は目標値を下回っているという。 そして今年度、検査が行われた1745
か所ではすべて目標値を下回わった。 環境省はこれまでの検査で給水人口
に換算すると全体の95%で目標値を下回っている。一方、今年度も一定程
度、PFASが検出されたところがあり、例えば目標値の半分にあたる25ナ
ノグラムを超えたところは30か所に上っている。 また、排出源については
ほとんどわかっていない。 さらに、簡易水道を中心に全体の4割にあたる
1528か所で検査を行っていなかったり回答がなかったりしていて、検査の
徹底が課題となっている。 国は今回の結果も踏まえ、暫定目標値を、法律
で検査や改善が義務づけられる「水質基準」に引き上げるかどうか検討す
ることにしている。 国の暫定目標値を超える濃度検出一覧(2020~2023
年度) 今回の調査で、これまでに水道水から国の暫定目標値を超える濃度
のPFASが検出されたところは次のとおり。 2020年度は検査を行った466
か所のうち、暫定目標値の1リットルあたり50ナノグラムを超えたのは11
か所で、 ▼東京都の東京都水道局で64ナノグラム ▼神奈川県座間市で63
ナノグラム ▼長野市で58ナノグラム ▼岐阜県各務原市で99ナノグラム ▼
愛知県の北名古屋水道企業団で175ナノグラム ▼三重県桑名市で290ナノ
グラム ▼京都府精華町で63ナノグラム ▼大阪府の大阪広域水道企業団四
條畷水道事業で73ナノグラム ▼兵庫県宝塚市で54ナノグラム ▼岡山県吉
備中央町で800ナノグラム ▼沖縄県金武町で70ナノグラムでした。 2021
年度は801か所のうち5か所で、 ▼岐阜県各務原市で550ナノグラム ▼三
重県桑名市で170ナノグラム ▼兵庫県西脇市で100ナノグラム。


人間の未来 AIの未来 講談社(2018/02発売)

まえがきにかえて 羽生善治から山中伸弥さんへ
第1章 iPS細胞の最前線で何が起こっていますか?
第2章 なぜ棋士は人工知能に負けたのでしょうか?
第3章 人間は将来、AIに支配されるでしょうか?
第4章 先端医療がすべての病気に勝つ日は来ますか?
第5章 人間にできるけどAIにできないことは何ですか?
第6章 新しいアイデアはどこから生まれるのでしょうか?
第7章 どうすれば日本は人材大国になれるでしょうか?
第8章 十年後、百年後、この世界はどうなっていると思いますか?
あとがきにかえて 山中伸弥から羽生善治さんへ
---------------------------------------------------------------------------------
人間の未来AIの未来』連載第10回

 今日の言葉:

1277夜 『変貌する民主主義』 森政稔 − 松岡正剛の千夜千冊

 『変貌する民主主義』 森政稔 - 千夜千冊
1277夜 世走篇 2008年12月29日 ⓼

ところで、民主主義の多様な“変貌”は、当然ながら企業社会にも押し寄せ
た。とくに新自由主義の旋風以降はその波及はいちじるしい。そもそも「
官から民へ」というムーブメントの狙いは、政府機能が市場に移管してい
くということでもあるのだから、実は企業側にも“政治”や“統治”が求めら
れるということなのである。

これを受けて日本で盛り上がったのが、「株主資本主義」こそが民主的で
あるという議論の流行と、そして「コーポーレート・ガバナンス」論だっ
た。

日本のコーポーレート・ガバナンス論は、終身雇用制や親方日の丸制にみ
られる日本企業の体質は、まことに悪しき日本的慣行であって、こんなこ
とではITネットワークと金融資本が張りめらされたグローバル化時代の
競争にはとうてい勝ち残れない。勝ち残るには企業マネーの背骨をつくっ
ている株主(シェアホルダー)や投資家の利益の立場に立った態勢と体制
を整えなければならない、というよ
うな判断から流行したものだった。
業においてはさしずめ「民主」は「株主」になったのである。

こうして企業はあたかも自己暗示にかかったかのように「自己責任」を問
うことになり、公正なアカウンタビリティ(説明責任)をわざわざ自陣に
引き込むことにした。大企業はあわてて社外取締役(outside directer)
を導入し、公的機関や国立大学なども経営協議会などを設置して、“公正
なチェック"がおこなわれていることを示すことにした。

しかしこのような措置は、もともとがグローバル時代での勝ち残り戦略の
ためにスタートを切ったものだったから、一方では規制緩和を、他方では
合併やM&Aをはじめとする規模の拡大をつねにせざるをえなくなり、
コーポーレート・ガバナンスは市場優先時代のなかでの“民営政府”のよう
な議論のようになったのである。


この雪崩のような現象は、アメリカ最大のエネルギー企業であったエンロ
ンの破綻の原因が、見かけはコーポーレート・ガバナンスの要件を満たし
ていたにもかかわらず、結局は不当な自己利益で粉飾されていたことがあ
かるみに出るにおよんで、ここには何かの欺瞞のロジッックがあるように
思われもした。岩井克人(937夜)や原丈人が「会社は誰のものか」を
問うのは、このころだ。

けれども、それでもなお日本企業の多くは、今度はコンプライアンスの呪
縛を、いまなお自己暗示のようにかけたままになっている。このことをめ
ぐっては前々夜の『暴走する資本主義』(1275夜)にも書いたばかり
だ。
コーポーレート・ガバナンス論がもたらした問題は、いったい民主的
な状態を何によって判定できるかという議論の行方を象徴的にあらわして
いる。

