気分はガルパン、ゆるキャン△

「パンツァー・リート」の次は「SHINY DAYS」や「ふゆびより」を聴いて元気を貰います

ゆるキャン△の聖地を行く4 その5  志摩リンが行かなかった場所

2018年06月07日 | ゆるキャン△

 駒ヶ根地域は、駒ケ岳の山裾に広がるリゾート地として明治期より発展してきた歴史があり、「ゆるキャン△」にて志摩リンが行かなかった観光名所も幾つかあります。光前寺のすぐ北側の高台上にある、上図の駒ヶ根市民俗資料館の建築などは、その代表的な例です。

 

 この洋館スタイルの建物は、旧駒ヶ根市役所庁舎といい、駒ヶ根市の前身の上伊那郡赤穂村の村役場として大正十一年(1922)10月に建てられたものです。
 当時としては非常に斬新かつ豪華な近世ヨーロッパ風の建物で、類例は全国でも数えるほどしかありません。現地へは、建物の一部、つまり正面本館部分を移築して文化財に指定し保存しています。

 

 外観は近世コロニアル様式でまとめられています。コロニアル様式の日本建築の類例としては、神戸北野通りの旧ハンセル邸(シュウエケ邸)が挙げられます。
 そして内部は、上図のように近世ルネッサンス風に造られています。村役場クラスの建物でこれだけの意匠を持つ事例は稀です。日本におけるルネッサンス様式の建築は、大部分が石造の大型建築で、代表例を挙げると、日本銀行本店、京都国立博物館本館、などがあります。

 

 旧駒ヶ根市役所庁舎の右隣には、上伊那地域の江戸期農家建築の代表例とされて国の重要文化財に指定されている旧竹村家住宅があります。

 

 長屋門の通り口に掲げられる説明板です。東日本に現存する江戸期の民家建築としては最大級の規模を持つことで知られますが、このクラスの古民家は西日本では割と多いです。
 どちらかというと、東日本の古民家は機能に応じて建物を分ける傾向があり、母屋なら母屋、厩なら厩として別々に建てるケースがよくみられます。西日本の古民家は母屋も厩も一つの棟にまとめてしまう形式が多いので、必然的に規模は大きくなります。

 

 したがって、この旧竹村家住宅は、東日本にたまに見かける西日本スタイルの古民家建築の例であるとも言えましょう。

 

 このように、下便所が別棟として建てられています。厩や便所や倉庫などの空間を別に建てるやり方は、歴史的には中世戦国期の在地領主層の館クラスの形式の系譜上にあります。一定の敷地内に幾つかの建物をこまごまと並べており、建て替えや改装も簡単に出来ました。西日本では全ての空間を一つの建物の中におさめていますから、部分改装や修理であっても、屋根を全部取り外さないと不可能、といったケースが多かったようです。その意味では、建物を分散させる東日本方式のほうが合理的であったと言えそうです。

 屋根は、御覧のように「コバ葺き」と呼ばれる板葺きで、竹棒と石で押さえる一般的な形式です。中世戦国期の日本の町屋および民家の大多数が、この「コバ葺き」でした。いま日本の古い景色の象徴みたいに言われる藁葺きは、もともとは社寺建築の一様式で、これが江戸期に豪農クラスの富裕民の民家に採り入れられたものです。

 

 外回りの外観も立派です。手前の二間部分が厩、中央が母屋、奥が座敷にあたります。それぞれの部分が外からも識別出来るように、戸口や柱などの構造材の構え方が異なっています。

 

 正面大戸口から入りました。このように広い土間と囲炉裏があり、その上手に板敷の台所があります。土間と台所の間には間仕切が設けられないので、空間が最大限に広く感じられます。この方式は東日本の古民家に多く、間仕切を多用する西日本の古民家とは異なります。

 

 天井板もありませんので、御覧のように豪壮な梁組(はりぐみ)が見渡せます。土間での炊事の煙を早く屋外に逃がすには、天井を開放するのが良いですが、これは土間や台所の空間を母屋と一体にしている故の措置です。土間や台所が別棟になっている古民家では、たいてい天井板が貼られています。西日本の町屋建築はだいたい天井張りが多く、土間や台所は出入り口または敷地の奥の庭に面しているケースが一般的です。
 このように、古民家の内部構造を見てゆくことで、日本の各地域の暮らしの様相がよく理解出来ます。

 

 母屋の座敷部分です。畳敷きの部屋が並びます。このあたりは現在の住宅とあまり変わりません。従来の日本民家の座敷部分を、いまの住宅では「和室」という形式で採用しているからです。それ以外はどちらかというと洋風スタイルにまとめているのが、いまの日本の一般的な民家の傾向です。

 

 なお、こうした大型の古民家は、かつての日本では一般的だった大家族制のありようをも伺わせます。核家族化が進行した現在の日本では、一世帯あたりの人数が最低限になっていますから、住宅建築が小型化して、マンションやアパートが増えてゆくのは当然です。

 

 駒ヶ根市民俗資料館を出て、いったん宿の国民宿舎「すずらん荘」に入りました。元の計画では、この日は陣馬形山キャンプベースにてテント泊する積りでしたが、天候がおもわしくない上に、この日の夜は大雨になるとの予報があったため、第二候補としておさえてあったこちらの施設に決めました。光前寺の近くでもあり、「ゆるキャン△」聖地巡礼のための宿としても最適です。
 国民宿舎「すずらん荘」の公式サイトはこちら。 (続く)

 


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 継続高校 BT-5(フェイズエ... | トップ | 大学選抜チームA41センチュリ... »
最新の画像もっと見る

ゆるキャン△」カテゴリの最新記事