カラスといちごとクロッカスと

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個人の目をとおしてお届けします。

エリゲロン

2023年07月17日 08時00分00秒 | キク科
2013.06.12撮影

これは、うちのエリゲロン(だった)。

「だった」というのは、悲しい物語があるのです。その悲しい物語というのは、いつもの、樹木が大きくなって日陰ができて、植物がおなくなりになった、だと思うでしょ。違うんです。

わたしのエリゲロンに起こった、このあまりにも悲しい出来事は、今思い返しても、なぜこんなことに?? とよく理解ができない。

このお話をする前に、バンクーバーの宅地がどのようになっているか、一般的なところを説明します。住宅地は、次のようになっています。車道から家屋に向かって、

1.車道
2.(芝生+)歩道
3.市の所有地で、住宅の所有者が管理を任されている土地(半〜数m)
4.住宅の前庭
5.家屋
6.住宅の裏庭
7.車庫
8.市の所有地で、住宅の所有者が管理を任されている土地(半mぐらい)
9.路地

わたしがこのエリゲロンを植えたのは、うちの南側の庭(=裏庭)が、まだ芝生と野菜畑で、花壇のなかったときです。太陽の当たるところを求めて、わたしは、このエリゲロンを8の市の所有地に植えました。うちが管理を任されている土地です。

8は、車庫と路地の間の部分であるので、大抵のうちではその土地をコンクリートで固めてあります。そして、うちもそうしてあります。ところが、お隣に接した部分に、わずかに土がむき出しになった所があります。

その土がむき出しの部分の向こうには、お隣が、自分の裏庭の延長として花壇にしている、市の所有地がつづいています。

(うちのあたりの住宅地では、法律で、車が最低2台は止められる車庫、あるいは、カーポートを作ることになっているのですが、この家は、法律違反をして、車を止める施設を作っていないのです。だからね、お庭が広いのよ。)

わたしは、このピンクのエリゲロンを植えて、何年もきれいに元気に咲いてくれて、大満足でした。

2013.06.12撮影

上の画像をご覧ください。石畳というか、コンクリートの部分が見えますね? これは、うちの敷地内のものです。お隣との境界線は、画像で右上から斜めに降りてくる石畳の端より向こうにあります。

ですから、このピンクのエリゲロンがきれいに咲いている土地は、うちが市に委託されている土地なんです。つまりは、常識の範囲内であれば、うちがこの部分の土地をどうしようが勝手、、、

ある日、エリゲロンを目で楽しもうと路地の方へ出ていったら、ない、ない、ない、エリゲロンがどこにもない、ないだけでなく、掘り起こした形跡がある、まさか、お隣が??? そんなことないだろ、だって、そこを掘り起こすなら、ついでに、他の植物も掘り起こしただろうから、それに、植物好きの隣のおばさんがあんなにきれいに咲いていた植物を引き抜くわけがない、どこ? どこ? どこへ行った? 一体、だれがこんなことを?

と思いながら、周りを見てみると、ははあ、シャベルが立てかけてあるじゃないか、ということは、人が意図的に掘ったということである。だれよ、こんなところにシャベルを忘れているのは・・・よそからわざわざ出かけてきた人が道具を忘れていく、とは考えにくい。

そのあたりで、これは隣だろう、と思ったが、腹立ち紛れに怒鳴り込んでも仕方がないので、お涙頂戴作戦に出ることにした。

掘り起こされた周辺に木の枝を刺して、ヒモをめぐらせ、そのヒモに嘆願書をくくりつけた。その嘆願書、曰く

2013.06.12撮影

ここには、わたしが大好きな花を植えてありました。たいへんきれいな花です。そして、昨日までここできれいに咲いていました。でも、今、ありません。どこへ行ったんでしょう。だれかが掘ったんでしょうか。掘った方、あるいは、ゆくへをご存知の方、わたしの花がどこにあるか、教えてくださいませんか。早く返してください。大急ぎで植えて、救いたいですから。

すると、1時間もしないうちに、隣のおばさんがすっ飛んできました。あの花、あなたが植えたのだと知らなかった、って。申し訳ない、申し訳ない、って。

わたしは、心の中で、あんな花がだれも植えないのに咲くわけないだろ? 植えるとしたら、お宅じゃなければ、うちだろ? と思ったが、口に出したのは、じゃあ、抜いたのを植えてくださいよ。すると、もう捨てた、と言うわけです。(え? なんであんなきれいな花を捨てる? 第一、抜く?)

この辺でわたしは面倒くさくなって、じゃあ、あそこの土地、お宅の路地沿いの花壇の延長にあるから、今後は、お宅が管理してくれない? 

と言うことで、今は、あちらは、なんか、触っていいのかな、いけないのかな、という感じで世話しているみたいです。でも、きれいな花は植えてくれないのよ。

いや、別にお隣とは喧嘩していませんよ。それぞれ別人格だから考えることも違うのだろう、と思っていますから。悪意はなかったはずなんです、、、でも、なんできれいに咲き乱れている花を、わざわざ抜いて捨てる? そのへんがもう10年経った今でも不思議に思うんです。

2013.06.12撮影

あの事件以来、これと同じエリゲロンを手に入れたいと思っているんです。特に、南側に花壇を作ったので、そこに植えたい。なんなら、路地側の、例の同じところにもう一度植えてもいい。でも、なぜか、植物屋さんで見つからない。大きいお店へ行っているんですけどね。

学名 Erigeron glaucus
英名 Seaside fleabane「浜辺のキク」
別名 Beach aster「海岸のアスター」
別名 Seaside daisy「浜辺のデイジー」
和名 ないもよう
キク科(Asteraceae)ムカシヨモギ属(Erigeron
原産 アメリカ合衆国西海岸(オレゴン州〜カリフォルニア州)

このエリゲロンの学名の種小名 glaucus は、「灰色っぽい、灰緑の」という意味です。上の画像内の葉をご覧ください。灰色がかっていますね。

このラテン語 glaucus は、Rosa glauca「ロサ・グラウカ」のところですでにご紹介しました。

花より団子、ヒップより花

Erigeron glaucus「エリゲロン・グラウクス」は、ムカシヨモギ属(Erigeron)ですから、ヒメジョオン(Erigeron annuus)の親戚です。「エリゲロン・グラウクス」英名は、 Seaside daisy「浜辺のデイジー」などで、これは、自生地が海岸線であることを表します。

分布は、アメリカ合衆国西海岸ですが、カリフォルニア州から北にたどってオレゴン州までで、その北のワシントン州、そして、国境を超えてさらに北のブリティッシュ・コロンビア州には自生しません。つまり、このエリゲロンは、ブリティッシュ・コロンビア州では、庭の花であることになります。


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マーガレット、って?

