「歴代と比較しても圧倒的な高温で異常気象だったといえる」
8月28日に気象庁の「異常気象分析検討会」で結論付けられた内容です。
「天気のことわざは本当に当たるのか考えてみた」などの著者
気象予報士の猪熊隆之さんがは、
気象庁が「ここまで強い表現を用いるのは極めて稀である」と
地平線通信533号に、異様な猛暑に見舞われた2023年夏の
特徴と要因など見解を述べています。
まず今夏の猛暑の特徴は7月と8月では大きく異なるといいます。
(以下引用)
a) 7月の東・北日本の太平洋側中心の猛暑
太平洋高気圧の中心が日本の南東海上にあり、
梅雨前線は、7月中旬まで日本海から北日本に停滞することが多く、
7月上旬は九州北部で、中旬には秋田県で記録的な大雨になった。
日本列島は高気圧の北側に位置したため、西風が卓越したことが多く、
山越えのフェーン現象となる関東から東北の太平洋側で記録的な暑さになった。
b) 8月の東・北日本の日本海側中心の猛暑
上旬から中旬にかけて、西日本付近に低気圧や台風が接近することが多かったので
南東風が卓越し日本海側や京阪神地方で猛暑になった。中旬以降は高気圧が北上し、
北海道最北端の稚内市と同じ北緯45度付近に位置するようになった。
このため日本の大部分は高気圧の南側の偏西風のエリアになり、東風が卓越したため、
フェーン現象となった新潟県では5日連続全国1位の高温を記録、北海道では
5日連続で観測史上最高の気温を更新するなど、新潟県と北日本の日本海側で
記録的な猛暑が続いた。
なるほど、7月の秋田市内の冠水被害や比較的涼しいイメージがある(ヤマセの年など)
三陸など東北太平洋側での気温の高さは記憶に新しいところです。
そして8月の日本海側の猛暑は酒田も当該地域であるだけにつらい思いをしました。
お盆を過ぎても一向に涼しくならない。
そんな中でもとりわけお隣新潟県の連日の高温数値と、北海道で猛暑日が続くという
前代未聞の異常現象には驚きをもって見ていました。
この異常高温は日本に限ったことではなく、EUの気象情報機関は、
世界の平均気温が観測史上もっとも高くなったと発表しています。
国連のグテーレス議長はこう述べました。
「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代がきた」
その要因として気象庁の検討会では、
「太平洋高気圧が記録的に強まったこと」としています。
それに加えてチベット高気圧の勢力も強かった。
また日本近海の海面水温が高く、特に三陸沖では平年に比べ5℃以上も高い。
本来なら海水温が低いエリアです。
このため通常なら海からの風で気温の上昇が抑えられる仙台市など
東北の太平洋側では海風が吹いても気温が下がらなかったわけです。
このように7月は東・北日本の太平洋側で、8月は北日本を中心とする
日本海側でフェーン現象となり、それが継続的に続いたことも
地球温暖化によって地球全体の地上付近の大気が温められていることも相まって、
記録的な猛暑に強く影響しているといいます。
稚内市より北に太平洋高気圧の中心がある天気図を見た日、
猪熊さんは真夏なのに寒気を覚えたといいます。
50年近く天気図を毎日見ている筆者にとって、
それは恐怖を感じるものだったと。
ベテランの気象予報士が恐怖を感じるような天気が、
まさにこの夏の出来事だったわけです。
今更ながらゾ~としますね。
来年以降の夏の天気が大変気になります。
猪熊さんはこう締めくくり、予測します。
今後温暖化が進んでも、毎年毎年猛暑になるわけではない。
それほど暑くならない年もあれば、猛暑になる年もあるだろう。
ただし、暑くなる年の頻度は多くなり、今夏のように
経験しなかったような猛暑を観測する年が数年に一度、
出現することが考えられる。
また猛暑日や熱帯夜が増え、北海道では猛暑になるか
天候不順で大雨が降るかの二択になる年が増えるであろう。
また猪熊さんは異常気象の山への影響にも言及しています。
猛暑で雨が少なかった北アルプスでは、北部の山小屋を中心に
深刻な水不足になりました。
また白馬大雪渓では雪渓の融解が進み、
初めて8月中に通行止めになりました。
今後、夏の高温によってブナやミズナラの原生林が枯死したり、
高山植物やライチョウなど、逃げ場のない環境にいる動植物が
絶滅したりといった影響が心配される。
さらに雪渓などのルートは早くから崩壊が進み、
一般的な登山ルートとしては適切でなくなる可能性もある、と。
あんなに暑かった夏を経験したにもかかわらず、
のど元過ぎてその異常さを忘れかけている私たちにとって、
とてもショッキングで怖いお話でした。
この先も作物を育てるいち生産者として、
また地球上に存在している生き物のはしくれとして、
非常に生きにくい環境になっていくのは間違いなさそうです。
