徳丸無明のブログ

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R-1グランプリ2023 感想

2023-03-05 22:45:34 | 雑文
福岡でははやくも冬が終わったのではないかと思えるほど暖かい日が続いている今日この頃、ついでにマスク生活ともおさらばできたらという願望も思わずこみ上げてきますが、桜の季節が待ち遠しくもあるような気もしつつの、皆さんいかがお過ごしですか的お便り的R-1グランプリの感想文をお届けします。
オープニングで、前々回王者のゆりやんが、前回王者のしんいちと同じくらいしゃべっていたのはなぜなのか。前々からR-1って霜降りとゆりやんに甘いような気がしてたんですけど、今回もそう思わされました。それでは「夢がない」(by.ウエストランド井口)R-1、スタートです。

個別の感想は以下の通り。まずはファーストステージから。


Yes!アキト・・・プロポーズを試みるも、緊張のあまり「結婚してください」が言えず、ギャグを口走ってしまう男。最後まで「け」から始まるギャグで行くのかと思いきや、それは3回まで。あとはもうプロポーズの言葉とは無関係なフリースタイルダンジョンギャグのオンパレード。
よくも悪くもギャグはアキトの最大の武器。その武器なくしてネタを組み立てることはできないということでしょうか。前回のR-1で、尊敬するハリウッドザコシショウから「ギャグの羅列は評価に値しない」と言われたので、ギャグ以外のネタを作り続けてきたと語っていましたが、それならもっとギャグから離れたネタを披露してほしかったです。
去年の、ただギャグを羅列しただけのネタよりは、プロポーズという設定があることでまとまりが生まれてましたが、その縛りがギャグの爆発力を弱めてしまっていたようにも見えます。と言うか、コントのフリしたギャグとも取れますよね。羊頭狗肉ギャグ。
うーん、難しい。アキトはひたすらショートネタ向きということなのでしょうか。ただ、審査員は前回よりもアキトのキャラになじんでいたぶん、評価が上がったのではないでしょうか。

寺田寛明・・・「ことばレビューサイト」という架空のサイトの星ひとつを紹介するというネタ。やられましたね。「ことばレビューサイト」という思いつきだけでもう素晴らしいのに、さらにその中で付和雷同を男性アイドルグループに見立てて遊ぶとか、想像力の飛躍っぷりがとにかく楽しい。もっといろんなレビューを聞かせてほしくなりました。「ご飯が炊けなずむ」が好き。
優勝予想の記事にも書きましたけど、知的なネタって笑いよりも関心が上回りがちですよね。これまでもバカリズムやヤナギブソンやヒューマン中村が「あと一歩」の地点を超えることができませんでした。そんな逆境にあって、今回の寺田はだいぶ善戦したほうだと思います。
イラストは使わず、言葉だけのフリップにこだわり続けてきたという寺田。「ことばレビューサイト」は、そんな寺田が模索を繰り返す中でたどり着いたひとつの発明。その発明を使ったネタをもっと見せてほしいです。

ラパルフェ 都留拓也・・・阿部寛が怪獣と戦うネタ。全体的に、密度が低かったですね。このようなネタの場合、阿部さんの代表的セリフを散りばめて1本のネタにしなくてはならないのですが、都留のモノマネセリフの数はそんなに多くなかったのか、セリフがない「あいだ」が長く、しかもそのストーリー展開が今ひとつ面白みに欠けるものでした。阿部さんが高身長だから怪獣と戦うという設定にしたんでしょうけど、それも最初のインパクトだけというか、シナリオ全体に活かせているようには見えませんでした。都留もまた、ショートネタ向きなのでしょうか。ほかのモノマネレパートリーを登場させるシナリオにしていたらもっと密度が上がっていたと思うんですけどね。
現在の人気からして、ほっといても売れるんでしょうけど、気になるのは相方さんです。コンビ間格差がえげつないことにならないでしょうか。それが解散にまで結びつかないでしょうか。余計なお世話ですかね。

サツマカワRPG・・・ちょっと変わった人たちが、おかしな行動を数珠つなぎで繰り広げるネタ。短編映画のような趣きもあり、世界観に気持ちよく浸れます。感情の起伏を抑え気味にしてあるので、その一本調子がまた心地いいです。少ないセリフでちゃんと伝わる「満員電車内でのトランプマジック」がまた秀逸。サツマカワのキャラには不釣り合いなセンスを感じました。この完成度からふり返ると、冒頭の「敗北を知る和田アキ子」が余計だったような気がしなくもないです。
直前の特番でカツラをかぶっていることを打ち明けたサツマカワ。クリーピーナッツのテーマ曲に合わせて「ハゲるぅ♪」と歌いたくなります。

