井上ひさし氏が2010年4月9日に75歳で亡くなられてから今年で3年目となります。『イーハトーボの劇列車』や『国語事件殺人辞典』を手にして、面白くて笑いがこみ上げてきたことを思い出します。あの、「ひょっこりひょうたん島」の作者でもありました。当時の私は毎日楽しみにしていました。社会科のテストで外国の貨幣の単位の名称に関するテストがあり、日本は円、〇〇国ではという問いに「ガバス」と答案に書いた人がいたくらい、生活に浸透していたといえるかもしれません。奇想天外な発想に、説得力ある構成力で、程よい笑いを誘う作品の数々を手がけておられた方でした。作文指導の熱心さについても、文庫本で知り、そのエネルギーに感心させられました。
劇団「こまつ座」の機関紙「the 座」に寄せられた文章の一節といわれている次の言葉は何度読んでもいいなと思います。
「むずかしことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく おもしろいことをまじめに まじめなことをゆかいに ゆかいなことをいっそうゆかいに」
「むずかしいことを」いっそうむずかしくしない、されない、させない、ように日々心がけたい今日この頃です。