判定を外部の評価に委託したからといって、事態は何も変わらない。案の
定、かえってタレコミなどによって雪印や不二屋や吉兆が痛手をこうむる
ことが多発
した。社会というもの、内部にも外部にも自治体や企業や学校
をとりまく多数の利害関係者(ステークホルダー)がいるわけで、それを
シェアホルダーに限定して発展させようという株主優先方式には、過剰な
片寄りがあったのである。

また、統治のバランスをステークホルダーに広げたところで、かえって事
態の複雑性は増すばかりで、それによって「正しさ」の判定基準に何の変
化がおこるわけではない。予期せぬ担当者のモラルハザードがおこって、
事件やニュースになるだけなのだ。本書の著者はこうしたガバナンスに対
する過剰な期待は、目利きのいない社会」の代案としてみなしたほうが
いいだろうとも言っている。

ガバナンス(統治)の議論は、これをとこん追いかけていけば、必ず自己
統治(セルフ・ガバナンス)のほうへ煮詰まっていく。さきほどのべた「
アイデンティティ」とも絡まっていく。

それがまさに当時の風潮でいうところの自己責任の問題でもあったのだが、
それを求めすぎれば、現代社会における「主体」や「自己」とは何かとい
う難問によりいっそう遭遇するにちがいない

著者はこの点についても鋭い指摘をしている。民主主義が権力の外部に責
任体制を広げていったことには、社会の各領域で「主体」がわかりにくく
なったため、その不安を外部からの評価によって穴埋めしようとしたので
はないか。また、複雑な社会での「自己」はたえず不当評価・意欲喪失・
失業・疾患・犯罪・事故・精神的危機・家庭崩壊などのさまざまなリスク
に直面し、それがIT技術の発達もあって社会現象とあからさまに直結す
るようになったため、自己統治と社会統治との問題が近づきすぎてしまっ
たのではないか。ぼく流にいいかえれば、そういう指摘だ。✨

たしかに、今日の「自己」は自分のリスクを克服するのに、以前よりずっ
とカウンセリング、サイコセラピー、メンタルクリニックなどに頼るよう
になった。ここには種の「セラピー社会」もたちあらわれている。著者
は、このような状態からは新たな展望は出てこないと考えているようだ
むしろ、かつてミシェル・フーコー(545夜)が「主体」の哲学を避け
「自己」を社会の抵抗性と見ようとした視点に共感を示している。

ざっとは、このくらいでいいだろうか。あらかたの構図は見えてきたはず
だ。まさに民主主義は変貌しつづけて、いまや最も厄介なスローガンにな
っていたわけなのだ。

民主主義が長い歴史のなかで、それなりに一貫して「多様なものの統合」
という方針をもってきたことは否めない。民主主義が「差異と統合」を調
整するための技法であることも、この多難な時代のなかではっきりしてき
たともいえる。

しかし、21世紀社会はあまりに「官から民へ」が進みすぎて(これから
は中国やロシアやインドにそれがおこっていく)、かえって民主的制御が
効かなくなりつつある時代にもなってきた。これは新たな「民主主義の赤
字」(democratic deficit)という問題を生み出している。新たな民主的
システムへの転出が、そのシステムのコストを取り戻そうとすればするほ
ど、そのシステムの維持だけにとらわれていく病気というものだ。かくし
ていまや、民主主義はいちばんコストのかかるシステムになってしまった
のである。

というところで、ここでぼくが民主主義を扱うことを苦手としてきた理由
をふりかえってみると、それは「多数決のあやしさ」というものにあった
このことについてはいまだ当初の感想を変更するつもりはないのだが、著
者が次のように言っていたことには、いまではじっと耳を傾ける気になっ
ている。なんといっても、今夜は年の瀬なのである。炭男としては、そう
いう気分になるものだ。
政治とは多かれ少なかれ強制や権力を伴う営みであるが、それでもなお、
それらがひとしなみ過酷というわけではない。民主主義が専制や全体主義
から区別されるつもりであるとすれば、それは民主主義にあっては権力が
同意に基礎づけられているという信念に由来するところが大きいと、ひと
まず言うことができるだろう

(そうすると多数決の問題になっていくのだが、このとき)多数決に同意
するということは、多数の決定をあたかも自己の決定であるかのように受
け入れるフィクションを承認するということである。これを承認しない人
々に対しては、当然に多数決の原理は力を持たないということになる。
数者の根拠にあるのは、このような多数決への不信である
ここでは、少数者の立場が、討論などの民主主義的プロセスを経ることに
よって、多数者の見解を変化させる可能性があるかどうか、ということが
重要な分かれ目となる。多数と少数とを区別するものが、変更することの
むずかしい生得的なアイデンティティに由来する場合(言語・民族・宗教
等)、多数はつねに多数であって、少数はつねに少数ということになりや
すい。対立は構造化され、政治的統合に亀裂が生じる。(中略)このよう
な場合、この政治社会にとどまっていることの意義が疑われる。この政治
社会から分離独立することがあるべき選択として浮上する。
ある意味ではこのような選択は、かつての多民族帝国から国民国家が独立
するさいの民族自決の論理と共通であるということができる。異なるのは
国民国家より小さな単位において主張されていることであって、この区別
によって、一方は国民国家を擁護する議論に、他方はそれを解体する議論
になるということである。                   了
🪄脱新自由主義政策や脱貨幣交換主義政策の手法として「経済の社会の
組み込み」が「
エネルギ-と環境 ㊲」(2021.10.18)や「千夜千冊エデ
ィション 資本主義問題」 (角川ソフィア文庫)(2021.7.16)で掲載されて
いるような「経済の社会への埋め込み政策」の、非主体化(政策の評価・
測定手法の開発と政策推進の立案と持続的な政策是正)を総合的に推進
することが肝要と考えている(具体的な政策論についてブログ掲載して
いきたい)。

 

 


 

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エネルギーと環境 65

2024年12月01日 | スピントロニクス

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-

【季語と短歌:11月31日】 

          頂きぬ隠し畑の大根焚き    

                  高山 宇 (赤鬼)

😊先輩の家庭菜園で背筋が通った大根を頂く。思えば、わたし
  は多くの近親者や先輩・同僚に恵まれていたと感謝し大根を
    頬張る。

 
✳️ 世界が注目!スマートなシティが人類を救うってどゆこと?