2023年07月16日 08時00分00秒 | キク科
Leucanthemum vulgare(フランスギク)
撮影者:AnRo0002 
撮影日:2017.05.25
オリジナルからの改変、なし

今日は、シャスタ・デイジーに見かけのよく似ている「マーガレット」についてお送りしたいと思います。

シャスタ・デイジーの第一の親種は、冒頭の画像に見える、フランスギク(Leucanthemum vulgare)です。

シャスタ・デイジー、出生物語

学名 Leucanthemum vulgare 
英名 Ox-eye daisy「牛の目のデイジー」
別名 Marguerite(フランス語から)「マーガリート」
フランス語名 Marguerite commune
和名 フランスギク
キク科(Asteraceae)フランスギク属(Leucanthemum
原産 ヨーロッパ、温帯アジア
移入 北アメリア、オーストラリア、ニュージーランド

原産は、ヨーロッパと温帯アジアですが、この花が特にフランスに多く産したのかどうかは、調べた限りでは、わかりませんでした。ですから、なぜ和名が「フランスギク」なのかは、想像の域を出ません。

基本的には、野草です。北アメリカなどに移入されていて、うちのあたりでも、道端などで見られます。きれいなので欲しいのですが、車の往来する通りまで行って、盗掘できないし・・・植えたものでないのはわかっているのですが。

このキク科の植物の学名 Leucanthemum vulgare は、「俗な、白い、黄色い花」、つまり、「どこにでもある、白い花びらの、真ん中が黄色い花」、つまり、「どこにでもあるデイジー」です。

Leucanthemum vulgare(フランスギク)
撮影者:Andrés Nieto Porras
撮影日:2011.04.01
オリジナルからの改変、なし

フランスギクは、フランス語での名称が、Marguerite commune「マルガリート・コミュン」、それは、英語で、Common marguerite「コモン・マーガリート」、つまり、「普通の、普通にある、マーガリート」、それを略して、Marguerite「マーガリート」。そして、フランス語形 Marguerite「マーガリート」の英語形は、Margaret「マーガレット」。

なので、、、フランスギク(Leucanthemum vulgare)は、日本語的には英語形を使って「マーガレット」でいいんじゃ?

と言いたいですよね。でも、日本ではそうではない。

Argyranthemum frutescens(モクシュンギク)
撮影者:Houss 2020 
撮影日:2021.01.23
オリジナルからの改変、なし

日本語で現在「マーガレット」と呼ばれる植物は、モクシュンギクです。フランスギクとは、属が異なります。

学名 Argyranthemum frutescens
英名 Paris daisy「パリのデイジー」
別名 Marguerite「マーガリート」
別名 Marguerite daisy「マーガリート・デイジー」
和名 モクシュンギク(木春菊)
別名 マーガレット
キク科(Asteraceae)モクシュンギク属(Argyranthemum
原産 カナリア諸島

なぜこんなことが? 英名が、「パリのデイジー」だの、「マーガリート」だの、「マーガリート・デイジー」だの、なら、日本語でも「マーガレット」と呼びたくなりますよね。

そして、実際、このモクシュンギク(Argyranthemum frutescens)が、現在、園芸では「マーガレット」と呼ばれています。

Argyranthemum frutescens(モクシュンギク)
撮影者:Dinkum 
撮影日:2011.09.18
オリジナルからの改変、なし

つまりは、フランスギク(Leucanthemum vulgare)もモクシュンギク(Argyranthemum frutescens)も、Marguerite と呼ばれる。ついでに、フランスギクの園芸種であるシャスタ・デイジー(Leucanthemum × superbum)も、Marguerite と呼ばれたりする。

カタカナの和名をつけるとき、フランスギクとモクシュンギクのどちらに「マーガリート」あるいは「マーガレット」という名称をつけるべきか。

フランスギクの方が元々「マーガレット」と呼ばれ、モクシュンギクは「モクシュンギク」だった、というような説明をあちこちで見ましたが、どちらが先だったかは、わたしにはわかりません。

言えることは、現在、フランスギクが「フランスギク」で、モクシュンギクが「マーガレット」、と呼ばれることです。

なぜこんなことが起こったか。

それは、憶測ではありますが、業界の仕業では? と思います。

「モクシュンギク」という名前では、植物が売れにくい、だから、「マーガレット」と呼ぼうよ。「マーガレット」って、少女趣味よね? 女性の購買意欲をかき立てません? お花も小ぶりでかわいいし。

じゃあ、「マーガレット」という名前を奪われたフランスギクはどうする? 「フランスギク」なんて「おフランスな」名前で気分いいじゃありませんか。でも、大体、なぜ「フランスギク」が「フランスギク」と呼ばれるの?

Argyranthemum frutescens(モクシュンギク)
撮影者:lxitixel 
撮影日:2008.03.21
オリジナルからの改変、なし

モクシュンギクは、漢字で書けば、「木春菊」。「木立」の「春菊」ということです。

株が大きくなってくると、茎が木質化します(上の画像)。そして、その性質を利用して、1本立てに作ることができます(下の画像)。このように作られているモクシュンギク(マーガレット)は、バンクーバーでも売られていますが、耐寒性が低いので一夏のパティオの花になります。あるいは、温室に入れる。

フランスギク属の茎は木化しないはず、わたしの知っている範囲内では。

Argyranthemum frutescens(モクシュンギク)
撮影者:G.castelain
撮影日:2016.03.22
オリジナルからの改変、なし

モクシュンギクの「春菊」の部分は、わたしたちが野菜として食べる「シュンギク」(Glebionis coronaria)の「春菊」です。以下の画像のシュンギクの葉と、3枚前の画像に写るモクシュンギクの葉をお比べください。

フランスギクの葉は、一般に、平たい細長のヘラ状で、縁がギザギザしていることが多いです。青空の写った上の方の画像で葉が見えますか。

2021.09.19撮影(シュンギク)

モクシュンギクも、フランスギクと同じように、白い花びらのものが多いですが、園芸種にはいろいろな色のがあります。

以下のリンク先などでご覧ください。画像が左右に並んでいる右上に、< > があります。そこをクリックすれば、異なる画像が出てきます。

Argyranthemum(英文+画像)
Garden Center Marketing 
https://www.gardencentermarketing.com/plantName/Argyranthemum-frutescens-Multiple-Varieties

また、そこに「Zone:9-11」と書いてありますが、それは、栽培可能な温度の範囲を示すもので、ゾーン8のバンクーバーでは寒すぎる、ということになります。

Argyranthemum frutescens(モクシュンギク)
撮影者:阿橋 HQ
撮影日:2004.02.22
オリジナルからの改変、なし


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うちのシャスタ・デイジー

2023年07月15日 08時00分00秒 | キク科
2023.06.27撮影

わたしはシャスタ・デイジー(Leucanthemum × superbum)が好きです。

その花の咲き方は、基本は、「ヒナギク型」です。「花」の中央が筒状花(管状花)で、その周りが花びらに見える舌状花です。

シャスタ・デイジーは、基本は「ヒナギク型」ですが、交配の進んでいる園芸種では必ずしもそうではありません。昨日の記事で、ご近所さんが育てている園芸種をいくつかご紹介しました。

