♪シンガーソングライター★近井智沙子のブログ☆彡

シンガーソングライターは趣味と言い切る近井智沙子のちょっとした日常を書き留めます。

悪夢

2006-01-17 | Tue:推理小説と私
ハヤカワ・ポケットミステリで思い出したのだが、
その中でコーネル・ウールリッチ名義の「悪夢」も
よかった。

それもそのはず、その本には“ウールリッチ傑作集”と
銘打っている。

その最初の短編が『悪夢』だが、善良な一市民に
とっては全くおぞましい悪夢が展開されている。

推理小説は通常謎解きが大きなテーマになるが、
アイリッシュことウールリッチの書く小説は何とも
言えないどうしようもないほどの心理描写を主と
した全く新しいタイプの推理小説なのだ。

人を殺した夢を見るだけならまだしも目が覚めてから
現実にその夢で使った凶器を自分が持っていたら、
気が狂ってしまうほどの恐怖と絶望だろう。

刑事である、姉の旦那に助けを求めるが信じてもらえず、
自殺するまでに追い込まれる。

ウールリッチの作品はほとんどどの作品でもそうだが、
絶望のどん底からほんの少しでも誰か1人でも自分の
言っていることを信じてくれる瞬間ができたとき、
ピンピンに張り詰めた緊張が緩むせいか涙が出る。

読んでいるときは入り込んでしまうが、読み終わった
後はいつも物語でよかったと思うし、読書するだけで
こんなに心情を揺さぶられるなんて素晴らしい小説だと
思う。

アイリッシュが好きな人にはヤミツキだ。
コメント
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