未来が変わる!?「スマートシティ」を俳優・町田啓太が15分超速解説!
世界が目指す最新の街づくりとは?人口爆発&都市一極集中にどう備える?
難しい事を漫画CGで学ぶ 漫画家イエナガ(町田啓太)が編集者(橋本マ
ナミ)にプレゼンするテーマは「スマートシティ」。渋滞の解消?電気使
用の最適化?行政の効率化?水没の危機を救う?都市の課題をテクノロジ
ーを使って解決する驚きの街づくりに迫る。カギを握るIoTや都市OS
とは一体?そしていま注目のウェルビーイング!個人の豊かな暮らしを街
のあり方で実現できる!?これを見れば、街の概念がガラッと変わっちゃ
うかも?()
❤️ 町田啓太のハンサムな超即時事解説の人気がウナギ上り!俳優の「大
谷翔平」だ(と、小生は思っている)。

スピントロニクス時代?⓵
電子はマイナスの電荷を持つ粒子で、流れると電流が生じる。この電子は、
電荷に加えてスピンという性質も持っており、永久磁石や磁気記録などの
磁気のもとでもある。トランジスターやダイオードなど半導体において電
子が持つ電荷の流れを制御してさまざまな機能を引き出す技術をエレクト
ロニクスと呼びますが、磁気をもたらすスピンの性質も利用するエレクト
ロニクスの分野を「スピントロニクス」
と呼ぶ。


◾ハードディスクの記録密度増大に寄与した巨大磁気抵抗効果(GMR)

スピントロニクスのイノベーションは、1988年、巨大磁気抵抗効果(GMR)
の発見により始まる※
。GMRは、磁性金属/非磁性金属ハイブリッド構造
において磁場を加えると電気抵抗が大きく変化する効果で、数年のうちに、
この効果を用いたハードディスク用の磁気読み出しヘッド(GMRヘッド)
が開発された。それまではコイルを使ってディスクの磁気情報を読み出し
ていたので、微小な磁気情報を読み出すことができなかったが、これによ
って数10ナノメートルサイズの記録情報が読み出せるようになり、磁気記
録の記録密度が飛躍的に増大しました。図1に示すように、年率25%の増
加率であったHDの記録密度は、GMRヘッドの登場によって年率100%の増
加率となった。

※GMRを発見したフランスのフェール博士とドイツのグリュンベルグ博士
は、2007年のノーベル物理学賞に輝きました。

◾磁気ヘッドの高性能化に寄与したトンネル磁気抵抗効果
次いで、1995年、日本の宮崎博士と米国のムーデラ博士は、トンネル磁気
抵抗効果(TMR)を発見しました。TMRは、2つの磁性体で絶縁体を挟んだ
磁気トンネル接合(MTJ)において磁場を加えたときに大きな電気抵抗の
変化が生じる効果です。この効果を用いて、新たな磁気ランダムアクセス
メモリMRAM(magnetoresistive random access memory)が生み出された。
さらに、MgOをトンネル障壁に採用するとTMRが大幅に増大することが日
本の湯浅博士と米国のパーキン博士によって見出された。MgO―TMR素子
を用いた磁気読み出しヘッドは、市販されているハードディスクのほとん
どに使われていく。

◾ MRAMとは、記憶素子に磁性体を用いた不揮発性メモリの一種。TMR
素子を用いた磁気トンネル接合(MTJ)と半導体CMOSが組み合わされた構造
となっており、直交する2つの書き込み線に電流を流し、生じた磁界によ
って磁気状態を書き換えます。MRAMは、SRAM並み高速な読み書きが可
能で、低消費電力、高集積性が可能などの長所があり、 SRAM(高速アクセ
ス性)、DRAM(高集積性)、フラッシュメモリ(不揮発性)のすべての機能を
カバーする「ユニバーサルメモリ」としての応用が期待されている。


さらに、1996年、新たなスピントロニクスの概念としてスピン注入磁化反
転が理論的に提案された。強磁性電極FM1中でスピン偏極した電子が非磁
性体を通して対極FM2に注入された電子スピンがFM2の磁化の方向に傾け
られるとき,そのトルクをFM2に渡し、FM2の磁化を反転させる。これを
ピン移行トルク(STT)※と呼ぶ。開発当初は大電流密度を必要としたが、研
究開発が進み垂直磁化のTMR素子を用いて実用可能な電流密度にまで低減
できた。STTを使うと、MTJ素子に電流を流すだけで磁化反転でき、微細化
で電流密度も小さくなるので、MRAMを高集積化することが可能になった。
これをSTT-MRAMと呼ぶ。