典型的な「ヒナギク型」のシャスタ・デイジーは、次のような形態です。

ウクライナの野や畑に咲くヒマワリ(Helianthus annuus)も、「ヒナギク型」ですね。(ヒマワリの種の生産は、2020年の統計では、ロシアとウクライナで、世界中の生産の半分以上を占め、ロシアの方がウクライナよりやや多く生産しています。さて、2023年はどうなるのでしょう。)

Common sunflower(英文+画像+統計)

Leucanthemum x superbum 'Becky'(シャスタ・デイジー「ベッキー」)
撮影者:Captain-tucker
撮影日:2009.07.06
オリジナルからの改変、なし

「ヒナギク型」の花を魅力的だと思うのは、わたしだけでしょうか。お目々がぱっちりと開いていて、対面すると、にっこりと微笑みたくなってしまいます。

それで、わたしの庭にも来ていただいたんですよ。ず〜〜〜っと前に。

そうすると、、、同じことをブログ記事に何度も書いて恥ずかしいが、木々が成長して、日陰を作って、お花に陽が当たらなくなって、、、もうそこから先はお分かり、、だ、と、思います。

煮ても焼いても枯れそうにないシャスタ・デイジーさまを(文字通り)なくなるまで放っておいたのは、わたしです。そのようにして、「ヒナギク型」のシャスタ・デイジーを(文字通り)なくしました。

それで、新しく買うことにしたのですが、「ヒナギク型」がなかなか見つからない。流行りすたりということかな? いずれにしても、求めた新しいシャスタ・デイジーは、冒頭の画像に似たシャスタ・デイジーでした。

そうです、「でした」なんです。もう、白状しちゃいます。ここなら大丈夫だろう、と思って植えた場所が、あっという間に日陰になった。うっそ〜〜〜〜。植え替えるにも、ほかにいいところがない。力が抜けた。

これは、わたしが、家の南側から芝生を取り去り、ベリー類の根のからんだのを掘り起こして取りのぞき、陽の当たる南向きの花壇を新たに作る前のことです。

2023.06.13撮影

この南向きの花壇が準備できてから、買ってきましたよ、お花を、続々と。だいぶん、庭らしくなってきました。

日本から帰ってきたら、花壇が、そんな多数の草花でジャングルになっていた。

2021.04.12撮影

3つ目のシャスタ・デイジーを迎えるにあたり、まずインターネットで物色しました。そして、イメージを固め、植物屋さんへ繰り出しました、月に1回ある会員割引の日に。

そして、不思議なことに、そのイメージと同じものを、ひとつ、棚に見つけたのです。要するには、売れ残りだったのだと思います。

上の半開きの画像では、そのシャスタ・デイジーのイメージがつかみにくいと思いますので、次の画像をご覧ください。(焦点のあっていない画像で、済みません。)

2022.07.05撮影

このシャスタ・デイジーは、その園芸種名を ‘Belgian Lace’「ベルギーのレース」といいます。

ベルギーのレース(ブリュッセル・レース)については、次のリンク先など、ご参照ください。

アンティークレースの種類 〜ベルギーのボビンレース〜

シャスタ・デイジー「ベルギーのレース」は、ブリュッセル・レースのように繊細で、それでいて、華やかだ、ということかもしれません。また、筒状花(管状花)の外縁がレモン色の花びらを発達させていても、筒状花(管状花)の中央の部分「目」はそのまま、というところを、ブリュッセル・レースの織り目に例えてあるのかもしれません。

2022.07.05撮影

上の画像には、開花度の異なる花が写っています。

ツボミがほころびかけたときには、花びらは白いものしか見えない(3枚前の画像)のですが、ちょっと開いてくると、花びら全部が黄色く見えます(上の画像で、花びらが縦に立っている花、いくつも)。

もう少し開いてくると、内側の花びらは黄色いままで、外側の花びらは白くなります(上の画像、右下の、半分写っている花、および、直前の画像)。

もっと開いてくると、内側の花びらも白くなってきますが、花びらの根本と花びらの先は黄色いままです(画像、右上の花)。

花がほぼ平らに開いた状態になると、花びらは、全体的に白さが増します(画像中央の花)。

2023.06.27撮影

上の画像は、もっと花の日齢が進んだ状態です。花びらの張りが弱まり、柔らかい印象を受けます。そして、「目」(=筒状花の部分)の割合が小さくなっていっています。外縁の筒状花が、日齢が進むにつれて舌状花に変わっていっているようです。「目」に近い花びらは、根本と先が黄色いままです。

そして、以下が、花がもっと古くなった状態です。ここまで来ると、花は平らな形を失っています。

2023.07.10撮影

以下の画像で、もう一度、シャスタ・デイジーが群れて咲いているところをご覧ください。(わたしは、こういうのを見ると、単純に幸せになる。)

ジャングルの中に埋まっているでしょ? 変ね、なぜ? シャスタ・デイジーって、もっと草丈が高いわよね?

そのはずだったんです。でも、あわて者のわたしは、このシャスタ・デイジーに出会ったとき、その幸運さに感激して、ラベルをまともに読まずに買ってしまったのです。ちっとも大きくならない、と思ったら、「ベルギーのレース」は、矮性種でした。

それで、庭の中を探しに行かないと、このお花は見られないのよ。

もっと咲いてくれるといいなあ。終わりかけの花を取りのぞかなくちゃ。いや、待て、ブラックベリーの収穫の方が、優先事項か?

2023.06.27撮影

昨日、daisy の語源についてお話ししたときに、記事の流れを簡潔にするために説明と出典をつけませんでした。今日、シャスタ・デイジーの話しを終えるにあたり、最後にそれらをつけ加えます。

解釈がふたつあり、一般には、次の1の解釈がなされることがほとんどなのですが、わたしは2の解釈を取りました。なぜなら、1のような花は、他にたくさんあるからです。1だという人々は、花のことをよく知らないのかな。それに、デイジー(ヒナギク)を見たら、太陽そのものでしょう、子どもの描くお日さまのように。

1。花が、夜明けに開き、夕暮れに閉じる、太陽が出ている間だけの「1日」の花

2。花が太陽のように見える、白い花びらが太陽の周りの太陽光線、黄色い中央部分が太陽の球


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ご近所さんのシャスタ・デイジー

2023年07月14日 08時00分00秒 | キク科

2023.07.08撮影「1」

わたしのうちのご近所に、それは、それは、きれいに庭を作っているおうちがあります。わたしの趣味からすると、ちょっとやりすぎ、と思うぐらいなのですが、そのように咲き乱れるのは、かなり肥料を入れているからです。臭うし、見ただけでもわかります。

