2013.06.12撮影
これは、うちのエリゲロン(だった)。
「だった」というのは、悲しい物語があるのです。その悲しい物語というのは、いつもの、樹木が大きくなって日陰ができて、植物がおなくなりになった、だと思うでしょ。違うんです。
わたしのエリゲロンに起こった、このあまりにも悲しい出来事は、今思い返しても、なぜこんなことに?? とよく理解ができない。
このお話をする前に、バンクーバーの宅地がどのようになっているか、一般的なところを説明します。住宅地は、次のようになっています。車道から家屋に向かって、
1.車道
2.(芝生+)歩道
3.市の所有地で、住宅の所有者が管理を任されている土地(半〜数m)
4.住宅の前庭
5.家屋
6.住宅の裏庭
7.車庫
8.市の所有地で、住宅の所有者が管理を任されている土地(半mぐらい)
9.路地
わたしがこのエリゲロンを植えたのは、うちの南側の庭(=裏庭)が、まだ芝生と野菜畑で、花壇のなかったときです。太陽の当たるところを求めて、わたしは、このエリゲロンを8の市の所有地に植えました。うちが管理を任されている土地です。
8は、車庫と路地の間の部分であるので、大抵のうちではその土地をコンクリートで固めてあります。そして、うちもそうしてあります。ところが、お隣に接した部分に、わずかに土がむき出しになった所があります。
その土がむき出しの部分の向こうには、お隣が、自分の裏庭の延長として花壇にしている、市の所有地がつづいています。
(うちのあたりの住宅地では、法律で、車が最低2台は止められる車庫、あるいは、カーポートを作ることになっているのですが、この家は、法律違反をして、車を止める施設を作っていないのです。だからね、お庭が広いのよ。)
わたしは、このピンクのエリゲロンを植えて、何年もきれいに元気に咲いてくれて、大満足でした。
2013.06.12撮影
上の画像をご覧ください。石畳というか、コンクリートの部分が見えますね? これは、うちの敷地内のものです。お隣との境界線は、画像で右上から斜めに降りてくる石畳の端より向こうにあります。
ですから、このピンクのエリゲロンがきれいに咲いている土地は、うちが市に委託されている土地なんです。つまりは、常識の範囲内であれば、うちがこの部分の土地をどうしようが勝手、、、
ある日、エリゲロンを目で楽しもうと路地の方へ出ていったら、ない、ない、ない、エリゲロンがどこにもない、ないだけでなく、掘り起こした形跡がある、まさか、お隣が??? そんなことないだろ、だって、そこを掘り起こすなら、ついでに、他の植物も掘り起こしただろうから、それに、植物好きの隣のおばさんがあんなにきれいに咲いていた植物を引き抜くわけがない、どこ? どこ? どこへ行った? 一体、だれがこんなことを?
と思いながら、周りを見てみると、ははあ、シャベルが立てかけてあるじゃないか、ということは、人が意図的に掘ったということである。だれよ、こんなところにシャベルを忘れているのは・・・よそからわざわざ出かけてきた人が道具を忘れていく、とは考えにくい。
そのあたりで、これは隣だろう、と思ったが、腹立ち紛れに怒鳴り込んでも仕方がないので、お涙頂戴作戦に出ることにした。
掘り起こされた周辺に木の枝を刺して、ヒモをめぐらせ、そのヒモに嘆願書をくくりつけた。その嘆願書、曰く
2013.06.12撮影
ここには、わたしが大好きな花を植えてありました。たいへんきれいな花です。そして、昨日までここできれいに咲いていました。でも、今、ありません。どこへ行ったんでしょう。だれかが掘ったんでしょうか。掘った方、あるいは、ゆくへをご存知の方、わたしの花がどこにあるか、教えてくださいませんか。早く返してください。大急ぎで植えて、救いたいですから。
すると、1時間もしないうちに、隣のおばさんがすっ飛んできました。あの花、あなたが植えたのだと知らなかった、って。申し訳ない、申し訳ない、って。
わたしは、心の中で、あんな花がだれも植えないのに咲くわけないだろ? 植えるとしたら、お宅じゃなければ、うちだろ? と思ったが、口に出したのは、じゃあ、抜いたのを植えてくださいよ。すると、もう捨てた、と言うわけです。(え? なんであんなきれいな花を捨てる? 第一、抜く?)
この辺でわたしは面倒くさくなって、じゃあ、あそこの土地、お宅の路地沿いの花壇の延長にあるから、今後は、お宅が管理してくれない?
と言うことで、今は、あちらは、なんか、触っていいのかな、いけないのかな、という感じで世話しているみたいです。でも、きれいな花は植えてくれないのよ。
いや、別にお隣とは喧嘩していませんよ。それぞれ別人格だから考えることも違うのだろう、と思っていますから。悪意はなかったはずなんです、、、でも、なんできれいに咲き乱れている花を、わざわざ抜いて捨てる? そのへんがもう10年経った今でも不思議に思うんです。
2013.06.12撮影
あの事件以来、これと同じエリゲロンを手に入れたいと思っているんです。特に、南側に花壇を作ったので、そこに植えたい。なんなら、路地側の、例の同じところにもう一度植えてもいい。でも、なぜか、植物屋さんで見つからない。大きいお店へ行っているんですけどね。
学名 Erigeron glaucus
英名 Seaside fleabane「浜辺のキク」
別名 Beach aster「海岸のアスター」
別名 Seaside daisy「浜辺のデイジー」
和名 ないもよう
キク科(Asteraceae)ムカシヨモギ属(Erigeron)
原産 アメリカ合衆国西海岸(オレゴン州〜カリフォルニア州)
このエリゲロンの学名の種小名 glaucus は、「灰色っぽい、灰緑の」という意味です。上の画像内の葉をご覧ください。灰色がかっていますね。
このラテン語 glaucus は、Rosa glauca「ロサ・グラウカ」のところですでにご紹介しました。
花より団子、ヒップより花
Erigeron glaucus「エリゲロン・グラウクス」は、ムカシヨモギ属(Erigeron)ですから、ヒメジョオン(Erigeron annuus)の親戚です。「エリゲロン・グラウクス」の英名は、 Seaside daisy「浜辺のデイジー」などで、これは、自生地が海岸線であることを表します。
分布は、アメリカ合衆国西海岸ですが、カリフォルニア州から北にたどってオレゴン州までで、その北のワシントン州、そして、国境を超えてさらに北のブリティッシュ・コロンビア州には自生しません。つまり、このエリゲロンは、ブリティッシュ・コロンビア州では、庭の花であることになります。