徳丸無明のブログ

雑文、マンガ、イラスト、その他

ブルボン アルフォート

2019-04-30 23:27:48 | 
今回はブルボンのアルフォートです。




なぜ今、昔からある定番中の定番を取り上げるのか?ネタがないからだ!
アルフォートと言えばあれですね、花輪和一のマンガ『刑務所の中』ですよね。このマンガを思い出しながら食べるのがまた美味という。え、読んだことない?ジュンク堂に走れ!
『刑務所の中』に関しては、ひとつ思い出がありまして。僕、マンガ描いてるじゃないですか。読んでくださってるかたには周知の事実ですけど、僕って画力がアレですよね?でも、デッサンなら割とうまいんですよ。写真みたいな絵を描くことができるんですね。
見て描くとまあまあうまいのに、見ないで描くと途端に下手になるんです。これがどうしてなのか、長らく疑問だったんですけど、『刑務所の中』を読んで氷解したんですよ。花輪さんって絵を細かく描き込むタイプの人なんですけど、『刑務所の中』でも、刑務所の建物が細密に描かれてるんですね。受刑者っていうのは絵を描くことを禁じられているので、花輪さんは、服役中は房内をデッサンすることはできなかったわけです。出所してから、記憶を頼りに獄中の風景を描き上げたんですよ。なので出版当時、マンガの面白さとは別に、「花輪の記憶力はすごい」って絶賛されてたんです。
その時はたと気付いたわけですよ。「あ、画力って記憶力が大事なんだ」って。それまではずっと、画力というのは「手の技術」だと思い込んでたんですね。もちろん手も大事なんですけど、見ないで描く場合は、それよりも記憶力が重要になってくるわけです。僕は手の技術はそこそこあるんですけど、記憶力がとにかく悪い。だから、デッサンは割とうまいのに、見ないで描くマンガになると、うまく描けなくなっていたのです。
なるほどなあと思いましたよ。ええ。

そういえば花輪さんってまだマンガ描いてらっしゃるのかな・・・って気になったんで今調べてみましたけど、ちょこちょこ描いておられるみたいですね。昔は「ガロ」みたいなとこで描いてましたけど、今は小学館のような大手から依頼が来てるようで。よかったよかった。こないだ亡くなったさくらももこは「「りぼん」にガロテイストを持ちこんだ」って評価されてましたけど、『ちびまる子ちゃん』の花輪和彦くんは花輪さんからとってるそうだし、元々はガロ系の作風目指してたのかな。
「サブカルチャー」って言葉が輝きを放っていた時代がありましたよね・・・。「サブカル系」っていうマンガ家の括りもありましたしね。
ガロって言えばさ、2017年に青林堂の社員に対するパワハラ事件あったじゃないですか。あのニュース聞いた時、僕は悲しくなりましたよ。「あの青林堂が、こんなんなっちゃったんだなあ・・・」って。もちろん社名と業態を引き継いでいるだけで、社員も事業内容も別物ではあるんですけどね。
そこいくと青林工藝舎はがんばってますよね。細々とにせよ、「アックス」続けてるんでしょ。ただ、これといったヒット作や輩出作家となると・・・福満しげゆきとか、『トロイメライ』で手塚治虫文化賞とった島田虎之介とかかな。
あ、そういや花輪さんは手塚治虫文化賞辞退してたんだっけ?話が一周したね。なんか甘いもの欲しくなってきちゃったな。そうだ、アルフォートでも食べよーっと。