うちなどは、植物さんたちに、腐葉土や堆肥(コンポスト)で生活してもらっているので、そのような茂り方、咲き方はしません。

そのおうちは、敷地内で庭を作っているだけでなく、敷地周りの、市所有の公共の歩道の両脇にも花を植えています。実は、これは、バンクーバー市では許されていることで、うちのあたりでも、他にする人もいます。

冒頭の画像は、その、花を派手やかに植えているご近所さんが、歩道と車道の間に植えてあるシャスタ・デイジーです。この画像(下の画像も)は、昨日もお見せしました。夕方の西日に当たっているところです。それで、上の画像では、花びらの色が真っ白ではありません。

2023.07.08撮影「1」

わたしは、ときどき、ご近所を歩いて、花の写真を撮ります。市所有の土地だと知っていても、やはり、よそ様が作っている花に近寄って写真を撮るって、ちょっと気が引けますよ。

わたしが、自分が作っている花の写真を撮るのは、普通は、夕方から、日没前にかけてです。そのころには光の具合が均等になってくるので、花に陰影を入れずに撮影することができます。

ところが、そんな、撮影に適した(とわたしが思う)時間である夕暮に、うろつきながら、人の家に近づいたり離れたり、花をしげしげ見たり吟味したり、ってねえ、できるもんじゃありませんよ。それで、ご近所での花の撮影には、怪しまれないように、と、まだ日の高いうちに出かけることになります。

そうすると、冒頭のようなテカテカした画像になります(修正してありません)。直前の画像は、わたしが自分の体で影を作って写したのですが、被写体を覆いきれませんでした。でも、これで、花びらの白さが出ました。

黒い雨傘でも持っていけばいいか? 中国系のおばさん、おばあさんたちが、雨傘を日傘がわりに使うので、そんなに目立たないかも・・・

今日の画像は、みんな、わたしが満足していない環境で撮った写真です。光線の加減で目がチカチカ、カチカチするかもしれませんが、ご容赦ください。

今日も、昨日に続き、シャスタ・デイジーです。

2023.07.08撮影「2」

「1」と番号をつけた1番目と2番目の画像は、シャスタ・デイジー作出の初期の姿を濃くとどめている種類ではないか、と想像します。

では、直前の画像「2」は、どうでしょう。「1」の「花びら」がスッと平たく線状に長めに伸びているのに対し、「2」の花びらは、短めでプツと切れたみたい、アイロンかけが必要かな、と思わされるような丸まり具合ですね? おまけに、「2」は、かなり草丈が低いんです。

次も、「2」です。

2023.07.08撮影「2」

「1」と「2」は、わたしの目には、ずいぶん形質が異なります。ひょっとして、「2」は、シャスタ・デイジーではないのでしょうか。

2023.07.08撮影「3」

上の画像「3」は、シャスタ・デージーと見ていいと思います。花びらの先が「ヘビの舌先のように」割れています。

「3」のまだ開ききらない花は、次の画像のようなこんな感じです。

2023.07.08撮影「3」

キク科(Asteraceae)の花の作りは、次の3種類の可能性があります。

・筒状花(管状花)のみ(例:ハハコグサ)
・筒状花(管状花)と舌状花(例:ヒナギク)
・舌状花のみ(例:タンポポ)

シャスタ・デイジーは、「ヒナギク型」、つまり、筒状花が中央に、舌状花がその周りを取り囲む花です。「ひとつの花」に見えるものは、多くの花の集合です。上で「花びら」と言ったのは、この舌状花の花びら部分です。

英語で Daisy「デイジー」と言うと、次のような花を指します。
・Daisy(ヒナギク Bellis perennis
・Ox-eye daisy(フランスギク Leucanthemum vulgare
・Nippon daisy(ハマギク Nipponanthemum nipponicum
・Shasta daisy(シャスタ・デイジー Leucanthemum x superbum

daisy の語源的な語の成り立ちは、day’s eye「1日の目」です。舌状花を太陽に、筒状花を「目」に見立て、太陽が「1日」の周期を表すので、「太陽=1日」から、day’s eye「太陽の目」となります。

Bellis perennis(ヒナゲシ)
撮影者:Alexmenk
撮影日:2011.04.10
オリジナルからの改変、なし

ここから後の「4」と「5」は、デイジーの「目の部分」、すなわち、花びらの出ていない筒状花であるはずのところが、変形したものです。

2023.07.08撮影「4」

「4」は、中央部分の、本来、筒状花であり花びらがないはずのところに、小さいながらも花びらが出ています。その小さい花びらが白いので、結果的に黄色い部分が少なくなっています。

2023.07.08撮影「5」

「5」は、「4」とは別の種類の花を、上部から撮影したものです。この園芸種では、筒状花はほとんど失われています。そして、元の筒状花の花全体に占める割合が大きくなっているようです。

舌状花は、ないわけではないのですが、撮影の向きの加減で、ほとんど見えていません。花の左下に少し飛び出して見えるぐらい。それと、画像左上の花の舌状花が見えます。

次も「5」です。小さい、短い花びらでほぼ球状になっています。こんにちは、アリさん。

2023.07.08撮影「5」

このように、このご近所のおうちは、何種類ものシャスタ・デイジーを育ています。市所有の土地に花を栽培しているわけですが、道行く人々の目を楽しませてくれます。

で、ちゃっかり、このおうちの人、「植物を有料でお分けします」って、電柱に張り紙してあるんですよ〜〜。わたしは、前に、向こうから「あげる」と言って、ただでタネをもらったけど。タネだもんね、苗じゃなくて。ひょっとして、この人たちは、生業が苗屋さんなのかしら。そこまで個人的な話はしていませんから、知りません。


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シャスタ・デイジー、出生物語

2023年07月13日 09時00分00秒 | キク科
Leucanthemum × superbum(シャスタ・デイジー)
撮影者:Jamain
撮影日:2012.07.08
オリジナルからの改変、なし

この花は、シャスタ・デイジーです。シャスター・デイジー、とも、シャスター・デージー、とも、いいます。発音してみると、あまり変わりませんが。また、書くときには、「・」を入れたり、入れなかったりします。

学名 Leucanthemum × superbum
英名 Shasta daisy「シャスタ・デイジー」
和名 シャスタ・デイジー
キク科(Asteraceae)フランスギク属(Leucanthemum

学名に現れる「×」は、その植物が交雑種であることを表します。

シャスタ・デイジーの場合は、それに superbum が続きますが、これは、英語で言えば、superb あるいは superior で「すばらしい」という意味です。「花がすばらしい、目が覚めるようだ、大きい」ということです。

2023.07.08撮影(シャスタ・デイジー、ご近所の庭から)

シャスタ・デイジーの作出は、アメリカの園芸家、ルーサー・バーバンクによって、1880年代から1900年代にかけて行われました。

使われた種は、キク科(Asteraceae)の、フランスギク属(Leucanthemum)に属する「デイジー」3種と、ハマギク属(Nipponanthemum)の「デイジー」1種の、合計4種です。これらを順次交配し、さらに、選別して、完成させました。

