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読んだ本の感想と旅行の日記を書いていきます。
後、その他なんかあれば・・・

中小企業診断士への道のり⑧:攻略のコツ5,事例Ⅲ

2024-03-27 22:27:37 | 中小企業診断士
事例Ⅲは生産管理である。
事例Ⅲは一番点数が安定する事例と言われている。
それは解き方が事例Ⅰや事例Ⅱよりもパターン化ができるからだ。


■経営戦略と生産戦略
 まず、設問、与件共に、経営戦略と生産戦略に分けられる。
設問は、「生産面」、「生産計画」、「生産管理」など、設問に「生産〇〇」と付いていれば基本的に生産戦略と考えて良い。
また今後の戦略を問う問題など、今後のことについて聞いてくる設問は経営戦略問題と判断する。なお、SWOTは経営戦略問題と分類しておく。

 また与件は設問以上に経営戦略と生産戦略にきれいに分けることができる。事例Ⅲは、多くの場合、【】でブロック分けされた小見出しがある。
この小見出しのブロックがまるまる経営戦略パートか生産戦略パートに分かれるのだ。
小見出しが【生産〇〇】となっていたら、そのブロックは生産戦略パートになる。
それでそれ以外の小見出しは基本的に経営戦略パートに分けていいと思う。基本的に自分はその分け方で大きく経営戦略と生産戦略パートに分けていたが、うまくいかなかった年はなかったので基本的に大丈夫だろうと思う。

 そして、その与件の経営戦略パートは設問の経営戦略問題に、与件の生産戦略パートは設音の生産戦略問題にそれぞれ割り付けすることができるのだ。
今まで例外はなかった、と思う。
なので、この設問は与件のこの部分から答える、と簡単に絞ることができるのだ。その後、与件と設問の割り付けをさらに細かく行っていくことで解答の当たりをつけるのが他の事例に比べて簡単なのである。


■弱みを全て解決する
 生産戦略パートは生産のプロセスについて細かく書かれているが、そこに〇〇が足りない、とか〇〇されてないとか、〇〇が必要とか、やけに否定的な書き方で書かれている内容が良くある。それは全て「弱み」なので、この「弱み」は解答で全て解決する必要があるので目印をつけておく。

 それで拾い出した「弱み」は、全て解決策を考える。それはパターン化できるもので、簡単なものだとそれをひっくり返せば解決策になる。

 例)
  ・食材や調味料の受入れと、常温、冷蔵、冷凍による在庫の保管管理は資材管理課が行っているが、入出庫記録がなく ~(R5)
  ⇒入出庫記録をつける

  ・金型は顧客からの支給品もまだあり、C社内で統一した識別コードがなく、また置き場も混乱していることから~ (H30)
  ⇒金型に統一の識別コードを付け、置き場を5Sで整理整頓する

  ・各機械の操作方法や加工方法に関する技術情報は各専任作業者それぞれが保有し、標準化やマニュアル化は進められていない。 (H29)
  ⇒技術情報の標準化、マニュアル化をする
 
 実に単純である。これは必ず生産問題の解答に書く必要があるので、どの設問の解答に盛り込むかを決めればいいのだ。


■解答の方向性
 その他、以下に列挙するが、基本的に問題と解決策もパターン化できるのだ。

・標準化・マニュアル化
 人によって品質が異なる、時間がかかるといったものは基本的に暗黙知を形式知化し標準化、マニュアル化し社内展開する。また人が経験でやっているのも標準化、マニュアル化対象である。R5でも調味料の必要量が経験値で見積もられていたので標準化対象である。また工場管理者が必要によってメモ程度のレシピを個別管理していたのでこれもマニュアル化対象である。 

・月次計画は週次計画に
 良くあるのが、月次で発注をしていたり、月次で生産計画を立てていたりというのが各年度でほぼ毎回出ている。これは週次で計画を立てるようにすることで発注や生産を都度見なおすことができるようになり材料や製品の在庫削減を図ることができる。
 実際に生産の現場ですぐできるかというとすぐにできないこともあるかもしれないが、これはあくまで試験なので、月次となっていたらためらわず週次と書けばおそらく加点は全然されると思う。

・多能工化
 誰が一人の作業がボトルネックになっていたり、専任担当のある作業の場合は多能工化を目指す。この「多能工化」は重要キーワードなのでこれは問題で一回はどこかの解答に入れておいた方がいいと思う。

・リードタイム短縮
 リードタイムの長さがボトルネックになっている場合は、3次元CAD(3DCAD)を導入し顧客とのイメージすり合わせをスムーズに進めたり、技術者が営業と同席して設計や見積のリードタイム短縮を目指す。なお3DCADは「CAD」やそれに関連する文言が与件にあった場合に積極的に使っていくべき。とのこと。

以上が問題のパターンと解答の主な方向性である。


■QCDの観点から回答する
 戦略問題は、基本、QCDの観点から回答する。QCDは生産管理の根幹を成すテーマで基本このフレームワークに沿って答えていれば外れないのだ。
 なので、「3DCADの導入によりリードタイムを短縮し、在庫管理の徹底によるコスト削減、マニュアル化・標準化(または高付加価値化)によりQCDの向上を目指す」のような感じの解答が書ければなかなかいい感じの点数が入ると思う。


