房総閑話

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雪の中からの胞子体 ~ エゾスナゴケ(スナゴケ,砂苔)

2019-03-17 11:39:03 | 写真
4億8000万年前水中で生活をしていた藻類は陸上への進出を果たしました。
そして4億3900万年前、維管束を発達させた多胞子のう植物のシダ類と維管束を発達させなかったコケ類に分かれました。
そのとき、コケ類はツノゴケ類とセン類・タイ類の2系統に分かれ、後に蘚類と苔類に分かれました。
今のコケの歴史は4億3900万年。途方もない時間を継続させているのですね。
そういうコケ類だからこそかわかりませんが、雪の中でもへっちゃらに胞子体を伸ばしています。

エゾスナゴケ。キボウシゴケ科シモフリゴケ属。スナゴケと言われています。
コケ類は蘚(せん)類、苔(たい)類、ツノゴケ類の3つに分類されます。エゾスナゴケは蘚類の仲間です。
蒴(胞子のう)の構造の違いから分類の説明をします。
蘚類は先端に蓋があり、この蓋がはずれて胞子を放出します。
苔類は丸っこくて口を持たず、蒴の壁が裂けて胞子を放出します。
ツノゴケ類は棒状で、蒴が裂けるようにして胞子を放出します。

4億3900万年。世界中、寒冷地・熱帯に25000種。繁栄させています。


コケ類とシダ類以降の植物の違いを簡単に説明します。知っていると面白いです。
違いは母親への依存度です。コケ類は生まれても母親の栄養がなくては生きていけません。ところがシダ類以降の植物は生まれたら母親から独立して自分で栄養を作り出して生きていきます。

基本的な植物の生活サイクルは
胞子体(2n) → (減数分裂) → 胞子(n) → 発芽 → 配偶体(n) = 配偶体(n) → 胞子体(2n) ・・・  
となります。

進化した植物はより複雑になってそれぞれの呼び方も違ってきますが、基本は変わりません。配偶体=配偶体は受精を意味します。コケ類は配偶体は発達しましたが、胞子体は他の植物のように発達していません。胞子体は1本ずつで枝分かれはしていませんし、もちろん葉っぱもなければ花びらもありません。コケ類以外の植物は胞子体を発達させて胞子体で栄養を作り出すために葉っぱをつけ光合成を行い、より効果的に受精を成功させるために葉から花びらを作り出しました。そうです、いつも目にしている植物は胞子体を見ているのです。配偶体は種子植物の雄性なら花粉のことです。目にするコケ類はじつは花粉だったり胚嚢だったりするのです。コケ類は花粉に葉緑素を作り出して光合成をして栄養を得ているのです。

普通の種子植物なら雪の中から幹を出していても驚かないけど、コケ類はびっくりします。



びょーんと伸びているのが「胞子体」です。胞子体の先端にあるのが胞子が入っている「蒴」です。



葉が開いた状態のスナゴケは『星屑』と表現されます。

(Canon IXY DIGITAL 510IS)(2019年2月12日撮影)


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