マイク・ポートノイがDREAM THEATERに復帰したってのは、去年表明された通り。
同時に、それまでに携わってきたバンド/プロジェクトの殆どを停止させるとも公言。
個人的に、このドリムシ復帰がなければ、ポートノイに対してはTHE WINERY DOGSとSONS OF APOLLO(以下SOA)での恒久的活動を期待していた。
ただ、上記に伴い、SOAは活動停止どころか、解体という結果となってしまった。
コレに関しては、ポートノイは「自分がドリムシに戻った事が原因ではない」と述べているとの事だが、他方ではビリー・シーンがMR.BIGでの活動を再開させている点も挙げられ、このリズムセクションがホームと言えるバンド活動を本格始動させた事により、SOAのコンポーザーであるロン”バンブルフット”サールと、デレク・シェリニアンはSOAとしての活動を見つめ直す決意をしたのは間違いではないと思うんだよね。
少なくとも、デレクは2nd以降のメンバーの動きを見ていて、SOAはこれ以上続けることはできないんじゃないかと、早い段階で別のバンドとして動く事を考えていたらしいし。
同時に、ポートノイとビリーの2人の存在を尊重する振る舞いとして、SOA解体を表明したというのが、個人的考察。
WHOM GODS DESTROY(以下WGD)の『INSANIUM』。
ヤス・ノムラ(B)とブルーノ・ヴァルヴェルデ(Ds)、そしてディノ・ジェルーシック(Vo)という3人を迎えての1st。
一応、先行MVで「OVER AGAIN」を視聴したんだが、djent(ジェント)の歪な蠢きが絡むフレーズが出てきた時に、SOAとかなり雰囲気が変わった事に驚いた(というか、そもそも最早別バンドとして始動しているから、違いはあって当然なのだが)と同時に、ディノの歌唱に不和を感じたので、ギクシャクした感覚で抵抗感を覚えた。
その後に「IN THE NAME OF WAR」を視聴した時に、なんとなくWGDの音楽観が見えた様な気がした。
ただ、
やっぱりちゃんとアルバムとして聴くべきだね、何度も思うのは。
SOAのメンバーは、HR/HMシーンに於いて名うての超絶技巧プレイヤーの集まりであり、AOR調を活かしたプログレッシヴ/テクニカルメタルといった、正にメンバーのキャリアを通した音楽センスを凝縮させた音楽形態となっていた。
WDGは、そこから更に次世代の血を取り入れた音楽形態へと一歩踏み出したものとなっている。
ここに関しては、ヤスとブルーノという、ロンとデレクよりも下の年代であるからこその時代的空気と演奏流儀を持つ手練れが加わった事が大きいと言えるし、何よりも、ディノのヴォーカルがソレを殊更に主張している。
SOAではジェフ・スコット・ソートがヴォーカルを務めていたが、彼はやはりAOR調の雰囲気を携えた音楽としては、無類の強さを発揮するシンガーであり、それがSOAの音楽を聴き入れやすい要素として重要な部分を占めていたと思う。
ただ、WGDはより現代的な音楽要素を導入している事により、同系列の声質ではあるものの、より熱苦しく押しの強いディノの歌唱の方が、バンドとして成立していると捉える事ができる。
アルバムの楽曲も、取り分けジェンティな雰囲気がメインというワケでもなく、ホントにSOAの正常進化と捉えられる様な楽曲が並んでるので、入り込みに時間を必要とするが、寧ろ聴き込むほどに曲への探求欲が深まる刺激を擁している。
一先ず、ロンとデレクによるタッグが織りなすバンドとして、WGDが新たに始動したワケだが、コレが単発で終わるのかこれからも継続されるのかは、未知数ってところだね。
色々と出来てしまうプレイヤーである故に、次のアルバムをどうするかっていうある種の標榜を立てる事が難しそうな気がしないでもないが、独特の雰囲気を持たせたバンドである事実からして、次の動きを期待したいね。