■販売チャネル強化は展示会などのイベントから
 その他事例Ⅲでも販売チャネルや販売促進みたいな問いもたまに出てきたりするが、それはイベント、展示会など顧客との直接の接点となる機会がおそらく与件のどこかに書いてあるはずなのでそれをフックにして販売力強化を目指す。


■盛り込んでいきたいキーワード
 上記にもいろいろ書いたが、「QCD」「多能工化」「標準化・マニュアル化」「コスト削減」「リードタイム短縮」「3DCAD」「高付加価値化」「SLP」「5S」「ロットサイズ適正化」「メンテナンス」などのワードを入れていけるといいかも。あとDRINKのフレームワークも入れていきたい。


■思い出深い年度
・R5
 もちろん合格年度。上記や今までの解き方のコツがそのまま使えた事例だと思う。ただ、問1では強みを生産面から2つ述べよ、となっているが、与件に強みがそのまま書いていなかったり、しかも10点と点数が低かったりちょっとひねりが加えられていた。

・R2
 SWOT、問題点の洗い出しと解決策、IT化問題、今後の戦略と、出題のバランスが良い良問だが、自分はIT化問題が苦手だったので難問でもあった。

・H30
 作業者の一日の作業内容が図で示されているが、待ち時間が長かったり機械の運転効率が悪かったり作業者がアホみたいな行動をしている突っ込みどころ満載の事例だった。


事例Ⅲのコツとしてはこんな感じでしょうか?
今回そんなんで以上☆
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中小企業診断士への道のり⑦:攻略のコツ4,事例Ⅱ

2024-03-23 21:29:05 | 中小企業診断士
事例Ⅱはマーケティングになるが、自分は事例Ⅱが一番苦手だった。
なぜなら点数が一番安定しない科目だったからだ。
安定しない理由は、自分が考え方や方向性が腹に落ち切っていないからだと思う。またこの場合はこう、みたいなパターンもあまり見つからなかった。また図を見て答えさせる問もあり、その読み方が分からない時もあったりした。
案の定R5の結果では一番低い点数になった。

一旦自分の理解している考え方や方向性について書く。


■解き方の流れ
 解き方の流れとしては、まず大きく以前の記事で書いた「戦略問題」(SWOTも戦略問題とする)と「それ以外」とに分ける。
そして、「それ以外」に分類した問題を次は「与件から解答できる問題」か「発想問題」かを大まかに分けていた。

 また事例Ⅱで一番大事なのは、「ターゲットの選定」である。ターゲットは必ず与件内から拾う。このターゲットがそもそもズレていると、前提がズレていることになるので、点数が取れずに壊滅状態になってしまう。事例Ⅱにはそういった大きな落とし穴があったりする。


■STPについて
 ターゲットを選定するために使うのは、フレームワークの「STP」である。セグメンテーション、ターゲッティング、ポジショニングであるが、自分は順番が違うと思っていて、順序としては、1,セグメンテーション、2,ポジショニング、3,ターゲッティングだと思う。
 自社の強みや弱み、競合他社を分析したうえで、自社のポジショニングを分かってからでないと、ターゲットとする顧客層が浮かび上がってこないからだ。


■競合他社はしっかり洗い出す
 ここで重要なのが、競合他社の分析である。よく3Cについて答えよという設問があるが、ここで競合他社をしっかり洗い出しておかないとその後の設問の解答に必要な前提が抜け落ちてしまうことになるので、得点がアップしていかないのだ。

 自分はこの競合を見落として点数が取れなかったり、その後の設問の解答に3Cの所で書いていない競合をいきなり出したりして、設問間の整合性が取れない解答になってしまったことがあった。
なので、競合はしっかり洗い出し、その後の設問の解答で使うような競合はしっかり3C分析の時に書いてあるかチェックするようにしていた。


■ターゲットをしっかり解答する
 ターゲットを決めたら、解答にはしっかりターゲットを記載するようにしていた。助言系の問題が出てきたときには、ドメインの考え方から「誰に、何を、どうやって」の枠組みで解答を作成することを意識していったと以前書いたが、この枠組みで「誰に」を書くのがとても重要だからだ。「誰に」を書かないと解答があいまいになってしまい、採点者も採点できず、点数も伸びていかないだろう。
 またターゲットのニーズを「全て満たす」のが重要とのこと。そこまでやるかくらいにやることで差別化につながり後に出てくるLTVを向上させることができるのだ。


■売上の細分化
 良くある解答として、売上を伸ばすというのがあるが、売上もまず「顧客単価」×「顧客数」に分解できる。
 「顧客単価」は「購入商品」×「購入数」に分解でき、「顧客数」は「新規顧客」×「既存顧客」に分解できる。
 「顧客単価」の向上には、商品を組み合わせて売る「クロスセル」とより高い商品を売る「アップセル」がある。
 売上を上げるのにも、これらのどの要素を伸ばしていくのかを考えるようにすると良いと思う。(自分はここら辺の考え方があまり腹落ちしておらず、あまり良い回答が書けていなかったと思う。)


■方向性
・値下げで勝負してはいけない
 中小企業は競合に対して価格を下げるという勝負をしてはいけない。これは大手の方が規模の経済や薄利多売などの対応が得意だからだ。また価格勝負は際限がなくなり、血を出し続けることになるため全く良い解決方法にならないからだ。
 中小企業は強みを活かした付加価値をつけて品質を高め価格を高くしてニッチ市場で勝負するのが鉄則になる。