『ガーデニングの図鑑』シャスターデージー

Leucanthemum × superbum(英文+画像)

親種1(フランスギク)
Leucanthemum vulgare(フランスギク)
撮影者:Chiswick Chap
撮影日:2021.06.16
オリジナルから、トリミング

ルーサー・バーバンクは、まず、第1の親種となるフランスギク(Leucanthemum vulgare)を育成して形質の選抜を行いました。

学名 Leucanthemum vulgare 
英名 Ox-eye daisy「雄牛の目のようなデイジー」
別名 Marguerite「マーガレット」(フランス語名から)
和名 フランスギク
原産 ヨーロッパ、温帯アジア
移入 北アメリア、オーストラリア、ニュージーランド

この花は、わたしの住むカナダにも、野原や道端に、上の画像のような感じで夏にたくさん咲いています。野草という捉えられ方をしています。

親種2(中国名:大滨菊
Leucanthemum maximum(中国名:大滨菊)
撮影者:xcabale
撮影日:2006.03.04
オリジナルからの改変、なし

ルーサー・バーバンクは、次に、選りすぐったフランスギク(Leucanthemum vulgare)に、中国名ででいうところの「大滨菊」(Leucanthemum maximum)を交配して、2種間交雑種を作りました。

学名 Leucanthemum maximum
英名 Max chrysanthemum「大きいキク」
和名 ないもよう
中国名 大滨菊(大浜菊)
原産 フランス、スペイン

親種3(レウカンテムム・ラクストレ)
Leucanthemum lacustre(レウカンテムム・ラクストレ)
撮影者:Alvesgaspar
撮影日:2012.08.15
オリジナルからの改変、なし

フランスギク(Leucanthemum vulgare)と「大滨菊」(Leucanthemum maximum)の2種間交雑種に、バーバンクは、さらに、レウカンテムム・ラクストレ(Leucanthemum lacustre)を交配し、3種間交雑種を作りました。

学名 Leucanthemum lacustre
英名 Portuguese daisy「ポルトガルのデイジー」
和名 レウカンテムム・ラクストレ(和名は、ないもよう)
原産 ポルトガル

ここまでで、フランスギク属(Leucanthemum)の3種が交配されたわけです。

親種4(ハマギク)
Nipponanthemum nipponicum(ハマギク)
撮影者:KENPEI
撮影日:2008.09.23
オリジナルからの改変、なし

フランスギク属(Leucanthemum)3種の交配種に、さらに交配されたのは、同じくキク科(Asteraceae)ではあっても、属の異なる、ハマギク属(Nipponanthemum)の「デイジー」、ハマギク(Nipponanthemum nipponicum)です。

ハマギクは日本原産・固有であり、ハマギク属に属する種は、このハマギクだけです。

学名 Nipponanthemum nipponicum
英名 Nippon daisy「日本のデイジー」
和名 ハマギク
原産 日本(青森県〜茨城県の太平洋側)
野生化 アメリカ、ニューヨーク州とニュージャージー州の海岸線

これで、4種間交雑種のできあがりです。

なんだ、同じような花ばかりかけ合わせたのか・・・と言っても、花と姿の美しく、また、栽培するのに丈夫な品種を求めたわけですね。

2023.07.08撮影(シャスタ・デイジー、ご近所の庭から)

ここから先も、園芸種は、どんどん開発されていきます。

なお、Shasta daisy「シャスタ・デイジー」という命名は、アメリカ、カリフォルニア州の、頭に白い雪をかぶったシャスタ山(Mount Shasta)に因むそうです。

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ダリアは、1年草か、多年草か

2022年10月15日 03時30分55秒 | キク科
2021.06.05撮影

学名 Dahlia
和名 ダリア属
英名 Dahlia
キク科(Asteraceae)

日本の夏にはおなじみの花ですね(と、わたしは思っているんですが、違うのかな・・・)。

上の画像は、矮性の、葉の色が紫がかっている、一重のダリアです。咲いたばかりの花で、中心の筒状花のほとんどが固く閉じたままです。

ダリアは中央アメリカが原産で、ヨーロッパの「征服者」によって、「本国」にもたらされました。日本へは、明治維新前、江戸時代末期にオランダから入ったそうです。

ダリアについての網羅的な記事が、「サカタのタネ 園芸通信」にありました。次のリンクです。この記事では、「球根」と呼ばれていますが、それは広義の「球根」で、正確には、「塊根(養分を蓄えている肥大した根)」です。平たく言えば、「芋」。サツマイモ(Ipomoea batatas)みたいな芋。

ダリアの育て方・栽培方法

2021.06.25撮影

この2番目の画像は、筒状花の外回りが咲き出したところです。「花びら」に見える舌状花が、やや黄色っぽくなってきたかな、と思います。

わたしは、ダリアは育てないことにしていたんですが、、、この花が、去年、うちにやってきたのは、こういう事情。

普段入らないスーパーマーケットで、この花を見たんです。売れ残り。まあ、きれい、買おか? と思いましたが、いやいや、ダリアはわたしは育てないんだから、それに、あれ、弱々しそうだから、とお店を去りました。でも、後ろ髪を引かれ、車とお店との間を数回行ったり来たり。悩んだ挙句、捨てていけず、結局、車に同乗させることになってしまいました。

なぜ悩んだか。それは、ダリアはわたしの住むバンクーバーでは冬越しをさせるのが難しいからです。それに、これは、ラベルさえまともについていない、スーパーマーケットの品質の低い植物。

カナダでは一般的に言って、植物専門の店 > ホームセンターの類 > スーパーマーケット の順で植物の質が下がっていきます。安かろう、悪かろう、なんです。ですから、スーパーでは買いたくないのです。高いお金を出してでも、専門店へ行き、後は、人と人との間でのやりもらいです。

もちろん、買ったからには、世話をちゃんとして、元気にさせるつもりでした。そして、夏の間は、最初の見かけから想像していたより多く、きれいな花をつけてくれました。

2021.06.03撮影

この三番目の画像では、筒状花がより多く咲き、舌状花の色があせてきています。画像は同じ個体ではないので、撮影の時間系列には合致しません。

バンクーバーでも温暖化は進んでいます。植物の耐寒地域区分が「7b」から「8b」に上がり、以前冬越ししなかった植物が多く冬を越し、また、本来は温帯で育てる果物類がよく実るようになりました。

ここ5〜10年ほど、バンクーバーでダリアは越冬させられるかどうか、というのが結構話題になっていました。

A.越冬しない、よって、毎年買い換える(一年草扱い)
B.越冬しない、よって、毎年掘り上げて保存し、植え替える
C.保温するようなものを被せておけば、越冬する
D.何もしなくても、越冬する
E.越冬するかどうかわからないので、ダリアは育てない