RIZIN.15 観戦記

2019-04-22 22:48:14 | 雑文
まずは先月に引退を発表したミルコ・クロコップについて。
たしか「紙のプロレス」で誰かが書いてたことなんですけど、ミルコの凄さっていうのは、左ハイを代表とする打撃のスキルの高さよりもむしろ、相手のタックルを切る能力、およびグラウンドに徹底して付き合わない能力のほうにあったんじゃないかと思うんですよね。それは、ステファン・レコと比較すれば明らかなわけで。レコも一時期PRIDEに参戦してましたよね。たぶんレコの思惑としては、「自分もミルコみたいになれる」って考えてたと思うんですよ。でも、結果は良いとこ全くなしの3戦3敗。この差というのは、やっぱりグラウンドの展開をつくらせず、自分が得意とするスタイルを貫徹させてた点にあるんじゃないでしょうか。
しかし引退となると最後の試合がロッキー・マルティネス戦になっちゃうんだなあ・・・。でも伝え聞くところによると、ミルコと同時期に活躍してたK‐1ファイターの何人かが体ボロボロになったてたり、後遺症に苦しんでたりしてるらしいし、そうならないうちに引退するのは良いことだよね。
K‐1と言えばさ、かつてのK‐1をつまらなくして消滅に追い込んだのはセーム・シュルトだと思うんですよね。ひとりだけ体がデカいというアドバンテージを活かして白星稼ぎまくってましたけど、観客にしたら「そりゃ体格上有利なんだから勝つだろ」っていうシラケた気分があったはずなんですよ。僕は当時から「シュルトには因果を含めて引退させたほうがいい」と考えてました。さもなくば、チェ・ホンマンと百番勝負を続けるかのどちらかだろうと。でも谷川さんはそういう勘どころが悪かったからシュルトを使い続けちゃいましたけどね。ほんと、谷川さんのせいで階級差無視した無茶なカードとか、無理させられて潰れていったファイターは数知れずですよ。もちろんそれによって生まれた名勝負もあるので、功罪相半ばするわけですが。


RENA vs サマンサ・ジャン=フランソワ・・・功労者であるにもかかわらずバッシングを受け続けているRENAちゃん。GACKTスタミナ気にしすぎ。名勝負とまではいかないけど、スタンドとグラウンドの展開が膠着することなく繰り広げられた、けっこういい試合でした。本人が言ってたように、MMAに順応してきてるので、まだまだ期待できると思います。

那須川天心 vs フリッツ・ビアグタン・・・今大会のポスターにも天心の写真が載っていたものの、カード発表は遅れに遅れて12日前。
立ち技自体が余計だと思っている僕には、2時間弱の放送枠の中でパッキャオの入場まで流したのは、やたら長ったらしく感じました。試合よりもパッキャオのほうが数字が取れるという、フジテレビの判断なのか。
試合前のケンコバの「もうちょっとお化粧濃くしてきたらよかった」という冗談に、石のような無表情のGACKTにまずひと笑い。試合始まってすぐに「(天心は)勝って当然」と言ってのけるKYっぷりも素晴らしい。試合内容よりも、インターバルの間の、高田とパッキャオの盛り上がらないトークが面白かったです。
もう天心は総合やらないんだね。何度も言ってるけど、それなら他所でやってほしい。大雅との対戦もたぶんないだろうし。あと、倒れた相手にかめはめ波で追い打ちかけるのはやめましょう。

堀口恭司 vs ベン・ウィン・・・対戦相手が誰かにもよるけど、16勝8敗という戦績は堀口の相手ではないんじゃないかという気がしてました。全身タトゥー男をKOしたという、衝撃映像大賞でブッキングされたということ?距離を詰めて打ち合う戦略はよかったと思いますが、どう考えてもストップ遅い・・・。ウィンのセコンド男前でしたね。

朝倉未来 vs ルイス・グスタボ・・・「オヤジ狩り」が続いてた朝倉兄にとってはひさびさの若手。ダイジェストだったのでよくわからなかったけど、後半に行くほどグスタボのスタミナが切れて打撃の組み立てが雑になってるように見えました。

北岡悟 vs ホベルト・サトシ・ソウザ・・・北岡くらいの年齢で、こんな短いインターバルで試合して大丈夫なのか。グラップラー同士の試合で打撃決着、こんなことが起こりうるのもMMA。ただ、変な話、北岡ファンはこの結果にホッとしたんじゃないでしょうか。というのも、ひょっとしたら初の一本負けもありうるのではって恐々としていたはずですから。一本ではなく、KO負けでよかった、って思っちゃったんじゃないでしょうか。正直、僕もそうですので。ソウザはあんまり総合やりたくないらしいですけど、カネの力で繋ぎ止められんか?北岡はQUINTETでソウザと再戦だ!