しかし、STT-MRAM は電流が作る磁界を書き込みに使う場合に比べて非
常に低消費電力となるものの、電流を用いてスピン流を発生するためにジ
ュール熱によってエネルギーを散逸する。これを解決するため、最近、
圧を加えて磁気異方性の変化を誘起するトルクを書き込みに用いる新しい
不揮発性メモリ「電圧駆動MRAM」が提案されました。電流をほとんど流
さずに電圧のみで書き込むため、STT-MRAM よりもさらに2 桁程度小さな
エネルギーで書き込みができるとされる。また、(その2)に述べるスピン
ホール効果あるいはスピン軌道相互作用によるラッシュバトルクを用いる
ことでSTT-MRAM に比べて高効率のMRAM が作れることも提案されてい
る。原理的に3 端子であるため書き込みラインと読み出しラインを分離で
きるという回路上の利点もある一方で、素子サイズが大きくなるという問
題も浮上させる。(科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センタ(CRDS)
佐藤 勝昭 2019.11.01)
                           この項つづく



磁気の初学者およびその周辺領域の読者を対象に,磁気の基礎の基礎,興
味深い磁気現象をやさしく正確に解説したシリーズ。
第1巻は,磁気物性
の基本事項をQ&A形式の解説を織り込みながら,やさしく解説している。




【特版:ウイルス解体新書】

❤️ 新型コロナウイルスを家庭で簡便に測定(1・2)
近年の新型コロナウイルスのパンデミックは記憶に新しいものがある。従
来、パンデミックと言えば、高病原性の鳥インフルエンザウイルスに起因
するもので、図1に示す100年前のスペイン風邪に始まり、アジア風邪、香
港風邪と多くの犠牲者を払ってきている。これらは〜40年近い周期で生じ
ていた。ところがコロナウイルスのパンデミックは、2003年のSARSに始
まり、MERS、今回の新型コロナウイルスと10年以内の周期で次々とパン
デミックが生じていることがわかる。これは我々の日常生活にとって極め
て高い脅威となるものである。(2024.11.4/2024.11.20)
概要
図1. 鳥インフルエンザウイルスとコロナウイルスによるパンデミックの歴史。新型コロナウイルスでは700万人近い人が亡くなっている。
図1. 鳥インフルエンザウイルスとコロナウイルスによるパンデミックの
歴史。新型コロナウイルスでは700万人近い人が亡くなっている。

これらパンデミックを防ぐには、迅速、高感度なウイルス検出技術が必要
不可欠である。すでに様々な検出技術があるが一長一短の感がある。図2
に示すように、PCRは極めて高感度であるが、検査時間が〜1時間以上と
長く、かつ高額で、専門の検査技師が必要である。またイムノクロマトを
用いた抗原検査キットは安価でわずか15分で検査でき、素人でも可能な
簡便さであるが、感度が不十分であり、新型コロナウイルスの検査でも問
題になったように、偽陰性、偽陽性の結果を出してしまうことがあり、信
頼性にかける。本研究では、グラフェンFETの高感度特性を利用し、高感
度であり、かつ高速、簡便に計測できるシステムを開発する。

図2. グラフェンFETを用いたウイルスセンサの位置付け。PCR検査は高感度であるが検査時間が長時間必要であり、高額である。抗原検査は短時間、簡便であるが、感度が不十分である。グラフェンFETセンサは、高感度、高速で、かつ簡便にウイルスを検出可能である。
図2. グラフェンFETを用いたウイルスセンサの位置付け。PCR検査は高感
度であるが検査時間が長時間必要であり、高額である。抗原検査は短時間、
簡便であるが、感度が不十分である。グラフェンFETセンサは、高感度高
速で、かつ簡便にウイルスを検出可能である。

◾グラフェンFETセンサによるウイルス検出
図3にグラフェンの特長を示す。グラフェンは、伝導体と価電子帯が線形の
分散関係を示す特殊な半導体であり、その有効質量はほぼ0に近い。その為、
従来のシリコン半導体の移動度の1000倍近い200,000cm2/Vsという驚くべ
き実験結果が示されている。またグラフェンの表面にはπ電子で形成され
る2次元電子ガス(電子が海のように広がっている)が表面に露出してい
る。その為、グラフェンの表面に電荷を有するものが近づくとグラフェン
の電気特性が大きく変化する為、高感度が得られる。図3に示すように、
グラフェンの表面にウイルスを選択的に補足するレセプター(抗体や糖鎖)
を修飾し、電荷を持ったウイルスが溶液中でレセプターに捕捉されると、
ウイルスの電荷によりグラフェンの電気特性(ドレイン電流やディラック
ポイント)が変化する。この変化によりウイルス検出する。

図3. グラフェンの特長。伝導体と価電子帯が線形の分散関係を示す為、有効質量が小さく移動度が極めて高い。また2次元電子ガスが表面に露出しているため、高感度特性を示す。
図3. グラフェンの特長。伝導体と価電子帯が線形の分散関係を示す為、有
効質量が小さく移動度が極めて高い。また2次元電子ガスが表面に露出し
ているため、高感度特性を示す。