わたしはケチなので、Aはしません。また、ナマケモノなので、Bもしません。Cはバクチなので、しません。Dも、越冬しなかったら残念なので、しません。そして、今まではEで通してきたんです。

でも、今日画像でお見せしているダリアを、その美しさに取り憑かれて買ってしまったので、A、B、はわたしに取っては論外、Dはこわすぎる、ということで、Cをするしかなくなりました。

去年、花が終わった後、切り込んで、マルチは常にかけてある(画像をご覧ください)んですが、さらに足しておきました。バケツを被せておけばいい、なんて言う強者もいますが、わたしは、それはいくらなんでも・・・と思いました。

2021.06.25撮影

でも、今年、このダリアはついに芽を出すことがありませんでした。自分に向かって、だから言ったでしょ、と。

ラベルなしの鉢だったので、園芸種の名前がわからずじまい。でも、数日前、ここの他の方のblogで偶然そっくりなダリアを見てしまったんです。リンクを貼る許可がいただけましたので、リンクをつけます。

屋上ミニミニ菜園と見切り品の花達

トレニアの下に出ているダリア。うちのは、多分、これだと思います。

Dahlia 'Humming Bronze Eternity'
ダリア「ハミング・ブロンズ・エターニティ」

なお、わたしの上の画像でダリアの背景に見える葉は、指貫ベリーの葉です。大変おいしいベリーです。

指貫(ゆびぬき)ベリーの実は、唇でそっと

次の画像のダリアは、友だちのうちに咲いているものです。この友だちのうちは、わたしのうちよりかなり南にあり、海に近いので、暖かいのです。うちの耐寒地域区分が「8b」なら、友だちのうちは前々から「9a」の可能性があります。

2012.08.16撮影

他に、ふたり、ダリアの芋を必ず掘り上げる友だちがいるんですが、尊敬に値します。掘り上げ、また植え付けるのも大変ですが、冬の間の管理も大変なんですよね。でも、ふたりとも、夏には、ダリアを大量に咲かせていて、それは、それは、見事です。切花も贅沢に取り合わせて、美しいですよ。

で、ダリアは、1年草か、多年草か。

塊茎で増殖し、塊茎は越冬しますから、多年草です。でも、それは、耐寒地域区分が「8〜11」の場合。冬に気温の一定以上下がる地域では塊茎がダメになってしまうので、そんな地域では、園芸上は1年草として扱われます。

バンクーバーは、場所により少々異なりますが、温暖化で「8」になったところ。ですから、冬に特に寒い日が続いてしまうと、楽々越冬する、というわけではないのです。わたしのうちのあたりは、ダリアが元気に育つほど暖かくないのでしょう。

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秋口に残った、イヌラ・フッケリ

2022年10月14日 05時48分55秒 | キク科
2022.09.03撮影

8月の半ばに、キク科のイヌラ・フッケリをご紹介しました。その記事の中で挙げた画像は、7月から8月初めにかけて撮影したものです。

真夏に涼やかな、キク科のイヌラ・フッケリ

今日は、秋の風の感じられ始める8月半ばから10月始めのイヌラ・フッケリの姿をお見せしたいと思います。

学名 Inula hookeri
和名 なし
英名 Hooker’s fleabane
キク科(Asteraceae)オグルマ属(Inula)

日本語版Wikipediaによると、オグルマ属は、
>> ユーラシアとアフリカに約100種分布し、地中海沿岸に多い。
>> 日本には少なく、4種ほど分布する。
だそうです。

次の画像は、8月半ばの、花の多くは終わったイヌラ・フッケリの姿です。撮影後、終わった花を切り取りました。花芽の再び出るのを期待して、です。実は、花の脇芽は、もうすでに出ていました。

2022.08.13撮影

上の画像左手、真ん中よりやや上に見える枯れた花は、オレンジ色だったワスレグサ(Hemerocallis fulva)ですが、こちらは、花を切り取っても、今年はもう咲きません。

なお、ヤブカンゾウ(Hemerocallis fulva var. kwanso)、ノカンゾウ(Hemerocallis fulva var. longituba)、ハマカンゾウ(Hemerocallis fulva var. littorea)、は、ワスレグサ(Hemerocallis fulva)の変種で、うちのは、多分、ヤブカンゾウです。

2021.07.19撮影

上のイヌラ・フッケリの画像の右下グランドカバーになっているものは、セイヨウジュウニヒトエ(Ajuga reptans)です。花の軸を立ち上げ、段々になった花を咲かせます。今夏のバンクーバーの厳しい散水制限にもめげず、緑をみずみずしく保ってくれました。

2021.04.24撮影

次は、枯れたイヌラ・フッケリの花の大写しです。こんな状態の花も風情があります。

2022.09.03撮影

花の脇芽がふくらんできました。ツボミが、前にも形容しましたように、むじゃむじゃとしています。

2022.09.03撮影

ツボミが開き出すと、花びらが渦巻き状になります。これからまた咲いてくれることに、感謝。

2022.09.09撮影

そして、イヌラ・フッケリは、今もまだ咲いています。

2022.10.01撮影

画像の奥手に、八重の「秋咲きクロッカス」(Colchicum autumnale)も見えます。学名を英語読みして、「コルチカム」ともいいます。

秋咲きクロッカスの色が・・・

同じ日に撮影されたコルチカムが、次の画像です。もうだいぶん倒れています。

2022.10.01撮影
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アザミみたいなジョウ・パイ?

2022年10月13日 07時03分55秒 | キク科
2021.09.08撮影

冒頭画像の植物は、植物屋さんで、わたしが、Joe-Pye weed(Eutrochium)はどこ? と聞いたら、案内してくれたものです。

わたしは、当時は、Joe-Pye weed「ジョウ・パイ草」は、草丈が高く、夏の半ばや終わりから、秋にかけて、あるいは、秋を通して咲くキク科(Asteraceae)の植物である、ぐらいしか知らずに、買い求めに行ったのです。名前が Joe-Pye weed というひょうきんな名前、というのにも興味がありました。

ジョウ・パイ草は特別美しい花ではないと聞いていたけど、この見せてくれた植物は、花の部分がアザミ(薊 Cirsium)に似ていてきれいだなあ、と思いながら、購入しました。

それから、何年も何年も何年も、わたしは、これ、なんか違うような、とも思いながらも、このアザミみたいな花のは、ジョウ・パイ草の園芸種なのかも、と、むしろ、悦に入っていたのです。

その悦を砕いたのは、本物のジョウ・パイ草を見てしまった時。同じ植物屋さんで、抜きん出て草丈の高い植物を離れたところから見て、もしや、と思いながら駆け寄ってみると、それがジョウ・パイ草でした(以下の画像)。

その本物のジョウ・パイ草については、昨日(10月12日)書きました。

ジョウ・パイ草、って何?

