奈々の これが私の生きる道!

映画や読書のお話、日々のあれこれを気ままに綴っています

「魔法使いサリー」よっちゃんと沈丁花

2016-05-02 13:23:08 | 映画・テレビ
 少し前になりますが、ある記事にこんなコメントを頂きました。
 
 「昨日、公園で沈丁花の花が咲いていました。サリーちゃんのよっちゃんが沈丁花の匂い

で亡くなったお母さんを思い出すって話す場面があったのですが覚えていますか?」

 それは、テレビ・アニメの「魔法使いサリー」のエピソードらしかったのですが、残念な

がら私はまったく覚えていませんでした。
 そして、その人は、いつも沈丁花の花を見ると、このシーンを思い出すとのことでした。

 私は、このコメントに、とても嬉しくなりました。
 
 なんて、素敵なコメントでしょう。

 怪獣博士の異名を持つあの人に、こんな素敵な詩心があったとは・・・

 人は見かけによらないって言うけど、こういうことを言うのかしら?

 なんだか、惹かれちゃいそう・・・(真っ赤)


 そういうふうに、しばらくは思っていたのですが、ふとある疑念がわいてきたのです!

 これって、サリーちゃんのエピソードじゃなく、よっちゃんのことですよね?

 あの人、もしかしたら、よっちゃんが好きなんじゃ?
 因みに、これがよっちゃんです。
 

 ふ~ん、そりゃあ、人の好みはいろいろあるから、なかにはサリーちゃんより、よっちゃ

んが好きって人もいるかも?

 だけど、ちょっと待って!

 あの人、私にすごく親切な気がするけど、もしかしたら、私のこと、よっちゃんに似てい

ると思ってるからじゃ?

 私が、よっちゃん?

 それは・・・

 ううん、別に不服がある訳じゃないのよ。

 よっちゃんて、気は優しくて、力持ちで、私も、あんな頼もしいお友だちが欲しいと思う

わ。
 でも、それはあくまでもお友だちに欲しいだけで、私はよっちゃんには全然、似てないと

思うの。

 髪型だって、よっちゃんみたいに結んでないし、どちらかと言えばサリーちゃんか、すみ

れちゃんに似てるような気がするし・・・(汗)

 
 だけど、あの人がよっちゃんのこと、そんなに好きだったら、私の知らない良いところが

、ほかにもあるかも知れない。

 それに、沈丁花のエピソードも気になるし・・・

 そこで、レンタル屋さんでDVDを借りて、確認してみることにしました。

 テレビ・アニメの「魔法使いサリー」のDVDは全部で19枚あり、全109話が収録されて

います。

 ついでに、横山光輝さんの原作本も読んでみました。

 これには、噂でしか知らなかった元のタイトルの「魔法使いサニー」のカラーの扉絵も収

録してあり、ちょっと感激しちゃいました。


 また、その本には横山光輝さんが、「魔法使いサリー」を誕生させた経緯も書いてありま

した。
 それによると、横山光輝さんは、女の子の優しさや、思いやりが魔法で叶えられるように

なればいいなと思っていたそうです。
 それと当時のアニメは男の子のものばかりで、女の子の見るアニメもあっていいじゃない

かと考えて、「魔法使いサリー」を創ったとか。
 だから、「魔法使いサリー」は記念すべき、女の子向けの初めてのアニメだったのです。
 しかし、そうは言えウィキペディアによると、男の子も結構、観ていたらしいです。
 つまり、よっちゃんの沈丁花のエピソードが好きだと教えてくれたあの人も、その中の一

人だったようです。

 それで、「魔法使いサリー」をつぶさに観てみたら、よっちゃんは想像以上に素晴らしい

女の子だということが分かってきました。

 よっちゃんの本名は、花村よし子で、自由が丘小学校の5年生、個人タクシーのドライバ

ーをしているお父さんと、小学校に上がる前のトン吉、チン平、カン太の三つ子の弟がいま

す。
 お母さんは数年前に亡くなっていて、弟の面倒を見たり、家事はよっちゃんが主に一人で

こなしています。
 これだけでも偉いのに、このよっちゃん、5年生なのに、「母の友」という母親向けの雑

誌を購読しているのです。
 その訳をサリーちゃんに聞かれ、「弟たちをどこに出しても恥ずかしくない子に育てるた

め」と答え、さらにこう続けるのです。
 「お母さんがいないからお行儀が悪いなんて言われたら悔しいもん。天国にいるお母ちゃ

んにすまないわ。」

 よっちゃんちの収入源はお父さん一人だけで、生活はかなり苦しいみたいです。
 それでも、よっちゃんはそうした境遇に負けないで、幼いながら、天国のお母さんを想い

、けなげに家庭を守っているのでした。

 そんなよっちゃんにも夢があります。
 その夢を書いた作文がありますので、ご紹介しますね。

 「魔女になりたい」
 これが、私の夢であった。
 欲張りのせいか、なりたいものが沢山あったからだ。
 宇宙飛行士になって、火星に一番乗りするとか、世界的に有名な外科医になって、ダメだ