図4はSi/SiO2基板上に集積された32個のグラフェンFETの光学写真である。
その模式図と一個の拡大したグラフェンFETの写真を示す。FETのチャネル
長は10μm、チャネル幅は100μmである。このFETアレイの左側半分には抗
体を修飾してウイルスを選択的に検出し、FETアレイの右側半分は抗体を修
飾しない参照FETとした。さらに従来は、ピペットを用いて導入、排出して
いたリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を自動送液する為に図5に示すマイクロ流
路をグラフェンFETアレイ上に形成し、PBSを右の流入口から左の排出口に
導入する手法を確立した。これにより再現性が向上した。このマイクロ流
路に送液するために、コンピュータ制御のマイクロポンプシステムを形成
し、これにより、PBSによる洗浄、溶液交換を定量的に、かつ再現性良く
行うことが可能となった。
図4. 32個の集積したグラフェンFETアレイとその模式図、および一つのグラフェンFETの拡大図。
図4. 32個の集積したグラフェンFETアレイとその模式図、および一つのグ
ラフェンFETの拡大図。
図5. グラフェンFETアレイ上に設置したマイクロ流路(μ-TAS)。右側からPBSを導入し、グラフェンFETアレイ上を通過して、左側から排出する。
図5. グラフェンFETアレイ上に設置したマイクロ流路(μ-TAS)。右側からP
BSを導入し、グラフェンFETアレイ上を通過して、左側から排出する。

上記に示すマイクロ流路測定システムを用いて図6に示す新型コロナウイ
ルスの計測を行った。グラフェンFETアレイの左側13個のFETにはPBASE
(1-Pyrenebutyric acid N-hydroxy-succinimide ester)を介して新型コロナ
ウイルス(SARS-CoV-2)のスパイク抗体が修飾され、図6で赤いラインがそ
の13個のFETのディラックポイントの平均値を示す。またグラフェンFET
アレイの右側13個のFETには抗体を修飾せず、参照FETとし、図6で緑のラ
インがその13個のFETのディラックポイントの平均値を示す。赤と緑のディ
ラックポイントの差はグラフェンに修飾された抗体とPBASEの電荷による
ものである。ウイルスは抗体と体内の生理食塩水濃度である1xPBS(150mM)
でもっともよく抗体と結合する。しかし1xPBSにおけるデバイ長は0.7nm
であり、抗体の~10nmのサイズよりはるかに小さい。このため1xPBSにお
いては、ウイルスが抗体に結合してもウイルスの電荷は電気2重層の電荷に
より遮蔽されて検出することができない。そこで我々は電荷を検出する際
はPBS溶液を0.01xPBSに交換し、デバイ長を7nmと延伸させることにより、
ウイルスの電荷をグラフェンFETで検出することに成功した。この溶液交
換法を用いて新型コロナウイルスを計測したのが図6である。Tween20に
よるブロッキングの後、ウイルスの入っていない1xPBS溶液を2回導入し
ている。これは溶液交換により、ディラックポイントに変動が生じないか
を確認するものである。図6からわかるように溶液交換によるディラックポ
イントの変動は極めて小さいと結論づけられた。1×108FFU/mLの濃度の
新型コロナウイルスを含む1xPBS溶液を導入後、0.01xPBS溶液を導入し
てディラックポイントの変化を測定すると、図6右端の黄矢印に示すよう
に、基準値を示す赤の一点鎖線よりディラックポイントが上むきに変化し
ていることがわかる。これが新型コロナウイルスの電荷を検出した結果で
ある。この変化について以下に詳細に検討する。
図6. マイクロ流路測定システムを用いて計測した新型コロナウイルスの測定結果。
図6. マイクロ流路測定システムを用いて計測した新型コロナウイルスの測定結果。

図6の特性は13個のFETの平均値を示したものである。これらの個々のFET
のディラックポイントの分布を詳細に解析する。図7は抗体の修飾されたグ
ラフェンFET(左側)と抗体の修飾されていないグラフェンFET(右側)の
それぞれのディラックポイントの分布を示す。横軸はFETのナンバーリング
である。青いラインは新型コロナウイルス導入前、赤いラインは導入後の
値である。ウイルス導入前のディラックポイントは、抗体のある、無しで
~40mV前後の差がある。これは抗体の電荷によるものと考えられる。ウイ
ルス導入後、抗体のある領域ではディラックポイントは〜20mV近く大きく
増加する。これに対して抗体のない領域は、ほとんど変化しないことがわ
かる。この両者のディラックポイントの変化分ΔVDP図8に示す。
図7. 抗体を修飾したグラフェンFET(左側)と抗体の修飾していないグラフェンFET(右側)のディラックポイントの分布。青はウイルス導入前、赤はウイルス導入後である。
図7. 抗体を修飾したグラフェンFET(左側)と抗体の修飾していないグラ
フェンFET(右側)のディラックポイントの分布。青はウイルス導入前、
赤はウイルス導入後である。

図8. 新型コロナウイルス導入による抗体修飾したFETとしないFETのデイラックポイントの変化。
図8. 新型コロナウイルス導入による抗体修飾したFETとしないFETのデイラ
ックポイントの変化。

図8の左側は抗体を修飾したもの、右側は抗体を修飾していないものである。
抗体を修飾したFETではウイルスの導入前後で平均ΔVDP =19.1mVの大きな
ディラックポイントの変化が得られている。この変化は、抗体に選択的に
結合したウイルスと、グラフェン上に物理吸着したウイルス、およびベー
スラインのドリフトに由来する。これに対して抗体を修飾していないFET
では平均ΔVDP =2.79mVの極めて小さな変化が生じた。この変化はグラフ
ェン上に物理吸着したウイルス、およびベースラインのドリフトに由来す
る。したがってこれら二つのディラックポイントの変化分の差19.1mV-2.
79mV=16.3mVは、ドリフトや物理吸着の影響を除いた、抗体に結合した
新型コロナウイルスの電荷にのみよる変化であると結論づけられる。以上
のように、参照FETによる信号を差し引くことにより、極めて正確に抗体に
結合したウイルスの電荷のみを測定する手法を確立した。

✳️ 新型コロナウイルスを家庭で簡便に測定(2)

