徳丸無明のブログ

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R-1グランプリ2022 感想

2022-03-07 22:02:51 | 雑文
放送時間が短いにもかかわらず、冒頭にゆりやんの映像をねじ込んでくる謎構成。審査員のひとことも長め。屋外からの番組スタートも必要性を感じられない。今年も有吉にイジられそうな始まりとなった、ピン芸人の祭典R-1グランプリ。
「この中にスベってるヤツいる?いねえよな?」とばかりにスタートです。

個別の感想は以下の通り。
まずはファーストステージから。


kento fukaya・・・僕の去年のkentoの評価は「3面フリップを使ってるけど、3面である必然性がない」というものでした。あまりいい印象ではなかったんですね。でも今回はだいぶよくなっていました。三角柱の3面フリップというのでしょうか。フリップを回転させながらストーリーを展開させていく構成。これなら必然性があります。
ただ、男性陣のファッションチェックは、ある程度写実的な絵柄じゃないと伝わりづらいんじゃないでしょうか。kentoのタッチはクセがあるから、作風のクセがファッションのクセとマッチしてて、違和感を感じにくくしているように見えました。「なんばから19時10分の終電は群馬」のところが一番よかったです。こういう飛ばした笑いがもっとあればよかったですね。最後の、全員カウンター席になると同時に座椅子の伏線回収も行うのはお見事。
バカリズムが、「音声とかイラストとか、本人以外の要素が大きかった」のを減点対象としていましたが、しかしなぜそれがいけないのでしょうか。バカリズムだって、ネタの時にモニターや照明やSEを使っています。それら「本人以外の要素」は、いくつまでなら使ってよくて、いくつ以上はダメなのか。別に基準があるわけではありません。バカリズムの恣意的な好悪の判断ではないかと思いました。個人的にはロールカーテンを取り込んでいたところに新しさを感じたのですが、「本人以外の要素」を少なくするべきだとすると、ネタの可能性を狭めてしまうのではないでしょうか。以前COWCOWの善しがR-1に出場したとき、阿藤快本人を登場させていて、いくらなんでもそれは反則じゃないかって思ったんですけど、人以外なら何を使ってもいいんじゃないでしょうか。

お見送り芸人しんいち・・・緊張していたのか、歌詞が聞き取りづらい箇所がありました。曲の中で激しいところと静かなところがあったり、間奏で解散発表の文面読み上げたり、普通の歌と同じようなメリハリがあってよかったです。ネタの面白さのみならず、純粋に「聴かせる力」を持ってますよね。
「好きって言っときゃ許されると思ってんのか?」って怒りを買いそうなネタですが、まあ許容範囲ですよね。文句言われても先輩にならって「ちょっと何言ってんのかよくわかんない」って答えときゃOKでしょう。

Yes!アキト・・・視聴者の圧倒的支持を集めて敗者復活したそうですが、今の若者って、「短くてわかりやすいもの」が好きですよね。だから、TikTokみたいな媒体の尺のギャグに支持が集まるんでしょうけど、審査員の好みはそれとは違います。視聴者(若者)の評価と審査員の評価のズレのせいで、今回のアキトの点数は低くなってしまったんじゃないでしょうか。
怪奇!YesどんぐりRPGの時は、ギャグの見せ方に一貫性を持たせてあるから、ちゃんとネタを鑑賞した気分になれるのですが、そういった工夫もなくギャグの羅列を見せられてるだけだと、なんか「食い足りなさ」を感じてしまいます。面白いんだけど物足りないっていうね。小鉢だけでお腹いっぱいにさせられてるみたいなね。
面白かったのは面白かったですよ。個人的には「果たして十二単はトイレに間に合うのか」が一番よかったです。

吉住・・・仏の顔とキレやすい顔の2面性がある、というだけではヒネりが足りません。「謝罪会見や謹慎期間をエクセルでまとめて」いて、「それをYouTubeにアップ」して、「収益化したお金でアフリカの子供たちが教育受けてる」という説明が入りましたが、キレる場面は短めにして、そういった歪んだ善意を長めに見せたほうがよかったと思います。

サツマカワRPG・・・愛の告白の中で「大会近いもんな」を繰り返す構成。繰り返せば繰り返すほど蓄積で面白くなっていきます。シンプルな構成で勝負をかけてきたのは好印象。「好きです」って言うタイミングも絶妙。ですが、もっとぶっ飛んだ質問をくり出したほうがよかったんじゃないでしょうか。質問に現実味がなければないほど「大会の近さ」がなんの関係もなく感じられ、観客は「大会近いからなんだよ」って心の中でツッコミを入れながら気持ちよく観ることができますからね。

ZAZY・・・ロード・ウォリアーズかと思いきやサクラダファミリア。マイクは右にも入ってるの?
やはりZAZYのネタは完成されていました。去年からの進化は見られず。進化のしようがないほど出来上がっていたのです。フリップからモニターに変えたことでテンポはよくなっていましたが。
風変わりな人物が次々登場していき、不思議なリズムを形作る。焼き鳥の種類で展開したり、EXILEのコーナーがあったり、「鋭角六角」と「鈍角六角」の反復なんかがよかったです。あと「分母ガン見新司」も。