2021.07.31撮影

では、うちの、アザミみたい、ジョウ・パイみたい、なのは一体、どなた? キク科(Asteraceae)であることはほぼ自明なので、アザミ(Cirsium)のあたりから調べ出しましたよ〜〜

本物のジョウ・パイ草がうちに来てから、今夏は3回目の夏。わたしは、ついに、非力であることを感じ、無知でい続けることに耐えきれなくなって、次のサイトにお世話になりました。

Pl@ntNet(画像+学名+英名)

その結果、うちのアザミみたい、ジョウ・パイみたい、は、Asteraceae(キク科)Vernonia(ヴァーノニア属)の植物であることが確定しました。そして、そのうちの、Vernonia gigantea「ヴァーノニア・ギガンテア」であろう、というところまで行きつきました。

2021.09.08撮影

上の画像の咲きかけの「花」を、横から見てみると、「花」の部分は、アザミに似ていますよね。次のリンク先の下の方の画像とお比べください。

アザミ属

この、「花」ひとつ、と見えるものは、キク科の特徴的な、多くの花が集まった頭花(頭状花)です。頭花を構成する小さい花を小花といいます。「ガク」に当たるものは、葉が変形してできたもので、総苞といいます。

この総苞が、キク科では、ウロコのような形になるものがあります。今日ご紹介の植物や、アザミ類、多年草のヤグルマギク(Centaurea montana)などが、そうです。「花」の比較的大きなヤグルマギクを例にして真横から見ると、はっきりとその「ウロコ」が見えます。

ヤグルマギクと言っても、多年草の

2021.05.30撮影

ヴァーノニア・ギガンテアの方でも、冒頭の画像を拡大して、見てみます。総苞がウロコ状になっています。

2021.09.08撮影

キク科の頭花は、ヒマワリ(Helianthus)などでは、外回りの「花弁」に見える舌状花と、中央の筒状花(管状花)で成りますが、アザミ類の場合は、筒状花だけで成ります。

昨日ご紹介した「茎がチューブのジョウ・パイ草」(Eutrochium fistulosum)、その親戚のフジバカマ(Eupatorium japonicum)、と同じように、今日の植物 Vernonia gigantea「ヴァーノニア・ギガンテア」も、筒状花だけからなり、かつ、メシベが花から大きく飛び出します。でも、前者ふたつは、メシベが糸のように大きく裂けますが、後者「ヴァーノニア・ギガンテア」は、メシベの柱頭のほんの先端だけが裂け、反り返ります。次の画像でお確かめください。

2021.09.08撮影

Vernonia という学名は、普通にラテン語読みをすれば「ウェルノニア」になるのですが、Vernonia が William Vernon「ウィリアム・ヴァーノン」というイギリス人の植物学者の名前にちなんでいるので、Vernonを英語読みして「ヴァーノン」、そこから、Vernonia は「ヴァーノニア」となります。

Vernonia には和名はないもようです。でも、ちょっと探索してみました。Wikipediaで、日本語版がないので、英語版から中文版へ飛びます。

Vernonia(英文+画像)
https://en.wikipedia.org/wiki/Vernonia

斑鸠菊属(Vernonia)
https://zh.wikipedia.org/wiki/%E6%96%91%E9%B8%A0%E8%8F%8A%E5%B1%9E

「品種」と書かれた下に、地域名が「北美洲(北アメリカ)」「非洲(アフリカ)」「亞洲(アジア)」「南美洲(南アメリカ)」と続いていますが、そのうち、「亞洲(アジア)」を見ると、夜香牛(Vernonia cinerea)というものが出ています。それを、何かが出てくることを期待しながら、調べてみます。

夜香牛(Vernonia cinerea)
https://zh.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9C%E9%A6%99%E7%89%9B

そこに
>> 分布于印度(見於安得拉邦)、中南半岛、印度尼西亚、非洲、日本、台湾岛以及
>> 中国大陆的湖南、四川、福建、湖北、云南、浙江、广西、广东、江西等地
と書いてあります。

ここで、「日本」というのを見つけ、目がピコンと大きくなります。言語の選択を見てみると、ありがたいことに、日本語が出ています。そこをクリックします。すると、ムラサキムカシヨモギ(Vernonia cinerea、別名 Cyanthillium cinereum)に到達します。

ムラサキムカシヨモギ

>> ひょろひょろと伸び、紫色のヤグルマギクを小さくしたような花を付ける。

はて、ムカシヨモギというと、Erigeron のことではなかったか・・・ここでも花の名前が交錯しているのね。Erigeron については、またそのうちに調べてみましょう。Erigeron は、うちにもあるし。

ヒメジョオン(キク科ムカシヨモギ属 Erigeron annuus)

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ジョウ・パイ草、ってなに?

2022年10月12日 06時48分55秒 | キク科
2021.07.31撮影

Joe-Pye weed「ジョウ・パイ草」とは、上の画像の植物であります。なんだ、フジバカマか、なんて言わないで! わたしは Joe-Pye weed とフジバカマを結びつけるのに、何年もかかって、さらに、その後、両者を区別するのにまた数年かかったんですから。

学名 Eupatorium japonicum
和名 フジバカマ(藤袴)
キク科(Asteraceae)ヒヨドリバナ属(Eupatorium
特徴 葉が深く3裂する

学名 Eutrochium fistulosum
英名 Common Joe-Pye weed「普通の、ありきたりの、ジョウ・パイ草」
和名(ないもよう)
キク科(Asteraceae)エウトロキウム属(Eutrochium
特徴 葉が茎に対して輪状につく

そもそもは、ジョウ・パイ各種は、フジバカマやヒヨドリバナ(鵯花 Eupatorium makinoi)と共に、ヒヨドリバナ属(Eupatorium)に下位分類されていました。しかし、北アメリカ原産のジョウ・パイ各種が、ヒヨドリバナ属から新しく独立させられて Eutrochium 属と命名されたのです。

つまり、ジョウ・パイ各種は、学名が Eupatorium から Eutrochium に変わったんです。そんなこと、わたしが即座にわかると思いますか、特に、そっくりな名前で。数年悩みましたよ。名称が変わると、古い名前も使い続けられるので、ますます末端のわたしなどはこんがらがりました。

次は、ジョウ・パイ草がツボミの時です。

2022.08.11撮影

次は、上の画像を拡大したものです。ひとつひとつの「ツボミ」に見えるものをご観察ください。花茎があり、緑のガクのようなものがあり、その上にピンクのガクのようなものが続きます。一体どこまでが「ガク」なんでしょうか。この「ガク」のように見えるものは、総苞片です。

2022.08.11撮影

このジョウ・パイ草の「ツボミ」と、次のフジバカマの「ツボミ」とを比べください。上段右端の画像に写っている「花」のうち、糸状のものが飛び出していないのが「ツボミ」です。ジョウ・パイ草とフジバカマと、「花」の構造がよく似ていますね。