カベポスター 永見大吾・・・「世界で1人は言ってるかもしれないひとこと」をひたすらつぶやいていくネタ。ゆるやかな展開と落ち着いた声量が心地よい。ヒーリングミュージック的ネタ。長時間聴いていたくなります。これ、特殊なあるあるネタみたいなもんで、言葉のチョイスがなかなか難しい。「絶対誰も言わないよ」と思われたらダメだし、「何人かは言ってるんじゃないの?」と思われてもダメ。ちょうどその中間くらいの、「たしかにまあ、1人くらいなら」と思える絶妙なラインを攻めないといけません。このバランス感覚、かなり高度。
よってネタ作りはかなり大変だったであろうことが予想されますが、しかしその大変さに反比例して、大きな笑いが起こりにくいタイプのネタでもあります。なんかちょっと気の毒ですね。それと、動きがほとんどないのがウィークポイント。これだと舞台でやる意味はあるのか、ラジオなどの音源だけの場でいいのではないかと思えてきます。
「食べられる粘土、こっちだった」と「なんで君はいつも税込みで言ってくれないんだ」と「すりガラス越しでも歌舞伎は迫力がありますね」が特に好きです。

こたけ正義感・・・弁護士の顔も持つこたけが、その知識をもとにおかしな法律を紹介するフリップネタ。全部面白いんですけど、できるだけ文章短いのを選んで手数を多くしたほうがよかったような気がします。とうもろこし粉に関しては、外国のやつだから知らなくてもまあ当然だろってかんじ。個人的には、こたけが感情的になるのが芝居くさいというか、ややわざとらしく見えてしまうのですが、そこはとやかく言うべきではないんでしょうね。
こういう大会って、脱落者が「敗者の弁」を述べる場面があって、だいたいそこでみんなボケたりとか、ひと笑い取りにいくんですよね。で、なぜかこれがほとんどウケない。けっこうみんなスベるんです。しかしこたけの「不当判決」はすごくよかった。「敗者の弁」史上一番面白かったんじゃないでしょうか。

田津原理音・・・オリジナルのトレーディングカードを開封するネタ。なるほど、これもフリップ芸の一種なのか。「チャリでチャリを運ぶ男」など、カードそのものが面白いのもあれば、同じカードが不自然に何枚も入っているという、状況の面白さもある。ひとつひとつの面白そうなカードを、あえてゆっくり見せないというのをやってましたが、全部気になります。SNSで公開しているのでしょうか。
しゃべりが少しヘタなように思いましたが、ネタの展開と並行してカメラの操作までしなくちゃいけないのは大変ですね。なんでも田津原はフリップ芸をひたすらやり続けてきたらしいのですが、しゃべりをカバーするためのフリップということなのかもしれません。

コットン きょん・・・犯人を自供させるために、プロフィールに合わせたカツ丼を作る警察官のネタ。いわばカツ丼プロファイリング?ピンネタずっと作り続けてきたってことでしたけど、これはコンビでやってるコントをアレンジしたもの。まあ、確実にウケるネタですからね。
犯人のタイプに応じたカツ丼のチョイスも納得だし、BGMの使い方、間の取り方もうまい。やっぱやりこんでるネタだけのことはあります。しかしピンでこれだけ面白いと、2人でやるべきネタだったのかとも思えてきますね。
流行らそうとしてる「ヤバイね」は、吉本新喜劇の諸見里大介も使ってるみたいですけど、大丈夫なのでしょうか。


続きましてファイナルステージ。


田津原理音・・・今回は「ぷりんす!コレクション」というトレーディングカード。カードにセリフが付いているのがいいですね。セリフでキャラクターを想像させて答え合わせする、という楽しみが生まれますからね。「世の中に1人くらいはいそうな人」という「あるあるキャラ図鑑」にもなっています。その意味で、カベポスター永見に通じている。
こういうのをチマチマ作るのが好きでしょうがないんでしょうね。やっぱしゃべりはちょっとヘタ。田津原は写真の才能もあるそうで、その横顔もまたコミュニケーション苦手っぽい。

コットン きょん・・・気になる異性が外国に旅立つ前に引きとめるという定番を、リモートで行うという、時代を感じさせるネタ。この設定を思いついたというだけで拍手喝采モノです。リモート相手の顔は見えないけど、見えないほうが面白いので、ピンにふさわしいネタでもあります。ネタ時間が短かったような気がしましたが、続きをもっと見たいって思ったせいでしょうか。ウルフルズは世代を感じる。


放送時間が、直後の「ENGEIグランドスラム」より短いという不思議。これがR-1の世間的な評価ということなのでしょうか。R-1のトロフィー、しんいちに散々連れまわされてたせいで、もはや誰が手にしてもしんいちの顔が浮かんでしまいますね。しんいちは責任を取るべきです。
今回アキトとサツマカワと寺田がラストイヤー。お疲れ様でした。
「無名の新人」が優勝する形となった今回。なんとなくですけど、田津原はテレビ向きじゃないような気がします。テレビタレントとしては定着せず、今後もネタ職人として劇場に立ち続けるんじゃないでしょうか。
なんでも今年からTHE SECONDという、結成16年以上の漫才師を対象とした賞レースが始まるそうで、5月に決勝戦が放送されるとのこと。大会名の通り、ベテラン芸人にセカンドチャンスを与えるための賞レースなのでしょうが、これまではR-1とキングオブコントの間に大きな大会がなかったので、約半年の「空白の期間」があったわけですが、このTHE SECONDは、その合間を埋める大会にもなるわけですね。そちらも記事にするべきか・・・。まあ考えときますよ。


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