天心に長時間とられたせいで、他の試合がほとんどダイジェスト。不満の多い放送となりました。僕は天心のアンチじゃないけど、こんなことが続くなら嫌いになりかねない・・・。直前のCONFESSIONSで大々的に取り上げてたから、今回こそプロハースカの試合流してくれるのかと期待してたのに放送されず。もはやポストミルコは実現不可能か。久々登場の伊藤と、負けが込んでいるのに人気は上昇し続けているケイプのカードもじっくり観たかったんですけどね。
今大会より高田がリングサイドからはずれるというアナウンスを聞いてましたけど、向こう正面席ってなんだ?解雇じゃなくて左遷ということ?エグゼクティブオーガナイザーという肩書きが謎だけど、GACKTの新加入はよかったですね。高田よりも的確で深みのある解説するし、積極的に収集しているらしい選手情報をちょこちょこ披露してくれるのもありがたい。独特のキャラクターもいいスパイス。PRIDEから試合のオファーがあったって、相手はだれ?クレイジーホース?またいつか「クセがすごい」国歌斉唱を聴ける日を楽しみにしています。

サクラサク?サクラチル?

2019-04-16 21:33:03 | 雑考
皆さんは今年はお花見に行かれましたか?新緑の季節に、桜が大好きな日本人向けの話題をお届け。
今回は福岡伸一の『動的平衡2』(木楽舎)を読んでの発見。
これは生物学者の福岡が、「生物は変化し続けることによって均衡を維持している」という生命観を打ち出した『動的平衡』の続編である。本書も、生命と生物に関する様々な話題が盛り込まれているのだが、その中でソメイヨシノに関する衝撃的な説が紹介されている。


私たちが春に目にする桜のほとんどはソメイヨシノである。この桜は葉よりも花が先に咲き、その満開ぶりが美しいことから、今では日本のあらゆるところにある。
ソメイヨシノは一代雑種である。一代雑種とは異なる系統をかけ合わせて出来る交配種のことで、ソメイヨシノはコマツオトメとオオシマヒガンを交配したもの。その起源は諸説あるが、江戸時代後期に天然の交配が発見されたか、あるいは人為的に作り出された。その後、明治期に入り、江戸の染井村(今の東京都豊島区)の造園業者によって育成され、全国に広まった。
一代雑種は多くの場合、子孫を残す能力が劣ってしまう。ヒョウとライオンのかけ合わせによって作出された一代雑種レオポンは生殖能力がなかった。
(中略)
では、発芽するタネができないのに、日本の春を彩っているソメイヨシノはいったいどのようにして全国に広まっていったのだろうか。それはクローン化による。でもそんなに不気味に思う必要は全然ない。植物のクローンはごく普通の現象である。挿し木、接ぎ木はすべて植物のクローン化である。
(中略)
驚くべきことは、日本のほとんどすべてのソメイヨシノは、もともとたった一本のソメイヨシノに由来するらしいという事実である。北海道のソメイヨシノも九州のソメイヨシノも、DNAを分析してみると同じ特徴(DNA指紋)を持つという。つまり日本のソメイヨシノはすべて同じ個体のクローンだということになる。
ここから様々な憶測が流れ出ることになった。その最大のものは、日本のソメイヨシノは同一のクローンなので、みな同じ寿命を持つのではないかという説である。山に咲く大きなヤマザクラに比べて、ソメイヨシノには老木がない。
近い将来、日本のソメイヨシノは、もとの樹であれ、そこからの挿し木であれ、同じ寿命を迎え一斉に枯れる。(中略)つまり日本の春から桜が消える日が来るのではないか。そういう説である。


このくだりを読んだとき、日本中の桜が消えて無くなる光景を想像してゾッとしてしまった。
ソメイヨシノはすべて同じ個体であるため、同じ場所に植わっているものは、みな一斉に花が咲く。それゆえに開花予想が成立する。この説が正しいとすれば、一斉に開花するのと同じように、一斉に寿命が尽きて枯れてしまう、という事態が起こりうるわけだ。
福岡自身は、「植物は基本的に不死である」ので「私はこの説に与しない」と述べている。しかし、絶対にありえないと言い切れるだろうか。
もちろんソメイヨシノだけが桜ではないので、ソメイヨシノの消滅イコール桜の消滅ではない。だけど、桜と言えばソメイヨシノというくらい、現代の日本人にとってソメイヨシノはなじみ深い。そんな状況において、もしソメイヨシノが絶滅してしまえば、日本人の桜に対する意識や、お花見の習慣、そして春のイメージは、大きな変容を余儀なくされてしまうかもしれない。