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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 9月12日 魚の目(3)

2016-09-12 18:25:58 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 9月12日 魚の目(3)




 そしたら宿のオヤジが船を止めました。
最後尾にどっかりと腰を下ろして念仏なんか上げてるんです。
ナンマンダブ・ナンマンダブって。
 すっかり怖く成っちゃって船べりで無様にガタガタ震えました。
本気で怖い思いしたのは2回目です。
 どれ位震えたか分かりませんが、さっきから聞こえてきた声が、

「 おーい!」

から

「 まってくれー!」

にかわって、

「 たすけてくれー、おいてかないでくれー!」

になったんです。
 それで、そこでピンと着たんです。
これ、ドザエモンの声だって。
 恥も外聞もなくガタガタ震えてたら、今度は船のヘリを誰かが叩くんです。

“ バンバン!バンバン!”

凄い音です。
そして、相変わらず生臭い臭いがしてます。
 それなりに波のある状態でしたが、波のうねりとは違う揺れが唐突に船を突き上げました。
グラッと揺れた感じで慌てて船にしがみ付いたら、自分の指先になんとも言えないグニャって感じの感触がありました。
ナメクジ握りつぶしたらこんな感じだろうって感触で、思わず、

「 ヒャァ!」

と声を出してしまいました。
 そしたら、すぐ近くの海面から、

“ ピチャ!”

って音がしたような気がして、恐る恐る海面を見たんです。
 すると、そこには波の中に真っ白い人が立ってる感じでこっちを見てました。
上手く表現できないんですが、2階建ての建物の2階から真下にいる地面の人を見下ろす感じです。
地面の側の人が首を真上に向けて見上げてるイメージです。
そしてその状態で両手を空に伸ばしてる感じ。
 情けない話、腰を抜かしまして、立てなくなって、そのまま気を失っちゃいました。
ふと目を覚ませば港の中で、オヤジが心配そうに私の頬をペチペチ叩いてました。
 アレがなんだったのかは今でも分からないんです。
あの時、何かを握りつぶしたほうの手の指に魚の目が出来ました。
 それで、その魚の目の皮がある程度厚くなると自然にぺロッって剥けるんです。
その皮がまるで鱗に見えるって言うんで医者のところに行ったんですけど、原因不明ってことで放置されてます。











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