・LTVを向上させる
 LTVは(ライフタイムバリュー)の略で、顧客生涯価値と呼ばれる。顧客が長きに渡って商品を購入してくれることで長期的に売上を増やそうという考え方である。そのために顧客には自社にファンになってもらう必要があり、そのための方策を考えることが重要になる。試験では『「商品愛顧」(または「自社愛顧」) を獲得しLTVの向上を図る』といった解答を書く。

・地域密着、連携
 中小企業は基本的に地域密着を目指す。地域密着によってチェーン店等の大手と差別化を図り独自性を出し、単価の高いこだわり商品やサービスで自社のファンを増やし売上拡大を図っていくのだ。
 また他の業種の会社との連携というのも重要である。他社と連携しシナジーを発揮することで、自社の強みをさらに強化したり、弱みを補ったりするのだ。

・イベントとプロモーションの活用
 顧客獲得に必要なのがイベントやプロモーションである。イベントは対面でのイベント、プロモーションはホームページ、SNSでの訴求やチラシなどの方法が考えられる。ここで重要なのが、顧客との「双方向コミュニケーション」である。双方向コミュニケーションを行うことで、しっかり商品説明をしたりニーズを収集し、商品開発に活かしたり、商品愛顧や顧客愛顧の向上を行っていく。


■盛り込んでいきたいキーワード
 上記にもあったように「高付加価値」「こだわり」「LTV」「双方向コミュニケーション」「地域密着」「連携(シナジー)」辺りを積極的に入れていけるといいのではと思う。


■思い出深い年度 
・R4
 「連携」をテーマに「地域」「直営店」「ネット販売」のそれぞれで販売戦略を答えさせるという面白い問題であった。
・R2
 ハーブ問題。「新市場開拓」「新製品開発」「イベントとプロモーション」となかなか出題範囲のバランスが広く、良問だと思う。
・R1
 当時の受験者をざわつかせたというジェルネイル問題。自分もそこまで解いた訳ではないがとても記憶に残っている。
・H30
 旅館にインバウンド客を増やそうという問題。既存客を増やそうとターゲットを間違えると悲惨なことになる。「プロモーション」「連携」など、いろいろ考えさせられる良問だと思う。
・H27
 商店街のテナントミックスについて考えさせる問題。この問題はほぼほぼ発想問題だったが自分はやっきに与件からヒントを探して時間を取られひどい結果になったという洗礼を受けた問題。めっちゃ苦手だった。

そんなんで、事例Ⅱはこれ以外にも製品ラインやブランド、RFMやデータベース問題など、いろいろ覚えておく要素はあるが、ちょっと自分も苦手であまりまとめられなかった、、(本当にすみません)

そんなんで今回はこんな感じで以上☆
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中小企業診断士への道のり⑥:攻略のコツ3,事例Ⅰ

2024-03-18 22:55:12 | 中小企業診断士
これから各事例毎の攻略のコツについて書いていこうと思う。
今回は事例Ⅰになります。

事例Ⅰは組織・人事であるが、2次試験の中でも一番の花形の事例だと思う。
問われる内容も範囲も広く、覚えておく内容もとても多いが、自分は色々な会社があるなあと与件文を見ていてとても面白く、好きな方だった。

解き方の流れとしては、まず大きく以前の記事で書いた「戦略問題」(いったんSWOTを問う問題も便宜上戦略問題とする)と「それ以外」とに分ける。
そして、「それ以外」に分類した問題を次は「組織問題」か「人事問題」かに分類する。これは明確に「組織」「人事」をすっぱり分けられる訳ではないが、一旦色を付ける程度だ。もちろんどちらの内容も書く問題もある。

その後、次の知識のフレームワークに当てはめて解いていくという流れを基本的に取っていた。


■知識
・幸の日も毛深い猫
  かなり有名な組織人事のフレームワーク。
  採用・配置、賃金、能力開発、評価、モチベーション、権限、部門、階層、ネットワーク、コミュニケーション の頭文字。「幸の日も」が人事、「毛深い猫」が組織の観点になる。
  事例Ⅰの全ての切り口要素を端的に現したもので、「解答に漏れている観点はないか?」という確認のために使っていた。

・組織構造と組織文化
 組織問題をさらに分けると「組織構造」について問うている問題か「組織文化」について問うている問題かに分かれる。
 組織構造については、「機能別組織」「事業部制組織」「マトリックス組織」の3つ。各年度でほぼ必ず出る概念だと思う。詳細は割愛する。
 組織文化については以下の組織の3要素と組織の5原則の記述を参照。

・組織の3要素と組織の5原則
 この3要素と5原則はなかなか混同しがちで自分の頭の中の整理にちょっと苦労したが、組織の3要素は「共通目的」「貢献意欲」「コミュニケーション」の3つ、5原則は「目的」「専門化」「命令一元化」「管理の幅」「権限一致」また文献によっては「例外」というのがある。
 これも詳細は割愛するが、前者の3要素は、組織について回答を書く際の切り口、後者の5原則は、問題、課題の抽出に使っていた。

 具体的な例題がなく申し訳ないが、3要素は「今後組織をどのようにしていくべきか?」というような問に対して「組織全体で共通目的を持たせ社員間のコミュニケーションを活性化させ貢献意欲を引き出していくべき」(←もっと与件内の言葉を使って具体的に解答する)といった方向性の解答を作るようにしていた。
 5原則は与件の内容を見て、この組織は「目的がないな」とか、「もっと専門化すれば効率が上がるんじゃないか?」とか「もっとやる気のある社員に権限を持たせればいいんじゃないか?」といった案を抽出するためのフレームワークに使っていた。
 フレームワークの使い方のニュアンスが分かってもらえれば嬉しい。。