ついで、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてグラフェン上のウイルスを観察
する手法を開発した。通常、グラフェン上のウイルスをSEMで観察すると
黒いシミのようにしか観察できず、明瞭にウイルスと判定することは困難
であった。本研究で、グラフェン上のウイルスを化学薬品を用いて固定化
し、金属薄膜をコートすることにより、明瞭にウイルスを観察することが
可能になった。この手法を抗体を修飾したFETと修飾しないFETに適用しそ
れぞれのウイルス数をカウントしたものを図9に示す。FETアレイの左側は
抗体を修飾した領域であり、ここではウイルスの結合数は21から51と
分布しており、その平均数は37である。またFETアレイの右側は抗体を修
飾していな領域であり、ウイルスの結合数は1から9と分布しており、その
平均数は4である。従って、抗体のある領域では抗体のない領域と比較して
約10倍のウイルスが結合していることが判明した。これにより抗体に選
択的に結合しているウイルスが多数存在していることが確認できた。

図9. 新型コロナウイルス導入による抗体修飾したFETとしないFETの結合したウイルス数。

図9. 新型コロナウイルス導入による抗体修飾したFETとしないFETの結合し
たウイルス数。

図10に、グラフェンFET上に結合したウイルス数とディラックポイントの
値の関係を示す。図10より、抗体の修飾されていない領域のウイルス数は
非常に少ないとともに、ディラックポイントの変化量も極めて小さい。こ
れに対して、抗体の修飾された領域では、結合ウイルス数が多いとともに、
そのディラックポイントの変化量も極めて大きい。これはウイルスの電荷
がディラックポイントの変化に寄与していることを意味している。この結
果は、本グラエフェンFETによる新型コロナウイルスの検出がウイルスの
電荷を正確に検知していること示している。

図10. 新型コロナウイルス導入による抗体修飾したFETとしないFETの結合ウイルス数とディラックポイントの変化分の関係
図10. 新型コロナウイルス導入による抗体修飾したFETとしないFETの結合
ウイルス数とディラックポイントの変化分の関係

◾唾液からの簡便なウイルス検出システムの開発
新型コロナ患者の唾液から、新型コロナウイルスを検出する実験を行った。
唾液の洗浄に関してマイクロ流路にPBSを流すだけで簡単に洗浄できるこ
とが判明し、実験が極めて簡単になることが判明した。患者は通常の抗原
検査では陰性であり、PCRでは陽性であるとの判定結果であり、グラフェ
ンFETバイオセンサの患者としては最適なケースである。患者の唾液をマ
イクロ流路つきポータブル測定装置に導入し、電気変化を検出した。唾液
の洗浄はマイクロ流路を用いて0.01xPBSを導入することにより行った。グ
ラフェンFETアレイを3分割して1)新型コロナウイルスのフル抗体、2)
新型コロナウイルスのF(ab’)2抗体、3)参照とするH9N2インフルエンザ
抗体を修飾する。
図12. 新型コロナウイルス感染患者の罹患時の唾液を導入したグラフェンFET上のSEM写真。
図12. 新型コロナウイルス感染患者の罹患時の唾液を導入したグラフェン
FET上のSEM写真。

この新型コロナ患者の唾液を導入したグラフェンFET上のウイルスをSEM
により観察したものを図12に示す。図12(a)はグラフェンチャネル全体の
10mx100mのSEM写真である。非常に奇妙な現象は、唾液中に含まれるウ
イルスが、チャネル全体に一様に分布して結合するのではなく、数個の黄
色の丸印で囲まれた領域にコロニーを形成して結合する。その黄色の丸の
領域を拡大したものを図12(b)に示す。ウイルスが凝集して結合しているこ
とがわかる。通常、実験室系で行うPBS中にウイルスを導入した場合は、
図12(c)に示す様に一様にウイルスはグラフェン上に結合する。実際の感染
患者の唾液からのウイルスはコロニーを形成して結合するという事実は極
めて目新しく興味深いものである。この事実は実験室系と生態系とは微妙
な差異があり、この差異を考慮に入れて研究展開を図ることが重要である
と考えられる。なぜコロニーを形成するかは現時点では未解明である。
以上の結果より、マイクロ流路を用いたポータブル計測機器で患者の唾液
からウイルスを検出できることがわかり、簡便に家庭でのウイルス検出を
可能とした。(【著者紹介】松本 和彦 大阪大学産業科学研究所 名誉
教授、特任教授)

✨ 太陽電池ベースの光電子シナプス素子を開発
11月25日、東京理科大学の研究グループは,光強度を変化させることで時
定数を制御できる色素増感太陽電池(DSC)ベースの光電子シナプス素子
を開発。
【要点】
1.
光電子シナプス素子を用いた物理リザバコンピューティングは、低消費
 電力のエッジAIデバイスの実現に向けて、大きな可能性を秘めている。
2.時定数が制御可能な色素増感太陽電池ベースの自己給電型光電子シナプ
 ス素子を開発し、物理リザバコンピューティングに応用した

3.消費電力を抑えつつ、人の動作を90%以上の精度で判別できることを実
 証した。

低消費電力の色素増感太陽電池ベース光電子シナプス素子を開発~エッジAIデバイスの実現に向けて、新たな可能性を開拓~

【概要】東京理科大学の研究グループは、光強度を変化させることで時定
数(*1)を制御できる色素増感太陽電池(DSC, *2)ベースの光電子シナ
プス素子(*3)を開発することに成功しました。また、開発したデバイス
を物理リザバコンピューティング(PRC, *4)に応用したデバイスが、消
費電力を抑えつつ、人の動きを高い精度で識別できることを実証。

