透明な気圏の中から

日々の生活の中で感じたこと、好きな作家についての思いなどを書いてみたいと思います。

「100分de名著『ファーブル昆虫記』」

2014-08-21 21:08:13 | 日記

 曇りのち晴れ。最低気温17.6℃、最高気温26.5℃。

「100分de名著」というNHKのテレビ番組がある。なかなか読むことができないような本でも、司会者や解説者が時にはおしゃべりを交えて、エッセンスとなる部分を提示してくれるので、たいそう興味がそそられるものだ。

先日は『ファーブル昆虫記』が取り上げられていた。ファーブルが貧しい家庭に育ち、14歳で自分で食べていかなけばならないほどのどん底の中にあっても文学に惹かれる心を詩で潤し、学問する道を切り開いていったことを初めて知った。

このファーブルの生い立ちにも魅せられるが、糞虫や狩りバチの生態について詳細に書かれた部分は新鮮で驚くことばかりだった。

例えば、狩りバチの一種であるコブツチスガリはゾウムシを狩るのだが、獲物の神経器官が集中している一点を針でさして麻痺させ、長期間生きたまま、つまり新鮮な状態を保って餌にしていたというのである。

狩りバチはまた麻痺させた獲物に卵を産み付けるのだが、産卵場所はこの獲物がもがいても取られない場所だという。狩りバチの幼虫もまた、誰に教えられたわけでもないのに、獲物の体に食い入り、食べてもこの獲物が死んでしまわない部分から順に食べていくというので、私の驚きは頂点に達した。

NHKテキストによると、ファーブルは「・・・・・・ツチスガリの選択は、最も深い生理学と、最も精密な解剖学だけが教えることと一致している。・・・・・・」と書いている。虫たちと根気強く、忍耐強く付き合い、独善や想像を排することを信条としてその生態を明らかにしようとした姿が垣間見えた。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 目立たない花 | トップ | 「暮らしかた冒険家」という... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日記」カテゴリの最新記事