・衛生要因と動機付け要因
 この切り口は従業員の採用、定着に使う。事例Ⅰでは、採用するためにどうするか?といった問が良く出る。 
 例)A 社が新規就農者を獲得し定着させるために必要な施策について、中小企業診断士として100 字以内で助言せよ。 (R4事例Ⅰ)
 この場合、衛生要因と動機付け要因から考えていくし、解答もその切り口で解答を作っていく。


■方向性
・組織は戦略に従う
 予備校A社でよく言われていたキーワード。
 会社が向かっていきたい方向性に応じた組織構造にする。と言ってもお題となる会社は規模が小さいので結果大体「機能別組織」になるが、後継者を育てたい場合とかは、「事業部制組織」的な構造にしたりもする。またここで注意すべきなのは、解答に必ずしも「機能別組織」や「事業部制組織」といった明確な組織構造を書く必要はないという点だ。事業部制組織にできる会社も規模が必要なので、規模の小さい会社は事業部制組織のエッセンスを使って、後継者を「機能別組織」の役員に据えて全体を見させるとかそういう解答にする。
 基本的に使うのは「機能別組織」や「事業部制組織」だが、たまにマトリックス組織的な「タスクフォース」を作るみたいな事例があったりした。おそらく中小企業はマトリックス組織は使わないが、タスクフォース的なプロジェクトは編成できると思う。

・組織活性化
 事例Ⅰの企業は基本的にこれを目指す。組織活性化で社員のコミュニケーションを図り正しい評価と能力開発で衛星要因と動機付け要因を向上し定着率を上げ有能な社員を権限移譲して貢献意欲を引き出し新製品(サービス)開発や新市場開拓を目指す。(←ちょっと因果が正しくないかもしれない)
 みたいなストーリーにする。

・事業承継
 事例Ⅰでとても良くあるテーマ。後継者に会社全体を見させてスムーズに世代交代を図ったり、有能な従業員に目星をつけたりしておく。
 あとは後継者の意識を前々から植え付けるようにしておくとか、後継者の得意分野を活かすようにするとか、現場の仕事を知ってもらうとか、なんかいろいろ対応があるが、重要なのは事業承継を意識した解答となっているかということである。

・M&A
 これも良くあるテーマ。シナジーを発揮しスムーズな統合を目指し組織を活性化させるという方向性。


■盛り込んでいきたいキーワード
・ダイバーシティ
 組織活性化の手段。最近はやりのダイバーシティ経営。イノベーションを起こすための目的でもある。「多様性を発揮する」とか「組織ダイバーシティを目指す」とか、このワードは入れられるといいと思う。

・権限移譲
 これも積極的に入れておくと良いとL社のK先生が言っていた。必ず各年度の事例Ⅰにはこのワードを使う機会が存在する(と思う)。組織活性化に必要な手段。

・成果主義
 これも回答でよく使う。ダイバーシティ経営でも使うし、有能な社員の登用や動機付け要因、コスト削減などにも使う。成果主義のためには公正なルールの作成や社員への事前説明、透明性のある評価が必要など、いくつか条件が必要になるが、これも覚えておくべし。
 またあえて使わない場合もあるので、デメリットもしっかり覚えておくべし。


■思い出深い年度
・R5
 もちろん合格年度。事業承継かと思いきやそれはもう終わっていてメインはM&A。以前よりお店を持ちたがっていた意識高い系社員をM&A先の意識の低いX社のトップに据え組織を活性化しようというストーリー。
・R4
 事業承継をテーマに、社長の農業に対する熱い思いを使うなど、なかなか組織人事ど真ん中の面白い問題だと思う。
・R3
 超苦手な年度。ファブレス企業にし身軽になって他社とのネットワークを活用しましょうという内容。事業ドメインについても回答させており、他の年度とはかなり異なった内容だった。
・R2
 事業承継とM&Aの複合技。システム化や暗黙知と形式知とか、組織ダイバーシティのエッセンスもあり、なかなか考える範囲が広くアツい事例。組織人事全方位にバランスが良くかなりの良問だと思う。

つらつらと書きましたが、事例Ⅰについてはそんな感じでしょうか?
今回はこんな感じで以上☆
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中小企業診断士への道のり⑤:攻略のコツ2,事例Ⅰ~事例Ⅲ共通

2024-03-16 00:14:53 | 中小企業診断士
■事例Ⅰ~事例Ⅲ共通 
中小企業診断士2次試験は、基本事例Ⅰ~事例Ⅲと、事例Ⅳで大きく分かれると考えた方がいい。基本的に事例Ⅰ~事例Ⅲは同じ考え方で解くことができるのだ。

なので次に、事例Ⅰ~事例Ⅲ共通で押さえておくべき内容を書く。


a)成功体験を活用する
 与件文を読んでいると、しばしば成功体験が書かれていることがある。R5の事例Ⅰは顕著で、A社の成功体験による強みをX社に横展開しろという事例だった。その他、H30事例Ⅰは、売切り型の事業の限界を打ち破ることを目標にして、新規事業開発に取り組んだという過去の成功例を活かして、さらに次なる新規事業を開発していこうぜという事例だ(と思う)。他にもR4事例Ⅰは、若干変則的だが、農業を生業としている会社の社員定着率の少なさをどうするかという事例で、その従業員確保の解決策として、「そもそも社長はどうやって農業を好きになったの?」という社長の過去の経験を活かして従業員確保、定着に関する施策を答えさせようとしている。