光電子シナプス素子を用いたPRCは、有望なエッジAI(*5)デバイスと
して注目されています。さまざまな時間スケールの時系列データを処理す
るためには、目的に応じた時間スケールを持つデバイスの作製が必要不可
欠です。今回、本研究グループは、目の残像現象から着想を得て、光強度
を変化させることで時定数を制御できる色素増感太陽電池ベースの光電子
シナプス素子を作製しました。

開発したデバイスは、光強度に応じてペアパルス促進(PPF, *6)やペア
パルス抑制(PPD, *7)といったシナプス可塑性(*8)の特性を示すこと
が確認されました。また、時系列データの処理において、入力パルス幅が
変化しても光強度を調整することで、高い計算性能が得られることを明ら
かにしました。さらに、人の動作認識においても、消費電力を抑制しつつ、
90%以上の高い精度で判別可能であることを実証しました。

本研究成果により、色素増感太陽電池を用いた自己給電型光電子シナプス
素子のPRCへの応用可能性が初めて実証されました。これにより、エッジ
AIやニューロモルフィックコンピューティングに利用可能な多様な時間ス
ケールを持つPRCの実現が期待されます。

本研究成果は、2024年10月28日に国際学術誌「ACS Applied Materials
& Interfaces」にオンライン掲載
されました。
【脚注】
1. 時定数:システムが特定の変化に対してどれだけ速く応答するかを表す
指標。時定数が小さい場合、変化に対する応答が速くなり、逆に時定数が
大きい場合、応答が遅くなる。
2.色素増感太陽電池(DSC):光エネルギーを電気エネルギーに変換する
太陽電池の一種。太陽光を吸収し、電子を励起する色素が使用され、薄く
て軽いのが特長
3.光電子シナプス素子:脳のシナプス機能を模倣し、特に光を使って電子
の流れを制御することができるデバイス。
4. 物理リザバコンピューティング(PRC):リザバ層に物理システムを採
用し、時系列データを低消費電力かつ高速リアルタイムで処理できる計算
手法。
5.エッジAI:センサネットワークにおいて、端末機器に直接搭載されたAI。
クラウドを使用せず、端末側でデータ処理を行うため、通信コストを低減
した迅速な処理が可能となる。
6.ペアパルス促進(PPF):連続した2回の刺激に対し、2回目の応答が1回
目の応答よりも強くなること。
7.ペアパルス抑制(PPD)連続した2回の刺激に対し、2回目の応答が1回目
の応答よりも弱くなること。
8.シナプス可塑性:神経細胞の接続部であるシナプスにおいて、長期的な
刺激によって、信号伝達が起きやすくなったり(長期増強)、逆に起きに
くくなったり(長期抑圧)する現象。
9. STMタスク(短期記憶タスク):短期記憶特性を定量化するベンチマー
クタスク。
10.PCタスク(パリティタスク):記憶や認知機能を評価するための非線
形のベンチマークタスク。
【掲載論文】
雑誌名:ACS Applied Materials & Interfaces
論文タイトル:Self-Powered Dye-Sensitized Solar-Cell-Based Synaptic
Devices for Multi-Scale Time-Series Data Processing in Physical Reservoir
Computing
DOI10.1021/acsami.4c11061

✨ 
どこでも分析できる免疫センサ
これも関連する研究を掲載する(デジタル。フォーメーション&グリーン
フォーメーションの影響が加速的に増大していることを感じている日々。
11月26日、東京科学大学の研究グループは,抗原を混ぜるだけで発光色が
青から赤へ変化する頑強な生物発光免疫センサーBRET nano Q-bodyの開
発に成功。さらに,この免疫センサーを持ち運びが容易な紙デバイスに加
工することで,どこでも手軽に分析できるようになったことを公表。
【概要】
免疫測定法は,抗原抗体反応を使って試料中のごくわずかな物質を特異的
に測定する方法で,病気の診断や食品の安全管理,環境調査などで重要な
役割を果たしている。近年では特に,患者の傍らでリアルタイムに診断し
て治療の方針を決める臨床現場即時検査(Point of Care Testing:POCT)
の重要性が増しており,より安定で簡便かつ素早く抗原を検出できる免疫
センサの開発が求められている。

図1.図1. BRET nano Q-bodyの概要(a)分子デザインと作動原理。(b)
作製した紙デバイスをスマートフォンで撮影したときの抗原の有無による
発光色の変化。(c)抗原を測定したときの濃度依存的な発光スペクトル変
化。 DOI:10.1021/acssensors.4c01800より一部改変。

開発したBRET nano Q-bodyは、抗原が存在しないときはTAMRAが消光さ
れてNanoLuc由来の青色の光を放ち、抗原が存在するとTAMRA由来の赤色
の光を放ちました(図1b)。これは、抗原が結合するとTAMRAの消光状
態が解除され、かつNanoLucとTAMRAの距離が近くなることで、NanoLuc
からTAMRAへのBRETが起きたためだと考えられます。さらに、NanoLuc
とナノボディの間の距離がBRETの効率に影響を与えると考えられることか
ら、リンカーを最適化したところ、発光強度比(応答)がMTXの濃度依存
的に最大7倍以上変化するBRET nano Q-bodyを作製することに成功しまし
た(図1c)。応答が大きいことは安定な検出につながり、POCTへの適用
に発展させることが可能となる。