寺田寛明・・・紹介Vで、去年のネタ思い出しました。個人的にけっこう面白いと思ったのに、点数低かったんですよね。今回もそうなってしまいました。
「初めて◯◯した人」に対するツッコミワードを想像していくネタ。しかし所々ツッコミワードの弱さを感じました。特に初めてテニスを考えた人のところ。テニスのルール説明の長さのわりにツッコミがイマイチで、弱さが際立っていました。
あと、「初めてJRを考えた人」が、ピンときませんでした。JRって電車のこと?それとも鉄道のシステムのこと?って疑問に思っちゃったんですよね。JRの前には国鉄がありますし、その前には海外の鉄道システムがあります。そういう知識を前提にすると、「初めてJRを考えた」っていうのが何を指しているのか、わかりづらかったです。「アーモンド小魚」がなぜあれほどボロカスに言われなくちゃならないのかもよくわかりません。
でも全体的には面白かったです。やぎ座はたしかにヤギに見えないし、回転寿司を「アレ」と言っておいてセリフで間接的にわからせるところなんかが特によかったですね。
ネタのレベルは高くて、すごく知性を感じるのに、爆発力のある笑いを生むことがないって、なんかヒューマン中村に似てますね。ヒューマンもR-1常連だったけど、ついぞ優勝できなかった・・・。

金の国・渡部おにぎり・・・設定がまず素晴らしい。トンビに捕まって空を飛んでるという状況にワクワクします。しかし、せっかくの設定を充分に生かし切れていないように感じました。空中という場所なら他にもいろんな出来事が起こりえるはずだし、トンビとのやり取りをもっと行ってもよかった。合コンに行けなくなった影響で起こるあれこれを付け加えることもできたはずです。雨が降ってきて傘さして虹に感動して、っていうくだりは金の国のネタのパターンと同じですが、そこは全部省いて、もっと突拍子もない展開にしてほしかったです。空中から友達に手を振るのはよかったですね。
それにしてもおにぎりって名前、見た目とよく合ってますね。苗字は「わたなべ」かと思ってたんですが、「わたべ」だったんですね。最近復帰したもうひとりのわたべさんは、もはやかつてほど活躍することはないでしょうから、これからは金の国のわたべの時代ですね。


続きましてファイナルステージ。


お見送り芸人しんいち・・・「好きなもの」も「応援するよ」も、曲調が違うだけでネタのタイプは一緒。子供コンビの漫才終わりの「シーン」はいらないですね。言わなくても伝わります。ロンブー亮のイジりが一番よかったです。

ZAZY・・・ネタの密度が高すぎて、スローでひとつひとつ確認したくなります。「歯しばり」の展開は素晴らしい。野性爆弾くっきー!も大喜びしていることでしょう。寿司屋の設定がどんどん無意味になっていきますけど、それが気にならないくらい気持ちいい。自分の思い出写真を組み込むことで、「これがZAZYだ!」と力強く言い放ちました。


今まで僕のR-1優勝予想はまったく当たらなかったんですけど、今回は大当たり。第2候補と第3候補も順位にほぼ即応してます。しかし予想を的中させた嬉しさよりも、ZAZYに優勝してほしかったという寂しさのほうが上回ってます。最後、インリン・オブ・ジョイトイばりのM字開脚で肩を落としていたZAZY・・・。
僕がひとつ思ったのが、霜降り明星がMCなのは、彼らがタレントとしての経験値が乏しいという点のみならず、「若さ」が枷になっているという面があるんじゃないでしょうか。雨上がり決死隊であれば、ファイナリストより芸歴も年齢も10かそれ以上うえですから、強めにイジることもできますが、霜降りだとそれが難しい。つまり、「兄さん」と呼ばれるくらい先輩であれば作り出せる笑いを、霜降りは作れないのです。
上から当たることだけが笑いではありませんが、それが出来ないということは、手数が制限されているということです。霜降りは前回のR-1で、笑いを取ることよりつつがなく進行を行うことのほうを優先していましたが(それはタイムスケジュール的にやむを得ないことであったのかもしれませんが)、それは彼らがMCに慣れていないというだけでなく、ファイナリストをイジりにくいという、芸歴の若さからくる制約のせいでもあったのかもしれません。
あと、バカリズムの得点がずっと低めだったのが少し気になったんですけど、でもバカリはバカリなりの評価基準で一貫して採点していたはずで、えこひいきしたり、悪意をもって低い点をつけていたわけじゃなく、公平に低めの点数をつけていたわけだから、問題はありませんよね。
優勝しても人生は変わらないと言われるR-1。はたして、しんいちは売れるでしょうか。「泣くなシンイチ」とミギーも言っています。


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