 事例Ⅰ~Ⅲは、いろいろ会社の変遷がつらつらと書かれているが、その中で会社が乗り越えてきた苦難とかが時系列でよく述べられている。その中にやはり成功体験も「成功」と文言が直接書いてあったりして見つけやすかったりする。それは出題者からの「これを使え」というメッセージなので、そのまま利用し解答を作成すると、点数も伸びやすくなると思う。


b)解答の割り付けを行う
 与件文はいくつもの段落(文字の開始が一文字ずれて始まっている箇所を1段落としている)に分かれており、多いもので20くらいにはなるが、一般的に各設問に対して与件で使う段落は被ることはないと考えている。
 例えば、段落の6~8は設問2に使う、段落の11から12は設問3に使うといったものだ。
 基本的に解答の内容は設問間で被らせないのだ。
 まず最初に設問と与件を読み、解答を考えていく前に、この設問と与件の紐づけを行って解答に書く内容の当たりをつける。自分はこの作業を割り付けと勝手に読んでいる。与件の各段落が各設問にバランスよく割り付けができると、そこからの解答作成がかなり楽になるし、手ごたえのある解答が出来上がる。
 年度や事例によって割り付けがすんなり行くこともあるし行かないこともある。R5は事例Ⅰ~事例Ⅲでそんなに悩むことなく比較的スムーズに行ったので、いい結果になったと思っている。


c)システム化問題は厄介
 上記の割り付けに関連する内容だが、設問の中にいわゆる「システム化」の問題が出ると、この割り付けがうまくいかなくなる。「システム化」は別名「IT化」「デジタル化」「コンピューター化」などのワードなどで出題される。
 R2事例Ⅲを例にすると、第2問の問1で、営業部門の問題点と対策、問2で、製造部門の問題点と対策を答えさせているが、その後第3問でIT活用について助言せよという流れになっている。第3問のIT活用で、第2問の営業部門の対策も、製造部門の対策に書いていた内容もIT化という解答として書けるため、割り付けがうまくできなくなってしまう。自分はこんなシステム化の問題がとても苦手であった。

 自分はシステムを本業とはしているため、なかなか皮肉な出来事ではあったが、これは単なる割り付けがうまくいかなくなるという事象なので別問題である。対応策として、「どちらにも同じような内容の解答を書く」というのがあるとYouTubeのきゃっしい先生が言っていたが(一応最終手段)、本当にうまくいくのかは分からない。
 とりあえずR5には出なくて本当に良かったと思っている。前の記事で合格した要因に運もあったと書いたが、これは大きくはこのことである。


d)因果型とキーワード羅列型
 解答の書き方として、A社では、「因果」というのを重視して書くように教わった。これは、ざっくり言うと「〇〇だから〇〇である」という一つの因果をしっかり書く。という教えであった。因果は「〇〇と〇〇により、〇〇である」といったピラミッド型などの書き方もできる。この書き方を骨子として、100文字で2つの因果をMECEの切り口で書く。といった解答の構成だった。
 一方、ふぞろいは、A社と比べると、「キーワード羅列型」の解答と考えている。これは、解答にキーワードをできるだけ盛り込むという方針である。
 例としては、DRINKというフレームワークを使った解答例で言うと、「〇〇の情報を①DB化し②即座に③ネットワーク上で④一元管理し⑤社内で共有する」といった書き方で解答にいくつものキーワードを埋め込むという書き方ができる。これは自分はふぞろい流と名付けていた。

 自分はどちらかというと後者のふぞろい流で解答を作成していた。なぜなら前回の記事で書いたが、採点者は採点の大きな方向性として「キーワードが入っているかどうか」で判断していると思ったからだ。なので、引っ掛かりそうなキーワードを解答の中にガンガン埋め込んで部分点を獲得していくという戦法を取っていた。
 他にも予備校や人によってにまた異なる書き方があると思うが、自分が実践していたのはこれ、という話です。


e)理由、要因を答える問題と助言、留意問題
 問題には、単に理由や要因を答えさせる問題と、「助言せよ」や「留意点について書け」といった問題がある。前者を分析系問題、後者を助言系問題と呼ぶことにする。
 分析系問題は、単に理由、要因をかけばいいだけなので、基本的に与件からキーワードを拾い、解答に書けるだけ埋め込んでいった。これは比較的簡単に作成できると思う。問題は助言系問題である。助言系問題は、捉えどころが難しい問題で、予備校でも各社でかなり解答がばらつく傾向があるらしい。問題の内容にもよるが、自分は助言系の問題が出てきたときには、ドメインの考え方から「誰に、何を、どうやって」の枠組みで解答を作成することを意識していった。んで「〇〇を狙う、〇〇を図る」といった「効果」も字数が入る場合にはできるだけ埋め込むという解答方法だった。
 問題によって解答の内容も変わっていくと思うが、基本的に助言問題にはこう答えるといったやり方を持っていると、書いていくうちに応用も効きやすくなり、解答時間も比較的短くなっていくと思う。