図2. BRET nano Q-bodyの頑強性評価(a)熱安定性。(b)凍結乾燥。
(c)有機溶剤(DMSO)。(d)還元剤(DTT)。(e)界面活性剤(Tween
20)。DOI:10.1021/acssensors.4c01800より一部改変

次にBRET nano Q-bodyの頑強性を評価するために、熱や有機溶剤、還元
剤、界面活性剤がセンサーの活性にどのように影響するかを調べました。
その結果、以前に開発した、単鎖抗体(scFv)を使ったBRET Q-bodyと比べ
て、BRET nano Q-bodyは加熱後やDMSO、DTT、Tween20を含む溶液中
でも、より厳しい条件下で活性を維持していることが分かりました。さら
に、凍結乾燥してもほぼ100%の活性を保っており、BRET nano Q-bodyが
非常に高い頑強性を持つことが確認できました(図2)。これらの結果から
、この免疫センサーはPOCTに適していると考えられます。

続いて、BRET nano Q-bodyが、生体試料や環境水のような夾雑物を多く
含む試料でも抗原を検出できるかを調べました。特に不透明で夾雑物の影
響が大きいと考えられる懸濁液として牛乳と血液を選択しました。まずMT
Xを牛乳および血液に添加した疑似的なサンプルを用意し、いずれも希釈せ
ずにこの免疫センサーと混合することで、試料中のMTXの検出を試みた。
その結果、どちらの試料でも、緩衝液で測定した場合と比べて発光強度そ
のものは小さくなるものの、ほぼ同等の応答が得られ、MTXの濃度依存的
に変化しました(図3)。このことから、この生物発光を利用した免疫セン
サーによって、従来の蛍光センサでは困難であった不透明な懸濁液におけ
る検出が可能であることが確認できた。

図3. さまざまな溶液中のBRET nano Q-bodyの発光スペクトル(a)緩衝液。
(b)牛乳。(c)血液(全血)。DOI:10.1021/acssensors.4c01800より一
部改変。
最後に、BRET nano Q-bodyをさまざまな場所で手軽に活用できるよう、
ろ紙に染み込ませて凍結乾燥させた紙デバイスに加工した。この紙デバイス
に基質とともにMTXを加えると発光色が変化し、その変化はスマートフ
ォンのカメラだけでなく、肉眼でも確認できました(図4a)。さらに、全
血、血清、牛乳などの生体試料を希釈せずに使用しても、緩衝液で測定し
た場合と同様の検出限界と高い応答を示しました(図4b)。この紙デバイ
スは、25℃で1カ月保存しても性能を維持しており、POCTに利用するデバ
イスとしても実用的であることが分かつた。

図4.4. (a)スマートフォンのカメラで撮影した紙デバイスの発光色の変化。
(b)生体試料に添加したMTXを紙デバイスで検出したときの濃度依存曲
線。DOI:10.1021/acssensors.4c01800より一部改変。

開発した生物発光免疫センサーBRET nano Q-bodyは,ラクダ科動物に由
来する重鎖抗体の可変領域(ナノボディ)に,赤色の蛍光色素TAMRAが化
学修飾されており,さらにリンカーを介して青色の生物発光酵素NanoLucが
融合されている。

ナノボディは高温下や変性条件下といったタンパク質にとって過酷な環境で
も安定性が高く,NanoLucは明るい生物発光を示すという特長を持つ。こ
れらの特長を生かすことで,POCTに適した,丈夫で長持ちし,かつ応答
の大きい免疫センサーを作製できると研究グループは考えた。

生物発光は,励起光を必要とせず,蛍光に比べて光散乱の影響が少ないこ
とが知られている。そのため,生物発光を利用したこの免疫センサーは,
よりシンプルな検出装置で操作でき,不透明な懸濁液への応用も視野に入
れることができる。
さらに,この免疫センサーをろ紙に染み込ませたあと,凍結乾燥により紙
デバイスに加工したところ,室温で1カ月放置したあとでも抗原を検出可
能であることが確認できたという。
【展望】
この免疫センサーの生物発光シグナルは,肉眼やスマートフォンなどでも
確認できるため,研究グループは,ベッドサイドだけでなく,野外や家な
どでの「その場」分析にも大きく貢献できる。
【掲載論文】
掲載誌:ACS Sensors
論文タイトル:BRET Nano Q-body: A Nanobody-Based Ratiometric Bio-
uminescent Immunosensor for Point-of-Care Testing
DOI:10.1021/acssensors.4c01800

 心に響く懐かしの歌謡曲 『無法松の一生 美空ひばり』 1986年

※村田英雄の『王将』と考えたが、今夜は、変革期だと思い定め「突破力』を選曲。

人間の未来 AIの未来 講談社(2018/02発売)

まえがきにかえて 羽生善治から山中伸弥さんへ
第1章 iPS細胞の最前線で何が起こっていますか?
第2章 なぜ棋士は人工知能に負けたのでしょうか?
第3章 人間は将来、AIに支配されるでしょうか?
第4章 先端医療がすべての病気に勝つ日は来ますか?
第5章 人間にできるけどAIにできないことは何ですか?
第6章 新しいアイデアはどこから生まれるのでしょうか?
第7章 どうすれば日本は人材大国になれるでしょうか?
第8章 十年後、百年後、この世界はどうなっていると思いますか?
あとがきにかえて 山中伸弥から羽生善治さんへ
---------------------------------------------------------------------------------
人間の未来AIの未来』連載第10回

今日の言葉:

1277夜 『変貌する民主主義』 森政稔 − 松岡正剛の千夜千冊

 『変貌する民主主義』 森政稔 - 千夜千冊

 



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