と言われた手術に成功する。
 みんなからは男の子みたいだと言われても仕方がなく・・・
 けれど、私も女の子、有名なピアニストになったり、バレエのプリマになって世界中を踊

りまわる。超満員のお客様からの嵐のような拍手と歓声。お金持ちの娘になって、贅沢な生

活をしてみたいとも思う。

 ところで、私は毎日、学校が終わると、晩ごはんの支度のことで、頭がいっぱいになる。
 母がいないからだ。
 時には弟たちがお腹をすかせて待っている。ご飯の支度をしながら、いつも母のことを思

い出します。
 私は弟たちを叱ってばかりいますが、母は一度も私たちを叱りませんでした。
 母は私たちが悪いことをした時には、いつも私たちを叱らないで、母自身の子供の時のい

たずらの話をして、自分も両親をよく困らせたものだと苦笑するだけでした。
 私はこんな時の母が一番好きでした。
 母であると同時に、何でも話せる友達であるからです。
 母の子供の頃の話を聞いていると、私たちはもう二度と悪いことをして、この母を困らせ

まいと心に誓うのでした。
 そんな母が死んでからというもの、弟たちの乱暴が激しくなりました。
 母がいなくなった淋しさを、どこにぶつけていいのか分からなくなっているのかも知れま

せん。
 私たちが尊敬し、何でも知っていて、素晴らしい人は母です。
 何でも出来るのがそうなら、母は私たちにとって魔女かも知れません。
 大きくなったら、私もきっと母みたいな人になろうと思います。 

 

 ところが、よっちゃんがこんなに頑張っているのに、弟たちの乱暴は絶えず、とうとう警

察に呼び出されてしまいます。
 そこで、弟たちが乱暴をした子供の親に、「結局、こういう乱暴な子供が生まれるという

ことは親の愛情が足りないからです。親がしっかりしていないから、こういうことになるん

です。愛情の問題なんです。」と言われ、よっちゃんはすっかりしょげてしまうのです。
 そのあとで、よっちゃんはサリーちゃんを連れて、家に帰り、古いアルバムを出して、お

母さんの思い出を語るのです。

 「これが、あたしのお母ちゃんよ。すごく優しいお母ちゃんだったわ。
 沈丁花の花が好きだったわ。
 うちのお母ちゃん、いつも編み物していたのよ。
 学校から帰って、家の前に来ると、ザーザーという音がして、ああ、今日もお母ちゃんが

いるなって安心したんだわ。」


 でも、そこまで喋ったよっちゃんは、お母さんが恋しくてたまらなくなり、「お母ちゃん

、どうして死んじゃったのさ・・・」と、その場に泣き崩れてしまうのです。

 それを見ていたサリーちゃんは、よっちゃんが可哀想でならず、魔法で天国のお母さんに

会わせてあげるのです。  

 よっちゃんも、お母さんもともに泣いて、久しぶりの再会を喜びました・・・


 そうして、大好きだったお母さんに会えたよっちゃんは一晩中、お母さんに甘えるのでし

た・・・

 
 次の朝、よっちゃんは沈丁花の匂いで、目が覚めます。
 居間の机の上に綺麗な沈丁花があり、そこからいい匂いがしていたのです。
 
 やがて、家族みな集まり、「お母ちゃんの匂いがする」と言って、沈丁花の匂いをかいで

、お母さんの思い出にひたるのでした・・・

 
 よっちゃん一家のけなげに生きようとするお話に、私も涙がこぼれるのを抑え切れません

でした・・・

 怪獣博士の異名を持つあの人に、こういう素晴らしいお話に感動する優しい一面があった

なんて・・・本当はすごく素敵な人かも・・・(真っ赤)


 ところが、そう思う間もなく、次の瞬間、画面に大きく映し出されたものを見て、びっく

り仰天してしまいました!


 こ、こ、これは、一体???


 そこには、あの人の大好きな怪獣が映っていたのです!!

 よっちゃんのお母さんは、天国では雲で編み物をしていて、怪獣が大好きな三つ子のため

に、怪獣の雲を編んだのでした。


 もし、よっちゃんのお母さんが怪獣の雲を編んでなかったら、怪獣博士の異名を持つあの

人は、それでも感動したのでしょうか?

 それでも感動したと思いたい私・・・


 怪獣博士、本当は一体、どうなの~~~???



 どうして、こんな終わり方になっちゃう訳?(苦笑)