f)社長の思いを汲む
 与件文にはしばしば、社長の思いが書いてあったりする。基本的にその社長の思いを否定せず、社長の考えを反映した方向性で解答を組み立てていった。
 例としては
 ・食品スーパーX 社と共同で行っている総菜製品の新規事業について、C 社社長は現在の生産能力では対応が難しいと考えており、工場敷地内に工場を増築し、専用生産設備を導入し、新規採用者を中心とした生産体制の構築を目指そうとしている。このC 社社長の構想について、その妥当性とその理由、またその際の留意点をどのように助言するか、140 字以内で述べよ(R5事例Ⅲ)
 という問題があったりするが、これについては社長の思いを否定せず、「やりましょう」という方向性で解答を作っていく。なぜなら実際に中小企業診断になった場合、あくまで社長の思いを最大限汲んだ上で、「そのためにはこうすることが必要です」とかそういった方向性を助言するのが診断士のあるべき姿だかららしい。真っ向から否定してはお客さんの信頼も得られないし、それだと診断士の姿としてはあまりよろしくないため、基本的には社長の思いに沿って解答を作成する方向性となる。


g)顧客との直接の接点はニーズ把握に利用する
 事例Ⅱとかで顕著ではあるが、BtoCのビジネス等で、直営店を経営していたり、最終消費者との直接のコンタクトがある企業の場合は、その接点で「顧客ニーズを汲む」ことが解答の方向性となる。これは1次の知識でも出てきた「サービス・エンカウンター」の考え方である。
 そしてニーズを汲んで新製品開発や、新サービス開発に利用するのだ。
 直近でもR5事例Ⅲで、商品開発をする際、販売先の料理長や商品企画担当者と直接の接点があったので(BtoCではないが)ニーズを汲むということを解答に入れた。そもそもわざわざ販売先の料理長が訪ねてくるか?と不自然なところもあったので、おそらくこの方向性は間違ってなかったと思っている。


h)成長戦略は新製品開発または新市場開拓
 設問で成長戦略はどうするか?という問いが良く出てくるが、成長戦略は「市場浸透」「新製品開発」「新市場開拓」「多角化戦略」の4つがある上で、基本「新製品開発」または「新市場開拓」を取るようにする。「市場浸透」はレッドオーシャンだし、これは事例Ⅲの生産管理が自ずとプロセス改善により市場浸透を進めていくという方向性になる、また「多角化」は中小企業には体力がないので、今後どうするか?という問については消去法で新製品開発または新市場開拓になるのだ。その上で与件文からどちらの戦略が良いかを判断し解答に書いていくことになる。


i)競争戦略は差別化集中戦略
 設問で競争戦略はどうするか?という問いも良く出てくるが、これは「コストリーダーシップ」「差別化」「集中化」がある上で、「差別化集中」戦略を第一候補として与件文により、「差別化」または「集中化」を選んでいた。これは中小企業の取りえる戦略が差別化集中(またはどちらか)しかないからである。基本的に中小企業は「他企業との差別化を図り」、(できれば)「参入障壁を築き」、「地域密着」で「最終消費者のニーズを取り入れ」「ニッチな市場に対して」「高価格で粗利を稼ぎ」生き残りを図るという戦略を基本方針とする。


j)組織図と社員数は必ず図示する
 組織図と社員数は事例Ⅰでなくとも必ず図示してまとめるようにしていた。基本的に組織の言及は文章のみでつらつらと書かれているが、この中にかなり重要な情報が含まれていることが多くある。例えば、組織図を作ると営業組織がないとか、正社員が多い/少ないとか、兼務をしているとか、キーマンがいたりとかに気づくことができる。R5でも事例ⅠでA社とX社の部署割りが同じだったとか、事例Ⅲで工場管理者についての言及とか、これらは組織図を書かなかったら気づかなかった内容だった。
もちろん組織図を書いておいて使わないことも全然あるが、重大なヒントを漏らさないためにも必ず書いて整理することが重要である。


色々書いてしまったが事例Ⅰ~事例Ⅲ共通の考え方としてはこんな感じでしょうか?
こんな基本方針があると、年度や事例毎の解答も比較的ぶれずに一貫した解答が書きやすくなるんじゃないかと思う。

そんなんで今回は以上☆
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中小企業診断士への道のり④:攻略のコツ1,全体を通して

2024-03-11 23:33:02 | 中小企業診断士
■はじめに
 今回から数回に分けて、攻略のコツとして2次試験について自分が学んでいった内容や考え方、自分の理解を攻略のコツとして書いていこうと思う。
 2次試験はもちろん答えが公表されておらず、記述問題なので、決まった解答が存在せず、必ずこれ!といった解法があるわけではないので、あくまで自分の考えに基づくものとして記載する。

 ちなみに攻略のコツの内容は以下の通り全体→詳細にブレイクダウンして数回に分けて記載していこうと思う。

1,全体を通して ←今回
3,事例Ⅰ
4,事例Ⅱ
5,事例Ⅲ
6,事例Ⅳ
7,その他


■全体を通して
 試験全体を通して意識していたのは次の通り。

a)設問に答える
 解答を書く際、設問に解答を記入する上での指針?というかヒントが書いてあることが良くある。
 例)
 ・今後、どのような事業を展開していくべきか。競争戦略や成長戦略の観点から100字以内で助言せよ。(R5事例Ⅰ)
 ・女子の軟式野球チームはメンバーの獲得に苦しんでいる。B 社はメンバーの増員の ために協力することになった。そのために B 社が取るべきプロモーションやイベントについて、100 字以内で助言せよ。(R5事例Ⅱ)
 この場合、~や~と書いてあっても、必ず、どちらも答える解答を作成する。前者の場合、「競争戦略は~、成長戦略は~」の骨子、後者の場合、「プロモーションは~、イベントは~」の骨子を作り、それぞれに50文字ずつ割り付け解答を作成する。
 