8月28日に気象庁の「異常気象分析検討会」で結論付けられた内容です。
「天気のことわざは本当に当たるのか考えてみた」などの著者
気象予報士の猪熊隆之さんがは、
気象庁が「ここまで強い表現を用いるのは極めて稀である」と
地平線通信533号に、異様な猛暑に見舞われた2023年夏の
特徴と要因など見解を述べています。
まず今夏の猛暑の特徴は7月と8月では大きく異なるといいます。
(以下引用)
a) 7月の東・北日本の太平洋側中心の猛暑
太平洋高気圧の中心が日本の南東海上にあり、
梅雨前線は、7月中旬まで日本海から北日本に停滞することが多く、
7月上旬は九州北部で、中旬には秋田県で記録的な大雨になった。
日本列島は高気圧の北側に位置したため、西風が卓越したことが多く、
山越えのフェーン現象となる関東から東北の太平洋側で記録的な暑さになった。
b) 8月の東・北日本の日本海側中心の猛暑
上旬から中旬にかけて、西日本付近に低気圧や台風が接近することが多かったので
南東風が卓越し日本海側や京阪神地方で猛暑になった。中旬以降は高気圧が北上し、
北海道最北端の稚内市と同じ北緯45度付近に位置するようになった。
このため日本の大部分は高気圧の南側の偏西風のエリアになり、東風が卓越したため、
フェーン現象となった新潟県では5日連続全国1位の高温を記録、北海道では
5日連続で観測史上最高の気温を更新するなど、新潟県と北日本の日本海側で
記録的な猛暑が続いた。
なるほど、7月の秋田市内の冠水被害や比較的涼しいイメージがある(ヤマセの年など)
三陸など東北太平洋側での気温の高さは記憶に新しいところです。
そして8月の日本海側の猛暑は酒田も当該地域であるだけにつらい思いをしました。
お盆を過ぎても一向に涼しくならない。
そんな中でもとりわけお隣新潟県の連日の高温数値と、北海道で猛暑日が続くという
前代未聞の異常現象には驚きをもって見ていました。
この異常高温は日本に限ったことではなく、EUの気象情報機関は、
世界の平均気温が観測史上もっとも高くなったと発表しています。
国連のグテーレス議長はこう述べました。
「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代がきた」
その要因として気象庁の検討会では、
「太平洋高気圧が記録的に強まったこと」としています。
それに加えてチベット高気圧の勢力も強かった。
また日本近海の海面水温が高く、特に三陸沖では平年に比べ5℃以上も高い。
本来なら海水温が低いエリアです。
このため通常なら海からの風で気温の上昇が抑えられる仙台市など
東北の太平洋側では海風が吹いても気温が下がらなかったわけです。
このように7月は東・北日本の太平洋側で、8月は北日本を中心とする
日本海側でフェーン現象となり、それが継続的に続いたことも
地球温暖化によって地球全体の地上付近の大気が温められていることも相まって、
記録的な猛暑に強く影響しているといいます。
稚内市より北に太平洋高気圧の中心がある天気図を見た日、
猪熊さんは真夏なのに寒気を覚えたといいます。
50年近く天気図を毎日見ている筆者にとって、
それは恐怖を感じるものだったと。
ベテランの気象予報士が恐怖を感じるような天気が、
まさにこの夏の出来事だったわけです。
今更ながらゾ~としますね。
来年以降の夏の天気が大変気になります。
猪熊さんはこう締めくくり、予測します。
今後温暖化が進んでも、毎年毎年猛暑になるわけではない。
それほど暑くならない年もあれば、猛暑になる年もあるだろう。
ただし、暑くなる年の頻度は多くなり、今夏のように
経験しなかったような猛暑を観測する年が数年に一度、
出現することが考えられる。
また猛暑日や熱帯夜が増え、北海道では猛暑になるか
天候不順で大雨が降るかの二択になる年が増えるであろう。
また猪熊さんは異常気象の山への影響にも言及しています。
猛暑で雨が少なかった北アルプスでは、北部の山小屋を中心に
深刻な水不足になりました。
また白馬大雪渓では雪渓の融解が進み、
初めて8月中に通行止めになりました。
今後、夏の高温によってブナやミズナラの原生林が枯死したり、
高山植物やライチョウなど、逃げ場のない環境にいる動植物が
絶滅したりといった影響が心配される。
さらに雪渓などのルートは早くから崩壊が進み、
一般的な登山ルートとしては適切でなくなる可能性もある、と。
あんなに暑かった夏を経験したにもかかわらず、
のど元過ぎてその異常さを忘れかけている私たちにとって、
とてもショッキングで怖いお話でした。
この先も作物を育てるいち生産者として、
また地球上に存在している生き物のはしくれとして、
非常に生きにくい環境になっていくのは間違いなさそうです。
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