フジバカマ(藤袴)
「松江の花図鑑」

「松江の花図鑑」によると、フジバカマは、ひとつの「ツボミ」に小花が5つ包み込まれているそうです。ジョウ・パイ草各種のうち、Eutrochium fistulosum には、小花が4〜7個つきます。

なお、fistulosum というのは「チューブの、パイプの」という意味で、茎の構造を形容します。「茎がチューブのジョウ・パイ草」は、3メートル以上にもなり、庭に植えられると、安定感をもたらします。

次の画像は、花が咲いているところです。糸状に見えるものは、メシベです。

2021.09.27撮影

「松江の花図鑑」には、フジバカマのメシベは柱頭(メシベの先端部)が2裂する、と書いてあります。「茎がチューブのジョウ・パイ草」がどうなのか見てみると、そのメシベも柱頭が2裂しているようです。以下の「花」を拡大した画像をご覧ください。

そして、このように拡大してみると、「花」の中の小花も見えてきます。これ、裸眼で見るのは大変なんです。また、ふたつ上の画像で緑であった最下段の総苞片が、季節が進んでピンクに変色していることもわかります。

2021.09.27撮影

ジョウ・パイ草各種は、夏の中頃から秋を通して咲き、その間、チョウ、ミツバチ、マルハナバチ、その他のミツを求める虫たち、に食糧を提供します。こんな小さな花からどのようにミツを吸い取るのか、という不思議さがありますが。

タネができるようになると、次の画像に見られるような綿毛になります。そして、チョウやハチの代わりに、鳥がタネを求めて訪れるようになります。

2022.09.29撮影

Eutrochium 属の各種植物が「ジョウ・パイ」と呼ばれる語源のひとつは、かつて、英語の名前が Joe Pye という原住民(いわゆる、インディアン)が、現在ジョウ・パイ草と呼ばれる植物を薬草として使って、マサチューセッツ(アメリカ東海岸)の植民者たちの間で流行ったチフスを治した、というお話しによります。

ニューヨークタイムズ(The New York Times)に、次のような、再録された記事(英文)があります。そこには、Eupatoriums という属名が現れます。1993年の記事なので、分類、属名、改訂前の記事でしょう。

GARDENING; How Joe Pye Gave His Name to a Weed(英文)


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アスター、ニューヨークの

2022年10月11日 06時10分55秒 | キク科
2021.09.19撮影

今の季節のカナダ南部(アメリカとの国境線に近いところ)やアメリカでは、アスターがきれいに咲いています。上の画像は、アスターのうちでも、ニューヨーク・アスター(Aster novi-belgii)のものです。

頭花の構造は、冒頭の画像のように、舌状花と筒状花がはっきりと分かれているものが基本ですが、園芸種の「八重」のは、真ん中の部分がほぼ舌状花に変わっているものもあります。

用語については、昨日もご紹介しました以下のサイトなどでお確かめください。大阪大学全学教育推進機構のものです。


英語で Aster(アスター)と呼ばれているものは多岐に渡り、それは、日本語でも「キク」と呼ばれているものが多岐に渡るのと似た事情だと思います。

キク科(Asteraceae)の植物は膨大な数である(英語版Wikipediaによると、3万種以上)上に、庶民が「キク」、あるいは、Aster(アスター)と命名するものが必ずしも学問的な分類とは一致していない。それどころか、学問の方でも、かなりな頻度で分類を改定する(汗)。結果、名称が交錯します。

そのひとつは、Asteraceae(キク科)という科名にしても、英語では Aster(シオン属)から、日本語ではキク属(Chrysanthemums)から、来ている。ですから、ヨーロッパ系の人が Asteraceae(キク科)と聞けば、アスターを思い浮かべ、日本人が聞けばキクを思い浮かべるんでしょう。

おまけに、南北アメリカ原産の「アスター」と呼ばれているものは、現在は、Aster 属(シオン属)から独立させられ、他の複数の属に分けられています。今日取り上げているニューヨーク・アスターの新しい属名は、Symphyotrichum です。和名は今のところないようです。現在でも Aster 属のままの植物の例としては、日本のヨメナ(嫁菜 Aster yomane)などが挙げられます。

2021.09.27撮影

Symphyotrichum は、一般の人々の間では、根強く Aster と呼ばれています。その中で代表的なのが、次の2種です。原産は、いずれも北アメリカ。

学名旧名 Aster novae-angliae
学名新名 Symphyotrichum novae-angliae
和名 ネバリノギク(粘り菊)
英名 New England aster「ニューイングランド・アスター」
特徴 総苞片がそり返る、粘った毛がある、草丈は高め

学名旧名 Aster novi-belgii
学名新名 Symphyotrichum novi-belgii
和名 ユウゼンギク(友禅菊)
英名 New York aster「ニューヨーク・アスター」
特徴 草丈は低め(園芸種に高いものはある)

ここでお見せしている画像は、全て、うちのニューヨーク・アスターです。前には、わたしは、各種何種類もアスターを育てていたんですが、ほんと、全滅なんです、大木に成長した木々のおかげで。今は、新しく導入したこれしかありません。

次の画像の花の下の総苞の部分(「ガク」に当たる)をご覧ください。その下の小さい葉も。そこには、粘り気の出た毛はありません。目で見てもわかりますが、指で触って確かめておきました。よって、これは、ニューヨーク・アスターです。(この画像はフラッシュをたいて撮ったので、花の色が赤目に出ていますが、他の画像と同じ個体です。)

2022.10.09撮影

わたしの住むカナダで一般の人がニューイングランド・アスターとニューヨーク・アスターを区別することは、ほぼありません。そっくりだし。「アスター」と言うだけ。

園芸種が数えきれないぐらいあり、多種の花の色(藤色、青紫、赤紫、紅色、バラ色、ピンク、白、等)を楽しませてくれます。また、他の近縁種との掛け合わせもあります。庭にどれを植えるかは、最終的にはどの種か、より、どの園芸種か、になります。草丈、姿、花の色、など。

ところで、Aster novae-angliae が New England aster「ニューイングランド・アスター」と呼ばれるのは、納得がいくと思います。novae が英語の new に当たる「新しい」で、angliae が英語の England に当たる「イングランド」です。イギリスからの移民がアメリカ大陸に至り、ニューイングランドを築き、その地で見たアスターを New England aster「ニューイングランド・アスター」と名づけ、それがそのまま学名になった。

でも、Aster novi-belgii がなぜ New York aster「ニューヨーク・アスター」と英語では呼ばれる? belgii は「ベルギー」じゃないの? それは、現在「ニューヨーク」と呼ばれる地が、オランダの植民が始まったころには Belgica Foederata「ベルギー合衆国」と呼ばれ、そのころ、ベルギーはオランダの一部だった。また、汗。

以下の画像では、アスターが季節の推移を感じさせる時期に咲くことがわかります。背景に夏に咲いた植物の薄茶色い葉が見えます。

2022.09.22撮影

花盛りもご覧ください。

2022.10.01撮影

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