 こう機械的に判断していくとそれぞれの記述を与件から見つけに行くという動きになるので、解答の方向性もすぐに固まる。
 なので設問に聞かれていることをオウム返しに「~は」とすぐに解答骨子を作ることを意識していた。 


b)基本的に与件文から答える
 解答は与件文からピックアップすることを基本としていた。与件文にない内容はまず解答に書かない。一般的な解答を書くとそこでアウトになってしまう。
 アウトの例として
 ・A 社は、小規模ながら大学や企業の研究機関と共同開発した独創的な技術を武器に事業を展開しようとする研究開発型中小企業である。わが国でも、近年、そうしたタイプの企業が増えつつあるが、その背景には、どのような経営環境の変化があると考えられるか。120 字以内で答えよ。(H26事例Ⅰ)
 この問に対して、自分は「クラウドファンディング等の制度拡充による資金調達の多様化があるため」と書いた。そんなに的外れではない解答だとは思うが、これは「(そんな言葉は)与件に書いていない」との理由で一蹴、0点だった。与件文からしっかり要素を拾って解答しないと点数にならないのだ。
 最初は、こういう一般的な答えを書いていたこともあったが、添削をしてもらっていく上でこういう回答はダメなんだと身をもって知ることができた。

 こういう一般的な回答をしてしまい点数が取れないというのはフィードバックがない分独学をしている方程良くあると思う。
 ※なぜ与件に書かれていない一般的な回答がダメなのかの根拠をもうちょっと掘り下げた内容は別途最後に細かく記載する。

 「基本的に」としているのは、もちろん与件文にない文言から答える問題も存在するからだ。それは「発想問題」と呼ばれるものである。発想問題は事例Ⅱによく出題され、例としては以下のような問である。
 例)
 ・低学年から野球を始めた子どもは、成長やより良い用品への願望によって、ユニ フォーム、バット、グラブ、スパイクといった野球用品を何度か買い替えることになるため、金銭的負担を減らしたいという保護者のニーズが存在する。B 社は、こうしたニーズにどのような販売方法で対応すべきか、プライシングの新しい流れを考慮して、100 字以内で助言せよ(ただし、割賦販売による取得は除く)。 (R5事例Ⅱ)
 ・女子の軟式野球チームはメンバーの獲得に苦しんでいる。B 社はメンバーの増員のために協力することになった。そのために B 社が取るべきプロモーションやイベントについて、100 字以内で助言せよ。 (R5事例Ⅱ)

 前者は発想問題というか知識問題である。後者は単純に発想を問う問題。これらの解答に使う文言は与件文には書かれていない。前者は「サブスクリプション・サービス」(「ダイナミック・プライシング」もいいかも)になるが、これは過去の1次に問題として出ていたらしい。後者のイベントは「〇〇と協業し、〇〇についてのイベントを開催し、〇〇に対して〇〇を図る」、プロモーションは、「SNS上で〇〇をし、〇〇に対して〇〇を図る」みたいな解答を書く。

 後者は色々な発想ができるが、特に奇抜な回答は必要なく、イベントやプロモーションを活用した一般的な解答(発想問題は一般的な解答でOK)でいいらしい。イベントは商品説明会とかプロモーションはチラシを配るとか、一般的なもので、実施主体と実施内容が妥当であれば、満点とはいえないが部分点はもらえるようである。
 なので発想問題かそうでないかを判別し、発想問題であれば、与件のワードは使わなくてよいが、1次で出てきた知識問題、または与件から関連して発想できる一般的な解答を書くという対応となる。


c)SWOTが出発点である
 事例Ⅰ~Ⅳ全てで、必ずSWOTを意識する必要がある。SWOTがしっかりできなければ点数は安定しない。SWOTの内容が間違っていると、解答の前提がそもそも間違っていることになるからだ。
 なので、SWOT分析は全ての事例においてしっかり、確実に行う。問題によってはWがなかったり、OやTが書かれていないことも良くあるが、基本Sは必ず聞かれるので確実に与件から拾う。SWOTの内容が問1でそのまま聞かれることも良くあるので、それはそのまま書けばよい。

 ちなみにSWOTではなく3C分析で書けいうのも事例Ⅱには出てきたりするが、それも結局はSWOTである。顧客(Customer)がO(機会)、競合(Competitor)がT(脅威)、自社(Company)がS(強み)とW(弱み)に当たるだけなのだ。
 なので、3Cを問われたときには問われた順にSWOTの内容を書き、自社には強みと弱みのどちらも書くことを意識していた。よく言われるのが、自社は強みだけ書いてはダメで、弱みも書かなければ点数はしっかり入らないと言われている。


d)強み×機会を今後の戦略とし、弱みを解決する
 事例Ⅰ~事例Ⅲには基本的に戦略問題というのものとそれ以外に分けることができる。戦略問題は「今後どのように〇〇を進めるべきか」といった今後の戦略について問う問題である。
 これはパッと見あまり捉えどころがない問題のように見えるが、この回答の方向性には明確な指針が存在する。
 それは強みを強化し機会に投入する、また弱み(課題)を克服するというものだ。それが中小企業が勝ち抜ける唯一の方法だからである。

 戦略問題の解答に必ずこの2つを入れる必要はなく、別の設問で弱み(課題)を克服する問題があったら、別の設問では強み×機会だけを書けばよい。
 基本戦略問題はこの内容を書けばよいので、問題を解く内に戦略問題と判断できたら書く方向性が決まっているので比較的内容が抽象的な問題でも、特に慌てず書けるようになった。


e)全体の整合性を取る
 これを意識していくようになって2次の問題の取り組みが変わっていったかと思うが、問題には必ず「流れ」が存在するのだ。
 例としてR4の事例Ⅰは比較的単純かと思う。問1:強み、弱みの列挙、問2:弱みAの克服、問3:弱みBの克服、問4:強みを活かし(or強みを発揮できる体制にし)機会に投入する
といった流れである。
 こんな感じで事例企業の強み、弱み、機会、脅威が全て設問の中で解決され、全体として解答の繋がりが今後の会社がとるべき戦略として一本の線になっていくのだ。
 なので設問の解答毎に矛盾のある内容にしてはいけないし、事例に出てきた弱み(または脅威)が全て解決されなければいけないのだ。
 これを考えていくと、解答の中で自分の漏れている観点を洗い出すことができるし、解答の妥当性もある程度推測することができる。


f)わざわざ表現に気を付ける
 与件文の中に、「わざわざ表現」が存在する。これは「なお、」「ただし、」「一方、」など、付け足した感じの接続詩で言いまわされている内容と、ちょっと変わった言い回しで表されているものがある。
 これは、解答の方向性を暗示していたり、解答に入れろと出題者がわざわざ入れている言い回しなので、特に注意する。
 また「近年」というのも時制を意識させるわざわざ表現であるので、これも必ずチェックしておく。

 例としては、前者の接続詩での表現はR5事例Ⅰでいうと
 ・ただ、近隣の原材料の仕入れ業者の高齢化によって、原材料の仕入れが不安定になり、新たな供給先の確保が必要となりつつある。 
 ・他方で、先代経営者の下で働いていたベテランの厨房責任者が厨房リーダーを務め、厨房担当の若手従業員を育成する役割を果たした。
 などがある。
 その他の年度の事例だと
 ・データベースはリピーターである重要顧客からなる100 件強の小規模なものであるが、1件の情報は非常に詳細なものとなった。(H29事例Ⅱ)
 とかが記憶にある。

 後者の変わった言い回しでは同じくR5事例Ⅰだと
 ・接客リーダーは、全体を統括する役割を担い、A 社経営者からの信任も厚く、将来は自分の店を持ちたいと思っていた。
 と、この部分だけ不自然に主観的な言い回しになっている。
 その他の年度の事例だと、
 ・店の中に入るとさまざまな土産物が所狭しと並んでいる。中庭のやや燻いぶした感じの石造りの酒蔵だけが、今でも蔵元であることを示している。(R2事例Ⅰ)
 とかでしょうか?
 読んでいて気になる言い回しはわざわざ表現として必ずマークしておくべきである。(自分は紫色のマーカーでマークしていた)

  で、わざわざ表現は基本的に解答に入れておけるといいが、ここで罠が存在する。上記の(H29事例Ⅱ) のわざわざ表現について、自分はあからさまな表現だったので、必ずこの部分を解答に使おうと思って考えたが、100件の内1件だけ詳細なデータが取れた所で、何に使うのかが全く分からず、時間だけ過ぎてしまい、他の解答ができずに壊滅状態で終わった時があった。なので、わざわざ表現の使い道を考えても分からない場合はそれを無視して解答するという判断も時には必要になる。
 なお上記のわざわざ表現の使い道は今でも分からない。。(正解が分かる人がいたら教えてください)

 全事例に共通するポイントとしてはこんな感じでしょうか?
色々気にする点はあるが、自分はこれらのポイントをまずは意識して問題を解いていったのであった。
 こんなん当たり前の内容だろうと思った方はすみません、一旦問題を解く上でのベースの考え方を書かせていただきました。
 何か新しい発見や考え方が得られた方がいたら嬉しく思います。


最後に上記※の箇所、なぜ一般的な回答がダメなのかの考察について書く。
 中小企業診断士の2次試験は、相対評価と言われ、上位2割程の合格者を毎年出している。毎回割合が決まっているため、合格者をその割合に調整していると思われる。そのため2次試験は基本的に「拾い上げる試験」ではなく「落とす試験」なのだ。

 そのため、「落とす」という線を引くためには、採点者に明確な採点のルールがあるはずで、おそらく解答に「キーワード」が入っているか?といった判定が大きくあると思われる。これはふぞろいを見ていると推測できると思う。
 その「キーワード」は、与件に出てきた内容はもちろん、1次に出題された問題や、2次の与件や設問に出てきた言葉だったりする。そのため、意図した「キーワード」が入っていない解答は点数が付かないと思われる。

 そのため、「キーワード」にない一般的な解答を記述してしまうとアウトになるのである。
 そもそも与件に書いていない内容を書かれたところで「与件見てないね」ということで、一番に落とす対象となるだろうことは安易に想像できる。。
 そんなんで、与件が絶対。与件が神様と思って問題に向き合っていくべきなのである。。

今回はこんな内容で以上☆
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